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オマケの続き

立食パーティー 続

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貴族のパーティーというのは主催者を持ち上げるものなんだろうか?

その後もトリルム伯爵とファイン男爵は事ある毎に「夫人の案です」を繰り返し「冷蔵庫、かき氷、王都での珍しい宣伝方法、マロンゴーの移送方法などは、全て夫人によるものです」と纏められた。
招待客は「おぉ」とまるで通販番組のように伯爵と男爵の言葉に聞き入っている…

「ルルーシアン令嬢は呪いはご存知?」

一人の女性の問いに会場の空気が一変する。
ルルーシアン令嬢…一応結婚したので皆さん慣れないながら夫人と呼ぶが、こちらの女性だけは「令嬢」と呼ぶ。
そんな風に私を呼んだのは先ほどの女性、ランクーベ公爵を熱く見つめていた人。

「呪い…ですか?」

「私の時は部屋に異常を感じ、恐ろしくて一人でいるのが怖くて旦那様…オルフレッド様の傍から離れられませんでしたの」 

旦那様…オルフレッド様呼びをするということは、この人が離縁した奥様なんだろうか?
自然と周囲を確認し、使用人に目をやれば頷かれる。
今までの彼女の行動の意味がようやく繋がった。
この人は、公爵に未練があるものの呪いが怖くて逃げ出したんだろう…自分から出ていったのに、今私があの人の隣に居るのが許せないと恨んでいるに違いない。

「そうなんですね、ですが今のところ私は呪われておりませんよ?」

「私だって呪われてません。呪われているのはオルフレッド様です」

…あぁ、ハッキリ言ってしまった。
誰もが思っていても、口にしていないことを皆の前で堂々と言い放った。
公爵家に来て「ここの主人は呪われている」と叫ぶのは喧嘩を売っているようなものでしょ?

「公爵…は、呪われていないと思いますけどね?」

強がりでもなく、私は本当に呪いを感じたことは一度もない。

「それはルルーシアン令嬢がオルフレッド様と不仲だからではありませんか?」

不仲って…仲良いかと聞かれれば悩むが不仲ではないと思っている。
それに不仲であれば、公爵は私の前に顔を出しエスコートも断っていたかと…

突然の女性の喧嘩腰の態度に他の招待客は言葉を失い、私たちのやり取りを窺っている。ファイン男爵とトリルム伯爵でさえ、目が泳いでいた。

「ん~恋人同士のような甘い関係ではありませんが、不仲ではないと思いますけどね。お互い尊重しあい適度な距離を保っています」

「ふふっそれは夫婦と言えるのですか?」

「書類上は夫婦ですね」

「書類上ではなく、心の問題です」

「それは仕方がありません。私達の関係は王族の命令ですので、今後仲を深めていきたいと思っております。ご心配くださりありがとうございます、夫人はとても心優しいのですね」

夫人と言って即座に否定されなかったので、離縁し今は別の誰かと結婚したのだろう。

私が笑顔で返せば、女性は拳を強く握りしめているのが視界の隅に入る。

「私達は愛し合っていたわ、だけど呪いには勝てませんでした。きっと美しいあの方と愛し合っていた私は嫉妬され彼に呪いが掛かってしまったのね」

私はいつの間にか芝居を見に来たのだろう?
この人いったい何を言ってるのだろうか?
公爵は一度の婚約解消に一度の離縁を経験と聞いた。言い方からして結婚したのはこの女性なんだろう。だけど、公爵は離縁の前に婚約解消しているので、この人が言うとおり公爵が呪われていたのなら出会った頃には既に呪われていたはず。
都合よく記憶を書き換えているのね。
きっとこの場には婚約解消した女性はいないのだろう。

「では、その呪いは消滅したのかもしれませんね。私は呪いを感じる事はありませんでしたから」

「…これから分かるはずよ。だから、貴方も今のうちに公爵から離れるべきよ」

この「離れるべきよ」は、私の心配ではなく「私のオルフレッド様から離れなさい」という意味だろう。
離縁しておきながら、公爵に新たな相手が出来るのは許せないなんて…貴方は今結婚されてますよね?そんなに堂々と未練をぶちまけて大丈夫なんですか?

「心配していただきありがとうございます。ですが、王命を簡単に反故する事は出来ませんから」

面倒になったので、私たちの関係は王族の命令によるもの、貴方が口出しするなという意味を込めて言い放った…笑顔でね。

「では、オルフレッド様に近付かないことねっ。私は令嬢の為を思って言っているのよ」

女性は満足したのか私から遠ざかって行く。
私達の会話を目撃していた貴族達も、興味津々ではあったが大事にならず安堵している。

私の為ねぇ。
どうみても夫人の為にしか聞こえない。
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