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05.夢にも思わない
しおりを挟む「リヒト様っ! リヒト様……っ!」
獲物に食らいつく肉食獣のように飛びかかってきた赤毛の青年は、ベッドの上に梨人を押し倒すと、指が食い込むほど強く肩を掴んできて、反対の手で自身のズボンを下着ごと腿まで下ろした。ぶるんっ、と硬く反り返った陰茎が、先走りを散らしながら飛び出してくる。
「ちょ、ちょっと待っ、て……な……?」
今にも貫かんばかりの若い肉体を押し留めて、潤滑油の瓶を手に取る。この身体は処女だ。一瓶使い切るつもりで濡らすくらいで丁度いい。蓋を取った瞬間瓶を奪われ、脚の間に陣取った赤毛の青年にさらに大きく股を開かされて瓶の中身をぶち撒けられる。
「はっ……、ハっ…、はッ…は、は、ハ、は」
「んぅっ……!」
息を荒げながら、たっぷりの潤滑油で潤った後孔へ、性急に二本の指を挿し入れられた。拙い動きで抜き差しされ、ぐるりと手首を返したかと思ったら、指の腹がいいところを掠めて腰が跳ねる。一旦抜かれて、また挿し込まれて、中でピースをするように広げられて、三本目が入ってくる。
「リヒト様……っ、リヒト様……っ! もう……っ、もう、いいですか……っ?」
三本の指がぐぽぐぽ出し入れされて、中を掻き混ぜる。びくびく跳ねる梨人を上から押さえつけるように上体を伏せた赤毛の青年は、もう堪えられないとばかりに梨人の首筋から肩にかけてを何度も甘噛みした。
「リヒト様っ、リヒトさま……っ! もう、入れます……っ!」
「ぁ……っ」
潤滑油と体液に濡れた指が引き抜かれて、膝裏を持ち上げるように押さえられる。咥えるものを失って収縮する孔に、ぱんぱんに勃起したものの先端を押しあてられた。期待に喉が鳴る。
「リヒトさま……っ!」
ぐっ、と、肉輪を押し広げて、先っぽが入ってくる。快感より、まだ痛みの方が強い。咄嗟に覆いかぶさってくる身体を押し返そうとして、張りのある胸板に手のひらを当てるが、びくともしない。梨人が痛みを感じていることに気づく余裕がないのか、それともわかった上で自身の欲望を優先しているのか。どっちにしろ、梨人はこれ以上なく興奮した。
「ぃ、た……っ、やめ……っ」
「リヒト様……、リヒト様……っ」
「ゃめ……っ、たい……いた、ぃ……っ!」
「いたい……? 痛いんですか、リヒト様……っ?」
「ぬ……てっ、ぬぃ……て……っ、ぉねがっ……い」
「ああ……ああ……っ……! ごめんなさい……ごめんなさい、リヒト様……っ」
本当は、抜いてほしいだなんて思っていない。自分を盛り上げるために、口にしているだけ。
ほら。ほうら。どうする?
