12 / 52
本当の姿?
しおりを挟む
ここがゲームの世界で、登場人物の性格は作られたものかもしれないと思うも、私は生きているし考えることもできる。
酷いことを言われれば傷付くし怒りも覚える。
あの公爵令嬢は本物の悪役令嬢で、私の敵となった。
あんな人が婚約者だなんてクリストフ王子が可哀想だし、ヒロインでなくても別の女性に肩入れしてしまうのは致し方ない気もする。
ハッピーエンドの選択肢を知っている私が本気で恋愛ゲームをすれば、必ず王子を手に入れる事ができる…そんな考えが頭をよぎる。
「捨てておきなさい」…王子の物でさえ簡単に捨てる事が出来てしまう人…
そんな人が王子の事を本気で慕っているとは思えない。あんな人が王子の婚約者なんて…
私は王子に「学園で返す」って約束した…そのまま捨てておくなんて事は出来ない…
「あの…大丈夫ですか?」
か細く震える声に近くに人がいたことを知る。
黄色いドレスの令嬢…ゲーム中のお助けキャラ、シェリルだ。
「…ぁっはい大丈夫です」
彼女は私の目の前で屈み、落ちていた王子の匂袋を手に取り、パンパンと叩いて土を落としてくれた。
「はい」
シェリルの優しい笑顔はゲームと一緒だった。
彼女は私の右手を取り、左手で私に匂袋を差し出した。
「ありがとう…ございます」
「クレアベール様のこと誤解しないでくださいね?」
「へっ?」
誤解?あんなこと言われたのに誤解も何もないと思う。
目の前の彼女は悪くないのに、少し睨んでしまった。
「えっと、最近男爵家の養子になった…」
「あっはい、ワンダーソン男爵の養子になりましたエレナ・ワンダーソンです」
「私の名前は、シェリルビーナ・フィリップスです。…クレアベール様のことですが、以前も似たようなことがあったんです」
「…似たような…ことですか?」
私のように王子に近付く下位令嬢に嫌がらせをした、ということなんだろうか?
「はい、学園入学前のことなのでワンダーソン令嬢は存じてないかと思いますが、ある子爵令嬢が伯爵令息からの贈り物を個人的に受け取ったことがあったんです。子爵令嬢は誕生日も近く、当日はなんらかの事情があり事前に渡しに来たという感覚だったのですが、令息には婚約者がおりました。相手は侯爵家の令嬢で自身の婚約者が格下の令嬢に個人的に贈り物をしたことを知り彼女はお茶会や年齢の近い令嬢達に手紙を送り、「子爵令嬢は婚約者のいる男性に娼婦のように近づく浅ましい女性なので気をつけてください」と触れ回っていたのです。私は子爵家なので侯爵令嬢の助言を止めることも出来ず静観してしまい、その後気付いたクレアベール様が諌めてくださったのですが…既に多くの家門が知ることになっていました」
何それ酷い、ただ贈り物を貰っただけなのに…
「…そんなことがあったんですね」
知らなかった。
ゲームではなく実際に生きてないとわからないことだ。
だけど、それと今回は関係あるの?
「それから私達令嬢は婚約者のいる男性からの贈り物や、婚約者がいるかわからない男性からの個人的な贈り物は誤解されぬよう受け取らないようにすることとなったんです。今回のことでワンダーソン令嬢があの時の子爵令嬢と同じにならないよう、他貴族に知られる前に、クリストフ王子の婚約者であるクレアベール様が今回の件はこれで「終わり」とさせたんだと思います」
「そう…だったんですね、考えが及びませんてした。その…話の子爵令嬢は…その後は…」
「私達と同じ学園に入学予定でしたが、直前に隣国へ留学してしまいました」
シェリルは少し顔を歪めて教えてくれた。
きっとその令嬢は留学というより、この国に居づらくて…なんだろう。
「…私が彼女と同じようにならないよう…クレ…ジョバルディー公爵令嬢が終わらせたということなんですよね?」
「私は…そう思いました」
…私、先入観だけであの人は悪役令嬢だから酷い人だと決めつけていた。
けど、実際は私が無知で今後起こりうるであろう貴族同士の諍いからあの人は事前に守ってくれたってことになる…んだよね?
言葉はきついが悪役令嬢は悪い人じゃないのかもと考えてしまうのは、私が単純だから?
