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前兆
噂
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貴族令嬢でありながら庶民相手でも自己犠牲を厭わず献身的に尽くす、まさに聖女のような心優しい存在。
貧富を問わず、人々の病気を無償で治癒するミーナのそうした噂は瞬く間に市井を駆け巡った。
庶民の人気を勝ち得ると噂の広まりは早い。
ミーナは王都で最も人気の高い貴族令嬢となり、それは良くも悪くも看過するにはあまりにも大きく、ひいては社交界でも注目を集める存在になって行った。
今日の夜会でもミーナの周りには多くの令嬢が集まっている。
時折、彼女たちの視線がアレクシスへと向けられているのは気のせいだろうか。何を話しているのかは全く分からないけれど、その頬がうっすらと染まっている。
(アレク様の噂話かしら)
横目でちらりと、傍らにいるアレクシスの様子を窺う。
本当に、素敵な王子様だ。
すらりとした痩身に落ち着いたブルーグレイのコートがよく似合っている。令嬢たちの噂話にあがるのも無理はなかった。
「どうかしたの、ティアナ」
思わず見惚れているとアレクシスと目が合った。
「あ、いえ……ごめんなさい、様子を窺うようなことをして」
「ティアナは僕の婚約者なのだから、堂々と見ていたらいいのに」
「――はい」
「アレクシス様!」
かん高い声が横から割り込んで来る。
ミーナだ。
彼女が先程までいたはずの方向にさりげなく目を向ければ、一緒にいた令嬢たちの視線をより強く感じる。途端にセレスティアナの心臓が早鐘を打った。
「君は――アルテリア伯爵令嬢だっけ。噂は聞いているよ」
「ミーナとお呼び下さい、アレクシス様」
にこにこと無邪気な笑みを浮かべ、ミーナはアレクシスにそう要求する。
彼女がアレクシスを名で呼ぶこと自体がそもそも不敬に値すると言った方がいいだろうか。だけど今は人前で、アレクシス自身も何も言わない。セレスティアナが親切のつもりで伝えたとして出しゃばりだと思われる可能性もある。
迷っていると、上方で何か亀裂が入るような音が聞こえた気がした。反射的に天井を見上げる。
「キャーッ!」
誰かの悲鳴が遠い場所から聞こえた気がした。
天井に取り付けられているシャンデリアが落下して来る。
「ティアナ、もっとこっちへ――」
「助けて! アレクシス様!」
アレクシスがセレスティアナに向けて伸ばした手に、横から勢いよくミーナがしがみついた。アレクシスは完全にふいを突かれ、らしくもなく対応が一瞬遅れる。一瞬、舌打ちの音が聞こえ、アレクシスは結界を張り巡らせた。
大きなシャンデリアが結界に叩きつけられる。
その衝撃でガラスが砕け散り、細かな欠片となって降り注いだ。
だけどセレスティアナは結果の外にいた。やっぱりセレスティアナは彼の庇護は受けられない。幸いにして欠片で怪我をすることもなかったけれど、でもきっと、周りにはもっと違う形に見えている。
「ティア――」
「アレクシス様、怖かった……」
ひどく怯えるミーナはアレクシスから離れる様子もない。
さすがにアレクシスも強く引き剝がすことはできないようで、やんわりと身体を離すに留めた。
「咄嗟に結界を貼って聖女様をお守りするなんて、さすがは王太子殿下ですわ」
「それにしても王宮のシャンデリアが落ちるだなんて……ありえませんわ」
「先程、シャンデリアの方を見ていらしたような……」
ミーナを守る為の行動を賞賛する声と、起こりうるはずのない出来事を不安視する声が周囲にあがる。
同時に、いくつかの刺すような視線がセレスティアナに突き刺さった。
