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第九章
それぞれに咲く花
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星空がバイト終を終えると、スマホに着信があったことに気づいた。
「凪?どうした?」
「星空、今どこにいる?」
「バイト先出たところだけど」
「じゃぁそっち向かうね」
「うん、わかった」
海里と凪の三人のグループメッセージでは、よくやり取りするものの、凪から直接電話が来ることは初めてだった。
しばらくすると、少し遠くに凪が見えた。
「こっちだよ」
「おまたせ」
「うん、急にどうした?」
「……いや、星空に話があって」
「うん、そうなんだ。とりあえず、近くのベンチに座る?」
それは、星空のバイト先の近くにある川辺のベンチに二人は腰掛けた。
「話って?」
「最近、星空が離れていくような気がして、それが寂しいだけじゃなくて…性別関係なく、人として、たぶん、星空のこと好きなのかもしれないって思った、急にこんなこと言ってごめん」
「凪が、正直な気持ちを話してくれて嬉しい。でも、大切にしたい人がいるから……」
「うん、だから付き合ってって言いたかったわけじゃなくて、ただ知って欲しかった。それと、わがままかもしれないけど、これからも友達でいてほしい」
「うん、甘えてごめん。凪には辛い思いさせるかもしれないけど、友達でいてくれると嬉しいと思ってる」
「うん、ありがとう」
強がった笑顔を見せた、凪のことをまっすぐ見られない自分がいた。
「じゃぁ、そろそろ行くね、話聞いてくれてありがとう。また大学で」
「うん、気をつけて」
いつもみたいに送ろうかと頭によぎったけど、それは凪のためじゃないと思った。
夜風にあたりながら、凪は家に帰ろうとしていた。するとスマホが通知が光った。
それは、海里からのメッセージだった。
『今何してる?』
『散歩してるところ』
『そうなんだ。凪が散歩って珍しくない?』
『そうかも』
『凪、いまどこ?』
『星空のバイト先の近くだけど』
『わかった、今から行くわ』
来なくていいのに……でも、海里のこういうところに救われているところもある。
そういえば、ご飯を食べ忘れてたことを思い出した。
海里が来る前に、コンビニに寄ってお酒数本と、ホットスナックやお菓子を買って近くの公園で待つことにした。
少し経った後、冷たい感触が頬に当たった。
「待った?」
お茶のペットボトルを手渡し、くしゃっと笑う海里に、少し元気が出たような気がした。やっぱりなんか海里は不思議な力があるなと思う。
「今日は付き合ってもらうから」
「わかった、もちろんそのために来たから。てか、珍しくお酒買ってんね?」
「今日は飲みたい気分だったから」
「おっ、いいね~!」
二人は、公園のベンチでお酒を飲みながら買ったものを半分に分けて食べることにした。
「なんかあった?無理に聞くわけじゃないけど」
海里には、何も言わなくても気づいてるのだろうか。
「俺、星空のこと知らない間に好きになってて、けどやっぱりダメだった。星空には大切な人がいるのはわかってたから。でも、星空に思ってたこと話せて良かった」
「……そっか」
「うん」
「こんな時にって思うかもしれないけど、前にいつでも凪のそばにいるって言ったの、本気だから」
「それは、友達としてってことでしょ?わかってるよ」
「いや、わかってない」
海里の普段とは違う少し真剣な眼差しに、凪は目を背けてしまった。
「やっぱり、お酒飲み過ぎたかも…」
ペットボトルに口をつけようとすると、海里がその手を止めて、ふわりと背中に腕が回される。
お酒のせいか、抱きしめられたこと理解するのに時間がかかった。
「こういう意味ってこと。わかった?」
凪の耳元で、いつもの海里とは違う深く低い声に、凪は鼓動が早くなるのを感じて、耳を押さえた。
「……ちょっと待って」
「ごめん、ずっと凪のこと好きだったから」
