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再会

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コンコンコン

「私だ」

ガチャ

「やぁ、会いたかったよ、愛しい人」

「まさか、こんなに早くいらっしゃるとは思いませんでしたわ」

ここはトルニダード王国の外れ、隣国に最も近く設備も整っている為に貴族御用達の宿。大概の者は、ここで一泊してから隣国に行く。
扉の前には護衛が居るものの、主人に事前に許可なく面会が許される者が来訪した。
男は女の部屋へ入っていく。
二人はソファに横並びで座り、男は女の髪に触れ香りに満足する。

「漸く癒される」

「何を仰っているんですか、ご自分で選択しておきながら」

「こんな機会は滅多にないからね」

「全く、信じられませんわ」

女は男の選択したことが許せないでいた。

「ふふっ、君があんなにも私のために怒りを露にしてくれるのが嬉しくてついね」

女が怒りを表現していても、男はそれは自分を愛してくれているからだと受け入れていた。

「まぁ、私をあんな醜い姿にさせて喜んでいるなんて悪趣味ですわ」

「私はどんな姿でも愛しているが、その矛先は私であってほしい」

「私はあのような姿、見られたくありません」

「愛を感じた」

男は女の耳元で囁いた。

「…私は、私の隣に立つ方が野蛮な人になってほしくなかっただけですわ」

女は凛として振る舞うも、男は女の色香を堪能する。

「あぁ」

女が真剣に話すも、男は女の唇を求め距離を縮める。

「いけません…あんなものを口にしたのに口付けを交わすことは出来ませんわ」

女は男の口を手で軽く押し返し、男は女の言葉に分かりやすく動揺している。

「そんな…それは…いつまでだ?」

「…今日は我慢なさいませ」

男の切なる思いにも負けることなく、女は拒絶を見せた。

「今日だけだな?」

「えぇ」

「分かった」

男は女の言葉を理解したのか、口付けは諦めるものの真正面から抱き寄せる。

「はぁ…貴方の傍は幸せだ」

「…困った人ですね」

女も満更でないようで、男を優しく抱き締める。二人は互いに信頼し、愛し合っているのが溢れていた。
誰が見ても良好な二人だが、会話から最近は距離があったことを窺える。

「私だって、無理強いするつもりはないがあちらも「国のためになるのであれば」と言ったのでね」

「誤解させるような言い回しばかりではありませんか」

「ふっ、私も必死だったのかもしれないな」

「あの方も隣国へ行けば良いものを…」

隣国は聖女信仰が盛んで、トルニダード国とは扱いが全く違う。

「私の愛おしい人があんなにも助言したというのに、耳を貸さないなんて信じられないな」

「皆さんがあの方の耳を塞いでいたではありませか」

「私なら誰の言葉より貴方の言葉を信じますよ」

二人は次第に甘い雰囲気に。

そして、翌日から宣言通り隣国へ行く女に男もお供として着いていき、学園で見せていた姿とは違う二人は恋人同士だった。
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