それはセレスティアナがわざとミーナに怪我をさせようとしたのではないかと言っているも同然だ。だけど表立って反論はできない。非難している証拠はなく、思い込みだと一蹴されればそれまでだからだ。
それからアレクシスはミーナと行動を共にすることが多くなった。
でも聖女に任命されて間もないミーナに役割と公務を教えることが目的だと分かっている。アレクシスとミーナの二人で行動しているわけでもなく、アレクシスの信頼する側近たちも一緒だ。何よりアレクシスから手紙をもらってもいる。彼の役割が分からない程度の繋がりでもない。
分かっている。
――けれど。
「近頃、あなたに関する不名誉な噂が流れていると聞き及んでおります」
王妃とのお茶会の最中に前触れもなく告げられた言葉に、セレスティアナは身体を強張らせた。
いつ頃からか分からないけれど、アレクシスがミーナと恋仲になったという噂がまことしやかに囁かれるようになった。
こと令嬢だけが集まるお茶会などでは、ミーナも複数の友人と列席していることが多い。そしてミーナの友人たちは聞こえよがしに言うのだ。
『殿下とミーナ様が並び立つ姿はかの健国王と聖女様の再来を思わせますわ』
『仲睦まじげに寄り添って本当にお似合いです』
『穏やかで優しい表情でミーナ様に微笑みかけていらっしゃったわ』
セレスティアナの友人が、セレスティアナもいる場で失礼だと憤ってくれたところで、彼女たちは見たままの感想を言っているだけで他意はないと答える。
そう、誰も『アレクシスはミーナを正妃に迎えるべきだ』とは言わない。ただ王子様に憧れる令嬢の立場で夢を語っているにすぎない。
だけど夜会での騒ぎが起きてから、セレスティアナは邪魔者扱いだ。表立って言って来る人物こそいなくとも陰で悪く言われている。
(わたくしが、アレク様の幸せを阻む〝悪役令嬢〟だと)
やはり、王妃もアレクシスの妃にはセレスティアナよりもミーナの方が相応しいと思っているのだろうか。
精霊の加護を強く受ける四大公爵家の一つに生まれながら魔力の少ない令嬢より、聖女の資格を持つ伯爵令嬢が王太子妃に収まった方が王家にとってもメリットがある。だから早く身を引けばいいのにと。
王妃が薄情な人物ではないと分かってもいる。でも、だからこそ王妃さえ現状と世論の板挟みになりかねない。
「至らずに申し訳ございません」
何とか声を振り絞って謝罪を伝えると王妃はやんわりと首を振った。
「あなたが謝罪する必要はありません。それどころか、わたくしたちの方こそ、無責任な噂すら止められずに申し訳ないと思っているわ」
「もったいないお言葉にございます」
セレスティアナは目を伏せた。と同時に、ひときわ大きなため息を王妃が吐き出す。
「それに……聖女様ご降臨のことさえ、緘口令を敷いたはずなのに」
ミーナは市井への救護活動に力を入れているものの、それは貴族令嬢にとって特に珍しいことではなかった。セレスティアナもアレクシスや、時には家族の誰かと病院への奉仕活動を月に一度は行っている。
けれど聖女となると別だ。聖女の魔力が必要とされるほどの事態が差し迫っているのかと、いたずらに不安を煽ることのないようにその出現は極秘とされていた。
にも拘わらず、いともたやすく聖女の存在は人々に知れ渡ることとなった。立ち振る舞いが聖女のようだというのではない。魔力そのものが聖女のものだと言われている。それはつまり、重要な情報を得られる立場にいる人物の誰かが王家の意に背いているということだ。今はさほど大きな問題ではなくとも、いずれ問題にならないとも限らない。
地の精霊を司るノーマンゼウル公爵家の領地の一部に原因不明の腐食地帯が発見されたと父から聞くのは、その翌日のことだった。
偶然だろうか。
四大公爵家のうちの二家が、立て続けに不幸な出来事に見舞われる。これは一体何が起きているのか。
(本当に……わたくしがアレクシス様の婚約者でいるから?)