若い肉体が、若い精神が、獣のごとき劣情が、もう手中にあるも同然の獲物を前にして、引き下がれるのか。
「ごめ……っ、なさい……! ごめんなさい、リヒト様……っ! 抜けな……っ、止まれない……っ!」
彼は梨人の期待に応えてみせた。
「あぁ゛あァあぁああ、あ」
狭い肉筒を、強引に掻き分けて、じりじりと奥へ奥へ進んでくる。
「リヒト様……っ、く……っ……締め付けが……っ! 狭い……っ……中……熱くて、すご……ぃ……」
無意識に逃げを打つ梨人の腰を押さえつけて、赤毛の青年は自身の劣情の証を力ずくで捩じ込んできた。
「んぅうん゛んぅんんん゛ん゛ーーっ」
梨人は無理矢理に奥まで犯された快感に、唇を噛み締めて達した。しかしまだ一度もイっていない赤毛の青年は、余韻に浸る梨人を待ってはくれない。奥まで貫いた肉棒をぎりぎりまで引き抜き、再び勢いよく奥まで突き入れる。
「んあ゛っ!」
痕が残るほど強く腰を掴まれて、めちゃくちゃに抽挿される。もう全身汗だくだった。濡れて滑るたび掴み直されて、その痛みすら気持ちいい。
「は……っ、あ……っ、気持ち、ぃい……っ!」
「あ゛! あぁ……っ、んああァ……っ、や……!」
「気持ちぃ……っ! なんで……っ…こんな……っ! 気持ちい゛……っ」
接合部から、卑猥な音がひっきりなしに漏れる。潤滑油は泡立って白くなり、梨人を犯す怒張が出入りするたび量を増した。
「あ、出る……出る……っ! 出します……!」
「ん……っ! ぅん……っ……うん……っ!」
「中に……っ! 中に出していいですか……っ?」
「あ……だめ……っ、だめ……っ!」
「そんな……! リヒト様……っおねが……っ、リヒト様……っ! 中に……っ」
「そ……外に……っ」
形だけの抵抗だった。口だけの拒絶だった。それでも覆いかぶさる身体を押し返そうとする真似をしてみせれば、本能的に種付けすることばかり考えている若い未熟な男は、梨人の身体を抱き込むように押さえつけて逃げる道を塞いだ。
「あ゛! あ゛っ! だめ! だめえぇえ!」
「出しますっ……中に……っ!」
「あぁああ゛ァあぁーーっ」
嫌がる振りをする梨人は無理矢理押さえ込まれて、上から押し潰すように腰を押し付けられ、無責任な中出しをされる。外に出せと言ったのに合意なく種付けされたことに昂って、梨人もまた達した。射精を終えたペニスを抜き取った赤毛の青年が発する第一声に意識を向けていた梨人は、無言で身体をひっくり返され、背後から伸し掛かられたことに疑問符を浮かべた。耳の後ろに、荒い呼気が吐きかけられる。
「な……っ!」
尻たぶを左右に広げられ、挟まれたものが勃起していることを、振り返って確認する。
「ごめんなさい……おさまらない……っ! もう一回……! もう一回……っ」
「ちょ、と待ーーっ」
ずりずり尻のあわいを擦っていた陰茎の先端が、様々な液体に濡れそぼった孔に引っ掛かった瞬間、勢いよく突き入れられる。その衝撃で、梨人はまたイった。
◇◇◇
「おかえり、シィル」
「ただいま」
入浴後、たくさんのお土産を抱えたシィルが梨人の部屋を訪ねてきた。ひとつひとつどこで買った何なのかを説明しながら、梨人に手渡してくれる。
「すごいいっぱいだな」
持ちきれなくて溢れさせていると、シィルは無表情のまましょんぼりするという器用なことをやってみせた。
「すまない。つい。リヒトの喜ぶ顔が見たかったのだ」
「喜んでないわけじゃないよ。ありがとう。こんなにいっぱい嬉しい」
「……ほんとか?」
「うん」
「実はもうひとつある」
そう言って差し出してきたのが、見覚えのある箱だったから。シィルがどこか期待した眼差しだったから。梨人は、こいつほんとかわいいなと、満面の笑みを浮かべた。
「これ、俺とシィルが一番好きなクッキーじゃん! ありがとう」
「一緒に食べようと思うてな」
「じゃあ明日は庭でお茶会だな。リェイダルも呼ぶ?」
シィルは一瞬言葉に詰まり、視線を泳がした後、そっと梨人のシャツを摘んだ。
「……二人きりで」
「ほんとかわいいな」
「む?」
あまりにいじらしくて、つい声に出してしまった。シィルはまさか自分のことだとは思わなかったのか、不思議そうに首を傾げたが、特に触れてはこなかった。
「リヒト」
シャツを摘んだまま、シィルの視線がベッドに滑る。
「しばらく会えなくて寂しかった。だから。ただ、一緒にいたいだけで、何もせん、から」
ベッドは綺麗に整えられ、皺ひとつない。
「今夜は一緒に、寝てもよいか……?」
梨人は快感が背筋を駆け上ってくるのをゾワゾワと感じた。
「いいよ」
昼間、このベッドで、梨人が他の男にさんざん抱かれただなんてこと、この人は夢にも思わないんだろうな。
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