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第33話 ドレスが贈り物なんてすごくテレるし、そもそも……(2/2)
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≪約85字あらすじ・主人公・唯花は異世界トリップ先の館の主ロエルから2人で館をでることを提案され、移動時に必要なドレスをもらう。唯花は、自分とこの世界の人間との違いをロエルに打ちあけるが……≫
「そもそも、この世界の人はどうして、鳥に変身することができるの? ……私が他の世界からきた人間だって、ロエルはあてることができたけど――私の世界では、人間は鳥には変身できないよ。私も、鳥にはなれないの。それが私の世界での、普通の人間なの」
私はロエルに正直に打ちあけた。
鳥になれることが「普通」の世界なら、地球ではごく普通の人間である私は、ここでは「普通」じゃない。
もしかしたら、隠しておいたほうがいい秘密なのかもしれないけれど……。
私のためにいろいろしてくれるロエルに、私自身のことであんまり秘密を持ちたくなかった。
ロエルは、私の告白をだまって聞いていた。そして一言。
「きみはオレを人間だと思っているだろう」
彼の言葉に私はうなずく。
ロエルは、信じられないほどの美形だとは思うけど、彼を人間だと思っている。
「オレもきみをもちろん人間だと思っている。空をとぶ必要がある事態がもしも起こったら、オレがきみといっしょにとべばいいだけだ」
「……ロエル……」
彼の名前をつぶやいたものの、なんて返していいかわからない。
ペピートと先生が、鳥になったときの姿はこの目でみたけれど、私はまだロエルが変身したところはみていない。
ペピートは九官鳥、先生はカラスに姿を変えた。
ロエルはいったいどんな鳥になるの?
……そうとう大きな鳥にならないと、人を背中にのせてとぶのはむずかしいのでは。
(うーん、せっかくのありがたいお申し出だけど……)
私の体重が負担になってロエルは空で墜落。背に乗っていた私もいっしょに墜落。……なんてことになったら、おわびどころのさわぎじゃない。
私がなぜ躊躇しているのか、その理由が彼にも なんとなく伝わったのだろうか。
ロエルはニッと、ほほえんだ。
「きみの体が見た目どおり軽いことは、すでに知っているからね。オレは自信を持って、いざというときは きみといっしょにとぶと約束できるよ」
本来なら異世界にきたばかりの私にとって、非常に力づよい言葉のはずなのに――。
……『きみの体が見た目どおり軽いことは、すでに知っている』って……。
中庭で私をお姫様だっこしたときのこと!?
わーっ! ほりかえさないでよ、その話はっ!!
恥ずかしい気持ちが、ぶりかえしてしまう。
中庭でロエルの婚約者のフリをしていたとき、彼のキスで私は――立ちつづけているのが困難なほど、フラフラになってしまった。
それに気づいたロエルが私の体を両腕で抱きかかえてくれた。
ロエルは、黒づくめの格好をした5人の男たちから、私を助けてくれようとしただけ。
(それはわかっているけど……)
思いかえすだけで頬がカァッと熱くなり、自分が赤面していることに自分でも気づいてしまう。
ふたりしかいない、いまの客間で、私ひとりがあせりまくる。
そんななか、ロエルはすずしい顔で話を続ける。
「ユイカは『なぜ、この世界の人間は翼あるものに変身できるのか』という質問もしていたね」
私はコクコクと首をタテにしてうなずく。
ロエルが、中庭でのキスや抱擁を思いださせる話題から、他の話題に変えてくれて、心底ほっとする。
「そもそも、この世界の人はどうして、鳥に変身することができるの? ……私が他の世界からきた人間だって、ロエルはあてることができたけど――私の世界では、人間は鳥には変身できないよ。私も、鳥にはなれないの。それが私の世界での、普通の人間なの」
私はロエルに正直に打ちあけた。
鳥になれることが「普通」の世界なら、地球ではごく普通の人間である私は、ここでは「普通」じゃない。
もしかしたら、隠しておいたほうがいい秘密なのかもしれないけれど……。
私のためにいろいろしてくれるロエルに、私自身のことであんまり秘密を持ちたくなかった。
ロエルは、私の告白をだまって聞いていた。そして一言。
「きみはオレを人間だと思っているだろう」
彼の言葉に私はうなずく。
ロエルは、信じられないほどの美形だとは思うけど、彼を人間だと思っている。
「オレもきみをもちろん人間だと思っている。空をとぶ必要がある事態がもしも起こったら、オレがきみといっしょにとべばいいだけだ」
「……ロエル……」
彼の名前をつぶやいたものの、なんて返していいかわからない。
ペピートと先生が、鳥になったときの姿はこの目でみたけれど、私はまだロエルが変身したところはみていない。
ペピートは九官鳥、先生はカラスに姿を変えた。
ロエルはいったいどんな鳥になるの?
……そうとう大きな鳥にならないと、人を背中にのせてとぶのはむずかしいのでは。
(うーん、せっかくのありがたいお申し出だけど……)
私の体重が負担になってロエルは空で墜落。背に乗っていた私もいっしょに墜落。……なんてことになったら、おわびどころのさわぎじゃない。
私がなぜ躊躇しているのか、その理由が彼にも なんとなく伝わったのだろうか。
ロエルはニッと、ほほえんだ。
「きみの体が見た目どおり軽いことは、すでに知っているからね。オレは自信を持って、いざというときは きみといっしょにとぶと約束できるよ」
本来なら異世界にきたばかりの私にとって、非常に力づよい言葉のはずなのに――。
……『きみの体が見た目どおり軽いことは、すでに知っている』って……。
中庭で私をお姫様だっこしたときのこと!?
わーっ! ほりかえさないでよ、その話はっ!!
恥ずかしい気持ちが、ぶりかえしてしまう。
中庭でロエルの婚約者のフリをしていたとき、彼のキスで私は――立ちつづけているのが困難なほど、フラフラになってしまった。
それに気づいたロエルが私の体を両腕で抱きかかえてくれた。
ロエルは、黒づくめの格好をした5人の男たちから、私を助けてくれようとしただけ。
(それはわかっているけど……)
思いかえすだけで頬がカァッと熱くなり、自分が赤面していることに自分でも気づいてしまう。
ふたりしかいない、いまの客間で、私ひとりがあせりまくる。
そんななか、ロエルはすずしい顔で話を続ける。
「ユイカは『なぜ、この世界の人間は翼あるものに変身できるのか』という質問もしていたね」
私はコクコクと首をタテにしてうなずく。
ロエルが、中庭でのキスや抱擁を思いださせる話題から、他の話題に変えてくれて、心底ほっとする。
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