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第64話:前に進まないと
「さあ、お嬢様、今日はもうお休みください。それにしてもあの女、お嬢様に逆恨みするだなんて。本当に何を考えているのでしょう。お嬢様がどれほど辛い思いをして来たのかも知らずに、本当に腹が立ちますわ」
私の隣でプンプン怒っているカリア。
「ラミネス様も色々と苦労されたのでしょう。ただ…今回の件、私は許すつもりはないわ。と言っても、父親でもある騎士団長様があれほどまでに怒っていらしたから、きっと修道院くらいには送られるのではないかしら?」
さすがに彼女の行いは、許されるものではない。厳しい修道院で、少しは自分の行いを反省してくれるといいのだが…
そんな風に思いながら、その日は眠りについた。ただ…夜中、私はなぜか熱を出した。どうやら私は自分でも気が付いていない程、大きなショックを受けていた様だ。
翌朝にも熱は下がらず、すぐにお医者様が診て下さったのだが
「精神的なものなので、しばらくしたら熱が下がるでしょう」
そう言われた。まさかショックで熱を出すだなんて…そう言えば、盗賊に襲われたときも、熱を出したような…
ふと7年前、盗賊に襲われたときの記憶が急に蘇る。あの時デイビット様が私を守ろうと、必死に動いてくれたのよね。それで…私が怯えて泣きじゃくるから、2人で逃げ出して。でもすぐに見つかってしまって。
それでもデイビッド様は果敢にも男たちに立ち向かっていって…そうだわ!あの時私は怪我をしてしまって、熱が出たのよ。
あの時の事が、一気に蘇った。なぜだろう、どんなに思い出そうとしても、記憶があいまいだったあの時の事。でも、なんだか今は、はっきりと思い出されるわ。
“アンジュ、俺が弱いばかりに本当にごめん。必ず強くなって、アンジュを守れる男になるから”
そう言って私の枕元で涙を流していたデイビッド様。もしかしたらあの事件がきっかけで、デイビッド様は騎士団長になるまでは私への思いを封印しようと考えたのかもしれない。
なんだかそんな風に思えた。
それにしてもあの時は、間違いなく私は幸せだった。大好きなデイビッド様がいつも傍にいて守ってくれていたのよね…
ボーっとする頭で、そんな事を考えてしまう。ふとデイビッド様に貰った、オルゴールを手に取った。幸せそうに微笑む女の子。
そんな女の子を見ていると、つい頬が緩む。
今度はクローゼットの近くに引っ掛けてあるドレスに目が留まる。このドレスはダルク様が私の為に、デザインしてくださったものだ。ミラージュ王国をイメージして作られたドレス。本当に美しい。
「デイビッド様もダルク様も、いつも私の事を考えてくれているのよね…でも…」
“デイビッド様かダルク様、どちらか一方に決めずにズルズルと延ばして。2人の男性からチヤホヤされるのを楽しんでいたのでしょう?”
ラミネス様に言われた言葉が脳裏に浮かんだ。
確かに私は、2人の優しさにつけこんで、ずっと自分の気持ちを先延ばしにして来た。でも、もう迷わない。
そう、私の中で既に答えが出ているのだ。この熱が下がったら、きちんと2人に私の気持ちを伝えよう。それがどんなに辛い事でも、もう私は決めたのだ。あの人と共に未来を歩むという事を。
そう心に決めたのだが、何分熱が一向に下がらない。その間にデイビッド様やダルク様、友人たちも何度もお見舞いに来てくれた。
さらに今回の事件を起こしたラミネス様だが、すぐに裁判に掛けられたとの事。そして彼女に下った判決は、国外追放になったそうだ。
騎士団長様も責任を感じて、早々に騎士団を辞任したらしい。そして新たにデイビッド様が、新騎士団長に急遽就任したらしい。
その上、騎士団長様は今回のラミネス様の行いを自分のせいだと感じている様で、侯爵の座も息子さんに譲り、自分は王都から離れた領地でひっそりと暮らすらしい。
我が家にもダィーズン侯爵家から膨大な慰謝料を頂いたと聞いている。