因果関係の有無は分からない。
だけどセレスティアナは、それが必然だとしか思えなくなってしまっていた。セレスティアナはアレクシスの妃に――王太子妃に相応しくない秘密を隠し持っている。アレクシスが秘密にするように言ったそれが、万が一にもあかるみに出たとしたら、アレクシス自身や家族にも大きな迷惑をかけてしまうだろう。
現状を快く思わない人々に暴かれるくらいなら、被害を最小限に留めればいい。
簡単な話だ。収まるべきところに収まればいいだけ。
セレスティアナが、アレクシスの婚約者の座をミーナに譲る。
――それだけの、話だ。
貧富を問わず、人々の病気を無償で治癒するミーナのそうした噂は瞬く間に市井を駆け巡った。
庶民の人気を勝ち得ると噂の広まりは早い。
ミーナは王都で最も人気の高い貴族令嬢となり、それは良くも悪くも看過するにはあまりにも大きく、ひいては社交界でも注目を集める存在になって行った。
今日の夜会でもミーナの周りには多くの令嬢が集まっている。
時折、彼女たちの視線がアレクシスへと向けられているのは気のせいだろうか。何を話しているのかは全く分からないけれど、その頬がうっすらと染まっている。
(アレク様の噂話かしら)
横目でちらりと、傍らにいるアレクシスの様子を窺う。
本当に、素敵な王子様だ。
すらりとした痩身に落ち着いたブルーグレイのコートがよく似合っている。令嬢たちの噂話にあがるのも無理はなかった。
「どうかしたの、ティアナ」
思わず見惚れているとアレクシスと目が合った。
「あ、いえ……ごめんなさい、様子を窺うようなことをして」
「ティアナは僕の婚約者なのだから、堂々と見ていたらいいのに」
「――はい」
「アレクシス様!」
かん高い声が横から割り込んで来る。
ミーナだ。
彼女が先程までいたはずの方向にさりげなく目を向ければ、一緒にいた令嬢たちの視線をより強く感じる。途端にセレスティアナの心臓が早鐘を打った。
「君は――アルテリア伯爵令嬢だっけ。噂は聞いているよ」
「ミーナとお呼び下さい、アレクシス様」
にこにこと無邪気な笑みを浮かべ、ミーナはアレクシスにそう要求する。
彼女がアレクシスを名で呼ぶこと自体がそもそも不敬に値すると言った方がいいだろうか。だけど今は人前で、アレクシス自身も何も言わない。セレスティアナが親切のつもりで伝えたとして出しゃばりだと思われる可能性もある。
迷っていると、上方で何か亀裂が入るような音が聞こえた気がした。反射的に天井を見上げる。
「キャーッ!」
誰かの悲鳴が遠い場所から聞こえた気がした。
天井に取り付けられているシャンデリアが落下して来る。
「ティアナ、もっとこっちへ――」
「助けて! アレクシス様!」
アレクシスがセレスティアナに向けて伸ばした手に、横から勢いよくミーナがしがみついた。アレクシスは完全にふいを突かれ、らしくもなく対応が一瞬遅れる。一瞬、舌打ちの音が聞こえ、アレクシスは結界を張り巡らせた。
大きなシャンデリアが結界に叩きつけられる。
その衝撃でガラスが砕け散り、細かな欠片となって降り注いだ。
だけどセレスティアナは結果の外にいた。やっぱりセレスティアナは彼の庇護は受けられない。幸いにして欠片で怪我をすることもなかったけれど、でもきっと、周りにはもっと違う形に見えている。
「ティア――」
「アレクシス様、怖かった……」
ひどく怯えるミーナはアレクシスから離れる様子もない。
さすがにアレクシスも強く引き剝がすことはできないようで、やんわりと身体を離すに留めた。
「咄嗟に結界を貼って聖女様をお守りするなんて、さすがは王太子殿下ですわ」
「それにしても王宮のシャンデリアが落ちるだなんて……ありえませんわ」
「先程、シャンデリアの方を見ていらしたような……」
ミーナを守る為の行動を賞賛する声と、起こりうるはずのない出来事を不安視する声が周囲にあがる。
同時に、いくつかの刺すような視線がセレスティアナに突き刺さった。
それはセレスティアナがわざとミーナに怪我をさせようとしたのではないかと言っているも同然だ。だけど表立って反論はできない。非難している証拠はなく、思い込みだと一蹴されればそれまでだからだ。
それからアレクシスはミーナと行動を共にすることが多くなった。
