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【第1部】10.終止符
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ホテルに着くと、降りた聡子の腕を掴み、早足で進んで行く。
空いている部屋を選んで、二人は室内に入った。
「ミヅキ、俺はまともじゃないんだぞ」
「知ってます」
「知ってたか」
ぷっ、とトモは吹き出したが、聡子は笑わなかった。
どこにでもいる男ではないとわかっていて好きになったのだ。
「だいたい、俺はおまえみたいに若くねえ。もう三十過ぎたのおっさんだ」
「おっさんじゃないです」
「おまえにはもっと相応しい男がいるはずだろ。なんで俺なんだよ」
「…………」
「酒造会社の専務、性急すぎたのはよくねえけど、あれはいい物件だろ」
「興味ないです。トモさんがいい」
聡子と相対峙し、まっすぐ見上げてくる彼女をどう説得するかと悩んでいるようだ。
「わかった。もういい」
「えっ」
「おまえとは最後にする」
突然の宣言に、思考が停止した。
「……これが終わったら、おまえは自由だ」
最後の意味を考え、聡子の双眸から涙が零れた。
「あいつとつきあえばいい。襲われそうになったっつても、相手はほんとにおまえに惚れてんだろ。俺と違って地位も名誉も金もあるヤツだ。おまえを大事にしてくれるよ」
「いやです、トモさんがいい。もう言わないから」
「ダメだ、最後だ」
いつもは自分の感情任せに聡子を激しく抱くトモだったが、今夜は丁寧に、優しく官能的に聡子を抱いた。
一度終わったら素っ気ない態度なのに、いつもと違い、聡子に優しく寄り添ってくれた。
(離れたくない……)
聡子がぎゅっと身体にすがる、トモは優しいキスをしてくれた。
聡子は自分から二回目を欲しがり、トモのものを口にする。いつもの彼は、自分本位で、命令口調で要求してくるのに、今日は、ただただ優しく頭を撫でてくれた。一回目のトモも、二回目のトモも優しかった。
「いつもの、激しいの……は……?」
聡子がそう言うと、
「これが最後だぞ。おっさんに三回はキツい」
そう言いながら、獣のようにトモは腰を振った。
疲れているはずだと思ったが、聡子の要求通り、激しく抱いてくれた。
後ろ向きにされ、激しく腰を打ちつけてきた。前から手で蜜壷を刺激され、片手で胸を揉まれた。
「やっ……」
「おまえはこういうのが好きだろ」
「……好き」
「スケベな女だな」
激しく突かれ、悲鳴を上げた。
「上になれ」
聡子が馬乗りになり、今度は自分が腰を振った。トモはこれが好きだったはずだ、と聡子は自分なりに強弱をつけてみる。
手をのばし揺れる胸をつかみ、恍惚の表情を浮かべるトモ。
トモは細い聡子の腰に手を当て、身体を弓なりにして果てた。
先にトモがシャワーを浴び、ベッドでぐったりしていた。
「俺のことは忘れろ」
「…………」
「冗談じゃなく、おまえは可愛い、いい女だ。俺みたいなクズなんかに入れ込む理由がわかんねえよ。もっと周りを見てみろ、おまえを気に入ってる男はたくさんいるはずだ」
「そんなの」
「おまえが気づいていないだけだ。運悪く、クズしかおまえに声をかけてこなかっただけだ。よく見てみればいい」
おまえは本当にいい女だよ、とトモは言った。
眠っているトモの額の傷をそっと撫で、キスを落とした。
「この傷……わたしのせいですよね……ごめんなさい……」
「おまえのせいじゃねえ」
トモは起きていたようだ。
聡子はびっくりする。
「おまえの、せいじゃ、ねえ……よ……」
すぐにトモは寝息をたてた。
「寝ちゃった……」
自分もシャワーを浴びよう、とバスルームに行く。
丁寧に身体を洗って出たあと、ベッドの様子を伺うと、トモは眠ったままだった。
