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第一章
第六話
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◇◇◇
「た、大家が…!!」
そんな声に起こされ、目を開ける。
目の前にはすやすやと眠っている美丈夫。
視線をずらすと、私の室に繋がる戸を開けて口を押さえている羲和様と弦沙。
大変なことになった。
すっかり覚醒した頭で、とりあえず起き上がろうという判断に至ったものの彼の腕が非常に邪魔だ。
頼むから起きてくれ!!
「詩涵様!起きてはなりません!大家が熟睡しておられるので!」
なんなんだ、ここは主従そろってお互い大好きか。
私がどうなろうが構わないってか。
私は頑張って手を自由にして、畏れ多くもその顔をぺちぺちと叩いた。
鬱陶しそうに顔を顰めているのに、目を開けない。
おいおい、目を開けてくれ。
室内にぺちぺちという音が鳴り続ける。
羲和様も弦沙も呆気に取られて、何も言わないので遠慮なくやっている。
す、と目が開いて眉間にしわを寄せる彼。
「…うざい、うるさい、ねむい」
「じゃあ起きてください。永遠に叩きますよ」
「…俺のことが嫌いだろう」
「ええ、昨日よりも」
ぺちぺち、と叩き続ける手。
ただ目線が絡み合う時間が続いた。
「ふ、ふふ…愛いな…あなたは」
「はいはい。起きてください」
「羲和、朝議を遅らせてくれ」
「いや無理でしょう。起きてください。私の侍女に見つかったら、どうなるか」
「娘娘、もう見つかってます」
弦沙がすっと避けると、感極まったような侍女たちが見える。
口を押さえて、互いにばしばし叩き合っている。
私は今すぐにでも消えてなくなりたい、骨も残さずに粉塵になってしまいたかった。
「なんの罰だろう。天子の顔を叩いたから?」
「罰って言うな。これはすごいことだからな」
「娘娘!私たちは貴女様に仕えられて本当に幸せです!!」
寝台から一向に起きようとしない彼のおかげで、そう口々に感謝を述べられる。
にやりと意地の悪い笑みを浮かべた彼に、背筋が凍った。
――あぁ、昨日の全ての言動を撤回してしまいたい……どうしよう…私のせいで
彼の腕を払いのけて、のそりと起き上がった。
「実家に帰ります」
頭を垂れて、夜着のまま廊下を歩く。
突然の出来事に皇帝も、羲和も弦沙も侍女も反応できなかった。
急にものすごい力で腕をのけられ、無表情で実家に帰ると言って出て行ったからだ。
はっとしてそのあとを追うように廊下に出る。
彼女はふらー、と柱にぶつかって
「あ、ごめんなさい。いま気が動転してるんです。少しそこを通してもらえますか、一人になりたいんです」
柱に向かって謝って、言い訳をしている彼女。
それをじっと見つめる皇帝の口元には、いつになく楽しそうな笑みが浮かんでいた。
***
「もう、娘娘…どこ行ったんですかぁ!!」
「そんなに嫌だったのかしら…」
「柱にぶつかりにいって謝るくらいだものね…」
梓涼宮では、侍女たちが主人を探すのに忙しくしている。
朝餉も食べずに、どこかに消えてしまったからだ。
皇帝である海沄を見送ってから、梓涼宮中を探し回っているのに見つからない。
文徳楼にまで足を延ばしたが、その姿は見えなかった。
夜着のままでどこに行ってしまわれたのか。
梓涼宮の裏手には、小さな林がある。
その中ほどに建つ廃れた小屋のようなもの。
