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第6章 太陽の聖女と星の聖女
第264話 旧聖都メイドリッド
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翌朝。
普段よりも早めに起きて、パンにお肉や野菜を挟んだだけの簡単な朝食の準備を済ませると、先ずは貸切馬車へ乗り込む。
旧聖都へ向けて出発してもらい、馬車の中で朝食を取る。
「朝早くから、すみません。あの、朝食を準備してきましたので、よければどうぞ」
「えっ!? お客さん、私にもですか!? これは助かります。ありがたくいただきます」
御者さんにも幾つかパンを渡し、南西に向かって走ってもらうと、朝早く出た甲斐あって、お昼に旧聖都へ到着した。
「ありがとうございました」
「いえいえ、こちらこそ朝食までいただいて。えっと、この旧聖都には馬車なんてありませんので、何とか近くの村まで来ていただければ、乗合馬車がありますので」
「わかりました。ありがとうございます」
改めて御者さんに礼を言い、先ずは旧聖都の中で休める場所を探す事に。
人が居ない……つまりお店なども無い事は分かっていて、昨晩泊まった街で食料などは多めに購入しているから問題ないけど、宿が無いのは困る。
おそらく今夜にもトリスタン王子が来るだろうし、出来るだけ太陽の神殿の近くで休みたいのよね。
そんな事を考えながら、旧聖都の壊れた門をくぐると、未だに崩壊した都市が視界に飛び込み……
「お、お嬢ちゃんたち。見ない顔だな。ようこそ、自由の街メイドリッドへ。ここは悪人以外は大歓迎だ」
門番らしきオジサンに声を掛けられた。
しかも、柵の向こう側には、崩壊した建物が残る大通りを、少なくない人々が歩いている。
「えっ!? あ、あの……ここって、旧聖都ですよね?」
「あぁ、そうだぜ。ん……もしかして、お嬢ちゃんたちはここの事を何も知らずに来たのか?」
オジサンに問われ、思わずイナリたちと目が合い、皆で首を横に振る。
「ふむ。まぁお嬢ちゃんたちが何を目的にここへ来たのかは聞かないが、旧聖都が崩壊した後、太陽の聖女様が前のビアンカ様に戻っただろ? それでだな……」
そこから、暫くオジサンが説明してくれたのだけど、元々旧聖都に住んで居た人たちをビアンカさんが支援し、近隣の街へ避難させた。
だけど避難先での暮らしが合わなかったり、やっぱり生まれ故郷を復旧させたいと思ったり、いろんな理由で旧聖とに戻って来る人がそれなりに居たそうだ。
でもビアンカさんから、移住のために少なくない資金を支援してもらったし、まだ国もバタバタしているのが分かっている中で、旧聖都の復興支援を公に言い難い。
という訳で、自分たちの手で少しずつ復旧していこうと、イスパナの中で自治区のようになっているのだとか。
「ハッキリ言って、復興に人手が全く足りていないから、元犯罪者だろうと働く気があるのなら誰でも受け入れているし、国がこの街の復興について知らないから、騎士団もいない。後ろの優男が実は魔法の使い手……とかではなく、自衛手段を持たないのなら、拒みはしないがお勧めはしないな」
「そ、そんな事になっていたんですね」
「はっはっは。その気になれば、人間どこでも生きていけるもんだよ。畑で作物を作っている奴だっているし、それを買って食事を作る食堂だってある。とはいえ食料の量は限られているから、住人の数だけは管理させてもらっているんだ」
オジサン曰く、他の門にも出入りを管理している人がいるそうだ。
ちなみに、復興の為に働くとお金の代わりに食事が支給されるそうで、とりあえず食べていくには困らない……という話だった。
「さて、お嬢ちゃんたち。どうする? 街へ入るのも住むのも今なら問題ない。復興作業を手伝うのであれば、何が出来るのかを教えてくれれば、仕事は紹介するぜ」
「少しだけ相談させてください」
「あぁ、勿論構わないぜ」
想定外の事態だったので、一旦オジサンの傍から離れ、四人でどうするかを話したけど……うん。皆の意見は一致していたわね。
「お待たせしました。街の復興のお手伝いをさせてください」
「ありがとう、助かるよ」