「嬉しいけど…気持ちが追いついていけないというか、俺は男だし今すぐには海里の気持ちには答えられないよ」
凪は、まっすぐ見つめてくる海里の顔を見ることができなかった。
「でも俺は、凪自身が好きだから性別は関係ないって思ってる。凪の人のことを考えられるところってすごい尊敬してて、だから俺がそんな凪を支えたいって思った」
「ありがと、でも今戸惑っててどう答えたらいいのか気持ちの整理がつかなくて…ごめん、少し待ってほしい」
「うん、今すぐにとは思ってないから。俺のこと少しでもいいから考えてほしい」
「……わかった」
休みの日に、瑠夏から電話があった。
「もしもし?」
「蓮志~、少し付き合ってくれない?」
「ああ、いいよ、準備したら行くね」
瑠夏から呼ばれることはよくあった。
常連なのもあるし、意外と危なっかしいところがあって、目が離せない妹のような存在だったからだ。
「おまたせ」
「じゃぁ行こっか」
待ち合わせ場所に居たのは、いつものハイブランドを身につけた瑠夏の姿ではなく、清楚にまとめられた花柄のワンピースを着た瑠夏の姿があった。
いつもの瑠夏の姿じゃないことに少し戸惑ったが、ただの気分の変化だろうと思いたかった。
「行きたかったカフェがあるんだけど、そこでもいい?」
「ああ、いいよ」
カフェに着くと、店員の人に中に案内される。
「もしかして、カップルですか??」
「ちがいますよ~」
少し照れたように答えた。
「そうなんですか!?すみません、お似合いだったもので…」
「大丈夫ですよ~」
「失礼しました、そのお詫びの代わりと言っては何なのですが、こちら今キャンペーンをしておりまして、割引のサービス券です。よろしければどうぞ。」
「嬉しいです!ありがとうございます~」
店員が通り過ぎた後に、瑠夏が耳打ちをしてきた。
「私達ってお似合いに見えるのかな?」
「……どうだろう」
少し上の空だったかもしれない。星空は昨夜のことをどう思ったのか……。
「そこ、否定してくれなきゃ困るじゃん!なんか違うこと考えてたでしょ!」
瑠夏が笑いながら、肩を叩いてきた。
お互い笑い合った。
でも、瑠夏に言われるとたしかにそうだったかもしれない。蓮志の頭の中には星空の存在が大きくなっていることに気づき始めていた。
そして、蓮志はコーヒー、瑠夏はミルクティーを頼んでお互いの他愛のない会話をした。
あっという間に時間は過ぎて、カフェを出ることにした。
「この後どうする?」
蓮志は時計を眺めながら瑠夏に聞いた。
「……ねえ、この後もずっと一緒にいたいって言ったら…蓮志はどうかな?」
「ずっと?ってどういうこと?」
「だから、蓮志って女の人のことわかってないんだよな~。そういうとこも好きなんだけど」
「……え?」
「つかまえたっ!」
瑠夏に不意に腕を掴まれ、走り出した。
道をかき分けていくと、とあるマンションの一室についた。
「ここ、私の家なんだけど、蓮志の見たがってた映画一緒に見ない?」
掴んでいた腕が少し震えているような気がした。
なぜか振り解けなかった。
「じゃぁ少しだけなら」
「うん」
そのまま、瑠夏の手に引かれながら中に入った。
お互いソファに腰掛けて、映画を見ることにした。
机には、お菓子や小さいケーキを並べて、瑠夏らしいなと思った。
映画を見ながら、お互い感想を言い合っていた。
その時、瑠夏が少し真面目な顔をして話し始めた。
「蓮志、私ね言いたいことがあったの」
「うん?」
少し瑠夏の方に振り向くと、頬に手を添えられていた。
「本当はずっと前から、蓮志のことが好きだった……私じゃダメかな?」
瑠夏から目を逸らした。そのまっすぐな視線を合わせることができなかった。
「ありがとう。でもごめん、好きな人いるから」
頬に添えられた手をゆっくり下ろした。
「それなら、嫌いって言って欲しかった。蓮志のばか…」
「ごめん……」
瑠夏の気持ちを考えると辛かった。それと同時に瑠夏のように真っ直ぐに気持ちを伝えられるところが少し眩しかった。
だけど、ここで優しくするのは瑠夏のためじゃないと思った。
蓮志は瑠夏の髪をくしゃっとなでて、部屋を後にした。
