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第9話 薬草嫌いの子供に届ける料理
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「あの、作り直さなくても、スープはまだ沢山ありますよ?」
「違うんだよ。このスープは、薬草入りなんだろ? 同じ様に、違う薬草で作ってもらいたいんだ!」
「何か別の薬草を食べ易くして欲しいって事ですか?」
私の言葉に、奥さんが大きく頷く。
奥さんの子供か知人の子供かはわからないけど、この村に薬草が苦手な子供がいるという事だろう。
「わかりました。ですが、先に使いたい薬草を教えていただく事は可能ですか? この冷製スープは、村の外に自生していた薬草を使ったのですが、味や香りから合う料理を考えたので」
「そ、そっか。ただ、先に謝らせて欲しいんだけど、使いたい薬草っていうのが、土の枝っていう木の根なんだ」
「土の枝……ですか?」
「あぁ。昔から皮膚の病気に効くって言われているんだけど、硬いし土みたいな味がするし、大人は我慢して食べるんだけど、子供は嫌がって食べないんだよ」
なるほど。
ただ、流石に木の根っこを料理した事なんてない。
根菜だったら、幾らでもやりようはあるんだけど。
「お願いだ! ウチの畑で取れる食材なら、何を使ってもらっても良い。知り合いの娘さんなんだけど、顔に皮膚の病気が出てしまってね。外へ出るどころか、人目を避けるように窓から顔すら出さない有様でね」
「ずっと部屋に閉じこもってしまっているんですね」
「そうなんだ。土の枝を食べ続ければ治るはずなんだけど、一度食べられないと思ってしまうと、中々ね……」
「うーん。ひとまず、その土の枝というものの味を確かめても良いですか? それから何を作るか考えますから」
そう言うと、奥さんが再び納屋へ向かって走って行った。
「アリスさん。まさかこんな事になるとは……すみません」
「ううん。こんなの誰だって予想出来ないですよ。だけど、苦しんでいる子供を助けられるかもしれないので、むしろ良かったはずです」
「そう言っていただけると助かります」
リアムさんが責任を感じる事なんて無いし、私の料理が人助けになるのは本心で嬉しいので、どうか気にしないで貰いたい。
「アリスー。でも木の根だなんて、大丈夫ー?」
「うーん。こればっかりは何とも言えないかな」
「一応伝えておくと、土の枝は苦みがあったはずだよ」
「苦味……うーん。子供が苦手な味よね」
大人になると、苦い食べ物が美味しく感じるんだけど……何か手を打たないといけないかな。
タマちゃんから土の枝について教えてもらっていると、奥さんが細長い木の棒を何本か持って戻ってきた。
土の枝という名前の通り、遠目には木の枝にしか見えなかったけど……待って! これなら大丈夫っ!
「これが薬になる土の枝なんだけど……どうだい?」
「大丈夫です! これに合わせる食材が欲しいので、畑を見させていただいても良いですか?」
「凄いね。見ただけで……それより畑だね。ついて来ておくれ」
先程までの心配があっという間に解消し、一転して何を作ろうかと頭を悩ませる。
だけど畑に行くと、ニンジンやキュウリみたいな野菜があったので……よし、決定!
土の枝改め、ゴボウの料理を沢山作ろう!
とはいえ、調味料が殆どないので、作れる物は限られてしまうけど。
「じゃあ、早速作っていきますが、ゴボウ……もとい、土の枝を子供に食べさせる時は、水にさらすと良いと思います。苦みが薄れるので」
「水に?」
「はい。ただ食べ易くはなりますが、長時間水にさらすと、薬効が弱くなってしまうので、それは気を付けてくださいね」
「へぇ……あっ! そういえば亡くなった爺様が、土の枝を川に持って行っていた気がする」
なるほど。昔の人はアク抜きを知っていたけど、ちゃんと伝わっていなかったのかな?
それとも、昔は料理に興味を持っている人が多かった……とか?
そんな事を考えながら、水を入れた鍋にゴボウをささがきにして入れ、数分待つ。
本来なら、アク抜きせずにそのまま使いたいんだけど、子供がゴボウに苦手意識を持っているみたいだから仕方ないかな。
そんな事を考えながら水を切って、ニンジンと一緒に炒め……まずは一品目となる、定番中の定番、きんぴらごぼうが出来た。
とはいえ、醤油やみりんがないので、味付けが塩だけだというのが悲しいけど。
「優しい味……土の枝を細く切って、水に浸けて焼くんだね。……よく、こんなのを思い付くね」
「あ、あはは。せっかくのご飯ですし、みんなで美味しく食べたいので。食べてくれた方から美味しいって言ってもらえると、嬉しくなっちゃいますよね」
「美味しいって言ってもらえると嬉しい……か。確かにそうかもしれないね」
嬉しくなるのは本当の事だけど、何とか誤魔化せたかな? 日本の定番料理だなんて言えないもんね。
異世界の記憶があるって言ったら、間違いなく変な目で見られちゃうし。
けど、その日本料理の知識が役立っているんだけど。
「次は、こちらです。土の枝のカリカリ炒めです」
出来立てで、まだ熱いと思うのだけど、先程のきんぴらごぼうが美味しかったからか、みんなの手が伸びてくる。
「これは……さっきのスープと同じくらい衝撃的だね! とても美味しいよ」
「んっ! アリスさん。俺はこれ、大好きです! 木の根だなんて、信じられないです!」
「ボクも、こっちの方が好きー!」
薄切りにしたゴボウに小麦粉をまぶし、塩で炒めただけなんだけど……カリカリにしているから、食感が良いのかも。
それから、味付けが塩しかないけれど、幾つかゴボウ料理を作り、奥さんの言う皮膚の病気になってしまった子供のところへ持って行く事に。
トレイに料理の入ったお皿を載せ、奥さんについて行くんだけど……こ、この場所なの!?