建物の中には詩涵がいた。
その傍らには弦沙と凌梁。
膝を抱えて蹲っている主人を心配そうに見ている。
「…娘娘」
「帰りましょう?皆心配をしています」
「……」
小屋の中は、あまり清潔とは言えなかったが手入れはされているようだった。
「…私の宮に、嫌がらせが起こったらどうしよう…侍女同士にやっかみが起こっちゃったらどうしよう~」
まるで子どものように喚く。
そんな主人を見て、安心したように二人は力を抜いた。
「娘娘は少し優しすぎるんですよ。後宮には嫉妬、嫌がらせなんかは付き物ですから」
「そうですよ。宦官になって初めて護衛した方なんかは嫌がらせばかりしてました」
「慰めになってないわよ~!」
顔をあげた主人。そこに涙の痕がないことに安心した。
「大家が困ってましたよ。娘娘」
「…うん。いろんなものが頭を駆け巡って、訳分からなくなったの…皆喜んでたから、それくらい大ごとなんだって思ったら…怖くなって…それで」
「着替えて、謝りに行きますか?」
こくん、と頷いた主人の手を取って宮に戻る。
あっという間に侍女たちに囲まれる。
皆この主人が、大好きなのだ。
だから嫌がらせなんかが起こっても気付かせないし、彼女を不安にさせるような行動はとらない。
やっかみがなんだ。うちの主人が一番なんだから、好かれて当たり前だろう。という心持ちであることはまだ内緒にしておく。
***
今日は素直に着飾られている。
散々心配させたので、小言を言われながらではあるが。
金釵と花飾りを挿して、やっと準備が終わった。
侍女たちは口々に褒めてくれるけど、私は着飾ってもあまり綺麗にはなれないことを知っている。
先触れを出して時間を貰っているので、謝罪することを許してくれるのだろう。
ただ、彼から逃げ出したことを許してくれるかどうかは分からないけれど。
朝議が終わった頃合いを見計らって、私と弦沙は昨日と同じ雅鹿殿に向かって歩いている。
その際には、嫌でも他の妃の宮の前を通らねばならないので、大変心地が悪い。
背筋を伸ばして堂々と、顔には万人受けする微笑みを浮かべて。
昔読まされた淑女になるための本の内容を思い出して、実践してみる。
顔が引き攣ってるのが自分でもわかるわ。
藍洙様の宮の前、剪定された生垣を過ぎた時
「…紙魚姫が、藍洙様に適う訳もないわ。いくら着飾ったって、所詮は虫だもの」
わざとだろう。
しっかり聞こえるように、しかし姿は見えないように。
弦沙が、殺気立つ。
「いいわ。こういうのが当たり前なら、慣れていかないとね。いい練習相手だわ」
「俺、娘娘が前向きに無意識で煽るのすごく好きなんですよね」
「……あら、煽ってたかしら?やだ、性格が悪いみたいじゃない」
「ほら、それも」
「天性の性悪なのかしら、私」
私は特に傷付くこともなく、後宮を抜けた。
悪口、というよりも言葉遊びを聞いて楽しんでいた。
一個だけ訂正するならば、私は本の虫ではあるけれど、紙魚のように紙を食べたりなんかはしないということだ。
雅鹿殿に着くと、すぐに羲和様が来た。
なんだろう?と思う間もなく、雅鹿殿の奥に案内された。
誰も通っていない廊下を進んで、人気のしない一室に連れられた。
「…ここは、どこですか?」
「大家の政務室兼休憩室です。人がいると大家は集中できないので」
人が少ないのは、彼のためか。
そう納得したのもつかの間。
いやいや、なんで?なんでここに連れられたの?
