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フランツ・タドミール
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「お前……何もしてないだろうな? 」
突然侯爵に父と共に訪れてほしいと手紙が届く。
そんな内容の手紙を読み、父は俺を疑った。
「何のことかさっぱり」
誤魔化したが、内心では心臓を掴まれたように苦しい。
俺がトゥーリッキの屋敷に何度も訪れたのは事実。
婚約者の屋敷に訪問するより多い。
侯爵に知られてしまったのではないかと思うと不安で、手が震えていた。
屋敷に到着し、侯爵が現れると険しい表情で睨みつけられた。
その瞬間、俺の秘密が暴かれたのだと血の気が引いているのを感じる。
「娘が、伯爵家からの帰りに事故に遭った」
「事故……ですか? 」
俺の予想とは違う内容に素直に驚いたのと同時に、不貞の追及でなくて隠れて安堵した。
「馬車の不具合で頭を強打したことにより記憶喪失となった」
……どこまでも面倒な女だ。
侯爵の様子から、見舞いという建前でこれまで以上に令嬢に会いに来いということだろう。
だが、話は思わぬ方向へ向かう。
「返答によっては婚約を考え直さないといけない。タドミール伯爵はどうお考えだ? 」
今、婚約解消といったのか?
「申し訳ありません。息子の判断が甘かったようで……令嬢の怪我は我が家の責任です。婚約については……我が家としては継続を希望しますが……侯爵にお任せしたいと思います」
「フランツ様、君の気持ちも聞いておこう」
令嬢が記憶喪失になったのは令嬢の責任で俺に非は無い。
だが、これを利用すれば俺はくだらない婚約から解放され、トゥーリッキと婚約出来る……
「令嬢の怪我は俺に責任があると思っています。婚約解消されても仕方がありません」
「フランツッ」
父が何と言おうと関係ない。
俺はこの最大の機会を……逃さない。
「セラフィーナ、どうする? 」
最後くらいまともな判断をしろ。
「……今の……状態の私では……婚約継続は……難しい……のではありませんか? 」
フフッ
「俺は、令嬢との婚約解消を受け入れます」
婚約は解消となった。
屋敷へ戻る馬車の中では父が何だか喚いていが、どうでもいい。
俺は、早く今日の事をトゥーリッキに報告したかった。
「フランツ、気でも触れたのか? 」
屋敷に到着しても、父の怒号が止むことは無い。
「仕方がないではありませんか、あれだけ侯爵が激怒していたんだ俺達には何もできませんよ」
「お前が『令嬢の傍で支える』と言えばよかったんだ」
そんな事、口が裂けても言いたくない。
「そんなんで、侯爵は納得しませんよ。馬車の不具合を俺達の責任するくらいだ、元から婚約解消を望んでいたのではありませんか? 」
「それは……」
当てずっぽうで言ったのだが、父は黙り込んでしまった。
もしかして、俺が頭を悩ませなくてもこの婚約はいずれ解消していたのかもしれない。
それから父は静かになったが、使用人が報告しているのを耳にしてしまった。
「申し訳りません、旦那様。坊ちゃんの婚約者様の馬車の不具合は私が原因です」
「どういうことだ? 」
「いつものように庭の手入れにと思い脚立を運んでいたのですが、手が滑ってしまい侯爵家の馬車の車輪にあたってしまいました。見たところ問題なかったので馬車から離れていた御者にはお伝えしませんでした。こんなことになるなんて……私の責任です、申し訳ありません……」
「では……令嬢の馬車の不具合はこちらの責任……」
その事が侯爵に伝われば、我が家は多額の慰謝料を支払う事になる。
それはまずい……
使用人の不注意と伝えていても、その使用人を雇っていたのはこちら。
使用人に侯爵令嬢の慰謝料など払えるわけがない。
俺が……犠牲になるのか?