私は手の中にある匂袋を見つめていた。
酷いことを言われれば傷付くし怒りも覚える。
あの公爵令嬢は本物の悪役令嬢で、私の敵となった。
あんな人が婚約者だなんてクリストフ王子が可哀想だし、ヒロインでなくても別の女性に肩入れしてしまうのは致し方ない気もする。
ハッピーエンドの選択肢を知っている私が本気で恋愛ゲームをすれば、必ず王子を手に入れる事ができる…そんな考えが頭をよぎる。
「捨てておきなさい」…王子の物でさえ簡単に捨てる事が出来てしまう人…
そんな人が王子の事を本気で慕っているとは思えない。あんな人が王子の婚約者なんて…
私は王子に「学園で返す」って約束した…そのまま捨てておくなんて事は出来ない…
「あの…大丈夫ですか?」
か細く震える声に近くに人がいたことを知る。
黄色いドレスの令嬢…ゲーム中のお助けキャラ、シェリルだ。
「…ぁっはい大丈夫です」
彼女は私の目の前で屈み、落ちていた王子の匂袋を手に取り、パンパンと叩いて土を落としてくれた。
「はい」
シェリルの優しい笑顔はゲームと一緒だった。
彼女は私の右手を取り、左手で私に匂袋を差し出した。
「ありがとう…ございます」
「クレアベール様のこと誤解しないでくださいね?」
「へっ?」
誤解?あんなこと言われたのに誤解も何もないと思う。
目の前の彼女は悪くないのに、少し睨んでしまった。
「えっと、最近男爵家の養子になった…」
「あっはい、ワンダーソン男爵の養子になりましたエレナ・ワンダーソンです」
「私の名前は、シェリルビーナ・フィリップスです。…クレアベール様のことですが、以前も似たようなことがあったんです」
「…似たような…ことですか?」
私のように王子に近付く下位令嬢に嫌がらせをした、ということなんだろうか?
「はい、学園入学前のことなのでワンダーソン令嬢は存じてないかと思いますが、ある子爵令嬢が伯爵令息からの贈り物を個人的に受け取ったことがあったんです。子爵令嬢は誕生日も近く、当日はなんらかの事情があり事前に渡しに来たという感覚だったのですが、令息には婚約者がおりました。相手は侯爵家の令嬢で自身の婚約者が格下の令嬢に個人的に贈り物をしたことを知り彼女はお茶会や年齢の近い令嬢達に手紙を送り、「子爵令嬢は婚約者のいる男性に娼婦のように近づく浅ましい女性なので気をつけてください」と触れ回っていたのです。私は子爵家なので侯爵令嬢の助言を止めることも出来ず静観してしまい、その後気付いたクレアベール様が諌めてくださったのですが…既に多くの家門が知ることになっていました」
何それ酷い、ただ贈り物を貰っただけなのに…
「…そんなことがあったんですね」
知らなかった。
ゲームではなく実際に生きてないとわからないことだ。
だけど、それと今回は関係あるの?
「それから私達令嬢は婚約者のいる男性からの贈り物や、婚約者がいるかわからない男性からの個人的な贈り物は誤解されぬよう受け取らないようにすることとなったんです。今回のことでワンダーソン令嬢があの時の子爵令嬢と同じにならないよう、他貴族に知られる前に、クリストフ王子の婚約者であるクレアベール様が今回の件はこれで「終わり」とさせたんだと思います」
「そう…だったんですね、考えが及びませんてした。その…話の子爵令嬢は…その後は…」
「私達と同じ学園に入学予定でしたが、直前に隣国へ留学してしまいました」
シェリルは少し顔を歪めて教えてくれた。
きっとその令嬢は留学というより、この国に居づらくて…なんだろう。
「…私が彼女と同じようにならないよう…クレ…ジョバルディー公爵令嬢が終わらせたということなんですよね?」
「私は…そう思いました」
…私、先入観だけであの人は悪役令嬢だから酷い人だと決めつけていた。
けど、実際は私が無知で今後起こりうるであろう貴族同士の諍いからあの人は事前に守ってくれたってことになる…んだよね?
言葉はきついが悪役令嬢は悪い人じゃないのかもと考えてしまうのは、私が単純だから?
私は手の中にある匂袋を見つめていた。
38
あなたにおすすめの小説
追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている
潮海璃月
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。
召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。
SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない?
その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。
ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。
せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。
こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*不定期連載です。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
私、魅了魔法なんて使ってません! なのに冷徹魔道士様の視線が熱すぎるんですけど
紗幸
恋愛
社畜女子だったユイは、気づけば異世界に召喚されていた。
慣れない魔法の世界と貴族社会の中で右往左往しながらも、なんとか穏やかに暮らし始めたある日。
なぜか王立魔道士団の団長カイルが、やたらと家に顔を出すようになる。
氷のように冷静で、美しく、周囲の誰もが一目置く男。
そんな彼が、ある日突然ユイの前で言い放った。
「……俺にかけた魅了魔法を解け」
私、そんな魔法かけてないんですけど!?
穏やかなはずの日々に彼の存在が、ユイの心を少しずつ波立たせていく。
まったりとした日常の中に、時折起こる小さな事件。
人との絆、魔法の力、そして胸の奥に芽生え始めた“想い”
異世界で、ユイは少しずつ——この世界で生きる力と、誰かを想う心を知っていく。
※タイトルのシーンは7話辺りからになります。
ゆったりと話が進みますが、よろしければお付き合いください。
※カクヨム様にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる