私を拒絶した王太子をギャフンと言わせるために頑張って来たのですが…何やら雲行きが怪しいです

Karamimi

文字の大きさ
22 / 55

第22話:王妃様と久しぶりの対面です

しおりを挟む
お兄様にエスコートされ、ゆっくりと王宮の大ホールに向かって歩き出す。王宮には頻繁に来ていたけれど、大ホールに入るのは初めてだ。小さい頃は、この大ホールで皆に注目されながら、ライムとダンスを踊るのを楽しみにしていた。でも、今は全くそんな気にはなれない。

とにかく今日は他の貴族と仲良くなって、私の協会に協力してくれる人を集めないと。大ホールに入るとご丁寧に

「ジャック・ミューディレス様、セイラ・ミューディレス様、ご入場です」

と、大きな声でアナウンスしてくれた。その瞬間、一斉にこちらを向く貴族たち。貴族たるもの、ジロジロと人を見るものではないのに、皆マナーがなっていないわね。そう思いながら、堂々とホールの中に入って行く。

「皆お前の姿を見て驚いているよ。見てみろ、口をポカンと開けているぞ。なんてマヌケな面なんだ。ダメだ、笑いがこみ上げて来た」

なぜか肩を震わせるお兄様。きっとこの状況を楽しんでいるのだろう。相変わらず失礼な男だ。

「ジャック、セイラ、遅かったわね」

私たちの側にやって来たのはお父様とお母様だ。なぜか沢山の貴族を引き連れている。

「皆様、娘のセイラですわ。隣国に留学しておりましたので、ずっと社交界には顔を出せずにおりましたのよ」

すかさずお母様が私を他の貴族に紹介する。

「皆様、ご無沙汰しております。セイラ・ミューディレスです。これからは社交界にも顔を出していくと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします」

公爵令嬢らしく、カーテシーを決める。ここでは完璧な令嬢を演じないとね。

「まあ、セイラ様は本当に素敵な令嬢になられたのですね。聞きましたわ、孤児院などを支援する協会を立ち上げたのですってね」

これはチャンスだわ。向こうから話題を振ってきてくれるなんて。

「はい、兄の全面協力の元、協会を立ち上げましたの。孤児院では沢山の子供たちが、満足に勉強も受けられず、衣食もままならない状況です。宜しければ、協力頂けますと助かります」

「まあ、ジャック様も。私たちも出来るだけ協力させていただきますわ」

「私もです。それにしても、ミューディレス家のお子様たちは、本当に素晴らしいですわね。慈善事業にも積極的に参加するなんて」

貴族界トップに君臨する我がミューディレス公爵家に取り入ろうと、みんな必死ね。でも、たとえどんな理由であろうと、協力してくれるのは助かるわ。

その時だった。王族が入場するとのアナウンスが流れた。そして、陛下と王妃様、ライムが入場してきた。そして陛下の挨拶と共に、夜会スタートだ。

楽しそうにダンスを踊る者、雑談する者、食事を楽しむ者など様々だ。私たちはと言うと、その後も貴族たちに、協会への協力をさりげなく呼びかける。

よし、順調ね。

「セイラ、皆あなたの立ち上げた協会に理解を示してくれているわ。きっと今日の夜会で、あなたの評判はさらにうなぎ上りでしょうね」

そう言ってお母様が笑っている。別に評判なんてどうでもいいが、協会に協力してくれるのは有難い。そんな中、話しかけて来たのは王妃様だ。

「セイラちゃん、久しぶりね。しばらく見ない間に、また美しくなって」

「ご無沙汰しております、王妃様」

王妃様に会うのは、ライムの12歳の誕生日パーティー以来ね。あの日の事は、昨日の事の様に覚えている。

「セイラちゃんは、孤児院などを支援する協会を立ち上げたのですってね。貴族学院でも人望も厚く、成績も優秀だと聞いたわ。きっとあなたなら、立派な王妃になれるわね」

そう言ってにっこり笑った王妃様。

「いいえ、私は王妃にはなれませんわ。王妃様もお聞きになったでしょう?殿下の12歳の誕生日の時、私と結婚するくらいなら平民になると言った殿下の言葉を。私はあの日、きっぱりと殿下と結婚する事は諦めましたの。両親や兄もその事は理解してくれていて、私が生涯独身だったとしても生活できる様、今基盤を整えてくれていますのよ」

きっともっと良い言い方があったのだろうが、ここは濁さずはっきり言った方がいいだろう。そう思ったのだ。

「あの時のライムはまだ子供だったから…それにライムもあの日の事は後悔しているのよ。なぜあんな事を言ったのかって。まあ、ひとの気持ちは変わるものね。貴族学院卒業までは、まだまだ時間があるし」

王妃様は、何を言っているのかしら?すかさず反論しようとしたのだが

「王妃様、あちらにミューラ侯爵夫人がいらっしゃるわ。さあ、行きましょう」

業を煮やしたお母様が、王妃様を連れ出してくれた。

「セイラちゃん、またいつでも王宮に遊びに来てね。待っているから」

そう叫びながら、去っていった王妃様。

「セイラ、大丈夫か?気持ちはわかるが、相手は王妃様だ、もう少しオブラートに包んで話をしろ」

隣にいたお兄様に怒られた。
さあ、協会の宣伝もしっかりしたし、お兄様と少し休憩しよう、そう思った時だった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

白い結婚で結構ですわ。殿下より、私の自由のほうが大事ですので

鍛高譚
恋愛
「第二王子との婚約? でも殿下には平民の恋人がいるらしいんですけど? ――なら、私たち“白い結婚”で結構ですわ。お好きになさってくださいな、殿下」 自由気ままに読書とお茶を楽しむのがモットーの侯爵令嬢・ルージュ。 ある日、突然“第二王子リオネルとの政略結婚”を押しつけられてしまう。 ところが当の殿下は平民の恋人に夢中で、 「形式上の夫婦だから干渉しないでほしい」などと言い出す始末。 むしろ好都合とばかりに、ルージュは優雅な“独身気分”を満喫するはずが…… いつしか、リナという愛人と妙に仲良くなり、 彼女を巡る宮廷スキャンダルに巻き込まれ、 しまいには婚約が白紙になってしまって――!? けれどこれは、ルージュが本当の幸せを掴む始まりにすぎなかった。 自分を心から大切にしてくれる“新しい旦那様”候補が現れて、 さあ、思い切り自由に愛されましょう! ……そして、かの王子様の結末は“ざまぁ”なのか“自業自得”なのか? 自由気ままな侯爵令嬢が切り開く、 “白い結婚破談”からの痛快ざまぁ&本当の恋愛譚、はじまります。

初恋を諦めたあなたが、幸せでありますように

ぽんちゃん
恋愛
『あなたのヒーローをお返しします。末永くお幸せに』  運命の日。  ルキナは婚約者候補のロミオに、早く帰ってきてほしいとお願いしていた。 (私がどんなに足掻いても、この先の未来はわかってる。でも……)  今頃、ロミオは思い出の小屋で、初恋の人と偶然の再会を果たしているだろう。  ロミオが夕刻までに帰ってくれば、サプライズでルキナとの婚約発表をする。  もし帰ってこなければ、ある程度のお金と文を渡し、お別れするつもりだ。  そしてルキナは、両親が決めた相手と婚姻することになる。  ただ、ルキナとロミオは、友人以上、恋人未満のような関係。  ルキナは、ロミオの言葉を信じて帰りを待っていた。  でも、帰ってきたのは護衛のみ。  その後に知らされたのは、ロミオは初恋の相手であるブリトニーと、一夜を共にしたという報告だった――。 《登場人物》  ☆ルキナ(16) 公爵令嬢。  ☆ジークレイン(24) ルキナの兄。  ☆ロミオ(18) 男爵子息、公爵家で保護中。  ★ブリトニー(18) パン屋の娘。

【完結】優しいあなたに、さようなら。二人目の婚約者は、私を殺そうとしている冷血公爵様でした

ゆきのひ
恋愛
伯爵令嬢であるディアの婚約者は、整った容姿と優しい性格で評判だった。だが、いつからか彼は、婚約者であるディアを差し置き、最近知り合った男爵令嬢を優先するようになっていく。 彼と男爵令嬢の一線を越えた振る舞いに耐え切れなくなったディアは、婚約破棄を申し出る。 そして婚約破棄が成った後、新たな婚約者として紹介されたのは、魔物を残酷に狩ることで知られる冷血公爵。その名に恐れをなして何人もの令嬢が婚約を断ったと聞いたディアだが、ある理由からその婚約を承諾する。 しかし、公爵にもディアにも秘密があった。 その秘密のせいで、ディアは命の危機を感じることになったのだ……。 ※本作は「小説家になろう」さん、カクヨムさんにも投稿しています ※表紙画像はAIで作成したものです

【完結】どうやら私は婚約破棄されるそうです。その前に舞台から消えたいと思います

りまり
恋愛
 私の名前はアリスと言います。  伯爵家の娘ですが、今度妹ができるそうです。  母を亡くしてはや五年私も十歳になりましたし、いい加減お父様にもと思った時に後妻さんがいらっしゃったのです。  その方にも九歳になる娘がいるのですがとてもかわいいのです。  でもその方たちの名前を聞いた時ショックでした。  毎日見る夢に出てくる方だったのです。

あなた方には後悔してもらいます!

