13 / 75
急に頭が悪くなったみたい
しおりを挟む
「……申し訳ない。ギャスパル侯爵令嬢」
「今後はそれでお願いいたします。それでは」
彼から話を切り出される前に去るつもりだ。
「待ってくれ、話がしたい」
「私にはございません」
振り返らず、馬車を目指す。
今日は町の屋台というのを体験したかったので、かなり遠くまで歩いてきてしまった。
貴族だと知られぬように遠くに馬車を止めたことが仇となるとは……
「……少しでいいから、俺の話を聞いてくれないか? 」
「……言葉遣い」
「あっ……俺の話を聞いてくださいませんか? 」
「礼儀を忘れないと誓い、私を呼び止めるのが今回限りであれば伺いましょう」
「……それは……俺の話を聞いた後、セラ……令嬢に判断して頂きたい」
「どのような話でしょうか? 」
「ここでは……どうか、場所を移動できないだろうか? 」
私は町に出るという事で平民の恰好と準備万端なのだが、令息の方は貴族感が抜けない恰好をしている。
そんな彼と一緒にいれば平民には目を付けられ、貴族にも私達が町で逢瀬を交わしていた等ど噂されかねない。
「分かりました」
私達は近くのカフェに入り、奥の席を案内させた。
「それで、どのような用件でしょうか? 」
きっと、婚約についてだろう。
伯爵家としては侯爵家も招待すべきだろうが、本当に招待状を送っていいものか悩んでいたのだろう。
それで偶然私を発見し後先考えず声を掛けたのだろう。
手紙で確認仕様にも、父に発見されれば処分される可能性もある。
そんなことを考えていたら、時間が過ぎ婚約発表に時間が掛かったのかもしれない。
「その……婚約解消を……解消して頂けないか? 」
「……それは……どういう意味でしょうか? 」
彼は何を言っているのだろうか?
婚約解消の解消?
「俺は婚約解消をしたくはなかったんだ……」
「……はぁ……? 」
解消したくない?
恋人がいるのに?
彼は何を言っているのか、私には理解できない。
私は頭が悪くなったのだろうか?
「あの日、令嬢が記憶喪失となったと聞き動揺してしまった。本当は婚約解消するつもりはなかったのに……」
「……あの日の令息はとても冷静で、そのようには見えませんでした」
「頭が混乱し正常な判断が出来なかったんだ。あれからずっと後悔していた」
後悔?
令息が新たなパートナーと一緒にパーティーに参加した事を私は知っているのに。
私があの日、誰ともダンスをせずテラスや壁際にいたので彼は私が参加していたのを知らないのかもしれない……
いや、私に興味ないのだろう。
「……そうでしたか」
「令嬢は覚えてないかもしれないが、俺達はとても愛し合っていたんだ」
……駄目だ。
彼が何を言っているのか理解できない。
私達が愛し合っていた?
彼との会話は時間の無駄のようだ。
「今後はそれでお願いいたします。それでは」
彼から話を切り出される前に去るつもりだ。
「待ってくれ、話がしたい」
「私にはございません」
振り返らず、馬車を目指す。
今日は町の屋台というのを体験したかったので、かなり遠くまで歩いてきてしまった。
貴族だと知られぬように遠くに馬車を止めたことが仇となるとは……
「……少しでいいから、俺の話を聞いてくれないか? 」
「……言葉遣い」
「あっ……俺の話を聞いてくださいませんか? 」
「礼儀を忘れないと誓い、私を呼び止めるのが今回限りであれば伺いましょう」
「……それは……俺の話を聞いた後、セラ……令嬢に判断して頂きたい」
「どのような話でしょうか? 」
「ここでは……どうか、場所を移動できないだろうか? 」
私は町に出るという事で平民の恰好と準備万端なのだが、令息の方は貴族感が抜けない恰好をしている。
そんな彼と一緒にいれば平民には目を付けられ、貴族にも私達が町で逢瀬を交わしていた等ど噂されかねない。
「分かりました」
私達は近くのカフェに入り、奥の席を案内させた。
「それで、どのような用件でしょうか? 」
きっと、婚約についてだろう。
伯爵家としては侯爵家も招待すべきだろうが、本当に招待状を送っていいものか悩んでいたのだろう。
それで偶然私を発見し後先考えず声を掛けたのだろう。
手紙で確認仕様にも、父に発見されれば処分される可能性もある。
そんなことを考えていたら、時間が過ぎ婚約発表に時間が掛かったのかもしれない。
「その……婚約解消を……解消して頂けないか? 」
「……それは……どういう意味でしょうか? 」
彼は何を言っているのだろうか?
婚約解消の解消?
「俺は婚約解消をしたくはなかったんだ……」
「……はぁ……? 」
解消したくない?
恋人がいるのに?
彼は何を言っているのか、私には理解できない。
私は頭が悪くなったのだろうか?
「あの日、令嬢が記憶喪失となったと聞き動揺してしまった。本当は婚約解消するつもりはなかったのに……」
「……あの日の令息はとても冷静で、そのようには見えませんでした」
「頭が混乱し正常な判断が出来なかったんだ。あれからずっと後悔していた」
後悔?
