理不尽な異世界への最弱勇者のチートな抵抗

神尾優

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第4章 超越者の門出編

第67話 冒険者ギルド……テンプレって面倒臭い

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   冒険者ギルドに入ると、ギルド内は中々の混雑を見せていた。

「結構混んでるんだな」

   デルク村のギルド出張所は誰もいなく閑散としてたのに、ここは如何にも冒険者といった感じの者達でごった返していた。中にはティア程では無いが明らかに子供の姿もちらほら見える。

[丁度、朝受けたクエストが完了して、報告に戻って来る時間帯の様ですね]

  入り口の正面にあるカウンターに受付が三箇所あるのだが、その全てが十人以上の列をなしていた。

「来る時間を間違えたなぁ」

   もう一度出直そうとも考えたが、宿に戻ってもやる事といったら夕食の準備位だし、左手にあるテーブル席で受付が空くのを待つ事にしたのだが……

「いらっしゃい」

   席に着くと左手の壁際に設置されたカウンターから、二十代後半位の色っぽいお姉さんが気怠そうに挨拶してくる。

「あれ?   ここは休憩用のテーブルだと思ったんだけど、もしかして飲食店だった?」
「そうよ、冒険者ギルドには大抵、アルコールが飲めるスペースが設置されてるんだけど、もしかして冒険者ギルドは始めて?」

   お姉さんの問いに素直に頷くと、お姉さんは意外そうな顔をする。

「へぇ~、結構できる雰囲気だけど冒険者じゃ無いんだ」
「ええ、登録はしてませんね」
「冒険者登録をしないで兄妹で旅?   珍しいわね……まさか犯罪者じゃないわよね」

   どうやらお姉さんはティアを俺の妹と勘違いしたらしいが、俺とティアの関係を説明するのも厄介なので、そのまま話を合わせる事にした。

「ははっ、違いますよ。俺達は王都に行く途中なんです」
「ふ~ん、王都に親御さんでもいるの?」
「ええ、まぁそんなところです。ところで、冒険者の中に子供の姿が結構ありますけど、あんな子供が冒険者をやってるのですか?」

   あまりこちらの事を話題にされるとどっかでボロが出そうなので、話題を変えてみた。するとお姉さんはちらっと受付カウンターの方に視線を向ける。

「ああ、確かにあの子達はまだ子供よねぇ。あの子達の殆どは鉱夫の子供なんだけど、鉱夫は給金があまり高くないから一攫千金を夢見る子がああして冒険者になるのよ。冒険者ギルドへの登録って、ちょっとしたテストさえ受かれば年齢制限は無いから……」
「冒険者ってそんなに儲かります?」
「そんな訳無いじゃない。殆どの冒険者は日銭を稼ぐのが精一杯で、その内後遺症が残る怪我をして引退するか、最悪死んじゃうわね。本当に冒険者で稼げる人は腕が立つか、運良くお宝を見つけた者だけ。そんな冒険者、全体の三割いるかどうかよ」

   お姉さんは少し寂しげにそう語る。
   このお姉さんもここで働きながら色々な冒険者を見て来たのだろう。
   受付はまだ混雑していた。あまり世間話ばかりしていては悪いと思い何か注文をしようかと思っていると、傍からガラの悪い口調で声をかけられる。

「なんだぁ?   見ねぇ顔のガキどもだなぁ」

   声のした方を見ると、三十代半ばの小汚い冒険者風の男達が四人、下卑た笑みを浮かべながらこちらに近づいて来ていた。
   うわー、確かに最近戦闘が無くて暇だと思ってたけど、こんな連中に絡まれるイベントは勘弁してほしいわ。
   俺はよっぽど嫌そうな顔をしていたのだろう。先頭を歩いていた男が俺の顔を見て眉をひそめる。

「何だお前、折角俺が話しかけてやってるのに随分と迷惑そうな顔をしてるなぁ」

   誰も話しかけてくれなど言ってない。などと思っていると、お姉さんが仲裁に入ってくれる。

「ちょっとグジー、ギルド内での喧嘩は御法度だよ」
「レーラ、これは喧嘩じゃねえよ。こんなガキどもと俺達とじゃ、喧嘩になんかなる訳ないだろ。これは先輩を敬わなねぇ新人への教育さ」

   御託を並べてヘラヘラと笑うチンピラ冒険者達。
   はぁ~、これが健一が言っていたテンプレっやつか……健一は楽しげに語っていたけど、実際にやられるとすげぇ面倒臭いイベントだな。
   俺はげんなりしながら席から立ち上がり、こちらを見下しヘラヘラと笑う冒険者共を心底嫌そうに見てやった。すると冒険者達は俺の視線が気に入らなかったのか、表情を険しくしてこっちに近づいて来た。
   冒険者達の殺気立つ気配に反応してティアが立ち上がろうとするが、俺が手で制する。

「おう、にいちゃん!   随分と生意気な面構えをしてくれるなぁ」

   俺の正面に立ち、威嚇する様に怒鳴るリーダー格らしき男。

「グジー、本当にやめなさい」
「黙ってろレーラ。この生意気なガキは俺達に喧嘩売るき満々なんだよ」

   お姉さんの忠告に、俺を睨んだまま答える男。

「ちょっと、お兄さんもとっとと謝っちゃいなさい。そいつらガラが悪くてもBランクの冒険者なんだよ」

   お姉さんが心配して俺に謝る様に進言してくるが、はっきり言って俺にその気は無い。
   まぁ、ちょっと脅せば黙るでしょう。
   そう思い、本当に軽い気持ちで【威圧】を発動したのだがーー

「「「「「「ひっ!」」」」」」

   その瞬間、冒険者ギルド内にいた全員が腰を抜かした様に尻餅をつき、恐怖に引き攣った顔で一斉に俺を見つめた。
   あれ?   【威圧】の効果範囲ってどうなってるんだろ……
 
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