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遠くても直接でも話題のネタになりたくない
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私はお助けキャラのフィリップス令嬢とテントへ戻った。
席は決まっていないがなんとなくの雰囲気で入り口に近く座るも居心地は悪く、存在を消すように肩身の狭い思いをしていた。
「本当、男性は狩りが好きですね。野蛮に見えますのに…」
ゲームで聞き慣れていたせいか、本物を先ほど初めて聞いただけで遠くにいても悪役令嬢…じゃなかったジョバルディー公爵令嬢の声だと判断できた。
「本当に困ったわぁ」
ジョバルディー公爵令嬢の言葉で、王子との会話を思い出す。
王子は平民のために動くことのない貴族達を誘導しているというのに、「野蛮」と表現するのは間違っていると思う。
言い返してやりたかったが、我慢した。
公爵令嬢も王子の身の安全のために匂袋を持つように助言し受け取らなかったのに、今の発言を聞くと終始言葉の選び方を間違えているのではないかと勘ぐってしまう。
相手を思っていても、相手を不快にしては関係を悪化させてしまうし、その言葉を聞いて周囲がどう広めるか…今は問題なくても、今後はわからないのは貴族社会で育った貴方ならわかるはずなのに…
「…ぁっ」
ついジョバルディー公爵令嬢の方へ視線を向けてしまい、目があってしまった。
「皆様、開会式の準備が整いました」
騎士の一人がテント内に登場し、私は逃げるように外へ飛び出した…淑女として許される範囲の速さでテントから脱出した。
開会式は日本の朝礼を思い出す。
私はいつも、早く終わってくれないかなぁと考えている人間だった。
偉い人の長い挨拶から始まり大会の規則、そしてクリストフ王子の意気込みと狩猟大会の開始の合図を見届け男性達を送り出した後は、狩猟大会が終わるまで再びテントで過ごすらしい…
戻ったテント内の会話は、前回の優勝者や獲物を贈られたクイーンについて、それからは優勝争いをした有能な男性から、沼にハマり泥だらけで帰ってきた哀れな男まで話題になった。
沼にハマった男の話は、今後も夫人達により語り継がれるのだろうと予感した。
前回優勝争いをした男は婚約者がいなかったがその後すぐに婚約が決まり、沼の男には残念なから婚約者がいない。なので、今回の狩猟大会で名誉挽回し婚約者を得るためにかなりの気合いのいれようだと夫人達は盛り上がっている。
その男の母親もこのテントのどこかにいて、きっと女性達の会話も聞こえているはず、それなのに何も言わないのは爵位が関係しているのだろう。
人の失敗談をいつまでも口にし笑い者にする姿は本当に醜い。
私はそんな人達に目を付けられないように口を開かず瞼を閉じ、存在を消していた。
「ワンダーソン男爵令嬢、気分でも悪いんですか?」
声を掛けてきたのは、お助けキャラのフィップス子爵令嬢だ。
「いぇ、平気です」
フィップス子爵令嬢を確認するために瞼を開けると、彼女だけでなく周囲の人間の視線も私に注がれていたのに気がついた。
「まぁ、貴方がワンダーソン男爵の養女になった方?」
存在を消していたが、名前を呼ばれたことで一人の夫人に目を付けられてしまった。
多くの視線が集まっている中、私は答えずにいるわけにもいかなかった。
「はい、この度ワンダーソン男爵の養女となりましエレナ・ワンダーソンです」
「そう…魔力検査で面白い結果を出したと聞いているけど、実際はどうなのかしら?」
値踏みされるように全身を確認された後、魔力検査の話になった。
この場でなんと答えるのが正解なのだろうか?
