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学園
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いつもの学園…いつもと変わらない風景…
だが、いつもより視線を感じるのは気のせいではない。
登校時には騎士による護衛、学園の敷地内に足を踏み入れるとサリモン・フィルデガードが待ち構えていた。
「…おはようございます」
「おはよ」
「えっと…」
「学園内では俺が聖女の護衛となった」
護衛…サリモンは学園内ではクリストフ王子の護衛を任されているのは誰もが知っている。騎士を引き連れ学園内を移動することを望まなかった王子が、騎士として優秀なサリモンを置くことで納得した。
なのに、その護衛は今私の横にいる…
聖女が現れ、サリモンは聖女の護衛となる…ゲーム通り。
「フィルデガード様はその…クリス…トルニダード王子の護衛はよろしいのですか?」
「あぁ、クリストフから学園では聖女の護衛をするようにと任命された」
「…そうなんですね」
私はゲームのようにサリモンと密着することなく、偶然隣を歩いている風を装った。
それでも常に王子と共にいたサリモンが王子から離れ、光属性の男爵養女といれば噂が生まれてしまうのは時間の問題。時間が経つに連れて噂には尾ひれが付き、急速に出回りだす。
サリモンは噂の存在を知ってか知らずか気にすることなく、任務として私の傍にいる。
そして噂が生まれ、多くの者の耳に入れば当然…
「サリモン様、そちらの令嬢を私に紹介していただいてもよろしいかしら?」
声を掛けてきたのはサリモンの婚約者。
「エスメラルダ、こちらは先日聖女と判定された令嬢だ」
「あっあの私は、エレナ・ワンダーソンと申します」
「私はサリモンの婚約者、エスメラルダ・ナターシャル。貴方は…聖女…様…なのですか?」
エスメラルダは笑顔で対応するも、私が聖女であると初めて聞いたようだ。
私とサリモンの噂を確かめるべく直接確認に来たのだろうが、まさかの事実に動揺している。
「…はぃ」
エスメラルダは取り巻きなどを引き連れることなく一人で私の前に現れたが、噂好きの学生達は面白半分で私達に注目している。
格下の者に婚約者を奪われそうな伯爵令嬢に、その婚約者、そして伯爵令嬢から婚約者を奪い取ろうとする光属性と判定された男爵家の養女。
学園を賑やかにする噂のネタにはもってこいの状況を、貴族だけでなく平民も興味津々で三人の姿を目撃していた。
だが、そんな生徒達はサリモンの「聖女」という言葉に反応し、思ってもいない方向の会話に神経を集中させた。今この国にとって聖女とは教科書に出てくるような人物で、存在するとは思っていないのが現状。
それが今変わろうとしている。
「そう…では…サリモンは聖女様の護衛という…ことかしら?」
エスメラルダはサリモンに縋るような眼差しを向けた。
「あぁ、学園内では俺が聖女の護衛に任命された」
「そういうことだったのですね…聖女様、お会いできて光栄です。それではごきげんよう」
サリモンの婚約者との対面は、なんとか誤解されることなく無事に終わった。
これで、エスメラルダが悪役令嬢化することはないだろう。
だが、いつもより視線を感じるのは気のせいではない。
登校時には騎士による護衛、学園の敷地内に足を踏み入れるとサリモン・フィルデガードが待ち構えていた。
「…おはようございます」
「おはよ」
「えっと…」
「学園内では俺が聖女の護衛となった」
護衛…サリモンは学園内ではクリストフ王子の護衛を任されているのは誰もが知っている。騎士を引き連れ学園内を移動することを望まなかった王子が、騎士として優秀なサリモンを置くことで納得した。
なのに、その護衛は今私の横にいる…
聖女が現れ、サリモンは聖女の護衛となる…ゲーム通り。
「フィルデガード様はその…クリス…トルニダード王子の護衛はよろしいのですか?」
「あぁ、クリストフから学園では聖女の護衛をするようにと任命された」
「…そうなんですね」
私はゲームのようにサリモンと密着することなく、偶然隣を歩いている風を装った。
それでも常に王子と共にいたサリモンが王子から離れ、光属性の男爵養女といれば噂が生まれてしまうのは時間の問題。時間が経つに連れて噂には尾ひれが付き、急速に出回りだす。
サリモンは噂の存在を知ってか知らずか気にすることなく、任務として私の傍にいる。
そして噂が生まれ、多くの者の耳に入れば当然…
「サリモン様、そちらの令嬢を私に紹介していただいてもよろしいかしら?」
声を掛けてきたのはサリモンの婚約者。
「エスメラルダ、こちらは先日聖女と判定された令嬢だ」
「あっあの私は、エレナ・ワンダーソンと申します」
「私はサリモンの婚約者、エスメラルダ・ナターシャル。貴方は…聖女…様…なのですか?」
エスメラルダは笑顔で対応するも、私が聖女であると初めて聞いたようだ。
私とサリモンの噂を確かめるべく直接確認に来たのだろうが、まさかの事実に動揺している。
「…はぃ」
エスメラルダは取り巻きなどを引き連れることなく一人で私の前に現れたが、噂好きの学生達は面白半分で私達に注目している。
格下の者に婚約者を奪われそうな伯爵令嬢に、その婚約者、そして伯爵令嬢から婚約者を奪い取ろうとする光属性と判定された男爵家の養女。
学園を賑やかにする噂のネタにはもってこいの状況を、貴族だけでなく平民も興味津々で三人の姿を目撃していた。
だが、そんな生徒達はサリモンの「聖女」という言葉に反応し、思ってもいない方向の会話に神経を集中させた。今この国にとって聖女とは教科書に出てくるような人物で、存在するとは思っていないのが現状。
それが今変わろうとしている。
「そう…では…サリモンは聖女様の護衛という…ことかしら?」
エスメラルダはサリモンに縋るような眼差しを向けた。
「あぁ、学園内では俺が聖女の護衛に任命された」
「そういうことだったのですね…聖女様、お会いできて光栄です。それではごきげんよう」
サリモンの婚約者との対面は、なんとか誤解されることなく無事に終わった。
これで、エスメラルダが悪役令嬢化することはないだろう。
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