ブルームーン-青、君に染まる-

藍沢ルイ

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第十章

願い

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蓮志と湊は行きつけの飲食店に来ていた。

「湊、急に呼び出して悪かった」

「ああ、いいよ、仕事の前に一杯飲みたかったし」

「じゃぁよかった」

「ハイボールでいいよね?」

「うん」

湊は、近くにいる店員を呼んだ。

「すみません、ハイボール2つでお願いします」

「かしこまりした」

店員は、一礼して去っていった。

「そう言えば、あれからどうなったの?」

「え、ああ、まあ…」

「何?その煮え切らない感じ、これはなんかあったわね~」

湊は、少し茶化すように話す。

「そんなことな…いや、あったかも」

「何よそれ、ちょっと教えなさい?」

「ああ~…もういいって」

蓮志は、湊に向けた視線を自分の手元にずらしてそう答えた。

「あらやだ、恥ずかしがっちゃって~でも、何か話があるんじゃなかったの?」

「まあ、そうなんだけど…なんか今までは自分が人のことを好きになるなんて考えなかったから、どうしたらいいかわからないんだよ」

「うん」

「こんな感情初めてだったから」

「そうだね~。でも、そこまで悩むってことは、ちゃんとその子と向き合おうとしてるってことなんじゃない?」

「たしかに、自分の中で目が離せない存在にはなってると思う」

「その子に蓮志の今の自分の気持ち伝えてみな?何かあったら私がそばにいるじゃない」

「そうだよな、ありがとう、湊」

「じゃぁ借り一つってことで、ここ蓮志の奢りね~笑」

「まあ話聞いてもらったし、奢るよ」

湊はそう言って子どもみたいに笑う湊を見て、お互い笑い合った。




星空は、あれからバイトに明け暮れ、しばらく&barに足が遠のいていた。
凪や海里からの連絡は来ていたが、見ないふりをした。
それほど星空にとっては最後に会ったあの夜が恋しく、忘れたいものだったからだ。

あの夜のことは、蓮志さんからすれば、遊びだったのかもしれない。

でも、忘れられなかった。

あの夜の、優しく触れる手も体温が蘇る。

「蓮志…さん…っ」

忘れようとすればするほど思い出してしまう…。
無意識に自分の手が体をなぞる。
胸から段々下に伸びていく手に自分を止められなかった。

「ん…蓮志っ…さん」

「足りない…」

手を動かすのが止められない。
自分の形が大きくなるのを感じた。
脈が早くなる…。

蓮志さんに触ってほしい…。

「んっ…んんっ……はぁはぁ、出そう…ああっ…」

なんでこんなことしてんだろ…。

急いでティッシュを掴み、シャワーを浴びることにした。

『明後日、家来ない?』

部屋のベッドに置かれたスマホにはLINEが届いていた。
それは蓮志からだった。



「おーい、蓮志?」

蓮志と洋平が&barの開店準備をしているところだった。

「……」

「手、止まってんぞ?」

いつもとはどこか違う蓮志に、洋平は不思議に思っていた。

「すみません」

怪訝な顔で覗き込んでくる洋平に、少し戸惑う蓮志。

「スマホ見てたけど、誰かとLINEしてた?」

「え…?」

「なんか蓮志がぼーっとするなんて珍しいなと思って」

「なんもないですよ」

「なんかあったって顔に書いてるけど?俺と蓮志の長年の仲じゃん~教えてくれたっていいでしょ~?」

「本当になんもないって、じゃぁ外掃除行ってくるんで」

「つれないな~」

蓮志が外に出た後、蓮志がスマホを忘れて外に出たことに気付く。

「あれ?あいつスマホ忘れてんじゃん」

その時、蓮志のスマホの通知が届いた。

『会いたいです』

(星空くんだ。蓮志と星空くんと上手く行ってるんだな、よかった。もしかして、さっきのってそういうこと?なに、蓮志もかわいいところあるじゃん。)

しばらく、開店準備をしていると蓮志が戻ってきた。

「おかえり~ご苦労さん」

「うん、てか洋平さん俺のスマホ知らない?」

「ああ、忘れてたよ。これでしょ」

「もしかして、通知見ました?」

「え~見てないよ~」

「本当ですか?」

「でも、星空くんとうまくいってるみたいでよかった」

「うん、まあ…てか、スマホ見てるじゃないですか」

「たまたま目に入って…いや、見るつもりはなかったんだよ、悪かった。でも、2人のこと応援してるから」

「いや、でも俺が忘れたのが悪いんで。それはありがとうございます」

「じゃぁ準備の続きするか」

「そうですね」

蓮志は、星空からの返信を見た後、メッセージを返した。

『じゃぁ明後日バーの前で』
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