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第11話 温かい夕食
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エイミーが今後もゴボウを食べられるようにと、奥さんの家で作ったゴボウ料理を全てウォルトさんに教えた。
もちろん、一度に全て覚えられるとは思っていないので、まずは私が作ってみせて、手順をメモしてもらっている。
「……って感じです。どうぞ、食べてみてください」
「……う、旨い! あの土の味と苦味が強い土の枝を、ここまで旨くするなんて凄いな」
「次はウォルトさんがこれをエイミーさんに作ってあげる番ですよ」
「よ、よし。じゃあ、まずエイミーが気に入ったカリカリ炒めを作ってみるよ」
早速、ウォルトさんに実践してもらっていると、ここへ連れて来た奥さんがそろそろ帰ると言う。
「お嬢ちゃん。そっちの兄ちゃんがカマドを貸してくれって言ってきた時は驚いたけど、エイミーを助けてくれて本当にありがとう」
「いえ、こちらこそカマドを貸していただいて……って、後片付けをしてないっ! 食材の代金も……」
「そんなの良いよ。それよりウォルトに料理を教えてくれたのは助かるけど、良かったのかい? そういう調理法って門外不出というか、お嬢ちゃんが試行錯誤で編み出したものなんだろ?」
奥さんが申し訳なさそうにしているけど、日本ではネットを見れば幾らでもレシピが出て来るから、私はそれを見ながら作っただけなのよね。
そして料理が好きだから、作っている内にいつの間にか思えちゃって、アレンジとかも出来るようになっただけだからさ。
「大丈夫です。美味しい料理は、大勢の人に味わってもらいたいので」
「そうかい。本当にありがとうよ。あと、ウォルトは昔から不器用だから、それなりに出来るようになるには一晩掛かるかもしれないね。もし時間があるなら、私の家に来ておくれ。幾らでも泊まっていってくれて構わないからね」
「ちょっ、姉さん。俺だって、料理人の端くれなんだ。エイミーの為に、土の枝料理を習得して……ん? あれ? ささがきって、難しいな。師匠は簡単そうにやっていたのに」
いやあの、ウォルトさん……師匠って、私の事なのっ!?
ただ、それはさておき、奥さんはウォルトさんの姉……エイミーの叔母だったのね。
だから、親身になって対応していたんだ。
一つ疑問が解消したところで、奥さんが非常に聞きづらいところへ踏み込む。
「ところで、ウォルト。奥さんはどうしたの? 全く姿を見ないけど」
ひぇぇぇっ! そ、そこを聞いちゃうのっ!? いくら姉弟といっても、凄くプライベートなところではっ!?
「あぁ、今は王都に行っているんだよ。エイミーが土の枝を食べられないって聞いて、同じ効能を持つ食べ易い薬草を探しに行ったんだ」
「そうなのかい。私はウォルトが甲斐性無しで、愛想を尽かされて家を出て行ったのかと思ったよ」
「何を言うんだ。俺と妻はラブラブに決まってるだろ! 俺たちがどれだけ愛し合っているかを語ろうではないか」
えっと……私は今、何を聞かされているのだろうか。
結局、ウォルトさんの話ばかりで料理が進まず、陽が沈んできたので、私が夕食を作る事になった。
というのも、料理店だけあってカマドが二つあるし、何より食材が豊富で、パンを作る為のイースト菌みたいなものまである!
見ているだけでも勉強になるから……と、何を使っても良いと言われてしまったし、こんなの作るしかないでしょっ!
そんな私が今日の夕食として作ったのは……これっ!
「お待たせ! クリームシチューっていう煮込み料理なの。パンに付けて食べても美味しいわよ」
大きな鍋いっぱいにシチューを作り、パンを焼いて、付け合わせのサラダもたくさん作らせてもらったから、本当に楽しかった!
強いて言うなら、お肉が無かったのが残念だけど、それくらいは仕方がないかな。
「あ、アリスさんっ! お、おかわりをっ! これはカリカリ炒めどころではありませんっ!」
「アリス凄ーい! こんなの初めて食べたよー!」
リアムさんとタマちゃんがあっという間にお皿を空にする。
「これは……知らなかったよ。腹を満たす為の食事が、こんなにも素晴らしい事だったなんて」
「美味しいっ! 私も大きくなったら、お姉ちゃんみたいに美味しいご飯を作れるようになるっ! 絶対に料理人になるのっ!」
「エイミー……よし。まずはパパと一緒に作ろうか。ママに食べさせてあげて、びっくりさせるんだ!」
奥さんやエイミーにウォルトさんも、シチューを食べて笑顔を浮かべてくれている。
そう……これよっ! 本来、食事ってみんなが幸せそうにしているものなんだからっ!
かなり多めに作った夕食だったけど、みんなが残らず食べきってくれた。
それから、もう陽が完全に落ちているからと、奥さんが家に泊めてくれる事に。
ウォルトさんの料理に対する意識が変わったみたいだし、それがこの村全体に広がっていくと良いな。
少しずつだけど、この世界の人たちに食事が温かいものだって知ってもらうんだ!
そんな事を思いながら就寝し……明朝にリアムさんの故郷へ向かう事にした。
もちろん、一度に全て覚えられるとは思っていないので、まずは私が作ってみせて、手順をメモしてもらっている。
「……って感じです。どうぞ、食べてみてください」
「……う、旨い! あの土の味と苦味が強い土の枝を、ここまで旨くするなんて凄いな」
「次はウォルトさんがこれをエイミーさんに作ってあげる番ですよ」
「よ、よし。じゃあ、まずエイミーが気に入ったカリカリ炒めを作ってみるよ」
早速、ウォルトさんに実践してもらっていると、ここへ連れて来た奥さんがそろそろ帰ると言う。
「お嬢ちゃん。そっちの兄ちゃんがカマドを貸してくれって言ってきた時は驚いたけど、エイミーを助けてくれて本当にありがとう」
「いえ、こちらこそカマドを貸していただいて……って、後片付けをしてないっ! 食材の代金も……」
「そんなの良いよ。それよりウォルトに料理を教えてくれたのは助かるけど、良かったのかい? そういう調理法って門外不出というか、お嬢ちゃんが試行錯誤で編み出したものなんだろ?」
奥さんが申し訳なさそうにしているけど、日本ではネットを見れば幾らでもレシピが出て来るから、私はそれを見ながら作っただけなのよね。
そして料理が好きだから、作っている内にいつの間にか思えちゃって、アレンジとかも出来るようになっただけだからさ。
「大丈夫です。美味しい料理は、大勢の人に味わってもらいたいので」
「そうかい。本当にありがとうよ。あと、ウォルトは昔から不器用だから、それなりに出来るようになるには一晩掛かるかもしれないね。もし時間があるなら、私の家に来ておくれ。幾らでも泊まっていってくれて構わないからね」
「ちょっ、姉さん。俺だって、料理人の端くれなんだ。エイミーの為に、土の枝料理を習得して……ん? あれ? ささがきって、難しいな。師匠は簡単そうにやっていたのに」
いやあの、ウォルトさん……師匠って、私の事なのっ!?
ただ、それはさておき、奥さんはウォルトさんの姉……エイミーの叔母だったのね。
だから、親身になって対応していたんだ。
一つ疑問が解消したところで、奥さんが非常に聞きづらいところへ踏み込む。
「ところで、ウォルト。奥さんはどうしたの? 全く姿を見ないけど」
ひぇぇぇっ! そ、そこを聞いちゃうのっ!? いくら姉弟といっても、凄くプライベートなところではっ!?
「あぁ、今は王都に行っているんだよ。エイミーが土の枝を食べられないって聞いて、同じ効能を持つ食べ易い薬草を探しに行ったんだ」
「そうなのかい。私はウォルトが甲斐性無しで、愛想を尽かされて家を出て行ったのかと思ったよ」
「何を言うんだ。俺と妻はラブラブに決まってるだろ! 俺たちがどれだけ愛し合っているかを語ろうではないか」
えっと……私は今、何を聞かされているのだろうか。
結局、ウォルトさんの話ばかりで料理が進まず、陽が沈んできたので、私が夕食を作る事になった。
というのも、料理店だけあってカマドが二つあるし、何より食材が豊富で、パンを作る為のイースト菌みたいなものまである!
見ているだけでも勉強になるから……と、何を使っても良いと言われてしまったし、こんなの作るしかないでしょっ!
そんな私が今日の夕食として作ったのは……これっ!
「お待たせ! クリームシチューっていう煮込み料理なの。パンに付けて食べても美味しいわよ」
大きな鍋いっぱいにシチューを作り、パンを焼いて、付け合わせのサラダもたくさん作らせてもらったから、本当に楽しかった!
強いて言うなら、お肉が無かったのが残念だけど、それくらいは仕方がないかな。
「あ、アリスさんっ! お、おかわりをっ! これはカリカリ炒めどころではありませんっ!」
「アリス凄ーい! こんなの初めて食べたよー!」
リアムさんとタマちゃんがあっという間にお皿を空にする。
「これは……知らなかったよ。腹を満たす為の食事が、こんなにも素晴らしい事だったなんて」
「美味しいっ! 私も大きくなったら、お姉ちゃんみたいに美味しいご飯を作れるようになるっ! 絶対に料理人になるのっ!」
「エイミー……よし。まずはパパと一緒に作ろうか。ママに食べさせてあげて、びっくりさせるんだ!」
奥さんやエイミーにウォルトさんも、シチューを食べて笑顔を浮かべてくれている。
そう……これよっ! 本来、食事ってみんなが幸せそうにしているものなんだからっ!
かなり多めに作った夕食だったけど、みんなが残らず食べきってくれた。
それから、もう陽が完全に落ちているからと、奥さんが家に泊めてくれる事に。
ウォルトさんの料理に対する意識が変わったみたいだし、それがこの村全体に広がっていくと良いな。
少しずつだけど、この世界の人たちに食事が温かいものだって知ってもらうんだ!
そんな事を思いながら就寝し……明朝にリアムさんの故郷へ向かう事にした。
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