「さよなら」
服を身に纏うと、サイドテーブルに多めにお金を残して静かに部屋を出た。
空いている部屋を選んで、二人は室内に入った。
「ミヅキ、俺はまともじゃないんだぞ」
「知ってます」
「知ってたか」
ぷっ、とトモは吹き出したが、聡子は笑わなかった。
どこにでもいる男ではないとわかっていて好きになったのだ。
「だいたい、俺はおまえみたいに若くねえ。もう三十過ぎたのおっさんだ」
「おっさんじゃないです」
「おまえにはもっと相応しい男がいるはずだろ。なんで俺なんだよ」
「…………」
「酒造会社の専務、性急すぎたのはよくねえけど、あれはいい物件だろ」
「興味ないです。トモさんがいい」
聡子と相対峙し、まっすぐ見上げてくる彼女をどう説得するかと悩んでいるようだ。
「わかった。もういい」
「えっ」
「おまえとは最後にする」
突然の宣言に、思考が停止した。
「……これが終わったら、おまえは自由だ」
最後の意味を考え、聡子の双眸から涙が零れた。
「あいつとつきあえばいい。襲われそうになったっつても、相手はほんとにおまえに惚れてんだろ。俺と違って地位も名誉も金もあるヤツだ。おまえを大事にしてくれるよ」
「いやです、トモさんがいい。もう言わないから」
「ダメだ、最後だ」
いつもは自分の感情任せに聡子を激しく抱くトモだったが、今夜は丁寧に、優しく官能的に聡子を抱いた。
一度終わったら素っ気ない態度なのに、いつもと違い、聡子に優しく寄り添ってくれた。
(離れたくない……)
聡子がぎゅっと身体にすがる、トモは優しいキスをしてくれた。
聡子は自分から二回目を欲しがり、トモのものを口にする。いつもの彼は、自分本位で、命令口調で要求してくるのに、今日は、ただただ優しく頭を撫でてくれた。一回目のトモも、二回目のトモも優しかった。
「いつもの、激しいの……は……?」
聡子がそう言うと、
「これが最後だぞ。おっさんに三回はキツい」
そう言いながら、獣のようにトモは腰を振った。
疲れているはずだと思ったが、聡子の要求通り、激しく抱いてくれた。
後ろ向きにされ、激しく腰を打ちつけてきた。前から手で蜜壷を刺激され、片手で胸を揉まれた。
「やっ……」
「おまえはこういうのが好きだろ」
「……好き」
「スケベな女だな」
激しく突かれ、悲鳴を上げた。
「上になれ」
聡子が馬乗りになり、今度は自分が腰を振った。トモはこれが好きだったはずだ、と聡子は自分なりに強弱をつけてみる。
手をのばし揺れる胸をつかみ、恍惚の表情を浮かべるトモ。
トモは細い聡子の腰に手を当て、身体を弓なりにして果てた。
先にトモがシャワーを浴び、ベッドでぐったりしていた。
「俺のことは忘れろ」
「…………」
「冗談じゃなく、おまえは可愛い、いい女だ。俺みたいなクズなんかに入れ込む理由がわかんねえよ。もっと周りを見てみろ、おまえを気に入ってる男はたくさんいるはずだ」
「そんなの」
「おまえが気づいていないだけだ。運悪く、クズしかおまえに声をかけてこなかっただけだ。よく見てみればいい」
おまえは本当にいい女だよ、とトモは言った。
眠っているトモの額の傷をそっと撫で、キスを落とした。
「この傷……わたしのせいですよね……ごめんなさい……」
「おまえのせいじゃねえ」
トモは起きていたようだ。
聡子はびっくりする。
「おまえの、せいじゃ、ねえ……よ……」
すぐにトモは寝息をたてた。
「寝ちゃった……」
自分もシャワーを浴びよう、とバスルームに行く。
丁寧に身体を洗って出たあと、ベッドの様子を伺うと、トモは眠ったままだった。
「さよなら」
服を身に纏うと、サイドテーブルに多めにお金を残して静かに部屋を出た。
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