風見ゆうみ
恋愛
私、リサ・ミノワーズは小国ではありますが、ミドノワール国の第2王女です。 私の国では代々、王の子供であれば、性別や生まれの早い遅いは関係なく、成人近くになると王となるべき人の胸元に国花が浮き出ると言われていました。 国花は今まで、長男や長女にしか現れなかったそうですので、次女である私は、姉に比べて母からはとても冷遇されておりました。 それは私が17歳の誕生日を迎えた日の事、パーティー会場の外で姉の婚約者と私の婚約者が姉を取り合い、喧嘩をしていたのです。 婚約破棄を受け入れ、部屋に戻り1人で泣いていると、私の胸元に国花が浮き出てしまったじゃないですか! お父様にその事を知らせに行くと、そこには隣国の国王陛下もいらっしゃいました。 事情を知った陛下が息子である第2王子を婚約者兼協力者として私に紹介して下さる事に! 彼と一緒に元婚約者達を後悔させてやろうと思います! ※史実とは関係ない異世界の世界観であり、話の中での色々な設定は話の都合、展開の為のご都合主義、ゆるい設定ですので、そんな世界なのだとご了承いただいた上でお読み下さいませ。 ※話が合わない場合は閉じていただきますよう、お願い致します。

どうぞお好きになさってください

はなまる
恋愛
 ミュリアンナ・ベネットは20歳。母は隣国のフューデン辺境伯の娘でミュリアンナは私生児。母は再婚してシガレス国のベネット辺境伯に嫁いだ。  兄がふたりいてとてもかわいがってくれた。そのベネット辺境伯の窮地を救うための婚約、結婚だった。相手はアッシュ・レーヴェン。女遊びの激しい男だった。レーヴェン公爵は結婚相手のいない息子の相手にミュリアンナを選んだのだ。  結婚生活は2年目で最悪。でも、白い結婚の約束は取り付けたし、まだ令息なので大した仕事もない。1年目は社交もしたが2年目からは年の半分はベネット辺境伯領に帰っていた。  だが王女リベラが国に帰って来て夫アッシュの状況は変わって行くことに。  そんな時ミュリアンナはルカが好きだと再認識するが過去に取り返しのつかない失態をしている事を思い出して。  なのにやたらに兄の友人であるルカ・マクファーレン公爵令息が自分に構って来て。  どうして?  個人の勝手な創作の世界です。誤字脱字あると思います、お見苦しい点もありますがどうぞご理解お願いします。必ず最終話まで書きますので最期までよろしくお願いします。

婚約白紙?上等です!ローゼリアはみんなが思うほど弱くない!

志波 連
恋愛
伯爵令嬢として生まれたローゼリア・ワンドは婚約者であり同じ家で暮らしてきたひとつ年上のアランと隣国から留学してきた王女が恋をしていることを知る。信じ切っていたアランとの未来に決別したローゼリアは、友人たちの支えによって、自分の道をみつけて自立していくのだった。 親たちが子供のためを思い敷いた人生のレールは、子供の自由を奪い苦しめてしまうこともあります。自分を見つめ直し、悩み傷つきながらも自らの手で人生を切り開いていく少女の成長物語です。 本作は小説家になろう及びツギクルにも投稿しています。

【完結】見返りは、当然求めますわ

楽歩
恋愛
王太子クリストファーが突然告げた言葉に、緊張が走る王太子の私室。 この国では、王太子が10歳の時に婚約者が二人選ばれ、そのうちの一人が正妃に、もう一人が側妃に決められるという時代錯誤の古いしきたりがある。その伝統に従い、10歳の頃から正妃候補として選ばれたエルミーヌとシャルロットは、互いに成長を支え合いながらも、その座を争ってきた。しかしーー 「私の正妃は、アンナに決めたんだ。だから、これからは君たちに側妃の座を争ってほしい」 微笑ながら見つめ合う王太子と子爵令嬢。 正妃が正式に決定される半年を前に、二人の努力が無視されるかのようなその言葉に、驚きと戸惑いが広がる。 ※誤字脱字、勉強不足、名前間違い、ご都合主義などなど、どうか温かい目で(o_ _)o))

処理中です...