【完結】不協和音を奏で続ける二人の関係

つくも茄子

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第20話七年前~ブリリアントside

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「ははははっ。何時もこんなに風に議会が早く承認してくれると私も助かるのだがね」

「上機嫌ですわね、お父様」

「ブリリアント、お父様は法案が通って嬉しいのよ」

「誰の邪魔も入らずにすんなりと通る事など滅多にないぞ」

「ほほほ。国王も一人息子は可愛いのね」

「それはそうだろう。唯一の子供だ。ユリウス殿下を連座させないためには法案を飲むしかない。それに、犯罪者にも優しい国王像はもう使い飽きている。そろそろ違う方面にイメージアップする必要があったのだから兄上も私に感謝している事だろう」

「では、犯罪者は鉱山送りが決定したのですね」

「ああ。ただし、重犯罪者のみが対象だ。流石に軽犯罪者まで鉱山送りにはできないからな。彼らは更生の余地ありとしている」

「なんにしても、王家所有の鉱山の働き手が増えたことは喜ばしいですわ」

「まったく。国王も頑固なこと。帝国の職人を使えばすぐだというのに」

「ふふっ。公爵領の鉱山は帝国のプロの鉱山職人が働いてくださっていますから安定してダイヤモンドが採れますものね」

「ええ。ブリリアントにも理解していると言うのに、あの国王は……」

「こればかりは仕方がない。国王派の貴族の目もある。まあ、兄上はそれが無くとも帝国人を鉱山には入れないだろうがな」

「帝国の魔道具を使えば簡単に採り出せるのに、愚かだわ~~。どうせ、ルキウス(弟)が発見した鉱山をルキウス一人の手柄にしたく無いとかいうくだらない理由なんでしょう。国王はそれでいいかもしれないけど、付き合わされる国民は哀れだわ」

 お母様、楽しそうに仰らないでください。王国人にとっては死活問題なんですから。労働環境は過酷の一言という噂も聞く程です。

「王家所有の鉱山はかなり原始的なやり方をされていると聞きましたが本当でしょうか?命の危険もあるとか……」

「それは本当だよ、ブリリアント」

「そのような処でモントール元伯爵はやっていけるのでしょうか?」

「ふふっ。それは大丈夫よ、ブリリアント。元伯爵は逃げ出さないように『隷属の首輪』をしているわ。帝国産の魔道具だから絶対に外れないし、逃げ出せば全身が痺れる仕組みだから安全よ」

「……お母様、そう言う意味では……」

「それもあるが……仕事面でも彼なら皆に歓迎されている筈だ」

「え?」

 「歓迎されている」とはどういう事でしょう?見るからに労働に従事した事のないモントール元伯爵に鉱山の仕事ができるのでしょうか?寧ろ、足手まといだと言われて邪険にされるのではないでしょうか?
 私がお父様の言葉に考え込んでいる間、二人の会話は続きます。

「何しろ、彼は絶世の美青年だからね。日々、過酷な労働に従事している屈強な男達からしたら垂涎物だろう」

「あら、それは良いわ。肉体労働者には『癒しの存在』は不可欠よ。仕事に対する意欲が違うもの。きっと先輩達に可愛がられているでしょうね」

「鉱山の責任者は私が王子時代の知り合いでね、懇意にしている相手だから元伯爵のあれやこれやを色々と話しておいたよ」

「流石、ルキウスだわ。女の敵が、自分が弄んだ女性達と同じ目にあうなんて、これこそ因果応報の刑罰だわ」

「彼も自分が以前やっていた事の反省ができるだろう。実践経験できる機会なんて中々ないからね」

「ねぇ、ルキウス。元伯爵のお仕事を撮影できないかしら?」

「責任者に依頼すれば可能だが、どうするんだい?」

「ふふふっ。売るのよ。商売」

「売れるかい?」

「あら!一定の需要があるのよ!特に元伯爵タイプなんて女性にも人気よ、きっと」

「やれやれ。まあ、彼は重犯罪者だ。二度と表舞台に戻ってこれないからいいが……鉱山には普通の労働者もいるからね」

「それは大丈夫よ!」

「ん?」

「一般人は修正するわ。誰なのか分からないようにね」

「それなら良いか」

「ありがとう、ルキウス。愛してるわ」


 なんでしょう。
 お父様とお母様の会話に滲み出る恐ろしさは。会話の半分も理解できません。辛うじて、モントール元伯爵がより悲惨な展開が待ち受けているという事だけです。

 アラン・モントール元伯爵。

 私が再び彼の名前を聞くのは数年後のこと。
 その時に両親の恐ろしい会話の内容を知る事になるのですが、それはまた別の話。
 

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