俺は、電脳世界が好きなだけの一般人です

北きつね

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第七章 家庭ネットワーク

第四話 ルータとWIFI

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 結局、朝まで地下室で作業をしてしまった。
 2台のルータの設定はできていた。オヤジから送られてきた資料の中に契約に関する物もあったので、ルータの設定を確認した。それからパズルのように、ケーブルの接続を行った。外部からの接続は、後で考えるとして、家の中のネットワークの構築を行った。外部への接続は、業務回線は使わない。家庭用の回線を使えと言われているように思えたからだ。セッション数が増やされている。
 ユウキと俺で別々にゲーム機を持っている。Microsoftのゲーム機と任天堂のゲーム機とソニーのゲーム機は、最新の物が2台ずつだ。あとは、オヤジが買い集めた古いゲーム機もかなりの数を所有している。全種類とは言わないが、マイナーな機種まである。
 同時に起動する場面はあまり考えられない。セッションも大丈夫だろう。業務で使うネットワークと家庭で使うネットワークを分離しておけばセキュリティも大丈夫だろう。
 俺の作業部屋の設定は、端末や資材や工具を持ってこないと作業は無理だ。

(さて、ユウキを迎えに行くか?)

 森下家に移動した。
 自分の部屋から見ていたのだろう。俺が玄関のチャイムを鳴らすと同時に、ユウキが家から出てきた。

「タクミ。おはよう。僕、まだ中を見ていないから楽しみだよ!」

 いきなり抱きついてきた。
 婚約?状態だから問題はないと思うけど、朝の挨拶くらいはさせて欲しい。

「おはよう。桜さんと美和さんは?」

「もうでかけたよ。”好きにしなさい”と言い残していった!」

「え?二人がもう仕事?」

「うん。あっ克己パパと沙菜ママも仕事だって言っていたよ。僕とタクミの荷物は昼に業者が来るから、それまでに部屋を決めておきなさいと言われた!」

「・・・。オヤジもオフクロも俺に何も言わないで・・・」

「あっ克己パパがね。『どうせ、タクミは地下に籠もって出てこないだろうから、ユウキがタクミに知らせてくれ』だってさ」

「・・・。よく解っていらっしゃる・・・」

「地下室があるの?」

「ある。全部で3つあった」

「へぇ早く行こう!あと、必要な物をリストアップしないとね」

「おっぉぉ」

 ユウキに手を引かれて、道路を渡る。

「へぇ門を開けるのにパスワードが必要になるのだね」

「あぁ」

 家に入って知ったのだが、生体認証での解除も可能な代物だ。どこから持ってきたのかは聞かないほうが良いようだ。ひとまず、パスワードで認証をしているが、生体認証に変えようと思っている。網膜か静脈か顔認証が可能なので、網膜認証にしておこうと思う。認識の精度が高く設定出来る。

 門を入って玄関までの距離をユウキはゆっくりと歩いている。

「ねぇタクミ」

「ん?」

「僕・・・。ううん。なんでも無い」

 ユウキが何を考えているのかわかるような気がする。不安なのだろう。
 俺も同じだ。本当に、俺で良いのか、ユウキと一緒にいてもいいのだろうか?

 だから、俺は前を歩くユウキを抱きしめる。

「!!」

「ユウキ。俺と一緒にいてくれ、これまでのように、これからも、俺はユウキと一緒に居たい」

 ユウキは、首に回した俺の腕に触れながら頷いてくれた。

「タクミ。僕、タクミと一緒に居る」

「ありがとう」

 二人で、玄関に入った。
 ユウキは、終始ニコニコ顔で周りを見回している。扉を開けては中を確認している。

「タクミ。部屋割は決めたの?」

「まだ。ユウキと一緒に考えようと思っていたからな」

「うん。まずは、二階を見よう」

「あぁ」

「それから、タクミの作業部屋を決めよう」

「いいのか?」

「ん?なにが?」

「いや、ユウキも部屋が居るだろう?」

「え?必要ないよ?」

「荷物とかあるだろう?」

「ないよ?服と勉強道具くらいだよ?あとは、タクミの家に置いてある物だけだよ?あっ子供の時の物とか、もう使わない物はそのまま残しておいてもいいってママに言われたから大丈夫だよ」