令息が新たなパートナーと一緒にパーティーに参加した事を私は知っているのに。
私があの日、誰ともダンスをせずテラスや壁際にいたので彼は私が参加していたのを知らないのかもしれない……
いや、私に興味ないのだろう。
「……そうでしたか」
「令嬢は覚えてないかもしれないが、俺達はとても愛し合っていたんだ」
……駄目だ。
彼が何を言っているのか理解できない。
私達が愛し合っていた?
彼との会話は時間の無駄のようだ。
629
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されたショックですっ転び記憶喪失になったので、第二の人生を歩みたいと思います
ととせ
恋愛
「本日この時をもってアリシア・レンホルムとの婚約を解消する」
公爵令嬢アリシアは反論する気力もなくその場を立ち去ろうとするが…見事にすっ転び、記憶喪失になってしまう。
本当に思い出せないのよね。貴方たち、誰ですか? 元婚約者の王子? 私、婚約してたんですか?
義理の妹に取られた? 別にいいです。知ったこっちゃないので。
不遇な立場も過去も忘れてしまったので、心機一転新しい人生を歩みます!
この作品は小説家になろうでも掲載しています
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
悪役令嬢、記憶をなくして辺境でカフェを開きます〜お忍びで通ってくる元婚約者の王子様、私はあなたのことなど知りません〜
咲月ねむと
恋愛
王子の婚約者だった公爵令嬢セレスティーナは、断罪イベントの最中、興奮のあまり階段から転げ落ち、頭を打ってしまう。目覚めた彼女は、なんと「悪役令嬢として生きてきた数年間」の記憶をすっぽりと失い、動物を愛する心優しくおっとりした本来の性格に戻っていた。
もはや王宮に居場所はないと、自ら婚約破棄を申し出て辺境の領地へ。そこで動物たちに異常に好かれる体質を活かし、もふもふの聖獣たちが集まるカフェを開店し、穏やかな日々を送り始める。
一方、セレスティーナの豹変ぶりが気になって仕方ない元婚約者の王子・アルフレッドは、身分を隠してお忍びでカフェを訪れる。別人になったかのような彼女に戸惑いながらも、次第に本当の彼女に惹かれていくが、セレスティーナは彼のことを全く覚えておらず…?
※これはかなり人を選ぶ作品です。
感想欄にもある通り、私自身も再度読み返してみて、皆様のおっしゃる通りもう少しプロットをしっかりしてればと。
それでも大丈夫って方は、ぜひ。
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。
【完】愛人に王妃の座を奪い取られました。
112
恋愛
クインツ国の王妃アンは、王レイナルドの命を受け廃妃となった。
愛人であったリディア嬢が新しい王妃となり、アンはその日のうちに王宮を出ていく。
実家の伯爵家の屋敷へ帰るが、継母のダーナによって身を寄せることも敵わない。
アンは動じることなく、継母に一つの提案をする。
「私に娼館を紹介してください」
娼婦になると思った継母は喜んでアンを娼館へと送り出して──
夫に相手にされない侯爵夫人ですが、記憶を失ったので人生やり直します。
MIRICO
恋愛
第二章【記憶を失った侯爵夫人ですが、夫と人生やり直します。】完結です。
記憶を失った私は侯爵夫人だった。しかし、旦那様とは不仲でほとんど話すこともなく、パーティに連れて行かれたのは結婚して数回ほど。それを聞いても何も思い出せないので、とりあえず記憶を失ったことは旦那様に内緒にしておいた。
旦那様は美形で凛とした顔の見目の良い方。けれどお城に泊まってばかりで、お屋敷にいてもほとんど顔を合わせない。いいんですよ、その間私は自由にできますから。
屋敷の生活は楽しく旦那様がいなくても何の問題もなかったけれど、ある日突然パーティに同伴することに。
旦那様が「わたし」をどう思っているのか、記憶を失った私にはどうでもいい。けれど、旦那様のお相手たちがやけに私に噛み付いてくる。
記憶がないのだから、私は旦那様のことはどうでもいいのよ?
それなのに、旦那様までもが私にかまってくる。旦那様は一体何がしたいのかしら…?
小説家になろう様に掲載済みです。
どうしてあなたが後悔するのですか?~私はあなたを覚えていませんから~
クロユキ
恋愛
公爵家の家系に生まれたジェシカは一人娘でもあり我が儘に育ちなんでも思い通りに成らないと気がすまない性格だがそんな彼女をイヤだと言う者は居なかった。彼氏を作るにも慎重に選び一人の男性に目を向けた。
同じ公爵家の男性グレスには婚約を約束をした伯爵家の娘シャーロットがいた。
ジェシカはグレスに強制にシャーロットと婚約破棄を言うがしっこいと追い返されてしまう毎日、それでも諦めないジェシカは貴族で集まった披露宴でもグレスに迫りベランダに出ていたグレスとシャーロットを見つけ寄り添う二人を引き離そうとグレスの手を握った時グレスは手を払い退けジェシカは体ごと手摺をすり抜け落下した…
誤字脱字がありますが気にしないと言っていただけたら幸いです…更新は不定期ですがよろしくお願いします。
教養が足りない、ですって
たくわん
恋愛
侯爵令嬢エリーゼは、公爵家の長男アレクシスとの婚約披露宴で突然婚約破棄される。理由は「教養が足りず、公爵夫人として恥ずかしい」。社交界の人々の嘲笑の中、エリーゼは静かに会場を去る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる