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私はこれから…
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アヴィールの手を完治させた後、私は気絶して翌日目覚めた。
今では何事も無かったようにアヴィールは外で皆と一緒に遊び回っている。
目覚めた直後は皆に質問攻めにされた。
「ケイトリーン、何があったの?」
「どうやったの?」
「神様に会ったの?」
質問されても私にもよくわからず
「夢で見たの」
としか答えられなかった。
次第に皆の興味が薄れた頃、綺麗な服を着た男の人が私を訪ねて来た。
呼ばれた部屋には見たことのある人物が待っていた。
その人物はよく孤児院に来訪するも、私達と会話するようなことはせずに帰っていく人。
先生方も『難しい話をするから外で遊んでてね』と私達をお客様から遠ざけていた。
先生の対応から私達の事を嫌いな人なんだと思い、近付くことなく距離を置いていた。
そんな人が突然私を訪ね、笑顔を向ける姿に恐怖を感じた。
「この子が聖女か? 」
私を値踏みする男の反応に子供ながら気持ち悪さを感じる。
「はいっ」
側にいる院長は満面の笑みで男に返事を返すが、私は『聖女』という者がなんなのか分からずにいた。
「ふふっ、私の領地から……やぁ、こんにちは。お名前は? 」
男は屈んで私と目線を合わすも、威圧的な雰囲気は変わらず寧ろ近づいた分気持ち悪さが増す。
「……ケ……イトリーン……です」
「そうか、ケイトリーン……良い名前だね」
私の名前など大して興味がないのは一目瞭然なのだが、男がその先に何を求めているのか私には見当もつかない。
「ありがっ」
「手の怪我を治癒したと聞いたが、それは本当かい? 」
私の返事などどうでもよく、男は一方的に質問していく。
「……はぃ……多分……」
「それは今回が初めてかい? それとも以前から怪我を直した事があるのか? 」
「……いえ……アヴィールが初めてです」
「そうか、そうか。院長、この子は私が引き取ろう」
男は私の意思など興味はなく、身請けの話を進める。
孤児が身請けされるのは良いこと……とは言いきれない。
『悪い人に引き取られると、今よりも過酷な環境となることもある』と、私達の間で噂話として語られていた。
そして私は今まさに、悪い大人に引き取られようとしているのだと実感する。
「はいっ、良かったなケイトリーン」
私の気持ちの確認などなく男と院長は満足そうに私に笑顔を向けるも、二人の笑みは恐怖でしかない。
「これから私の娘として一緒に住むことになったから来なさい」
「……ぃ……ゃ……」
恐怖のあまりか細い声しか出ず、誰にも届かなかった。
「ケイトリーンは今日から私の娘、貴族だよ」
男は手を差し出すが、よく分からない展開に私は先生方に助けを求めた。
いつも私達のお世話をしてくれる先生は不安げに胸の前で手を握りしめているが何もしてくれず、院長だけが満面の笑みで頷く。
「ぁっぁっ…私は…」
「さぁ、おいで」
男は動かない私を強引に手を取り引きずるように馬車へと向かう。
抵抗するも子供の私が大人の男の力に敵うわけもなく、馬車に無理矢理乗せられていた。
馬車に乗ってからも私は何度も『帰りたい』と訴えるも、馬車は止まることはなく『ケイトリーンは今日から私の娘だ。良かったな』と、会話にならなかった。
馬車は暫く走ってしまい、外を覗いた時には孤児院まで戻れるとは思えない程知らない景色。
そして到着した先は見たこともない大きな屋敷の前だった。
外から扉が開き再び男によって下ろされる。
「ここが今日からケイトリーンが住む私の屋敷だ」
不安から涙目になるも男は私の反応など興味ない。
出迎えた使用人の一人に何か指示をし私が受け渡される。
「私がお嬢様のお世話をさせていただきます」
使用人は孤児の私にも丁寧に大人の人にするような対応をみせる。
