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第5話 小屋の奥から聞こえてくる声
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「誰か……居るの?」
「うんっ! 居るよー! ご飯ご飯ー!」
小屋の奥から、子供のような声が聞こえてくる。
まさか、あの三人が言っていた取引って、人身売買なのっ!?
もしもそうなのだとしたら、決して許される事ではないので、私は街に戻って父の力を借りてでも、さっきの人たちを捕らえなければならない。
だけど今は、それよりも子供を助けてあげないと!
「待ってて! すぐに行くから!」
奥の部屋は、木箱が沢山置かれていた。
もしかして、この箱の中に子供が!? ……と、中を覗いて見たけど、中身は空で蓋すらされていない。
「ボクは一番奥だよー!」
「わかったわ!」
箱を乗り越えて部屋の隅に行くと、一つだけ黒い布が被せられた小さな箱があった。
到底、子供が入れるようなサイズではないけど、布の中から声が聞こえてくる。
ひとまず黒い布を取ってみると、中は鉄格子になっていて……白いウサギのような、もふもふした動物が閉じ込められていた。
「あれ? ここから声がしたと思ったんだけどな」
「うん。ボクだよー! それより、ご飯を頂戴っ!」
「えっ……喋った!?」
「説明は後でするから、美味しそうな香りがしているものを持ってきて欲しいなー!」
「う、うん。ちょっと待っててね」
喋るウサギだなんて、流石は異世界といったところだろうか。
正直言って驚き過ぎて、卒倒しそうだったけど、相手がお腹を空かせているというのであれば、美味しいご飯を出してあげるのが料理人だ。
なので、さっき男性たちに作って見せたスープを器によそい、ウサギさんの許へ。
「えっと、まだ少し熱いかも」
「大丈夫ー! それより、早く早くー!」
「じゃあ、気をつけてね?」
スープが零れないように、気を付けながら檻の中へ皿を入れると、ウサギさんがあっという間に空っぽにしてしまった。
おかわりを持ってきた方が良いのかな? と思っていると……ウサギさんの様子がおかしい!?
もしかして、豆はウサギさんに食べさせてはダメな食材だったのだろうか。
「……力が漲ってきたーっ!」
「えっ!? う、ウサギさん?」
「えいっ!」
力強い掛け声と共に、硬い鉄格子からウサギさんが飛び出て来た!?
しかも、明らかに先程よりも身体が二回りくらい大きくなっている。
ど、どうしよう。鉄格子をすり抜けるような、謎の力を持っているウサギさんが私に向かって来て……飛び掛かってきた!?
「きゃあっ!」
「ふぇっ!? ご、ごめんよ! ボクはお礼がしたかっただけなんだ。君のおかげで檻から出られたし、ご飯も美味しいかったし」
「あ……あれ? 小さくなってる?」
「うん、ボクの魔法だよ。だけどボク、魔法を使うと凄くお腹が減るというか、腹ペコだと何も出来ないんだー」
このウサギさんは魔法で身体の大きさを変えられるのかな?
空中で小さくなったウサギさんが、咄嗟に出てしまった私の手に飛び乗る。
この手乗りサイズなら、確かにあの檻からも出られるだろう。
そう思った直後、クゥっとウサギさんのお腹が鳴った。
「えっと、さっきのスープで良ければまだあるけど……食べる?」
「食べるー!」
小さな身体のままのウサギさんが、溺れているのでは? と不安になる勢いでお皿に顔を突っ込み、スープを飲み干す。
身体の大きさと、食べた量が釣り合わない気がするけど……き、気にしない方が良いのかな。
「ふぅ……美味しかったー! ありがとー!」
「いえいえ、どういたしまして」
「スープに入っていたのは、アース・プラントかな? あれだけだと辛くて食べたくないんだけど、スープに適量を入れると、あんなに美味しくなるんだねー」
「凄い! 正解だよ。よく分かったね」
「ボクは植物には詳しいからねー。例えば、あの草は肝臓の病気の予防になるんだよー」
へぇー、そうなんだ。
アース・プラントは日本にも似た感じの植物があって、塩味を得るのに使えるのは知っていたけど、病気に効くっていう話は知らなかった。
この世界の人たちに美味しい料理を広めようと思っているけど、どうせなら美味しいだけじゃなくて、身体に良い料理を作りたいよね。
その方が、より料理に興味を持って貰えそうだし。
「あ、そうだ! 助けてもらったお礼をしたいんだけど……何か希望はあるー? それなりの事は出来ると思うけどー」
ウサギさんからの恩返しかぁ。
鶴なら羽根で機を織ったりしそうだけど……いやいや異世界だし、この話は通じないよね。
「あ、そうだ! もしもあなたが良ければだけど、私と一緒に行かない? 私はあなたにご飯を作るから、あなたは私に植物の事……効能とかを教えて欲しいの」
「それは……君の美味しいご飯が食べ放題って事!? そんなの、むしろボクの方がお願いしたいくらいだけど、本当に良いの?」
「えぇ。ちょっといろいろあって、私はこの国の植物の事をあまり知らないから、食べられる植物とかを教えて欲しいな」
「そういう事なら、任せてーっ! えっと、ボクはタマっていうんだけど、君は?」
「私はアリスよ。じゃあ、これから宜しくね。タマちゃん」
猫みたいな名前の喋るウサギさんと意気投合し、一緒に村を目指す事になった。
まずはリアムさんと合流しないと……だけど、タマちゃんは人懐っこいし、すぐに仲良くなれるよね?
