【完結】ホラー乙女ゲームに転生しちゃった…

天冨 七緒

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聖女とは

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聖女

彼らの内臓を食べると不老不死・能力覚醒が起こり、彼らの身体の一部を手に入れると幸運をもたらし、肉体を使い呪術を行えば必ず成功する、と言い伝えられている。

その為、教会の地下には戦争となった時、相手国を呪う為にと聖女達の身体を厳重に保管している。

約二十年前に捕らえた聖女は、王宮で保護している際、自身が今後どうなるのか貴族達が安易に話しているの偶然聞いてしまう。事実を知った聖女は命からがらある村に逃げ込んだ。彼らは聖女の切実な訴えを信じ、匿うことを選ぶ。王族や貴族達も逃げた聖女を必死に探し、ある村に潜んでいる事を突き止めた。

初めは貴族達も強引な手段を取ることはなかったが、いくら説得しても村ぐるみで聖女を隠すために、業を煮やし夜中に火を着けることを選んだ。
聖女は自分一人のせいで村の住民にこれ以上の被害が及ぶのを恐れ、自ら王宮へ戻ることを告げ、住人への処罰はしないでくれと訴えた。

騎士は聖女の願いを聞き入れ、聖女と共に村を後にする…

だが王宮へ向かう途中、聖女は馬車から村を振り返ると煙が上がっている事に気が付いた。どういう事なのか監視役の護衛に尋ねれば、「聖女を匿ったことは重罪だからだ」と冷たく言い放たれた。
聖女の去った村を何もせず放置するということはなく、聖女の利用価値を知った恐れもある住民達を生かしておく選択は始めからなった。
聖女を保護出来なくとも、村の住人を処分する命令は既に下されていた。
騎士は命令に従ったまで。聖女は自身が逃げ出したことで村の住人に被害が及んだ事を悔やみ彼らのために祈った。

「どうか、一人でも多く逃げ延びてください…そして、私が死んだ後は聖女の力をこの国の人間に与えないでください」

その後は脱け殻のように、今後の己の運命を受け入た。
村の後始末を任命されていた騎士は、住人を一人残らず全て燃やし尽くしたと判断した。誰一人として逃がすことはなく、そんな姿も見当たらなかった。

だが、実際はある二人が逃げ延びていた。
二人は森の奥に逃げ、誰にも会わない生活を選ぶ。
やがて子供が生まれ、あの日の事を口にしなければ幸せに暮らせると怯えながら過ごしていた。
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