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王家から求婚の手紙が届いたのはシルヴィンが10歳の時だった。
マリンバルト公爵家では大騒ぎとなった。何故シルヴィンが王太子殿下の婚約者に選ばれたのか全く見当もつかなかった。
「王家が中立派の我が家を取り込みたいのは分かる。しかし、何故ディアス殿下とヴィーなのだ。」
王家には姫もいる。シルヴィンの3歳下で婚約を結ぶのにもちょうど良い。そこをあえて男同士で婚約を結ばせるのが理解できなかった。
平和な時代が続き、貴族たちも平民たちも恋愛結婚を望むようになった。その結果、この国では同性婚も認められている。しかし、後継者が必要である王族や高位貴族には滅多にないことだった。
封筒には2枚手紙が入っていた。一枚は国王からのもの。そしてもう1枚は王太子からのものだ。
“親愛なるシルへ
急な求婚に戸惑っていると思う。でも、俺にとっては急なんかではなく、ずっと前から望んでいたことだ。
俺はシルに救われた。シルがいなければ、俺は今頃、あの女の傀儡となっていただろう。シルが俺の狭い世界を壊してくれた。シルは俺にとって救世主なんだ。
シルと出会ってから、毎日シルのことを考えてしまう。シルの笑顔を独占したい。優しいところも、明るいところも、可愛いところも、俺はシルの全てを愛している。
どうか俺と結婚してくれないか。シル以外の人と歩む人生なんて考えられない。
愛を込めてディアスより”
「ディー…。
早くこちらこそ宜しくお願いしますって返事書かなきゃ!」
シルヴィンの嬉しそうな顔を見て、両親はこの婚約を受け入れることに決めた。これから2人には多くの災難が降りかかるだろう。しかし、2人でならきっと乗り越えられる、そう確信したのだった。
マリンバルト公爵家では大騒ぎとなった。何故シルヴィンが王太子殿下の婚約者に選ばれたのか全く見当もつかなかった。
「王家が中立派の我が家を取り込みたいのは分かる。しかし、何故ディアス殿下とヴィーなのだ。」
王家には姫もいる。シルヴィンの3歳下で婚約を結ぶのにもちょうど良い。そこをあえて男同士で婚約を結ばせるのが理解できなかった。
平和な時代が続き、貴族たちも平民たちも恋愛結婚を望むようになった。その結果、この国では同性婚も認められている。しかし、後継者が必要である王族や高位貴族には滅多にないことだった。
封筒には2枚手紙が入っていた。一枚は国王からのもの。そしてもう1枚は王太子からのものだ。
“親愛なるシルへ
急な求婚に戸惑っていると思う。でも、俺にとっては急なんかではなく、ずっと前から望んでいたことだ。
俺はシルに救われた。シルがいなければ、俺は今頃、あの女の傀儡となっていただろう。シルが俺の狭い世界を壊してくれた。シルは俺にとって救世主なんだ。
シルと出会ってから、毎日シルのことを考えてしまう。シルの笑顔を独占したい。優しいところも、明るいところも、可愛いところも、俺はシルの全てを愛している。
どうか俺と結婚してくれないか。シル以外の人と歩む人生なんて考えられない。
愛を込めてディアスより”
「ディー…。
早くこちらこそ宜しくお願いしますって返事書かなきゃ!」
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