夜までどこかで休んでおくつもりだったけど、神水もあるので、復興を手伝う事にした。
普段よりも早めに起きて、パンにお肉や野菜を挟んだだけの簡単な朝食の準備を済ませると、先ずは貸切馬車へ乗り込む。
旧聖都へ向けて出発してもらい、馬車の中で朝食を取る。
「朝早くから、すみません。あの、朝食を準備してきましたので、よければどうぞ」
「えっ!? お客さん、私にもですか!? これは助かります。ありがたくいただきます」
御者さんにも幾つかパンを渡し、南西に向かって走ってもらうと、朝早く出た甲斐あって、お昼に旧聖都へ到着した。
「ありがとうございました」
「いえいえ、こちらこそ朝食までいただいて。えっと、この旧聖都には馬車なんてありませんので、何とか近くの村まで来ていただければ、乗合馬車がありますので」
「わかりました。ありがとうございます」
改めて御者さんに礼を言い、先ずは旧聖都の中で休める場所を探す事に。
人が居ない……つまりお店なども無い事は分かっていて、昨晩泊まった街で食料などは多めに購入しているから問題ないけど、宿が無いのは困る。
おそらく今夜にもトリスタン王子が来るだろうし、出来るだけ太陽の神殿の近くで休みたいのよね。
そんな事を考えながら、旧聖都の壊れた門をくぐると、未だに崩壊した都市が視界に飛び込み……
「お、お嬢ちゃんたち。見ない顔だな。ようこそ、自由の街メイドリッドへ。ここは悪人以外は大歓迎だ」
門番らしきオジサンに声を掛けられた。
しかも、柵の向こう側には、崩壊した建物が残る大通りを、少なくない人々が歩いている。
「えっ!? あ、あの……ここって、旧聖都ですよね?」
「あぁ、そうだぜ。ん……もしかして、お嬢ちゃんたちはここの事を何も知らずに来たのか?」
オジサンに問われ、思わずイナリたちと目が合い、皆で首を横に振る。
「ふむ。まぁお嬢ちゃんたちが何を目的にここへ来たのかは聞かないが、旧聖都が崩壊した後、太陽の聖女様が前のビアンカ様に戻っただろ? それでだな……」
そこから、暫くオジサンが説明してくれたのだけど、元々旧聖都に住んで居た人たちをビアンカさんが支援し、近隣の街へ避難させた。
だけど避難先での暮らしが合わなかったり、やっぱり生まれ故郷を復旧させたいと思ったり、いろんな理由で旧聖とに戻って来る人がそれなりに居たそうだ。
でもビアンカさんから、移住のために少なくない資金を支援してもらったし、まだ国もバタバタしているのが分かっている中で、旧聖都の復興支援を公に言い難い。
という訳で、自分たちの手で少しずつ復旧していこうと、イスパナの中で自治区のようになっているのだとか。
「ハッキリ言って、復興に人手が全く足りていないから、元犯罪者だろうと働く気があるのなら誰でも受け入れているし、国がこの街の復興について知らないから、騎士団もいない。後ろの優男が実は魔法の使い手……とかではなく、自衛手段を持たないのなら、拒みはしないがお勧めはしないな」
「そ、そんな事になっていたんですね」
「はっはっは。その気になれば、人間どこでも生きていけるもんだよ。畑で作物を作っている奴だっているし、それを買って食事を作る食堂だってある。とはいえ食料の量は限られているから、住人の数だけは管理させてもらっているんだ」
オジサン曰く、他の門にも出入りを管理している人がいるそうだ。
ちなみに、復興の為に働くとお金の代わりに食事が支給されるそうで、とりあえず食べていくには困らない……という話だった。
「さて、お嬢ちゃんたち。どうする? 街へ入るのも住むのも今なら問題ない。復興作業を手伝うのであれば、何が出来るのかを教えてくれれば、仕事は紹介するぜ」
「少しだけ相談させてください」
「あぁ、勿論構わないぜ」
想定外の事態だったので、一旦オジサンの傍から離れ、四人でどうするかを話したけど……うん。皆の意見は一致していたわね。
「お待たせしました。街の復興のお手伝いをさせてください」
「ありがとう、助かるよ」
夜までどこかで休んでおくつもりだったけど、神水もあるので、復興を手伝う事にした。
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