【完結】能力が無くても聖女ですか?

天冨 七緒

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敢えて考えないようにしていたのに……

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 王宮へ報告しに行った教皇が戻り、その頃には外の民衆も落ち着いていた。
 
「教皇様、申し訳ありませんでした」
 
 いち早く教皇に声を掛けたのは、失態を犯した者だった。

「……君には処罰を下さなければならないが、今は反省しているように」

「はい」

 失態を犯した彼は静かに部屋の片隅に移動する。

「ケイトリーン嬢。王宮に今回の件を報告した結果、新な聖女を選出することになった」

 教皇からの解決策は私が予想していた通りのものだった。

「それでだが……ケイトリーン嬢……」

「はい? 」

「そなたに『聖女』をしていただけないだろうか? 」

 予想外の言葉に息が止まる。

「……私……がですか? 聖女補佐は数名存在すると聞いたのですが……」

 それなのにどうして私が聖女?

「今回の失態を知っているのはこの場にいる者だけだ。前回のように補佐に事実を話し彼女達の中から選出した場合、再び悲しい事件が繰り返される可能性がある。ケイトリーン嬢が『聖女』になってくれたら誰も疑わない。召喚された人物が聖女に値したという事になる」

「それは……」

 そうなのかもしれないが、ここで納得することも私は避けたい。

「王族も私もそれが一番得策だと考えています。勿論生活の保障はいたします。前回の『聖女』のような危険がないように護衛も増やします。聖女としての役割はこちらで充分に支援・補佐いたします。お願いします。どうか新たな聖女が誕生するまでの間、我が国の『聖女』になって頂けませんか? 」

 頭を下げる教皇への返答に悩んでいると、失態を犯した修道士まで頭を下げ「お願います」と口にする。
 彼だけでなく、その場にいた人達皆が私に向かって頭を下げる。
 そんなことをされては、断るに断れず逃げられなくなっていく。
 結果私が出した結論は……

「……分かりました。新な聖女が誕生するまでの間だけ……」

「「「「「ありがとうございます」」」」」

 教皇が感謝の言葉を口にすると、皆が同じく感謝の言葉を述べ再び頭を下げる。

「あっ……はい」

 私が『聖女』になることが決まるうと、今回の件は当然箝口令が敷かれた。
 どんなに貴族に責められようと、真実は口外しない誓約書にこの場にいる全員がサインをさせられる。
 勿論、私もそこにサインをした。
 漸く聖女から解放され私の事を誰も知らない新たな国に思わぬ形で訪れたというのに、私は再び『仮初の聖女』を引き受けてしまった。
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