「はい、私は珍しい光属性でした」…なんて言えるわけない。
だからと言って「いいえ、私なんて良くある光属性です」…と謙遜しても魔力な失われしこの世界で謙遜も嫌みに聞こえる。
何が正解か誰か教えてほしい。
「私は…ひ…光属性の判定を頂きました」
「まぁ」
目の前の夫人からは通販番組のようにわかりやすい反応と、獲物と認識した鋭い視線を頂いた。
早く、私から話題をそらしてほしい。
席は決まっていないがなんとなくの雰囲気で入り口に近く座るも居心地は悪く、存在を消すように肩身の狭い思いをしていた。
「本当、男性は狩りが好きですね。野蛮に見えますのに…」
ゲームで聞き慣れていたせいか、本物を先ほど初めて聞いただけで遠くにいても悪役令嬢…じゃなかったジョバルディー公爵令嬢の声だと判断できた。
「本当に困ったわぁ」
ジョバルディー公爵令嬢の言葉で、王子との会話を思い出す。
王子は平民のために動くことのない貴族達を誘導しているというのに、「野蛮」と表現するのは間違っていると思う。
言い返してやりたかったが、我慢した。
公爵令嬢も王子の身の安全のために匂袋を持つように助言し受け取らなかったのに、今の発言を聞くと終始言葉の選び方を間違えているのではないかと勘ぐってしまう。
相手を思っていても、相手を不快にしては関係を悪化させてしまうし、その言葉を聞いて周囲がどう広めるか…今は問題なくても、今後はわからないのは貴族社会で育った貴方ならわかるはずなのに…
「…ぁっ」
ついジョバルディー公爵令嬢の方へ視線を向けてしまい、目があってしまった。
「皆様、開会式の準備が整いました」
騎士の一人がテント内に登場し、私は逃げるように外へ飛び出した…淑女として許される範囲の速さでテントから脱出した。
開会式は日本の朝礼を思い出す。
私はいつも、早く終わってくれないかなぁと考えている人間だった。
偉い人の長い挨拶から始まり大会の規則、そしてクリストフ王子の意気込みと狩猟大会の開始の合図を見届け男性達を送り出した後は、狩猟大会が終わるまで再びテントで過ごすらしい…
戻ったテント内の会話は、前回の優勝者や獲物を贈られたクイーンについて、それからは優勝争いをした有能な男性から、沼にハマり泥だらけで帰ってきた哀れな男まで話題になった。
沼にハマった男の話は、今後も夫人達により語り継がれるのだろうと予感した。
前回優勝争いをした男は婚約者がいなかったがその後すぐに婚約が決まり、沼の男には残念なから婚約者がいない。なので、今回の狩猟大会で名誉挽回し婚約者を得るためにかなりの気合いのいれようだと夫人達は盛り上がっている。
その男の母親もこのテントのどこかにいて、きっと女性達の会話も聞こえているはず、それなのに何も言わないのは爵位が関係しているのだろう。
人の失敗談をいつまでも口にし笑い者にする姿は本当に醜い。
私はそんな人達に目を付けられないように口を開かず瞼を閉じ、存在を消していた。
「ワンダーソン男爵令嬢、気分でも悪いんですか?」
声を掛けてきたのは、お助けキャラのフィップス子爵令嬢だ。
「いぇ、平気です」
フィップス子爵令嬢を確認するために瞼を開けると、彼女だけでなく周囲の人間の視線も私に注がれていたのに気がついた。
「まぁ、貴方がワンダーソン男爵の養女になった方?」
存在を消していたが、名前を呼ばれたことで一人の夫人に目を付けられてしまった。
多くの視線が集まっている中、私は答えずにいるわけにもいかなかった。
「はい、この度ワンダーソン男爵の養女となりましエレナ・ワンダーソンです」
「そう…魔力検査で面白い結果を出したと聞いているけど、実際はどうなのかしら?」
値踏みされるように全身を確認された後、魔力検査の話になった。
この場でなんと答えるのが正解なのだろうか?
「はい、私は珍しい光属性でした」…なんて言えるわけない。
だからと言って「いいえ、私なんて良くある光属性です」…と謙遜しても魔力な失われしこの世界で謙遜も嫌みに聞こえる。
何が正解か誰か教えてほしい。
「私は…ひ…光属性の判定を頂きました」
「まぁ」
目の前の夫人からは通販番組のようにわかりやすい反応と、獲物と認識した鋭い視線を頂いた。
早く、私から話題をそらしてほしい。
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