スキルが覚醒してパーティーに貢献していたつもりだったが、追放されてしまいました ~今度から新たに出来た仲間と頑張ります~

黒色の猫

文字の大きさ
315 / 453

9話・部屋

しおりを挟む
 転んでしまったラスのもとに駆け寄って手を差し出し、ラスの手をとり、立ち上がらせ、転んだ時に怪我してないか確認する。

「どこか怪我したりしてないか?」

 ラスが遠慮して嘘をつく可能性を考慮し、ジィーとラスの目を見ながら聞く。

「あの… その… だ… 大丈夫です…」

 そう言いながらも、ラスは目を反らしたので、

「本当か?」

 再度確認する。

「は… はい。ほら、この通り」

 ラスは、その場で軽くジャンプしたり、クルッとターンしたりして、大丈夫な事をアピールする。

「そうか。なら、良かったよ。まぁでも、休憩もとってなかったし、一応少し休んでから戻ろうか?」

「そ… そうですねって、あれ?」

「ん? どうかしたか? やっぱり、怪我してたのか?」

「あ、いえ、そうじゃなくて、スライムゼリーの入った瓶とスプーンがなくて…」

「あぁ」

 言われてみれば、ないなと思い、2人でキョロキョロすると、

「あ、ありました」 「あった」

 と丁度2人の声が重なり、あった方を指差す。

「「ん?」」

 だけど、2人は別々の方を指差していたので、顔を見合わせる。
 だけど、その理由はすぐに判明した。
 ラスは瓶を、俺が逆側でスプーンを見つけただけだった。
 2つとも壁側まで転がっていたので、とりあえず、見つけた方を回収する為に、歩き出す。

「うおっ!!」 「きゃっ!!」

 壁側に近寄った際、急に床の一部が沈み込んだので、声が出ると同時に、反対の方でも声がした。
 俺は、咄嗟に沈んだ足をあげてから振り返り、スプーンを無視して、ラスのもとへ駆け寄る。

「大丈夫か、ラス?」

 またしても転んでいたラスに手を貸しつつ、何が起こってもいいように身構える。
 すると、

 ゴゴゴゴゴゴゴッ

 と、何がずれる音がし、その方向を見てみると、
 行き止まりだった壁の先が出現していた。

「セウンさん、あれって?」

「…あぁ、たぶん、隠し部屋って奴だと思う」

 ラスも気付いているであろう事を口にする。

「ですよね。て事は、今踏んだ床のせいですかね?」

「それしか考えられないな」

「どうしますか?」

「どうしようかね…」

 一人だったら、何も考えずに即突入するけど、今はラスもいる事だし、

「ラスは、どうしたい?」

 ラスにも聞いてみる。

「やっぱり行きたい気持ちもありますが、そもそも隠し部屋って安全なんですか?」

「俺も、初めてだから、本で読んだ知識になるけど、隠し部屋と言っても、宝箱だけが置いてある宝部屋やモンスターが湧いて来るだけのモンスターハウスなど色々あって、正直中に入らない限り分からないな」

 と、俺の知っている事をラスに教える。
しおりを挟む
感想 105

あなたにおすすめの小説

私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜

AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。 そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。 さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。 しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。 それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。 だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。 そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。 ※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。

悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。

向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。 それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない! しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。 ……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。 魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。 木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。 彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。 公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。 しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。 だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。 二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。 彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。 ※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

処理中です...