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第68話 悪役令嬢
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「ろ、ローランドさん! とりあえず、落ち着いてください」
「いや、俺は落ち着いているよ。ルーシーには突然の話で驚かせる事になってしまい、申し訳ないが」
「わ、私は、落ち着いていますから。えっと、ローランドさんが私に婚約を申し込んで……って、えぇぇぇっ!?」
れ、冷静になろう。
現状を整理すると、上級ダンジョンをクリアして、相愛のお香っていうアイテムを手に入れて……そ、そうだ! いつの間にか相愛のお香を使っちゃっていたんだ!
だから、突然ローランドさんが私に婚約して欲しいだなんて……使ってなーいっ! 燃えたり減ったりした形跡が、お香に一切無かったーっ!
「あ、あのですね。ローランドさん。お気持ちは非常に嬉しいのですが、こういうのは親とか家とか、色々とややこしく、本人たちだけで、どうこう出来る事では無いと思うのですが」
「大丈夫だ。ルーシーの世話係として来ているテレーズさんを通じて、既に君のご両親には話を通してある。もちろん、俺の両親にも説明済みだ」
テレーズさぁーんっ!
いつの間にっ!? いつの間に、そんな事をしていたのっ!?
というか両親に話すより、私に話す方が先じゃないのーっ!?
……いやまぁ、ついさっき自分で言った通り、貴族だから親や家の方が先なのかもしれないけどさ。
「えーっと、ローランドさんにはメリッサさんがいらっしゃいますよね?」
「メリッサは只の幼馴染だが? それに、ついさっきルーシーに婚約を申し込もうと思う……と相談して、背中を押されたのだが?」
メリッサさんに相談したの!?
いや、命の恩人だと感じた直後に居たのが、メリッサさんだけだった訳なんだけど……あ! だから、あんなに元気が無かったんだ。
「ローランドさん。今からでも……」
「ルーシー。俺はルーシーの事がずっと好きだったんだ。どうか、俺と婚約して欲しい」
ストレートっ!
あぁぁ、イケメンがそんな言葉を見つめながら言っちゃダメだよっ!
今感じている幸せが、ずっと続くと勘違いしちゃうよっ!
私は……私は悪役令嬢なのにっ!
「……ローランドさん。これだけは、出来れば言いたくなかったけど、私は……辺境へ飛ばされる運命なの」
「どういう事だ?」
「実は私……自分の未来を知っていて、辺境で一生を過ごすのよ」
「辺境? どんな所だ?」
「えっと、森の中で、すぐ近くは断崖絶壁。真下が海で、風が凄く強くて、崖に近付くと落ちそうになってしまう場所……かな」
ルーシーの末路はエンディングのワンシーンでしかないけど、確かそんな感じだったはず。
遠目に牛が草を食べていたり、麦畑が広がっていたりして、「なんなの!? このど田舎はっ! こんな未開の地で生活なんて出来ないわっ!」って叫びながら怒るのが、ルーシーの最後のシーンだったかな。
で、ハノーヴァー地方へ花嫁修行に送り出されたルーシーは、その地で生涯を終えた……みたいなナレーションだけがあるのよね。
「風の強い崖で、真下は海。で、すぐそばに森……もしかして、近くに風車はないか?」
「あったような気もする……かな?」
「で、その地名がハノーヴァーだったりしないか?」
「そうそう! って、どうしてローランドさんが知っているの!?」
「いや、俺の名前……ローランド・ハノーヴァーなんだが」
ハノーヴァー?
どうして突然ローランドさんは、家名を名乗ったりしたのかしら?
「……って、待って! えっ!? えぇっ!? えぇぇぇっ!?」
「俺の家の領地……まぁ辺境だが、この学園からも近いし、悪くはないと思うんだが」
「ど、どういう事なの?」
「どういう事……って、この学園自体が辺境じゃないか。で、この学園裏の森続きで、隣の国に繋がっているだろ? そこが俺の……ハノーヴァー領だ」
「え!? そ、そうなの!?」
「さて、念の為に聞いておくが、俺の事は嫌いじゃないだろ?」
「そりゃあ、嫌いだったら一緒に居ないですし……」
「じゃあ、決まりだな。未来を知っているルーシーが、一生を俺の地で過ごすっていう事は……俺と婚約してくれるっていう事だよな」
「は、はい……きゃあっ!」
私が返事をした瞬間、思いっきり抱きしめられた。
ローランドさんは、いろいろと唐突過ぎるのよっ!