瑠夏は、1人取り残された自分とテーブルに残されたケーキに自分を重ねてしまう。
(綺麗に着飾れたケーキも誰かに食べてもらわないと淋しいだけじゃん…)
「凪?どうした?」
「星空、今どこにいる?」
「バイト先出たところだけど」
「じゃぁそっち向かうね」
「うん、わかった」
海里と凪の三人のグループメッセージでは、よくやり取りするものの、凪から直接電話が来ることは初めてだった。
しばらくすると、少し遠くに凪が見えた。
「こっちだよ」
「おまたせ」
「うん、急にどうした?」
「……いや、星空に話があって」
「うん、そうなんだ。とりあえず、近くのベンチに座る?」
それは、星空のバイト先の近くにある川辺のベンチに二人は腰掛けた。
「話って?」
「最近、星空が離れていくような気がして、それが寂しいだけじゃなくて…性別関係なく、人として、たぶん、星空のこと好きなのかもしれないって思った、急にこんなこと言ってごめん」
「凪が、正直な気持ちを話してくれて嬉しい。でも、大切にしたい人がいるから……」
「うん、だから付き合ってって言いたかったわけじゃなくて、ただ知って欲しかった。それと、わがままかもしれないけど、これからも友達でいてほしい」
「うん、甘えてごめん。凪には辛い思いさせるかもしれないけど、友達でいてくれると嬉しいと思ってる」
「うん、ありがとう」
強がった笑顔を見せた、凪のことをまっすぐ見られない自分がいた。
「じゃぁ、そろそろ行くね、話聞いてくれてありがとう。また大学で」
「うん、気をつけて」
いつもみたいに送ろうかと頭によぎったけど、それは凪のためじゃないと思った。
夜風にあたりながら、凪は家に帰ろうとしていた。するとスマホが通知が光った。
それは、海里からのメッセージだった。
『今何してる?』
『散歩してるところ』
『そうなんだ。凪が散歩って珍しくない?』
『そうかも』
『凪、いまどこ?』
『星空のバイト先の近くだけど』
『わかった、今から行くわ』
来なくていいのに……でも、海里のこういうところに救われているところもある。
そういえば、ご飯を食べ忘れてたことを思い出した。
海里が来る前に、コンビニに寄ってお酒数本と、ホットスナックやお菓子を買って近くの公園で待つことにした。
少し経った後、冷たい感触が頬に当たった。
「待った?」
お茶のペットボトルを手渡し、くしゃっと笑う海里に、少し元気が出たような気がした。やっぱりなんか海里は不思議な力があるなと思う。
「今日は付き合ってもらうから」
「わかった、もちろんそのために来たから。てか、珍しくお酒買ってんね?」
「今日は飲みたい気分だったから」
「おっ、いいね~!」
二人は、公園のベンチでお酒を飲みながら買ったものを半分に分けて食べることにした。
「なんかあった?無理に聞くわけじゃないけど」
海里には、何も言わなくても気づいてるのだろうか。
「俺、星空のこと知らない間に好きになってて、けどやっぱりダメだった。星空には大切な人がいるのはわかってたから。でも、星空に思ってたこと話せて良かった」
「……そっか」
「うん」
「こんな時にって思うかもしれないけど、前にいつでも凪のそばにいるって言ったの、本気だから」
「それは、友達としてってことでしょ?わかってるよ」
「いや、わかってない」
海里の普段とは違う少し真剣な眼差しに、凪は目を背けてしまった。
「やっぱり、お酒飲み過ぎたかも…」
ペットボトルに口をつけようとすると、海里がその手を止めて、ふわりと背中に腕が回される。
お酒のせいか、抱きしめられたこと理解するのに時間がかかった。
「こういう意味ってこと。わかった?」
凪の耳元で、いつもの海里とは違う深く低い声に、凪は鼓動が早くなるのを感じて、耳を押さえた。
「……ちょっと待って」
「ごめん、ずっと凪のこと好きだったから」
「嬉しいけど…気持ちが追いついていけないというか、俺は男だし今すぐには海里の気持ちには答えられないよ」
凪は、まっすぐ見つめてくる海里の顔を見ることができなかった。