その場から離れるも、父からは何も提案されず不気味ではあった。
無事に俺の婚約解消が公表された。
「侯爵家嫡男の当主就任のパーティーがある」
「はい」
パーティーには当然参加する。
既にトゥーリッキには当日エスコートするのを伝えてある。
父には報告していない。
トゥーリッキの父、カタストロフィ伯爵には事前に挨拶をしていた。
「伯爵、侯爵家のパーティーでトゥーリッキを俺にエスコートさせてください」
「……フランツ様。娘は領地での静養期間が長く、友人も少なく婚約者のいる貴方様と仲良くされているのを黙認していました。それは貴方様が誠実だと信じていたからです。今後、娘を悲しませるようなことは無いようお願いいたします」
「はい、もちろんです」
パーティー当日、侯爵邸の前にはトゥーリッキの姿を発見する。
「トゥーリッキ」
「フランツ様」
俺達は互いに名を呼び合っただけ。
だが、父だけでなく周囲も俺達の関係に気が付く。
「フランツ? 令嬢とはとういう関係なんだ? 」
察しの悪い父に宣言する。
「俺の大事な人です」
突然侯爵に父と共に訪れてほしいと手紙が届く。
そんな内容の手紙を読み、父は俺を疑った。
「何のことかさっぱり」
誤魔化したが、内心では心臓を掴まれたように苦しい。
俺がトゥーリッキの屋敷に何度も訪れたのは事実。
婚約者の屋敷に訪問するより多い。
侯爵に知られてしまったのではないかと思うと不安で、手が震えていた。
屋敷に到着し、侯爵が現れると険しい表情で睨みつけられた。
その瞬間、俺の秘密が暴かれたのだと血の気が引いているのを感じる。
「娘が、伯爵家からの帰りに事故に遭った」
「事故……ですか? 」
俺の予想とは違う内容に素直に驚いたのと同時に、不貞の追及でなくて隠れて安堵した。
「馬車の不具合で頭を強打したことにより記憶喪失となった」
……どこまでも面倒な女だ。
侯爵の様子から、見舞いという建前でこれまで以上に令嬢に会いに来いということだろう。
だが、話は思わぬ方向へ向かう。
「返答によっては婚約を考え直さないといけない。タドミール伯爵はどうお考えだ? 」
今、婚約解消といったのか?
「申し訳ありません。息子の判断が甘かったようで……令嬢の怪我は我が家の責任です。婚約については……我が家としては継続を希望しますが……侯爵にお任せしたいと思います」
「フランツ様、君の気持ちも聞いておこう」
令嬢が記憶喪失になったのは令嬢の責任で俺に非は無い。
だが、これを利用すれば俺はくだらない婚約から解放され、トゥーリッキと婚約出来る……
「令嬢の怪我は俺に責任があると思っています。婚約解消されても仕方がありません」
「フランツッ」
父が何と言おうと関係ない。
俺はこの最大の機会を……逃さない。
「セラフィーナ、どうする? 」
最後くらいまともな判断をしろ。
「……今の……状態の私では……婚約継続は……難しい……のではありませんか? 」
フフッ
「俺は、令嬢との婚約解消を受け入れます」
婚約は解消となった。
屋敷へ戻る馬車の中では父が何だか喚いていが、どうでもいい。
俺は、早く今日の事をトゥーリッキに報告したかった。
「フランツ、気でも触れたのか? 」
屋敷に到着しても、父の怒号が止むことは無い。
「仕方がないではありませんか、あれだけ侯爵が激怒していたんだ俺達には何もできませんよ」
「お前が『令嬢の傍で支える』と言えばよかったんだ」
そんな事、口が裂けても言いたくない。
「そんなんで、侯爵は納得しませんよ。馬車の不具合を俺達の責任するくらいだ、元から婚約解消を望んでいたのではありませんか? 」
「それは……」
当てずっぽうで言ったのだが、父は黙り込んでしまった。
もしかして、俺が頭を悩ませなくてもこの婚約はいずれ解消していたのかもしれない。
それから父は静かになったが、使用人が報告しているのを耳にしてしまった。
「申し訳りません、旦那様。坊ちゃんの婚約者様の馬車の不具合は私が原因です」
「どういうことだ? 」
「いつものように庭の手入れにと思い脚立を運んでいたのですが、手が滑ってしまい侯爵家の馬車の車輪にあたってしまいました。見たところ問題なかったので馬車から離れていた御者にはお伝えしませんでした。こんなことになるなんて……私の責任です、申し訳ありません……」
「では……令嬢の馬車の不具合はこちらの責任……」
その事が侯爵に伝われば、我が家は多額の慰謝料を支払う事になる。
それはまずい……
使用人の不注意と伝えていても、その使用人を雇っていたのはこちら。
使用人に侯爵令嬢の慰謝料など払えるわけがない。
俺が……犠牲になるのか?
その場から離れるも、父からは何も提案されず不気味ではあった。
無事に俺の婚約解消が公表された。
「侯爵家嫡男の当主就任のパーティーがある」
「はい」
パーティーには当然参加する。
既にトゥーリッキには当日エスコートするのを伝えてある。
父には報告していない。
トゥーリッキの父、カタストロフィ伯爵には事前に挨拶をしていた。
「伯爵、侯爵家のパーティーでトゥーリッキを俺にエスコートさせてください」
「……フランツ様。娘は領地での静養期間が長く、友人も少なく婚約者のいる貴方様と仲良くされているのを黙認していました。それは貴方様が誠実だと信じていたからです。今後、娘を悲しませるようなことは無いようお願いいたします」
「はい、もちろんです」
パーティー当日、侯爵邸の前にはトゥーリッキの姿を発見する。
「トゥーリッキ」
「フランツ様」
俺達は互いに名を呼び合っただけ。
だが、父だけでなく周囲も俺達の関係に気が付く。
「フランツ? 令嬢とはとういう関係なんだ? 」
察しの悪い父に宣言する。
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