「大家、詩涵様が到着なさいました」
「――入れ」
戸を開けて、羲和様が恭しく礼をして私に入るように促す。
真向かいに椅子に座って、仕事をしている皇帝がいる。
書類に向けていた目を、私に。
几には筆、印璽が並んでいる。
「朝以来だな」
「…その節は大変申し訳ありませんでした。気が動転いたしまして」
「……どこに行っていた?」
「…裏の林にある小屋におりました」
彼が椅子を立って、こっちに歩いてくる。
すでに戸は閉められて、この空間には二人だけ。
一歩下がると、彼は二歩詰めてくる。
「…あなたは、逃げられると追いかけたくなるという心理を知らないようだ。いや、書物の中だけの話だと思っているのか」
あぁ、またあの顔だ。
背筋が凍るような意地の悪い笑み。
「逃げられると、思わない方がいい」
「…逃げると陛下が傷付きますか?」
私は彼の目を真っすぐに見つめた。
寂しそうに揺れていた瞳に支柱を刺すように。
「……――あぁ、俺が傷付く。あなたに本気で逃げられるのは、いやだから」
彼の足が止まる。
寂しそうな色は消えないまま、じっと私を見つめる。
「…一つお聞きします」
「なんだ?」
「私を”人”として、認識していますか?」
「もちろんだ。人として見たうえで尚、一緒に眠れたのだから」
「…じゃあ、私が陛下の唯一ですか…」
「残念そうに言うな。名誉だ、誇れ」
覚悟を決めて一歩、また一歩、彼に近づく。
目の前が彼の袍でいっぱいになった。
困惑と寂しさが混ざった瞳を見上げる。
「私が陛下の唯一である限り、あなたを一人にはしません」
少しだけかかとを上げて、彼の頬に手を伸ばす。
目を瞠る彼を他所に、朝叩いてしまった頬を撫でる。
「驚いても、頑張ってとどまります。眠れないなら本を諳んじます。妃としてふさわしくなりますから、どうか傷付かないでください」
きっと、さっき以上の心ない言葉や嫌がらせも起こるだろう。
それが後宮の当たり前であるならば、やっぱり慣れるしかないのだ。
彼の妃になるということは、そういうことなのだと思う。
侍女や宦官たちには迷惑をかけてしまうかもしれないが、彼の妃である以上は避けて通れない。
皇后の座を狙っているわけでもないし、むしろ遠慮したいくらいだが。
ただ、彼の唯一になってしまった今だけ、誰より妃らしくならねばいけないと思う。
藍洙様にその役目が回るまでは、唯一である私が請け負うべきだと思うから。
「た、大家が…!!」
そんな声に起こされ、目を開ける。
目の前にはすやすやと眠っている美丈夫。
視線をずらすと、私の室に繋がる戸を開けて口を押さえている羲和様と弦沙。
大変なことになった。
すっかり覚醒した頭で、とりあえず起き上がろうという判断に至ったものの彼の腕が非常に邪魔だ。
頼むから起きてくれ!!
「詩涵様!起きてはなりません!大家が熟睡しておられるので!」
なんなんだ、ここは主従そろってお互い大好きか。
私がどうなろうが構わないってか。
私は頑張って手を自由にして、畏れ多くもその顔をぺちぺちと叩いた。
鬱陶しそうに顔を顰めているのに、目を開けない。
おいおい、目を開けてくれ。
室内にぺちぺちという音が鳴り続ける。
羲和様も弦沙も呆気に取られて、何も言わないので遠慮なくやっている。
す、と目が開いて眉間にしわを寄せる彼。
「…うざい、うるさい、ねむい」
「じゃあ起きてください。永遠に叩きますよ」
「…俺のことが嫌いだろう」
「ええ、昨日よりも」
ぺちぺち、と叩き続ける手。
ただ目線が絡み合う時間が続いた。
「ふ、ふふ…愛いな…あなたは」
「はいはい。起きてください」
「羲和、朝議を遅らせてくれ」
「いや無理でしょう。起きてください。私の侍女に見つかったら、どうなるか」
「娘娘、もう見つかってます」
弦沙がすっと避けると、感極まったような侍女たちが見える。
