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気付かぬうちにヒロインしている
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ゲームのエスメラルダは主人公に対し、イヤガラセの類いはしてこないキャラだ。婚約者との仲は良いのか悪いのか、はっきりしていない。
サリモンは狩猟大会などの獲物は婚約者に贈るが、それは狩った獲物を誰かに贈るという規則があるので、考えるのが面倒な彼は婚約者に渡している…そんなイメージだった。二人が仲良く会話している姿はゲーム内であったのかもしれないが、記憶に無い。
エスメラルダの方は何かあればサリモンを訪ねて直接本人に確かめる人間で、ゲームではそこまで警戒する人物ではなかった。
今日の初対面を見る限り、ゲーム通りの人物に思える。
エスメラルダとの直接対決は無事に終わるも、「聖女」であることが知れ渡り一人になる時間は完全に奪われた。
私は噂を確かめたい大勢の生徒に囲まれ質問責めにされるのと、サリモンと二人きりになるのを天秤にかけ、サリモンを選んだ。
彼は無駄なことを一切話さない性格なので、静けさに心の平穏、ゆっくりと物事を考える時間を確保することが出来た。
実の所聖女について聞かれても、私自身分からない事のが多いので返答に困っている。
私がしどろもどろになると相手は次第に興奮し始め、距離が近くなり何か聖女の力を見せてほしいなど対応に困ることを言われだす。
なので、サリモンに「静かで落ち着ける場所に行きたい」と願ってしまう程追い詰められていた。
芸能人がマスコミに囲まれている状態に近いだろう。逃げたくて願ったことだが、それがまさかゲーム通りのサリモンと二人きりのシチュエーションになっているとは考えが及ばなかった。
そんな日常を過ごせば、「聖女」だけでなく「サリモンと恋仲」とまで噂され始め、私が気付いた頃には学年中に広まっていた。
「フィルデガード様、申し訳ありません」
「…急にどうした?」
突然の私の謝罪に対してもサリモンは動じることがなかった。
「最近、私とフィルデガード様の仲を間違った噂が流れるようになってしまい、婚約者のナターシャル様も誤解されているのでは?と心配で…」
「エスメラルダのことは気にするな、問題ない」
サリモンは護衛という仕事に忠実なだけで疑われる筋合いはない、と言わんばかりの態度だが婚約者にとっては安心できない。女性としては言葉でちゃんと否定してほしいのを、あの性格のサリモンはちゃんと口に出して直接婚約者に伝えているのか不安になる。
彼の返答から噂の否定をしているようには思えない。
「私からナターシャル様に噂は誤解だと話した方が良くないですか?」
「する必要はない」
疚しい感情がないので態々否定する必要はないと考えているのか、もしくは話す必要がないくらい婚約者との関係が薄いのか私には判断できなかった。
喩え不仲だっだとしても、私は彼女に誠意を見せるべきだと思う。
私達に疚しいことは何もない、と身の潔白を宣言したい。
サリモンに頼みエスメラルダと話したいと願うも、首を横に振られた。
私に会わせたくないのか、サリモンが会いたくないのか彼の態度から汲み取れないがどっちであれ私は焦っている。
婚約者に誤解されては、話が悪い方向に行き悪役令嬢が誕生する事も…
そんなことになってしまったら、私はサリモンルートに入ってしまうのでは?
誰かのルートに入ったとしても、無口で何を考えているのか分からないサリモンは選びたくない。
噂は広まってしまったが婚約者だけには誤解を解き「私はサリモンを貴方から奪うつもりは毛頭ない」と信じてもらいたい。
私は一人ではないが静かな時間を使って、どうにかしてエスメラルダと会話出来ないか模索していた。
そして、その日は突然訪れた。
聖女の能力について明言せず曖昧に交わすも、確認出来るまでは逃さないという執念深い人達から逃れるのに必死で何処に向かって歩いているのか分からなくなった頃、偶然エスメラルダとエレンターナ・タロンヴィスがいた。
エレンターナという人物は、クリストフ王子の側近であり宰相の息子マシューズ・カントルーク公爵令息の婚約者である。彼もまた攻略対象であり、マシューズルートを選んだ時のライバルキャラがエレンターナだ。
私は今、ライバルキャラ二人に遭遇している事になる。
「ナターシャル様、お話し中申し訳ありません。少しお時間をよろしいでしょうか?」
「…はい、構いませんわ」
エスメラルダはこの世界の淑女教育というものが完璧で、常に笑顔で武装しているため感情が読めない。
「ありがとうございます。あの…この度…私とフィルデガード様の噂を耳にしたのですが、あれは全て誤解です。私達に疚しいことは一切ありません」
私なりに誠意を見せたつもりだ。
「…えぇ。私も二人の関係を疑っておりませんわ。ワンダーソン令嬢が聖女であれば誰かが護衛に着くのは当然の事です。そこに彼が選ばれたのは喜ばしいことですから…」
「…本当ですか?良かった。誤解されていないか心配だったもので…ぁっ、それでは私はこれで失礼します」
友人といるところに長居しては迷惑と考え、私は直ぐにお暇した。
エスメラルダは終始笑顔だったのを見ると、私が思っているよりもサリモンとの関係は良好のようだった。幼い頃からの婚約者であれば、サリモンがどんな性格なのかも把握し騎士一筋の実直な人物だという事を理解しているのかもしれない。
サリモンも、この程度の事で婚約者が誤解することもないと信じているのだろう。彼の言葉通り、宣言は要らなかったのかもしれないが全ては私の自己満足だった。