「そういやぁそうだな。俺も、すぐに必要になる物だけを持ってくればいいのか?」

「うん。パソコンとかゲームとか漫画や小説やDVDやBDは、全部持っていけって言われたけどね」

「わかった。あとは、ベッドを買わないとダメだろう」

「え?なんで?ママから、”買ってある”って、聞いたよ?」

「あるぞ、一つだけど・・・」

「え?一つでいいよね?一緒に寝ればいいよ」

「・・・。ん?ユウキ?一緒に?」

「うん。僕、タクミの奥さんになるのだよ?問題はないよね?」

「・・・。そうか?」

「うん。ママが大丈夫だって言っていた。それから、ママが避妊だけはしっかりしなさいって!僕、タクミならいいよ?」

 ユウキの頭を手でぐしゃぐしゃになるように撫でる。

「わかった。俺も、ユウキが欲しい」

「うん!嬉しい!」

 玄関でやるようなことではないが、ユウキを抱き寄せて、初めてのキスをする。
 舌をいれるような激しいキスだ。

「タクミ」

「ユウキ。ハハハ」

 ユウキと見つめ合ったが笑いがこみ上げてきた。

「どうしたの?」

「ん?キスの前に婚約したのだなと思っただけだ。ユウキ。これからよろしく!でも、部屋の確認をこんなペースでやっていると業者が来るまでに部屋割が決まらないぞ」

「そ、そうだね!」

 ユウキと部屋を見て回る。
 シンプルな作りになっている。

 なにかが引っかかる。違和感じゃない。デジャブーという感じだ。

「へぇ本当だ!うまくできているね!」

「ん?ユウキ。何か知っているのか?」

「え?タクミ。知らなかったの?」

「何を!?」

「そうか、パパたちはタクミに内緒にしていた。忘れていたよ」

「ん?」

「この家、タクミが設計者だよ?しっかりした設計事務所が清書したけど、元を考えたのはタクミだよ?」

「え・・・・。あ!!子供の時に書いた、ユウキと住むならこんな家がいい!か?」

「そうだよ?」

 ユウキは不思議そうな顔をするが、聞いていなかった俺には驚きでしか無い。
 道理で知っているような感覚があったのか?門や玄関までの距離とか、庭に人が入られない地下があるとか・・・。痛い。地下の一つが秘密基地で、もう一個が倉庫だったはずだ。そして、秘密基地には、二階の寝室から逃げられるようになっている。痛い。心が痛い。当時の俺を殴ってやりたい。
 逃げる場所が寝室なのは、ユウキと一緒に寝るためだったはずだ。だから、ベッドが一つなのだな。いろいろ解ってきた。
 やはり”悪意の塊”で間違っていない。

 結局、部屋を見て回るだけで終わった。
 コンセントやLANの出口の確認はした。WIFIをどうしようかと思ったが、説明書を読んでみると解決している。

「ユウキ。リビングに行こう」

「うん。寝室は、今のままでいいよね?今は使わない部屋もあるけど・・・」

「そうだな。荷物を入れておく部屋にでもしよう」

「わかった。使うのは、まだ先だよね」

 ユウキが言っているのは、子供部屋だ。確かに、しばらくは使わない。
 二階には、12畳の寝室と6畳の子供部屋が二部屋。八畳の和室が一部屋。もちろん、トイレも完備している。
 一階には、20畳のリビングキッチンと大きめの風呂場と脱衣所。小上がりになっている和室が六畳ほどの広さを持つ。後は、客間に使える八畳の洋室と和室だ。

 正直、持て余す広さだ。
 敷地面積は、近所の倍以上あるだろう。表になる二車線の道路から裏の脇道までが”作業場所”の敷地になっている。近所は、そこに二軒建っている。近所も知り合いだから、挨拶は後日オヤジと美和さんを連れていけばいいと言われた。
 まだ車は持っていないが、駐車スペースは裏の脇道から入る形になっている。3台分のスペースがある。駐車場の下は物置の代わりになる地下倉庫だ。秘密基地と違って、倉庫は階段がわかりやすくなっている。

 WIFIは、部屋のライトが全部”改造された”シーリングライトらしい。WIFIの中継になっていると説明が書かれていた。そこまでする必要があるのかと聞いたら・・・。多分”その方が面白い”と返事が帰ってくるだろう。
 WIFIの親機は、秘密基地ではなく、リビングに設置されていた。ちなみに、オヤジの説明書を信じると、秘密基地作業場所候補は、電波が遮断されるらしい。そうか、それでユウキは俺が地下に籠もっているのが解ったのだな。何か、方法を考えないとダメだな。

 親機の設定はされているが”火”は入っていない。LANと繋がっていないので当然だ。

「ユウキ!俺は、地下に入るけどどうする?」

「僕も一緒に行く!あっ」

「どうした?」

「業者の人が来るよね?」

「そうだな」

「僕、業者の人を待っているよ。地下室に居ると気が付かないでしょ?」

「そうか・・・。方法を考えるけど、今日は頼むな」

「うん!」
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