でも聖女に任命されて間もないミーナに役割と公務を教えることが目的だと分かっている。アレクシスとミーナの二人で行動しているわけでもなく、アレクシスの信頼する側近たちも一緒だ。何よりアレクシスから手紙をもらってもいる。彼の役割が分からない程度の繋がりでもない。
分かっている。
――けれど。
「近頃、あなたに関する不名誉な噂が流れていると聞き及んでおります」
王妃とのお茶会の最中に前触れもなく告げられた言葉に、セレスティアナは身体を強張らせた。
いつ頃からか分からないけれど、アレクシスがミーナと恋仲になったという噂がまことしやかに囁かれるようになった。
こと令嬢だけが集まるお茶会などでは、ミーナも複数の友人と列席していることが多い。そしてミーナの友人たちは聞こえよがしに言うのだ。
『殿下とミーナ様が並び立つ姿はかの健国王と聖女様の再来を思わせますわ』
『仲睦まじげに寄り添って本当にお似合いです』
『穏やかで優しい表情でミーナ様に微笑みかけていらっしゃったわ』
セレスティアナの友人が、セレスティアナもいる場で失礼だと憤ってくれたところで、彼女たちは見たままの感想を言っているだけで他意はないと答える。
そう、誰も『アレクシスはミーナを正妃に迎えるべきだ』とは言わない。ただ王子様に憧れる令嬢の立場で夢を語っているにすぎない。
だけど夜会での騒ぎが起きてから、セレスティアナは邪魔者扱いだ。表立って言って来る人物こそいなくとも陰で悪く言われている。
(わたくしが、アレク様の幸せを阻む〝悪役令嬢〟だと)
やはり、王妃もアレクシスの妃にはセレスティアナよりもミーナの方が相応しいと思っているのだろうか。
精霊の加護を強く受ける四大公爵家の一つに生まれながら魔力の少ない令嬢より、聖女の資格を持つ伯爵令嬢が王太子妃に収まった方が王家にとってもメリットがある。だから早く身を引けばいいのにと。
王妃が薄情な人物ではないと分かってもいる。でも、だからこそ王妃さえ現状と世論の板挟みになりかねない。
「至らずに申し訳ございません」
何とか声を振り絞って謝罪を伝えると王妃はやんわりと首を振った。
「あなたが謝罪する必要はありません。それどころか、わたくしたちの方こそ、無責任な噂すら止められずに申し訳ないと思っているわ」
「もったいないお言葉にございます」
セレスティアナは目を伏せた。と同時に、ひときわ大きなため息を王妃が吐き出す。
「それに……聖女様ご降臨のことさえ、緘口令を敷いたはずなのに」
ミーナは市井への救護活動に力を入れているものの、それは貴族令嬢にとって特に珍しいことではなかった。セレスティアナもアレクシスや、時には家族の誰かと病院への奉仕活動を月に一度は行っている。
けれど聖女となると別だ。聖女の魔力が必要とされるほどの事態が差し迫っているのかと、いたずらに不安を煽ることのないようにその出現は極秘とされていた。
にも拘わらず、いともたやすく聖女の存在は人々に知れ渡ることとなった。立ち振る舞いが聖女のようだというのではない。魔力そのものが聖女のものだと言われている。それはつまり、重要な情報を得られる立場にいる人物の誰かが王家の意に背いているということだ。今はさほど大きな問題ではなくとも、いずれ問題にならないとも限らない。
地の精霊を司るノーマンゼウル公爵家の領地の一部に原因不明の腐食地帯が発見されたと父から聞くのは、その翌日のことだった。
偶然だろうか。
四大公爵家のうちの二家が、立て続けに不幸な出来事に見舞われる。これは一体何が起きているのか。
(本当に……わたくしがアレクシス様の婚約者でいるから?)
因果関係の有無は分からない。
だけどセレスティアナは、それが必然だとしか思えなくなってしまっていた。セレスティアナはアレクシスの妃に――王太子妃に相応しくない秘密を隠し持っている。アレクシスが秘密にするように言ったそれが、万が一にもあかるみに出たとしたら、アレクシス自身や家族にも大きな迷惑をかけてしまうだろう。
現状を快く思わない人々に暴かれるくらいなら、被害を最小限に留めればいい。
簡単な話だ。収まるべきところに収まればいいだけ。
セレスティアナが、アレクシスの婚約者の座をミーナに譲る。
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