口を押さえて、互いにばしばし叩き合っている。
私は今すぐにでも消えてなくなりたい、骨も残さずに粉塵になってしまいたかった。
「なんの罰だろう。天子の顔を叩いたから?」
「罰って言うな。これはすごいことだからな」
「娘娘!私たちは貴女様に仕えられて本当に幸せです!!」
寝台から一向に起きようとしない彼のおかげで、そう口々に感謝を述べられる。
にやりと意地の悪い笑みを浮かべた彼に、背筋が凍った。
――あぁ、昨日の全ての言動を撤回してしまいたい……どうしよう…私のせいで
彼の腕を払いのけて、のそりと起き上がった。
「実家に帰ります」
頭を垂れて、夜着のまま廊下を歩く。
突然の出来事に皇帝も、羲和も弦沙も侍女も反応できなかった。
急にものすごい力で腕をのけられ、無表情で実家に帰ると言って出て行ったからだ。
はっとしてそのあとを追うように廊下に出る。
彼女はふらー、と柱にぶつかって
「あ、ごめんなさい。いま気が動転してるんです。少しそこを通してもらえますか、一人になりたいんです」
柱に向かって謝って、言い訳をしている彼女。
それをじっと見つめる皇帝の口元には、いつになく楽しそうな笑みが浮かんでいた。
***
「もう、娘娘…どこ行ったんですかぁ!!」
「そんなに嫌だったのかしら…」
「柱にぶつかりにいって謝るくらいだものね…」
梓涼宮では、侍女たちが主人を探すのに忙しくしている。
朝餉も食べずに、どこかに消えてしまったからだ。
皇帝である海沄を見送ってから、梓涼宮中を探し回っているのに見つからない。
文徳楼にまで足を延ばしたが、その姿は見えなかった。
夜着のままでどこに行ってしまわれたのか。
梓涼宮の裏手には、小さな林がある。
その中ほどに建つ廃れた小屋のようなもの。
建物の中には詩涵がいた。
その傍らには弦沙と凌梁。
膝を抱えて蹲っている主人を心配そうに見ている。
「…娘娘」
「帰りましょう?皆心配をしています」
「……」
小屋の中は、あまり清潔とは言えなかったが手入れはされているようだった。
「…私の宮に、嫌がらせが起こったらどうしよう…侍女同士にやっかみが起こっちゃったらどうしよう~」
まるで子どものように喚く。
そんな主人を見て、安心したように二人は力を抜いた。
「娘娘は少し優しすぎるんですよ。後宮には嫉妬、嫌がらせなんかは付き物ですから」
「そうですよ。宦官になって初めて護衛した方なんかは嫌がらせばかりしてました」
「慰めになってないわよ~!」
顔をあげた主人。そこに涙の痕がないことに安心した。
「大家が困ってましたよ。娘娘」
「…うん。いろんなものが頭を駆け巡って、訳分からなくなったの…皆喜んでたから、それくらい大ごとなんだって思ったら…怖くなって…それで」
「着替えて、謝りに行きますか?」
こくん、と頷いた主人の手を取って宮に戻る。
あっという間に侍女たちに囲まれる。
皆この主人が、大好きなのだ。
だから嫌がらせなんかが起こっても気付かせないし、彼女を不安にさせるような行動はとらない。
やっかみがなんだ。うちの主人が一番なんだから、好かれて当たり前だろう。という心持ちであることはまだ内緒にしておく。
***
今日は素直に着飾られている。
散々心配させたので、小言を言われながらではあるが。
金釵と花飾りを挿して、やっと準備が終わった。
侍女たちは口々に褒めてくれるけど、私は着飾ってもあまり綺麗にはなれないことを知っている。
先触れを出して時間を貰っているので、謝罪することを許してくれるのだろう。
ただ、彼から逃げ出したことを許してくれるかどうかは分からないけれど。
朝議が終わった頃合いを見計らって、私と弦沙は昨日と同じ雅鹿殿に向かって歩いている。
その際には、嫌でも他の妃の宮の前を通らねばならないので、大変心地が悪い。
