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二人の関係
その後のパーティーは、私の噂の無いところを探すも至るところで『聖女』の話題がされている。
ひたすら存在を消し初めてのパーティーを遣り過ごすも、皆好き勝手なことを口にする。
私としては望んで王子の婚約者になった訳ではなく『この婚約は王命により決められたものなんです』と叫んでやりたいが、弱虫の私にそんな度胸もなく噂話をする人達から逃げ回るしかできなかった。
私としては王子に特別な感情はなく、婚約者面するつもりはない。
王子の方も義務的な私のエスコートを終わらせ、先程の令嬢と楽しくパーティーを過ごしている。
きっと彼はあの令嬢に思いを寄せていたのだろう。
思い返せば、全てが納得できる。
王妃教育の合間に王子との決められた時間を過ごすも、私に一切興味を示さず会話も盛り上がることはなくいつも上の空。
私が王子を見ていることに気付いたのか、隣の令嬢が王子に耳打ちする。
彼は表情を歪めるも、令嬢に諭され頷く。
何があったのか視線を逸らさず見続けていると、彼が私を見て睨み付ける。
「えっ……何? 」
すると、彼らは私の方へ向かってくるように見える。
二人の邪魔をしてはいけないと、彼らが進む道を察知して道が別れていき自然と私が待ち構えているような構図になってしまった。
「そのように睨まずとも、私はお二人の仲を引き裂くような無粋な真似は致しませんわ」
微笑みながら宣言する令嬢の言葉には棘があるように聞こえた。
令嬢を見ていたのは認めるが決して睨んではいないし、二人が親しいのを知らなかったので『引き裂く』ような邪魔をしたつもりもない。
なのに、令嬢が『私は』と言うと、王子の婚約者になった私が王子との婚約を望み無理やり二人の仲を引き裂いたように聞こえてしまう。
私達の関係は『王命』だと言うのは王子も知っているはずなのに、彼は私を睨み付け不満を隠さないでいる。
もしかしたら、王子は私が王妃を治癒した引き換えに王子との婚約を国王に強請んだと誤解しているのかもしれない。
「いえ、私はお二人を睨んだつもりはありません。お似合いな二人だと見惚れておりました。お二人の姿を見ていれば国王陛下も私などではなく二人を婚約者にしたはずと考え混んでおりました」
私なりに誤解を訂正したつもりだった……
「なっお前がっ……」
「マカリオン様っ」
正直な感想を伝えたつもりなのに、何故か突然王子が怒りを見せる。
王子の姿は私には理解できなかった。
私は王子を怒らせるような発言をしてしまったのだろうか?
隣の令嬢が宥め王子の怒りはゆっくりと治まって行くも、目付きは先程よりも鋭く私を睨み付ける。
「聖女様。素晴らしい能力を神に与えられたとはいえ、強引な手段では人を支配出来ても心は手に入りませんよ」
令嬢は諭すように私に告げるが、勘違いしているのが窺える。
令嬢はやはり私が王妃の治癒の交換条件として王子との婚約を求めたと認識されているようだ。
それは、王子も同様らしい。
「私はっ」
「それでは、マカリオン様。とても素敵な時間をありがとうございました」
「あぁ、スノーミリアン嬢。また」
「はい」
二人は私の言葉など聞く耳を持たず、二人だけの別れの言葉を交わし『また』と言って私の目の前で堂々と次の約束をする。
王子は私と婚約者としての時間の最後に『また』と言った事はない。
二人は微笑み想いを断ち切れない様子だが、令嬢が先に視線を逸らし背を向け去っていく。
王子は私の隣で切な気に令嬢の後ろ姿を見送る。
その姿に周囲も胸を締め付けられたようにこの光景を眺め続けていた。
ひたすら存在を消し初めてのパーティーを遣り過ごすも、皆好き勝手なことを口にする。
私としては望んで王子の婚約者になった訳ではなく『この婚約は王命により決められたものなんです』と叫んでやりたいが、弱虫の私にそんな度胸もなく噂話をする人達から逃げ回るしかできなかった。
私としては王子に特別な感情はなく、婚約者面するつもりはない。
王子の方も義務的な私のエスコートを終わらせ、先程の令嬢と楽しくパーティーを過ごしている。
きっと彼はあの令嬢に思いを寄せていたのだろう。
思い返せば、全てが納得できる。
王妃教育の合間に王子との決められた時間を過ごすも、私に一切興味を示さず会話も盛り上がることはなくいつも上の空。
私が王子を見ていることに気付いたのか、隣の令嬢が王子に耳打ちする。
彼は表情を歪めるも、令嬢に諭され頷く。
何があったのか視線を逸らさず見続けていると、彼が私を見て睨み付ける。
「えっ……何? 」
すると、彼らは私の方へ向かってくるように見える。
二人の邪魔をしてはいけないと、彼らが進む道を察知して道が別れていき自然と私が待ち構えているような構図になってしまった。
「そのように睨まずとも、私はお二人の仲を引き裂くような無粋な真似は致しませんわ」
微笑みながら宣言する令嬢の言葉には棘があるように聞こえた。
令嬢を見ていたのは認めるが決して睨んではいないし、二人が親しいのを知らなかったので『引き裂く』ような邪魔をしたつもりもない。
なのに、令嬢が『私は』と言うと、王子の婚約者になった私が王子との婚約を望み無理やり二人の仲を引き裂いたように聞こえてしまう。
私達の関係は『王命』だと言うのは王子も知っているはずなのに、彼は私を睨み付け不満を隠さないでいる。
もしかしたら、王子は私が王妃を治癒した引き換えに王子との婚約を国王に強請んだと誤解しているのかもしれない。
「いえ、私はお二人を睨んだつもりはありません。お似合いな二人だと見惚れておりました。お二人の姿を見ていれば国王陛下も私などではなく二人を婚約者にしたはずと考え混んでおりました」
私なりに誤解を訂正したつもりだった……
「なっお前がっ……」
「マカリオン様っ」
正直な感想を伝えたつもりなのに、何故か突然王子が怒りを見せる。
王子の姿は私には理解できなかった。
私は王子を怒らせるような発言をしてしまったのだろうか?
隣の令嬢が宥め王子の怒りはゆっくりと治まって行くも、目付きは先程よりも鋭く私を睨み付ける。
「聖女様。素晴らしい能力を神に与えられたとはいえ、強引な手段では人を支配出来ても心は手に入りませんよ」
令嬢は諭すように私に告げるが、勘違いしているのが窺える。
令嬢はやはり私が王妃の治癒の交換条件として王子との婚約を求めたと認識されているようだ。
それは、王子も同様らしい。
「私はっ」
「それでは、マカリオン様。とても素敵な時間をありがとうございました」
「あぁ、スノーミリアン嬢。また」
「はい」
二人は私の言葉など聞く耳を持たず、二人だけの別れの言葉を交わし『また』と言って私の目の前で堂々と次の約束をする。
王子は私と婚約者としての時間の最後に『また』と言った事はない。
二人は微笑み想いを断ち切れない様子だが、令嬢が先に視線を逸らし背を向け去っていく。
王子は私の隣で切な気に令嬢の後ろ姿を見送る。
その姿に周囲も胸を締め付けられたようにこの光景を眺め続けていた。
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感想は一件づつ個別のお返事ができなくなっておりますが、有り難く拝読しております。
4万文字ほどの作品で、最終話まで予約投稿済です。お楽しみいただけましたら幸いでございます。