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攻略対象に会いました
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庭園や池とは違い訓練場は王宮の裏側に存在し、貴族達の目に触れ難い場所に存在している。
ジョルジオ王子に案内され訓練場に到着した。
「サリモン」
ジョルジオ王子が呼ぶと、サリモンとは別の視線が集まる。
注目されることに慣れているジョルジオ王子は気にすることもなく、当のサリモンも小走りで向かってくる。
「はい、何でしょう?」
「少し良いか?」
「はい」
私達は訓練場から少し離れ、他の人の視線の無い場所まで移動した。
「サリモン、こちらはワンダーソン令嬢…先程聖女認定された」
「聖女…」
聖女と聞き私を確認するサリモンからの視線は威圧的で、迫力から半歩後ずさってしまった。彼は騎士としてかなり訓練をしているのだろう、身長が高く体格も学生の割に確りしている。
「…僕も先程、兄さんに聞いたばかりです」
先に聖女と聞いているジョルジオ王子だが、未だに信じられないという様子が窺える。
「ワンダーソン令嬢、こちらはサリモン。クリストフ兄さんの側近の一人だ」
「サリモン・フィルデガードだ、クリストフの学園での護衛を任されている」
「エレナ・ワンダーソンです。よろしくお願いします」
「あぁ」
自己紹介が終わると次の言葉が生まれず、私たちの間に気まずさが流れた。
「えっと…訓練中だったな。今は紹介だけで、今後の事は兄さんから話があると思う」
「分かった。なら、俺はこれで」
サリモンは再び訓練場に戻って行った。
私は攻略対象の一人、クリストフ王子の護衛騎士サリモンとの出会いを果たしてしまった。
「…私達も戻りますか?」
「はい」
サリモンとの会話は数分だったが、ここまで移動するのにだいぶ時間を要した。これならきっと男爵と王子の会話もある程度終わるだろうと判断し、私達は先程と同じ道を辿って戻って行く。
「ワンダーソン令嬢は何故、聖女認定の検査を受けたんですか?」
ジョルジオ王子の質問からして、狩猟大会の出来事は報告されていないと判断した。
「…狩猟大会で魔獣が現れまして、そこで襲われかけた時に聖女?の能力が開花したみたいで本日検査の為に王宮へ参りました」
「…そうだったんですね」
「はい…」
「…えっ?魔獣に襲われたって怪我は平気だったんですか?」
聖女というものに思考が引っ張られつつも、私の事を心配してくれるジョルジオ王子。
「はい、無傷でした」
「無傷…そうですが…それで、検査ですか…」
「…はい」
「…ワンダーソン令嬢は婚約者はいらっしゃるんですか?」
王子から婚約者の有無を尋ねられ、いきなりの質問に少し驚いた。
「…いえ、いません」
「…そうなんですね」
「…はい」
乙女ゲームでは、攻略対象がヒロインを「聖女」と聞いて惚れるということはない。肩書きではなく、ちゃんと相手の人となりで恋愛が進むようになっている。
確認しただけなんだよね?
私の「聖女」という立場を利用して、王位継承権争いとか考えていないよね?
「ワンダーソン…男爵ですよね?」
「はい、お父様は…男爵です」
「…失礼な質問ですが、男爵の実の…」
「…娘ではありません。つい最近養女となりました」
「養女…では、ご両親は?」
「ワンダーソン男爵が管理する森に住んでいたんですが、大雨の影響で土砂災害が起き、その時両親は巻き込まれてしまいまして…」
「あっ、それは辛い事を聞いてしまいましたね…」
「いぇ…」
この話は何度しても気まずい。
同情を買いたいわけではないが、真実を話せば大概の人は同じ反応になる。
だが、私は本物の娘ではないので皆が心配するような落ち込みは無い。
そのズレはどうしても埋められない。
気まずい空気を一変することが出来ないまま、男爵とクリストフ王子のいる場所まで歩き続けた。
二人はこちらに気付かず、池を見つめたまま会話しているようだった。
「男爵…令嬢…王宮…召し上…ること…なりますよ?」
風に乗ってクリストフ王子の言葉が途切れ途切れに私達のところまで届いた。
私が二人の会話を聞いてしまい、ジョルジオ王子が慌てていた。
「はい、私も貴族ですから承知しております」
「そうか」
「その時は…よろしくお願いします」
「あぁ」
二人は私のいないところで私の今後について語っていた。会話からして私は王族に嫁ぐことになる可能性が高いことが分かる。国のために聖女を王族に取り入れるというのはどの物語にもあった事。
王子は実際そうなってもいいのかを男爵に尋ね、男爵はそうなった後の私の事を心配し確認してくれていた…
良い人達。
「お父様っ」
私は何も聞こえなかったように振る舞いお父様を呼ぶ。
二人も互いに顔を見合わせ以心伝心したのか同時に私に微笑んだ。
乙女ゲームは主人公に対して甘すぎるというか、優しすぎる。
ヒロインは出会った人達皆に護られていく…
ゲーム通りに進みすぎて、ちやほやされる環境に慣れてしまいそうになる…