……けど、本当に私は幸せになれるのっ!? 悪役令嬢なんだけどっ!
「いや、俺は落ち着いているよ。ルーシーには突然の話で驚かせる事になってしまい、申し訳ないが」
「わ、私は、落ち着いていますから。えっと、ローランドさんが私に婚約を申し込んで……って、えぇぇぇっ!?」
れ、冷静になろう。
現状を整理すると、上級ダンジョンをクリアして、相愛のお香っていうアイテムを手に入れて……そ、そうだ! いつの間にか相愛のお香を使っちゃっていたんだ!
だから、突然ローランドさんが私に婚約して欲しいだなんて……使ってなーいっ! 燃えたり減ったりした形跡が、お香に一切無かったーっ!
「あ、あのですね。ローランドさん。お気持ちは非常に嬉しいのですが、こういうのは親とか家とか、色々とややこしく、本人たちだけで、どうこう出来る事では無いと思うのですが」
「大丈夫だ。ルーシーの世話係として来ているテレーズさんを通じて、既に君のご両親には話を通してある。もちろん、俺の両親にも説明済みだ」
テレーズさぁーんっ!
いつの間にっ!? いつの間に、そんな事をしていたのっ!?
というか両親に話すより、私に話す方が先じゃないのーっ!?
……いやまぁ、ついさっき自分で言った通り、貴族だから親や家の方が先なのかもしれないけどさ。
「えーっと、ローランドさんにはメリッサさんがいらっしゃいますよね?」
「メリッサは只の幼馴染だが? それに、ついさっきルーシーに婚約を申し込もうと思う……と相談して、背中を押されたのだが?」
メリッサさんに相談したの!?
いや、命の恩人だと感じた直後に居たのが、メリッサさんだけだった訳なんだけど……あ! だから、あんなに元気が無かったんだ。
「ローランドさん。今からでも……」
「ルーシー。俺はルーシーの事がずっと好きだったんだ。どうか、俺と婚約して欲しい」
ストレートっ!
あぁぁ、イケメンがそんな言葉を見つめながら言っちゃダメだよっ!
今感じている幸せが、ずっと続くと勘違いしちゃうよっ!
私は……私は悪役令嬢なのにっ!
「……ローランドさん。これだけは、出来れば言いたくなかったけど、私は……辺境へ飛ばされる運命なの」
「どういう事だ?」
「実は私……自分の未来を知っていて、辺境で一生を過ごすのよ」
「辺境? どんな所だ?」
「えっと、森の中で、すぐ近くは断崖絶壁。真下が海で、風が凄く強くて、崖に近付くと落ちそうになってしまう場所……かな」
ルーシーの末路はエンディングのワンシーンでしかないけど、確かそんな感じだったはず。
遠目に牛が草を食べていたり、麦畑が広がっていたりして、「なんなの!? このど田舎はっ! こんな未開の地で生活なんて出来ないわっ!」って叫びながら怒るのが、ルーシーの最後のシーンだったかな。
で、ハノーヴァー地方へ花嫁修行に送り出されたルーシーは、その地で生涯を終えた……みたいなナレーションだけがあるのよね。
「風の強い崖で、真下は海。で、すぐそばに森……もしかして、近くに風車はないか?」
「あったような気もする……かな?」
「で、その地名がハノーヴァーだったりしないか?」
「そうそう! って、どうしてローランドさんが知っているの!?」
「いや、俺の名前……ローランド・ハノーヴァーなんだが」
ハノーヴァー?
どうして突然ローランドさんは、家名を名乗ったりしたのかしら?
「……って、待って! えっ!? えぇっ!? えぇぇぇっ!?」
「俺の家の領地……まぁ辺境だが、この学園からも近いし、悪くはないと思うんだが」
「ど、どういう事なの?」
「どういう事……って、この学園自体が辺境じゃないか。で、この学園裏の森続きで、隣の国に繋がっているだろ? そこが俺の……ハノーヴァー領だ」
「え!? そ、そうなの!?」
「さて、念の為に聞いておくが、俺の事は嫌いじゃないだろ?」
「そりゃあ、嫌いだったら一緒に居ないですし……」
「じゃあ、決まりだな。未来を知っているルーシーが、一生を俺の地で過ごすっていう事は……俺と婚約してくれるっていう事だよな」
「は、はい……きゃあっ!」
私が返事をした瞬間、思いっきり抱きしめられた。
ローランドさんは、いろいろと唐突過ぎるのよっ!
……けど、本当に私は幸せになれるのっ!? 悪役令嬢なんだけどっ!
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