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第6話:家族から連絡が来ました

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「ありがとう、ジャンティーヌさん。あなたも疲れているでしょう?すぐにお部屋を準備するから」

そう言うと、壁の前に立ったシルビア殿下。魔力であっという間に部屋を作ってくれたのだ。

「ごめんなさい、私はジルドの様に魔力が高くなくて、こんな部屋しか作れなくて…」

シルビア殿下が申し訳なさそうに呟いている。

「十分ですわ、私の為に、ありがとうございます。それでは、少し休ませていただきますね」

十分な食事が出来ていないためか、まだ完全に魔力が回復していない。とにかくゆっくり休んで、魔力を少しでも回復させよう。そして魔力が回復したら、私も魔物退治に出掛けないと!

そう思ってシルビア殿下が魔法で出してくれたベッドに横になる。すると…


“ジャンティーヌ、聞こえるか?ジャンティーヌ…”

この声は!

「お父様、それにお母様やお兄様も」

目の前に映るのは、両親と兄の姿だ。

“よかった、生きていたのだな。ジャンティーヌの事を聞いた時は、血の気が引いたよ。あの男、本当に何を考えているのだか…それも、ジャンティーヌの16歳の誕生日に!”

「グリーズン王国の王子殿下に、命を助けて頂きましたので大丈夫ですわ。彼の計らいで、今地下に匿って頂いております。それよりもお父様たちは、大丈夫ですの?アーロン様の横暴な言いがかりで、投獄などされておりませんか?」

“私たちは大丈夫だ。危険をいち早く察知して、すでに隣国に避難している。もちろん、このままにするつもりはない。体制を立て直して、アーロン殿下と戦うつもりだ。ただ、時間が少しかかりそうなんだ…それから…お前の危険を察知することが出来ずにすまなかった。とにかくジャンティーヌも、すぐにこちらに来なさい。グリーズン王国は危険すぎる”

グリーズン王国をすぐに出るのか…

でも、沢山の人々が我が儘な魔女によって、苦しめられている。それに命を助けてくれたジルド殿下やシルビア殿下を見捨てて、私だけ逃げるの?そんな事でいいの?

いいや、良くない!

「お父様、私はこの国に残って、命を助けてくれたジルド殿下やシルビア殿下の力になりたいのです」

“何を言っているのだ!グリーズン王国は既に廃墟になっているのだぞ!ドラゴンたちもいるらしいし、いくら何でも危険すぎる!”

“そうよ、ジャンティーヌ、とにかく一度、こっちにいらっしゃい!”

お父様だけでなく、お母様までも必死に訴えてくる。でも…

「ごめんなさい、それは出来ないわ。私はこの目で、この地の惨状を目の当たりにしました。それに私は、命の恩人を見捨てる事なんてできません。もしそのままお父様たちの元へと向かったら、きっと一生後悔すると思うのです。ですから、どうかお願いします!」

映像に向かって必死に頭を下げた。

“父上、母上、ジャンティーヌがそこまで言っているのだから、残らせてあげましょう。それにジャンティーヌは、1000年に一度の凄まじいほどの魔力を持った人間と言われているのですよ。現に伝説の聖女が何年もかかって作り上げた国の秘宝、魔力無力化リングを壊してしまったのだから。ジャンティーヌならきっと、大丈夫ですよ”

お兄様だけが私の味方になってくれた。珍しい事もあるものだ。いつも私の事をからかっているお兄様が!

“…わかった。とにかく無理はするなよ!命の危険を感じたら、すぐに私たちのところに来なさい!わかったね”


「分かりましたわ。ありがとうございます。あの…それで、1つお願いがあるのですが、よろしいでしょうか?」

“もちろんだ、何でも言ってくれ”

「食糧をありったけ送って頂きたいのです。出来れば定期的に。グリーズン王国は、本当に酷い状況でして。とにかく食べ物が不足しているのです。それから、王族たちは悪くありませんでしたわ。詳しい話は、また後日話します。とにかく、私が出来る事をやりたいのです!」

“さっきジャンティーヌを探すときに、グリーズン王国の地上を見させてもらったが、酷いありさまだったな…わかった、すぐに送ろう。それから、魔物たちに関する資料も一緒に送る事にするよ”


「ありがとうございます。出来るだけ早くお願いしますね」

“ああ、分かっている。いつでも送れる様、部屋に魔法陣を描いて待っていてくれるかい?”

「ええ、分かりましたわ。それではこれで」

“ジャンティーヌ、無理だけはしないで頂戴ね。あなたにもしもの事があったら、私は…”

「分かっておりますわ。お母様。それでは」

涙を流すお母様の姿を見たら、胸が苦しくなった。それでも自分で決めた道なのだ。それに食べ物さえあれば、きっと何とかなるわ。

通信が切れた後、急いで魔法陣を描いた。一応魔力で魔法陣を隠しておく。

「魔法陣を描いただけなのに、こんなにも疲れるだなんて。やっぱり食べ物を食べていないからね。早くお腹いっぱい食べないと…」

とりあえず休むため、再びベッドに横になる。牢に投獄されてから、ろくに眠っていなかったのよね。家族の無事も確認できたし、安心したらなんだか急に眠くなってきたわ。


そのまま瞳を閉じ、眠りについたのだった。
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