前世の私は、良いことがあれば悪いことも必ず起こるという思想の持ち主だった…でないと不公平だと考える人間だったのに…
その後、王子二人と別れ男爵と共に屋敷に戻った。
ジョルジオ王子に案内され訓練場に到着した。
「サリモン」
ジョルジオ王子が呼ぶと、サリモンとは別の視線が集まる。
注目されることに慣れているジョルジオ王子は気にすることもなく、当のサリモンも小走りで向かってくる。
「はい、何でしょう?」
「少し良いか?」
「はい」
私達は訓練場から少し離れ、他の人の視線の無い場所まで移動した。
「サリモン、こちらはワンダーソン令嬢…先程聖女認定された」
「聖女…」
聖女と聞き私を確認するサリモンからの視線は威圧的で、迫力から半歩後ずさってしまった。彼は騎士としてかなり訓練をしているのだろう、身長が高く体格も学生の割に確りしている。
「…僕も先程、兄さんに聞いたばかりです」
先に聖女と聞いているジョルジオ王子だが、未だに信じられないという様子が窺える。
「ワンダーソン令嬢、こちらはサリモン。クリストフ兄さんの側近の一人だ」
「サリモン・フィルデガードだ、クリストフの学園での護衛を任されている」
「エレナ・ワンダーソンです。よろしくお願いします」
「あぁ」
自己紹介が終わると次の言葉が生まれず、私たちの間に気まずさが流れた。
「えっと…訓練中だったな。今は紹介だけで、今後の事は兄さんから話があると思う」
「分かった。なら、俺はこれで」
サリモンは再び訓練場に戻って行った。
私は攻略対象の一人、クリストフ王子の護衛騎士サリモンとの出会いを果たしてしまった。
「…私達も戻りますか?」
「はい」
サリモンとの会話は数分だったが、ここまで移動するのにだいぶ時間を要した。これならきっと男爵と王子の会話もある程度終わるだろうと判断し、私達は先程と同じ道を辿って戻って行く。
「ワンダーソン令嬢は何故、聖女認定の検査を受けたんですか?」
ジョルジオ王子の質問からして、狩猟大会の出来事は報告されていないと判断した。
「…狩猟大会で魔獣が現れまして、そこで襲われかけた時に聖女?の能力が開花したみたいで本日検査の為に王宮へ参りました」
「…そうだったんですね」
「はい…」
「…えっ?魔獣に襲われたって怪我は平気だったんですか?」
聖女というものに思考が引っ張られつつも、私の事を心配してくれるジョルジオ王子。
「はい、無傷でした」
「無傷…そうですが…それで、検査ですか…」
「…はい」
「…ワンダーソン令嬢は婚約者はいらっしゃるんですか?」
王子から婚約者の有無を尋ねられ、いきなりの質問に少し驚いた。
「…いえ、いません」
「…そうなんですね」
「…はい」
乙女ゲームでは、攻略対象がヒロインを「聖女」と聞いて惚れるということはない。肩書きではなく、ちゃんと相手の人となりで恋愛が進むようになっている。
確認しただけなんだよね?
私の「聖女」という立場を利用して、王位継承権争いとか考えていないよね?
「ワンダーソン…男爵ですよね?」
「はい、お父様は…男爵です」
「…失礼な質問ですが、男爵の実の…」
「…娘ではありません。つい最近養女となりました」
「養女…では、ご両親は?」
「ワンダーソン男爵が管理する森に住んでいたんですが、大雨の影響で土砂災害が起き、その時両親は巻き込まれてしまいまして…」
「あっ、それは辛い事を聞いてしまいましたね…」
「いぇ…」
この話は何度しても気まずい。
同情を買いたいわけではないが、真実を話せば大概の人は同じ反応になる。
だが、私は本物の娘ではないので皆が心配するような落ち込みは無い。
そのズレはどうしても埋められない。
気まずい空気を一変することが出来ないまま、男爵とクリストフ王子のいる場所まで歩き続けた。
二人はこちらに気付かず、池を見つめたまま会話しているようだった。
「男爵…令嬢…王宮…召し上…ること…なりますよ?」
風に乗ってクリストフ王子の言葉が途切れ途切れに私達のところまで届いた。
私が二人の会話を聞いてしまい、ジョルジオ王子が慌てていた。
「はい、私も貴族ですから承知しております」
「そうか」
「その時は…よろしくお願いします」
「あぁ」
二人は私のいないところで私の今後について語っていた。会話からして私は王族に嫁ぐことになる可能性が高いことが分かる。国のために聖女を王族に取り入れるというのはどの物語にもあった事。
王子は実際そうなってもいいのかを男爵に尋ね、男爵はそうなった後の私の事を心配し確認してくれていた…
良い人達。
「お父様っ」
私は何も聞こえなかったように振る舞いお父様を呼ぶ。
二人も互いに顔を見合わせ以心伝心したのか同時に私に微笑んだ。
乙女ゲームは主人公に対して甘すぎるというか、優しすぎる。
ヒロインは出会った人達皆に護られていく…
ゲーム通りに進みすぎて、ちやほやされる環境に慣れてしまいそうになる…
前世の私は、良いことがあれば悪いことも必ず起こるという思想の持ち主だった…でないと不公平だと考える人間だったのに…
その後、王子二人と別れ男爵と共に屋敷に戻った。
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