まさかラミネス様が国外追放になるだなんて…ずっと侯爵令嬢として生きて来た女性が、爵位を奪われたった1人で知らない土地で生きていかなければならない…ある意味死罪よりも残酷かもしれない。
私の隣でプンプン怒っているカリア。
「ラミネス様も色々と苦労されたのでしょう。ただ…今回の件、私は許すつもりはないわ。と言っても、父親でもある騎士団長様があれほどまでに怒っていらしたから、きっと修道院くらいには送られるのではないかしら?」
さすがに彼女の行いは、許されるものではない。厳しい修道院で、少しは自分の行いを反省してくれるといいのだが…
そんな風に思いながら、その日は眠りについた。ただ…夜中、私はなぜか熱を出した。どうやら私は自分でも気が付いていない程、大きなショックを受けていた様だ。
翌朝にも熱は下がらず、すぐにお医者様が診て下さったのだが
「精神的なものなので、しばらくしたら熱が下がるでしょう」
そう言われた。まさかショックで熱を出すだなんて…そう言えば、盗賊に襲われたときも、熱を出したような…
ふと7年前、盗賊に襲われたときの記憶が急に蘇る。あの時デイビット様が私を守ろうと、必死に動いてくれたのよね。それで…私が怯えて泣きじゃくるから、2人で逃げ出して。でもすぐに見つかってしまって。
それでもデイビッド様は果敢にも男たちに立ち向かっていって…そうだわ!あの時私は怪我をしてしまって、熱が出たのよ。
あの時の事が、一気に蘇った。なぜだろう、どんなに思い出そうとしても、記憶があいまいだったあの時の事。でも、なんだか今は、はっきりと思い出されるわ。
“アンジュ、俺が弱いばかりに本当にごめん。必ず強くなって、アンジュを守れる男になるから”
そう言って私の枕元で涙を流していたデイビッド様。もしかしたらあの事件がきっかけで、デイビッド様は騎士団長になるまでは私への思いを封印しようと考えたのかもしれない。
なんだかそんな風に思えた。
それにしてもあの時は、間違いなく私は幸せだった。大好きなデイビッド様がいつも傍にいて守ってくれていたのよね…
ボーっとする頭で、そんな事を考えてしまう。ふとデイビッド様に貰った、オルゴールを手に取った。幸せそうに微笑む女の子。
そんな女の子を見ていると、つい頬が緩む。
今度はクローゼットの近くに引っ掛けてあるドレスに目が留まる。このドレスはダルク様が私の為に、デザインしてくださったものだ。ミラージュ王国をイメージして作られたドレス。本当に美しい。
「デイビッド様もダルク様も、いつも私の事を考えてくれているのよね…でも…」
“デイビッド様かダルク様、どちらか一方に決めずにズルズルと延ばして。2人の男性からチヤホヤされるのを楽しんでいたのでしょう?”
ラミネス様に言われた言葉が脳裏に浮かんだ。
確かに私は、2人の優しさにつけこんで、ずっと自分の気持ちを先延ばしにして来た。でも、もう迷わない。
そう、私の中で既に答えが出ているのだ。この熱が下がったら、きちんと2人に私の気持ちを伝えよう。それがどんなに辛い事でも、もう私は決めたのだ。あの人と共に未来を歩むという事を。
そう心に決めたのだが、何分熱が一向に下がらない。その間にデイビッド様やダルク様、友人たちも何度もお見舞いに来てくれた。
さらに今回の事件を起こしたラミネス様だが、すぐに裁判に掛けられたとの事。そして彼女に下った判決は、国外追放になったそうだ。
騎士団長様も責任を感じて、早々に騎士団を辞任したらしい。そして新たにデイビッド様が、新騎士団長に急遽就任したらしい。
その上、騎士団長様は今回のラミネス様の行いを自分のせいだと感じている様で、侯爵の座も息子さんに譲り、自分は王都から離れた領地でひっそりと暮らすらしい。
我が家にもダィーズン侯爵家から膨大な慰謝料を頂いたと聞いている。
まさかラミネス様が国外追放になるだなんて…ずっと侯爵令嬢として生きて来た女性が、爵位を奪われたった1人で知らない土地で生きていかなければならない…ある意味死罪よりも残酷かもしれない。
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