怖くて逃げ出したいのに足どころか声さえ出ずにいると、使用人に抱き上げられ屋敷内へと吸い込まれてしまった。
今では何事も無かったようにアヴィールは外で皆と一緒に遊び回っている。
目覚めた直後は皆に質問攻めにされた。
「ケイトリーン、何があったの?」
「どうやったの?」
「神様に会ったの?」
質問されても私にもよくわからず
「夢で見たの」
としか答えられなかった。
次第に皆の興味が薄れた頃、綺麗な服を着た男の人が私を訪ねて来た。
呼ばれた部屋には見たことのある人物が待っていた。
その人物はよく孤児院に来訪するも、私達と会話するようなことはせずに帰っていく人。
先生方も『難しい話をするから外で遊んでてね』と私達をお客様から遠ざけていた。
先生の対応から私達の事を嫌いな人なんだと思い、近付くことなく距離を置いていた。
そんな人が突然私を訪ね、笑顔を向ける姿に恐怖を感じた。
「この子が聖女か? 」
私を値踏みする男の反応に子供ながら気持ち悪さを感じる。
「はいっ」
側にいる院長は満面の笑みで男に返事を返すが、私は『聖女』という者がなんなのか分からずにいた。
「ふふっ、私の領地から……やぁ、こんにちは。お名前は? 」
男は屈んで私と目線を合わすも、威圧的な雰囲気は変わらず寧ろ近づいた分気持ち悪さが増す。
「……ケ……イトリーン……です」
「そうか、ケイトリーン……良い名前だね」
私の名前など大して興味がないのは一目瞭然なのだが、男がその先に何を求めているのか私には見当もつかない。
「ありがっ」
「手の怪我を治癒したと聞いたが、それは本当かい? 」
私の返事などどうでもよく、男は一方的に質問していく。
「……はぃ……多分……」
「それは今回が初めてかい? それとも以前から怪我を直した事があるのか? 」
「……いえ……アヴィールが初めてです」
「そうか、そうか。院長、この子は私が引き取ろう」
男は私の意思など興味はなく、身請けの話を進める。
孤児が身請けされるのは良いこと……とは言いきれない。
『悪い人に引き取られると、今よりも過酷な環境となることもある』と、私達の間で噂話として語られていた。
そして私は今まさに、悪い大人に引き取られようとしているのだと実感する。
「はいっ、良かったなケイトリーン」
私の気持ちの確認などなく男と院長は満足そうに私に笑顔を向けるも、二人の笑みは恐怖でしかない。
「これから私の娘として一緒に住むことになったから来なさい」
「……ぃ……ゃ……」
恐怖のあまりか細い声しか出ず、誰にも届かなかった。
「ケイトリーンは今日から私の娘、貴族だよ」
男は手を差し出すが、よく分からない展開に私は先生方に助けを求めた。
いつも私達のお世話をしてくれる先生は不安げに胸の前で手を握りしめているが何もしてくれず、院長だけが満面の笑みで頷く。
「ぁっぁっ…私は…」
「さぁ、おいで」
男は動かない私を強引に手を取り引きずるように馬車へと向かう。
抵抗するも子供の私が大人の男の力に敵うわけもなく、馬車に無理矢理乗せられていた。
馬車に乗ってからも私は何度も『帰りたい』と訴えるも、馬車は止まることはなく『ケイトリーンは今日から私の娘だ。良かったな』と、会話にならなかった。
馬車は暫く走ってしまい、外を覗いた時には孤児院まで戻れるとは思えない程知らない景色。
そして到着した先は見たこともない大きな屋敷の前だった。
外から扉が開き再び男によって下ろされる。
「ここが今日からケイトリーンが住む私の屋敷だ」
不安から涙目になるも男は私の反応など興味ない。
出迎えた使用人の一人に何か指示をし私が受け渡される。
「私がお嬢様のお世話をさせていただきます」
使用人は孤児の私にも丁寧に大人の人にするような対応をみせる。
怖くて逃げ出したいのに足どころか声さえ出ずにいると、使用人に抱き上げられ屋敷内へと吸い込まれてしまった。
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