「違うんだよ。このスープは、薬草入りなんだろ? 同じ様に、違う薬草で作ってもらいたいんだ!」
「何か別の薬草を食べ易くして欲しいって事ですか?」
私の言葉に、奥さんが大きく頷く。
奥さんの子供か知人の子供かはわからないけど、この村に薬草が苦手な子供がいるという事だろう。
「わかりました。ですが、先に使いたい薬草を教えていただく事は可能ですか? この冷製スープは、村の外に自生していた薬草を使ったのですが、味や香りから合う料理を考えたので」
「そ、そっか。ただ、先に謝らせて欲しいんだけど、使いたい薬草っていうのが、土の枝っていう木の根なんだ」
「土の枝……ですか?」
「あぁ。昔から皮膚の病気に効くって言われているんだけど、硬いし土みたいな味がするし、大人は我慢して食べるんだけど、子供は嫌がって食べないんだよ」
なるほど。
ただ、流石に木の根っこを料理した事なんてない。
根菜だったら、幾らでもやりようはあるんだけど。
「お願いだ! ウチの畑で取れる食材なら、何を使ってもらっても良い。知り合いの娘さんなんだけど、顔に皮膚の病気が出てしまってね。外へ出るどころか、人目を避けるように窓から顔すら出さない有様でね」
「ずっと部屋に閉じこもってしまっているんですね」
「そうなんだ。土の枝を食べ続ければ治るはずなんだけど、一度食べられないと思ってしまうと、中々ね……」
「うーん。ひとまず、その土の枝というものの味を確かめても良いですか? それから何を作るか考えますから」
そう言うと、奥さんが再び納屋へ向かって走って行った。
「アリスさん。まさかこんな事になるとは……すみません」
「ううん。こんなの誰だって予想出来ないですよ。だけど、苦しんでいる子供を助けられるかもしれないので、むしろ良かったはずです」
「そう言っていただけると助かります」
リアムさんが責任を感じる事なんて無いし、私の料理が人助けになるのは本心で嬉しいので、どうか気にしないで貰いたい。
「アリスー。でも木の根だなんて、大丈夫ー?」
「うーん。こればっかりは何とも言えないかな」
「一応伝えておくと、土の枝は苦みがあったはずだよ」
「苦味……うーん。子供が苦手な味よね」
大人になると、苦い食べ物が美味しく感じるんだけど……何か手を打たないといけないかな。
タマちゃんから土の枝について教えてもらっていると、奥さんが細長い木の棒を何本か持って戻ってきた。
土の枝という名前の通り、遠目には木の枝にしか見えなかったけど……待って! これなら大丈夫っ!
「これが薬になる土の枝なんだけど……どうだい?」
「大丈夫です! これに合わせる食材が欲しいので、畑を見させていただいても良いですか?」
「凄いね。見ただけで……それより畑だね。ついて来ておくれ」
先程までの心配があっという間に解消し、一転して何を作ろうかと頭を悩ませる。
だけど畑に行くと、ニンジンやキュウリみたいな野菜があったので……よし、決定!
土の枝改め、ゴボウの料理を沢山作ろう!
とはいえ、調味料が殆どないので、作れる物は限られてしまうけど。
「じゃあ、早速作っていきますが、ゴボウ……もとい、土の枝を子供に食べさせる時は、水にさらすと良いと思います。苦みが薄れるので」
「水に?」
「はい。ただ食べ易くはなりますが、長時間水にさらすと、薬効が弱くなってしまうので、それは気を付けてくださいね」
「へぇ……あっ! そういえば亡くなった爺様が、土の枝を川に持って行っていた気がする」
なるほど。昔の人はアク抜きを知っていたけど、ちゃんと伝わっていなかったのかな?
それとも、昔は料理に興味を持っている人が多かった……とか?
そんな事を考えながら、水を入れた鍋にゴボウをささがきにして入れ、数分待つ。
本来なら、アク抜きせずにそのまま使いたいんだけど、子供がゴボウに苦手意識を持っているみたいだから仕方ないかな。
そんな事を考えながら水を切って、ニンジンと一緒に炒め……まずは一品目となる、定番中の定番、きんぴらごぼうが出来た。
とはいえ、醤油やみりんがないので、味付けが塩だけだというのが悲しいけど。
「優しい味……土の枝を細く切って、水に浸けて焼くんだね。……よく、こんなのを思い付くね」
「あ、あはは。せっかくのご飯ですし、みんなで美味しく食べたいので。食べてくれた方から美味しいって言ってもらえると、嬉しくなっちゃいますよね」
「美味しいって言ってもらえると嬉しい……か。確かにそうかもしれないね」
嬉しくなるのは本当の事だけど、何とか誤魔化せたかな? 日本の定番料理だなんて言えないもんね。
異世界の記憶があるって言ったら、間違いなく変な目で見られちゃうし。
けど、その日本料理の知識が役立っているんだけど。
「次は、こちらです。土の枝のカリカリ炒めです」
出来立てで、まだ熱いと思うのだけど、先程のきんぴらごぼうが美味しかったからか、みんなの手が伸びてくる。
「これは……さっきのスープと同じくらい衝撃的だね! とても美味しいよ」
「んっ! アリスさん。俺はこれ、大好きです! 木の根だなんて、信じられないです!」
「ボクも、こっちの方が好きー!」
薄切りにしたゴボウに小麦粉をまぶし、塩で炒めただけなんだけど……カリカリにしているから、食感が良いのかも。
それから、味付けが塩しかないけれど、幾つかゴボウ料理を作り、奥さんの言う皮膚の病気になってしまった子供のところへ持って行く事に。
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