何年も相手にしてくれなかったのに…今更迫られても困ります

デイビッドとのIFストーリー

デイビッドとのIFストーリー2

「デイビッド、アンジュ嬢が見つかったと聞いたが…ラミネス、やっぱりお前が犯人だったのか？なんて事をしたんだ！」

「アンジュ、無事でよかった。デイビッド殿、娘を助けて頂き、ありがとうございます」

「アンジュ嬢は私が助けたかったのだけれどな…でも、デイビッド殿、アンジュ嬢を助けて下さり、ありがとうございました」

やって来たのは、騎士団長様とお父様、ダルク様だ。既に騎士団員たちによって、男たちとラミネス様は捕らえられている。

「ダルク殿、君にお礼を言われる筋合いはないよ。アンジュは俺の大切な人だからね。それよりも騎士団長、今回の件で、アンジュは深く傷つきました。俺は到底ラミネス嬢を許すことはできません!どうか厳罰を！」

デイビッド様が騎士団長様に訴えている。

「ああ、もちろんだ。アンジュ嬢、本当に娘が申し訳なかった。謝っても許されない事は分かっているが、どうか謝罪させてくれ。ラミネスはこの後裁判にかけ、厳正なる処罰を与えるつもりだ」

申し訳なさそうに頭を下げている。

「どうしてお父様が謝るの？この女が全て悪いのよ！」

「ラミネス、お前は自分がどれほど恐ろしい事をしたのか、分かっているのか？侯爵令嬢でもあるアンジュ嬢を誘拐するだなんて！ラミネスを地下牢に連れて行け！」

「お父様、地下牢だなんて…嫌よ、考え直して！お願い」

必死に騎士団長に縋りつくラミネス様を振り払うと

「本当にラミネスが申し訳ございませんでした。後日改めて謝罪に伺います。それでは私はこれで」

再び頭を下げた騎士団長様は、そのままラミネス様と一緒に馬車に乗り込んでいった。

「さあ、アンジュ。大変な思いをしたのだろう。すぐに家に帰ろう。母さんやレイズもきっと心配しているだろう。ダルク殿、デイビッド殿、アンジュ捜索に協力いただき、ありがとうございました。あの…申し訳ないのですが、今日のお別れ会は中止してもらってもいいでしょうか？」

「ええ、もちろんです。アンジュ嬢のケアが第一ですから。アンジュ嬢、今日はゆっくり休むといい。念のため、医師にも診てもらった方がいいでしょう」

「ありがとうございます、そう致しますわ。それではデイビッド様、ダルク様、今日は私の為にありがとうございました」

デイビッド様とダルク様に頭を下げ、侯爵家の馬車へと乗り込んだ。いつの間にか、我が家の馬車が来ていた様だ。

「アンジュ、今日は怖い思いをさせてしまい、本当にすまなかった。デイビッド殿のお陰で、最悪の自体は防げたようだが、それでもアンジュの心に傷を負ったのは間違いないだろう。アンジュが何者かに狙われている事を知りながら、アンジュを守れなかったのは父親でもある私の責任だ。本当にすまなかった」

心に傷か…

「お父様のせいではありませんわ。確かに衝撃的な出来事でしたが、思ったほどショックを受けていないのですよ」

「アンジュ、無理しなくてもいい。泣いているではないか」

泣いている？私が？

そっと頬に触れると、涙が溢れていた。そうか、私は知らず知らずのうちに恐怖を感じていたのだろう。あの男たちの不敵な笑みを思い出したら、急に怖くなって震えが止まらなくなった。

そんな私を、お父様が抱きしめてくれた。

「さあ、屋敷に着いたよ」

お父様に連れられ、馬車から降りると

「アンジュ！！」

「姉上！！」

お母様とレイズが血相をかけて飛んできたのだ。そしてお母様に抱きしめられた。

「よかった、無事だったのね。アンジュが誘拐されたと聞いて、気が気ではなかったのよ。可哀そうに、怖い思いをしたのでしょう」

「姉上、ごめんなさい。僕が付いていながら、姉上を守れなかった」

「レイズ、あなたのせいではないわ。それよりも怪我はない？私のせいであなたまで巻き込んでしまって、本当にごめんなさい」

私と一緒にいたレイズまで、巻き添えをくらったのだ。本当にレイズには申し訳なく思っている。

「さあ、とにかく部屋に向かいましょう。医者も手配しているわ」

その後すぐに部屋に戻ると、医者の診察を受けた。特に怪我もなく、異常なしとの事。そしてカリア達メイドに体を綺麗にしてもらい、今日はゆっくり休むことにした。

予想通り、カリアには泣かれてしまった。今日は色々な人に迷惑を掛けてしまった。それでもこうやって家に無事に戻って来られてよかったわ。

改めて後日、関係者の方たちにお礼をしないと。