【完結】能力が無くても聖女ですか?

天冨 七緒

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煙の意味

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 例の煙を確認しに行く教皇と同行する。
 報告のあった通り煙突から白い煙が上がっていた。

「あの……白い煙に意味があるのですか? 」

 私は近くにいた一人の修道士に小声で尋ねた。

「はい。毎回儀式を終えた事を報告する煙を上げるのですが、黒い煙は聖女確認できずの意味があり、白い煙は……聖女が誕生した事を意味します」

「えっ……だって……」

 私が見学していた限り聖女は誕生していないし、私も聖女ではないので今回上げる煙は『黒』のはず。
 だが、見る限り上がっている煙は『白』

「はい、聖女誕生の煙が上がっているのです」

「どう……して……」

 いや、今は何故白い煙が上がったのかを調べるより、これから『どうする? 』が正しいのかもしれない。

「今から黒い煙を……」

「いや、既に遅い」

 司祭の提案を否定し教皇が振り向くと姿は見えないが、民衆の歓喜に湧く声が響いていた。
 慌てた様子で司祭が王宮へ向かう。
 私もいつまでも居座るわけにはいかないと判断し大聖堂を出る事にした。

「お待ちください。今外へ出てしまうと『聖女』と勘違いされてしまう恐れがあります」

 助祭の言葉に動きを止める。
 冷静になると子供達が去った大聖堂から教皇に司祭や助祭、教会関係者以外が現れればその人物が『聖女』と認識されてしまう。
 私は二度と聖女になるつもりはない。

「外が落ち着くまでここにいてもよろしいでしょうか? 」

「はい、その方が安全かと……その……すみません。こちらの不手際でご迷惑を」

「いえ、大丈夫です」

 私達は先程の部屋に戻る。
 部屋では何故白い煙が上がってしまったのか確認作業が行われていた。

「すみません。黒い煙の粉を準備していたのですが……」

「入れ忘れたと……」

「……すみません」

 男は震えながら自身の失態を告げた。
 正直に話しただけ真実を追求する時間が短縮されたので良いが、これから突きつけられるのは解決策と処罰。
 解決策の方は教皇と王族が決定するのだろう。
 残すは『処罰』……彼がどんな立場なのかは分からないが、なんのお咎めもないといことはないだろう。
 降格か辞職か……それを決定するのは私ではない。
 私は外が落ち着くまでこの部屋から出ることはないので、静かに皆の記憶に残らないよう徹した。
 今から黒い煙を上げることは出来るが、国民の落胆は想像に難くない。

「大変だ」

 他人事のように私は部屋の片隅で呟いた。
 何故こんなにも他人事でいられるのかと言うと、万が一『聖女を誕生させる』という結論に至ったとしてもこの国には聖女補佐が数名存在している。
 わざわざ私を聖女にする必要はない。
 有力候補者から選出すればいいだけの事。
 そして前回のように襲撃には十分注意し、常に護衛を過剰な程つければいい。
 そこら辺は王族や教皇がどうにかするだろう。
 私は聖女にはならない。
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