そんな事を考えながら小屋を出ると、正面に剣を構えた人が居る!?
「きゃぁぁぁっ!」
「待ってくれ! これは……って、アリスお嬢様っ!?」
「その声は……リアムさん!? 良かった!」
リアムさんの服が茶色や緑に汚れているあたり、必死に私を探してくれたのだろう。
お互い無事に合流出来た事を安堵していたのだけど……何故か、リアムさんが剣を構え続けている。
「あの、リアムさん?」
「アリスお嬢様! 慌てずに、ゆっくり俺の傍に来てください。見た事のない魔物ですが……今度こそ、貴女をお護り致します」
リアムさんは何を言っているのだろう? と思ったけど、その視線は私の後ろに向けられていた。
私も背後に目を向けると、警戒しているからか、タマちゃんが一メートルくらいの大きさになってる!?
ち、違うからっ! タマちゃんは魔物じゃないからっ!
どっちも一旦落ち着いてぇぇぇっ!
「うんっ! 居るよー! ご飯ご飯ー!」
小屋の奥から、子供のような声が聞こえてくる。
まさか、あの三人が言っていた取引って、人身売買なのっ!?
もしもそうなのだとしたら、決して許される事ではないので、私は街に戻って父の力を借りてでも、さっきの人たちを捕らえなければならない。
だけど今は、それよりも子供を助けてあげないと!
「待ってて! すぐに行くから!」
奥の部屋は、木箱が沢山置かれていた。
もしかして、この箱の中に子供が!? ……と、中を覗いて見たけど、中身は空で蓋すらされていない。
「ボクは一番奥だよー!」
「わかったわ!」
箱を乗り越えて部屋の隅に行くと、一つだけ黒い布が被せられた小さな箱があった。
到底、子供が入れるようなサイズではないけど、布の中から声が聞こえてくる。
ひとまず黒い布を取ってみると、中は鉄格子になっていて……白いウサギのような、もふもふした動物が閉じ込められていた。
「あれ? ここから声がしたと思ったんだけどな」
「うん。ボクだよー! それより、ご飯を頂戴っ!」
「えっ……喋った!?」
「説明は後でするから、美味しそうな香りがしているものを持ってきて欲しいなー!」
「う、うん。ちょっと待っててね」
喋るウサギだなんて、流石は異世界といったところだろうか。
正直言って驚き過ぎて、卒倒しそうだったけど、相手がお腹を空かせているというのであれば、美味しいご飯を出してあげるのが料理人だ。
なので、さっき男性たちに作って見せたスープを器によそい、ウサギさんの許へ。
「えっと、まだ少し熱いかも」
「大丈夫ー! それより、早く早くー!」
「じゃあ、気をつけてね?」
スープが零れないように、気を付けながら檻の中へ皿を入れると、ウサギさんがあっという間に空っぽにしてしまった。
おかわりを持ってきた方が良いのかな? と思っていると……ウサギさんの様子がおかしい!?
もしかして、豆はウサギさんに食べさせてはダメな食材だったのだろうか。
「……力が漲ってきたーっ!」
「えっ!? う、ウサギさん?」
「えいっ!」
力強い掛け声と共に、硬い鉄格子からウサギさんが飛び出て来た!?
しかも、明らかに先程よりも身体が二回りくらい大きくなっている。
ど、どうしよう。鉄格子をすり抜けるような、謎の力を持っているウサギさんが私に向かって来て……飛び掛かってきた!?
「きゃあっ!」
「ふぇっ!? ご、ごめんよ! ボクはお礼がしたかっただけなんだ。君のおかげで檻から出られたし、ご飯も美味しいかったし」
「あ……あれ? 小さくなってる?」
「うん、ボクの魔法だよ。だけどボク、魔法を使うと凄くお腹が減るというか、腹ペコだと何も出来ないんだー」
このウサギさんは魔法で身体の大きさを変えられるのかな?
空中で小さくなったウサギさんが、咄嗟に出てしまった私の手に飛び乗る。
この手乗りサイズなら、確かにあの檻からも出られるだろう。
そう思った直後、クゥっとウサギさんのお腹が鳴った。
「えっと、さっきのスープで良ければまだあるけど……食べる?」
「食べるー!」
小さな身体のままのウサギさんが、溺れているのでは? と不安になる勢いでお皿に顔を突っ込み、スープを飲み干す。
身体の大きさと、食べた量が釣り合わない気がするけど……き、気にしない方が良いのかな。
「ふぅ……美味しかったー! ありがとー!」
「いえいえ、どういたしまして」
「スープに入っていたのは、アース・プラントかな? あれだけだと辛くて食べたくないんだけど、スープに適量を入れると、あんなに美味しくなるんだねー」
「凄い! 正解だよ。よく分かったね」
「ボクは植物には詳しいからねー。例えば、あの草は肝臓の病気の予防になるんだよー」
へぇー、そうなんだ。
アース・プラントは日本にも似た感じの植物があって、塩味を得るのに使えるのは知っていたけど、病気に効くっていう話は知らなかった。
この世界の人たちに美味しい料理を広めようと思っているけど、どうせなら美味しいだけじゃなくて、身体に良い料理を作りたいよね。
その方が、より料理に興味を持って貰えそうだし。
「あ、そうだ! 助けてもらったお礼をしたいんだけど……何か希望はあるー? それなりの事は出来ると思うけどー」
ウサギさんからの恩返しかぁ。
鶴なら羽根で機を織ったりしそうだけど……いやいや異世界だし、この話は通じないよね。
「あ、そうだ! もしもあなたが良ければだけど、私と一緒に行かない? 私はあなたにご飯を作るから、あなたは私に植物の事……効能とかを教えて欲しいの」
「それは……君の美味しいご飯が食べ放題って事!? そんなの、むしろボクの方がお願いしたいくらいだけど、本当に良いの?」
「えぇ。ちょっといろいろあって、私はこの国の植物の事をあまり知らないから、食べられる植物とかを教えて欲しいな」
「そういう事なら、任せてーっ! えっと、ボクはタマっていうんだけど、君は?」
「私はアリスよ。じゃあ、これから宜しくね。タマちゃん」
猫みたいな名前の喋るウサギさんと意気投合し、一緒に村を目指す事になった。
まずはリアムさんと合流しないと……だけど、タマちゃんは人懐っこいし、すぐに仲良くなれるよね?
そんな事を考えながら小屋を出ると、正面に剣を構えた人が居る!?
「きゃぁぁぁっ!」
「待ってくれ! これは……って、アリスお嬢様っ!?」
「その声は……リアムさん!? 良かった!」
リアムさんの服が茶色や緑に汚れているあたり、必死に私を探してくれたのだろう。
お互い無事に合流出来た事を安堵していたのだけど……何故か、リアムさんが剣を構え続けている。
「あの、リアムさん?」
「アリスお嬢様! 慌てずに、ゆっくり俺の傍に来てください。見た事のない魔物ですが……今度こそ、貴女をお護り致します」
リアムさんは何を言っているのだろう? と思ったけど、その視線は私の後ろに向けられていた。
私も背後に目を向けると、警戒しているからか、タマちゃんが一メートルくらいの大きさになってる!?
ち、違うからっ! タマちゃんは魔物じゃないからっ!
どっちも一旦落ち着いてぇぇぇっ!
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