その光景がゲームそのもので、ライバル令嬢達に誠実を見せるヒロインの姿だとは思いもよらずにいる。
私はそれを見た時、「相手の男を引き連れてマウントを取りに来た女」と画面越しに罵っていたことをすっかり忘れ、そのまま実践していた。
サリモンは狩猟大会などの獲物は婚約者に贈るが、それは狩った獲物を誰かに贈るという規則があるので、考えるのが面倒な彼は婚約者に渡している…そんなイメージだった。二人が仲良く会話している姿はゲーム内であったのかもしれないが、記憶に無い。
エスメラルダの方は何かあればサリモンを訪ねて直接本人に確かめる人間で、ゲームではそこまで警戒する人物ではなかった。
今日の初対面を見る限り、ゲーム通りの人物に思える。
エスメラルダとの直接対決は無事に終わるも、「聖女」であることが知れ渡り一人になる時間は完全に奪われた。
私は噂を確かめたい大勢の生徒に囲まれ質問責めにされるのと、サリモンと二人きりになるのを天秤にかけ、サリモンを選んだ。
彼は無駄なことを一切話さない性格なので、静けさに心の平穏、ゆっくりと物事を考える時間を確保することが出来た。
実の所聖女について聞かれても、私自身分からない事のが多いので返答に困っている。
私がしどろもどろになると相手は次第に興奮し始め、距離が近くなり何か聖女の力を見せてほしいなど対応に困ることを言われだす。
なので、サリモンに「静かで落ち着ける場所に行きたい」と願ってしまう程追い詰められていた。
芸能人がマスコミに囲まれている状態に近いだろう。逃げたくて願ったことだが、それがまさかゲーム通りのサリモンと二人きりのシチュエーションになっているとは考えが及ばなかった。
そんな日常を過ごせば、「聖女」だけでなく「サリモンと恋仲」とまで噂され始め、私が気付いた頃には学年中に広まっていた。
「フィルデガード様、申し訳ありません」
「…急にどうした?」
突然の私の謝罪に対してもサリモンは動じることがなかった。
「最近、私とフィルデガード様の仲を間違った噂が流れるようになってしまい、婚約者のナターシャル様も誤解されているのでは?と心配で…」
「エスメラルダのことは気にするな、問題ない」
サリモンは護衛という仕事に忠実なだけで疑われる筋合いはない、と言わんばかりの態度だが婚約者にとっては安心できない。女性としては言葉でちゃんと否定してほしいのを、あの性格のサリモンはちゃんと口に出して直接婚約者に伝えているのか不安になる。
彼の返答から噂の否定をしているようには思えない。
「私からナターシャル様に噂は誤解だと話した方が良くないですか?」
「する必要はない」
疚しい感情がないので態々否定する必要はないと考えているのか、もしくは話す必要がないくらい婚約者との関係が薄いのか私には判断できなかった。
喩え不仲だっだとしても、私は彼女に誠意を見せるべきだと思う。
私達に疚しいことは何もない、と身の潔白を宣言したい。
サリモンに頼みエスメラルダと話したいと願うも、首を横に振られた。
私に会わせたくないのか、サリモンが会いたくないのか彼の態度から汲み取れないがどっちであれ私は焦っている。
婚約者に誤解されては、話が悪い方向に行き悪役令嬢が誕生する事も…
そんなことになってしまったら、私はサリモンルートに入ってしまうのでは?
誰かのルートに入ったとしても、無口で何を考えているのか分からないサリモンは選びたくない。
噂は広まってしまったが婚約者だけには誤解を解き「私はサリモンを貴方から奪うつもりは毛頭ない」と信じてもらいたい。
私は一人ではないが静かな時間を使って、どうにかしてエスメラルダと会話出来ないか模索していた。
そして、その日は突然訪れた。
聖女の能力について明言せず曖昧に交わすも、確認出来るまでは逃さないという執念深い人達から逃れるのに必死で何処に向かって歩いているのか分からなくなった頃、偶然エスメラルダとエレンターナ・タロンヴィスがいた。
エレンターナという人物は、クリストフ王子の側近であり宰相の息子マシューズ・カントルーク公爵令息の婚約者である。彼もまた攻略対象であり、マシューズルートを選んだ時のライバルキャラがエレンターナだ。
私は今、ライバルキャラ二人に遭遇している事になる。
「ナターシャル様、お話し中申し訳ありません。少しお時間をよろしいでしょうか?」
「…はい、構いませんわ」
エスメラルダはこの世界の淑女教育というものが完璧で、常に笑顔で武装しているため感情が読めない。
「ありがとうございます。あの…この度…私とフィルデガード様の噂を耳にしたのですが、あれは全て誤解です。私達に疚しいことは一切ありません」
私なりに誠意を見せたつもりだ。
「…えぇ。私も二人の関係を疑っておりませんわ。ワンダーソン令嬢が聖女であれば誰かが護衛に着くのは当然の事です。そこに彼が選ばれたのは喜ばしいことですから…」
「…本当ですか?良かった。誤解されていないか心配だったもので…ぁっ、それでは私はこれで失礼します」
友人といるところに長居しては迷惑と考え、私は直ぐにお暇した。
エスメラルダは終始笑顔だったのを見ると、私が思っているよりもサリモンとの関係は良好のようだった。幼い頃からの婚約者であれば、サリモンがどんな性格なのかも把握し騎士一筋の実直な人物だという事を理解しているのかもしれない。
サリモンも、この程度の事で婚約者が誤解することもないと信じているのだろう。彼の言葉通り、宣言は要らなかったのかもしれないが全ては私の自己満足だった。
その光景がゲームそのもので、ライバル令嬢達に誠実を見せるヒロインの姿だとは思いもよらずにいる。
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