「でも俺は、凪自身が好きだから性別は関係ないって思ってる。凪の人のことを考えられるところってすごい尊敬してて、だから俺がそんな凪を支えたいって思った」
「ありがと、でも今戸惑っててどう答えたらいいのか気持ちの整理がつかなくて…ごめん、少し待ってほしい」
「うん、今すぐにとは思ってないから。俺のこと少しでもいいから考えてほしい」
「……わかった」
休みの日に、瑠夏から電話があった。
「もしもし?」
「蓮志~、少し付き合ってくれない?」
「ああ、いいよ、準備したら行くね」
瑠夏から呼ばれることはよくあった。
常連なのもあるし、意外と危なっかしいところがあって、目が離せない妹のような存在だったからだ。
「おまたせ」
「じゃぁ行こっか」
待ち合わせ場所に居たのは、いつものハイブランドを身につけた瑠夏の姿ではなく、清楚にまとめられた花柄のワンピースを着た瑠夏の姿があった。
いつもの瑠夏の姿じゃないことに少し戸惑ったが、ただの気分の変化だろうと思いたかった。
「行きたかったカフェがあるんだけど、そこでもいい?」
「ああ、いいよ」
カフェに着くと、店員の人に中に案内される。
「もしかして、カップルですか??」
「ちがいますよ~」
少し照れたように答えた。
「そうなんですか!?すみません、お似合いだったもので…」
「大丈夫ですよ~」
「失礼しました、そのお詫びの代わりと言っては何なのですが、こちら今キャンペーンをしておりまして、割引のサービス券です。よろしければどうぞ。」
「嬉しいです!ありがとうございます~」
店員が通り過ぎた後に、瑠夏が耳打ちをしてきた。
「私達ってお似合いに見えるのかな?」
「……どうだろう」
少し上の空だったかもしれない。星空は昨夜のことをどう思ったのか……。
「そこ、否定してくれなきゃ困るじゃん!なんか違うこと考えてたでしょ!」
瑠夏が笑いながら、肩を叩いてきた。
お互い笑い合った。
でも、瑠夏に言われるとたしかにそうだったかもしれない。蓮志の頭の中には星空の存在が大きくなっていることに気づき始めていた。
そして、蓮志はコーヒー、瑠夏はミルクティーを頼んでお互いの他愛のない会話をした。
あっという間に時間は過ぎて、カフェを出ることにした。
「この後どうする?」
蓮志は時計を眺めながら瑠夏に聞いた。
「……ねえ、この後もずっと一緒にいたいって言ったら…蓮志はどうかな?」
「ずっと?ってどういうこと?」
「だから、蓮志って女の人のことわかってないんだよな~。そういうとこも好きなんだけど」
「……え?」
「つかまえたっ!」
瑠夏に不意に腕を掴まれ、走り出した。
道をかき分けていくと、とあるマンションの一室についた。
「ここ、私の家なんだけど、蓮志の見たがってた映画一緒に見ない?」
掴んでいた腕が少し震えているような気がした。
なぜか振り解けなかった。
「じゃぁ少しだけなら」
「うん」
そのまま、瑠夏の手に引かれながら中に入った。
お互いソファに腰掛けて、映画を見ることにした。
机には、お菓子や小さいケーキを並べて、瑠夏らしいなと思った。
映画を見ながら、お互い感想を言い合っていた。
その時、瑠夏が少し真面目な顔をして話し始めた。
「蓮志、私ね言いたいことがあったの」
「うん?」
少し瑠夏の方に振り向くと、頬に手を添えられていた。
「本当はずっと前から、蓮志のことが好きだった……私じゃダメかな?」
瑠夏から目を逸らした。そのまっすぐな視線を合わせることができなかった。
「ありがとう。でもごめん、好きな人いるから」
頬に添えられた手をゆっくり下ろした。
「それなら、嫌いって言って欲しかった。蓮志のばか…」
「ごめん……」
瑠夏の気持ちを考えると辛かった。それと同時に瑠夏のように真っ直ぐに気持ちを伝えられるところが少し眩しかった。
だけど、ここで優しくするのは瑠夏のためじゃないと思った。
蓮志は瑠夏の髪をくしゃっとなでて、部屋を後にした。
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