背筋を伸ばして堂々と、顔には万人受けする微笑みを浮かべて。
昔読まされた淑女になるための本の内容を思い出して、実践してみる。
顔が引き攣ってるのが自分でもわかるわ。
藍洙様の宮の前、剪定された生垣を過ぎた時
「…紙魚姫が、藍洙様に適う訳もないわ。いくら着飾ったって、所詮は虫だもの」
わざとだろう。
しっかり聞こえるように、しかし姿は見えないように。
弦沙が、殺気立つ。
「いいわ。こういうのが当たり前なら、慣れていかないとね。いい練習相手だわ」
「俺、娘娘が前向きに無意識で煽るのすごく好きなんですよね」
「……あら、煽ってたかしら?やだ、性格が悪いみたいじゃない」
「ほら、それも」
「天性の性悪なのかしら、私」
私は特に傷付くこともなく、後宮を抜けた。
悪口、というよりも言葉遊びを聞いて楽しんでいた。
一個だけ訂正するならば、私は本の虫ではあるけれど、紙魚のように紙を食べたりなんかはしないということだ。
雅鹿殿に着くと、すぐに羲和様が来た。
なんだろう?と思う間もなく、雅鹿殿の奥に案内された。
誰も通っていない廊下を進んで、人気のしない一室に連れられた。
「…ここは、どこですか?」
「大家の政務室兼休憩室です。人がいると大家は集中できないので」
人が少ないのは、彼のためか。
そう納得したのもつかの間。
いやいや、なんで?なんでここに連れられたの?
「大家、詩涵様が到着なさいました」
「――入れ」
戸を開けて、羲和様が恭しく礼をして私に入るように促す。
真向かいに椅子に座って、仕事をしている皇帝がいる。
書類に向けていた目を、私に。
几には筆、印璽が並んでいる。
「朝以来だな」
「…その節は大変申し訳ありませんでした。気が動転いたしまして」
「……どこに行っていた?」
「…裏の林にある小屋におりました」
彼が椅子を立って、こっちに歩いてくる。
すでに戸は閉められて、この空間には二人だけ。
一歩下がると、彼は二歩詰めてくる。
「…あなたは、逃げられると追いかけたくなるという心理を知らないようだ。いや、書物の中だけの話だと思っているのか」
あぁ、またあの顔だ。
背筋が凍るような意地の悪い笑み。
「逃げられると、思わない方がいい」
「…逃げると陛下が傷付きますか?」
私は彼の目を真っすぐに見つめた。
寂しそうに揺れていた瞳に支柱を刺すように。
「……――あぁ、俺が傷付く。あなたに本気で逃げられるのは、いやだから」
彼の足が止まる。
寂しそうな色は消えないまま、じっと私を見つめる。
「…一つお聞きします」
「なんだ?」
「私を”人”として、認識していますか?」
「もちろんだ。人として見たうえで尚、一緒に眠れたのだから」
「…じゃあ、私が陛下の唯一ですか…」
「残念そうに言うな。名誉だ、誇れ」
覚悟を決めて一歩、また一歩、彼に近づく。
目の前が彼の袍でいっぱいになった。
困惑と寂しさが混ざった瞳を見上げる。
「私が陛下の唯一である限り、あなたを一人にはしません」
少しだけかかとを上げて、彼の頬に手を伸ばす。
目を瞠る彼を他所に、朝叩いてしまった頬を撫でる。
「驚いても、頑張ってとどまります。眠れないなら本を諳んじます。妃としてふさわしくなりますから、どうか傷付かないでください」
きっと、さっき以上の心ない言葉や嫌がらせも起こるだろう。
それが後宮の当たり前であるならば、やっぱり慣れるしかないのだ。
彼の妃になるということは、そういうことなのだと思う。
侍女や宦官たちには迷惑をかけてしまうかもしれないが、彼の妃である以上は避けて通れない。
皇后の座を狙っているわけでもないし、むしろ遠慮したいくらいだが。
ただ、彼の唯一になってしまった今だけ、誰より妃らしくならねばいけないと思う。
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