【完結】ホラー乙女ゲームに転生しちゃった…

天冨 七緒

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お茶会

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隣国を存分に楽しみトルニダード国へ戻ってきたクレアベール。
親しい友人数人だけを招き、ジョバルディー公爵家でお茶会が開催されていた。美しい庭園に用意されたテーブルの上には、五客のカップが準備されている。

「クレアベール様、隣国はどうでした?」

「とっても有意義でしたわ。人々の活気もあり名所となるものに力を入れていたので観光も楽しめましたし、我が国にも取り入れるべきね」
 
視察でなく観光でありながら、良い文化は自国にも取り入れようと話す姿は学園を卒業したばかりとは思えない令嬢だった。

「まぁ、私もマシューズと行ってみようかしら?」

話しているのはカントルーク・マシューズの婚約者、エレンターナ・タロンヴィス。

「カントルーク様は観光よりも視察になってしまいませんか?」

「そうなんです。彼は常に仕事の事ばかりで損得勘定と言いますか、利益優先で私の事を直ぐに忘れてしまうんです」

「仕事に夢中であっても、エスコートは婚約者のエレンターナ様ではないですか?」

「それは、悩む時間すら惜しいからです。不貞を疑われ慰謝料などもっての他という考えからであって、私の事を想ってではありません」

そんな風に婚約者を語るも、エレンターナは仕事一筋のマシューズが嫌いではなかった。

「それでも、不貞をしない男性は悩み事が一つないではありませんか。今回も心配する必要ありませんでしたでしょ?」

「そうですね。その点は心配しておりませんでしたが、釣り合いを取るために贈り物をしていたのが気になりました」

「贈り物は国の予算からでは?」

「そうなんですがあの令嬢、マシューズから個人的に贈り物を頂いたと思い私に申し訳なさそうにしながらも、どこか勝ち誇って報告しに来ていたんです」

エレンターナの思い込みかもしれないが、婚約者が他の女に贈り物をしたことを報告され貴族として笑顔で交わすも、聖女の表情に引っ掛かっていた。

「まぁ…」

「マシューズに令嬢への贈り物センスはありませんので、相談された私が選んでいたのですが、あの方に真実は伝えておりません。ですので、私に潔白を証明するためにマシューズからの贈り物の話をされたのでしょうが…どこか気になる言い回しで…「マシューズに特別に思われているのは私」というのが伝わってきてしまい不快でしたわ。それにあの方、いつの間にか「マシューズ様」と呼ぶようになっていたの。彼に確認したら許可していないって」

「分かります。私もサリモンが護衛するのはクリストフ王子の指示のもとだと聞いておりましたのに、あの方ったらサリモンの強い希望だと勘違いなさっていたの。それにサリモンとの仲に私が嫉妬しているとあること無いことをサリモンに伝えていたらしいのよ。私が強く否定できないのを良いことに」

エレンターナの吐露を聞いて、今までの押さえていた感情が溢れてしまったのかサリモン・フィルデガードの婚約者、エスメラルダ・ナターシャルの不満は止まらなかった。

「それでも、狩猟大会ではサリモン様はエスメラルダ様にクイーンの座を死守したではありませんか。今日その美しい毛皮もあの時の物ですよね?」

「私の為にクイーンの座を手に入れたのではなく、彼は狩猟が好きなだけです」

可愛らしく不満を口にするが、エスメラルダと婚約者は二人きりの時はとても仲が良い。二人ともそれを知られるのが恥ずかしく人前では距離を取っているのを誰も知らない。表向きは男が剣や狩猟ばかり優先し、女は男に興味の無いように演じる。お互い不貞を起こすような人物ではない。

「皆様も思うことがあるのであれば、はっきりと婚約者を止めるべきではなかったの?」

「クレアベール様、あれの為に私は我慢したのですから彼を止めることはしませんわ」

「私もサリモンの為でもありますが、我が家門も晩餐には呼ばれていたんですもの」

「皆さん、あんな事をしたからといって能力の覚醒や不老不死などは迷信であって立証されてません。そんな野蛮な行為を婚約者が行おうとするのを止めないだなんて…」

クレアベールは婚約者だけでなく、この場にいる者とその婚約者に対しても苦言を呈した。それでも令嬢達は険悪な雰囲気になることがないところを見ると、参加している令嬢達は気心が知れたなかなのだろう。

「ふふ、クレアベール様格好良かったですわ」

「惚れ惚れしてしまいました」

不満を口にしているクレアベールを放置し、エレンターナとエスメラルダは学園でのクレアベールの行動を振り返っていた。

「皆さんで私を悪者にして」

彼女達といるクレアベールは王子の婚約者ではなく、年相応の女の子になる。

「クレアベール様は悪者ではありませんでしたよ」

「とっても素敵でした」
 
二人はクレアベールを擁護するも、本人は不満げだった。

「「クスクス」」

「…貴方達二人もよ」

エレンターナとエスメラルダ以外にもこの場には二人の客人がいる。

「「はい」」

「シェナは今日も黄色が似合うわね」

「ありがとうございます、エレナ」

二人は微笑みあう。
エレナとシェナは、互いに愛称で呼び合うほど仲が良い。

「シャナのそのピンクの髪飾りは今日が初めてじゃなくて?」

「はい、そうなんです。今日の為に新調しました」

「とっても可愛いわ」

シャナと呼ばれた人物とエスメラルダは、新たな髪飾りに気付く程お互いを知っている。

「二人はイタズラが過ぎるのではなくて?」

そんな会話を冷静に聞いているクレアベールが二人に忠告する。

「私達が双子だと気付いたのは皆さんだけですもの」

シェナとシャナは双子だった。
シェナとは、シェリルビーナ・フィリップス子爵令嬢。双子の姉でエレナ・ワンダーソンが狩猟大会で会った人物。
シャナとは、シャロンキーナ・フィリップス子爵令嬢。双子の妹で、教会に会いに行ったのがシャナの方。

そして二人は双子というのを利用し、行動していた。
学園は交互に通い、お茶会やパーティーでは片方が表舞台に参加している間、もう片方は人目につかない場所で情報収集や裏工作などをしている。

「私達としては、分かりやすく色や髪型で主張しているんですけどね?」

「ね?ふふ」

双子の顔はとてもそっくりたが服や装飾品、見た目で別人だと分かるように本人達なりに主張していた。
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