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第15話:レティシアがいなくなっただと…~リアム視点~
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やっと全てが片付いた。レティシアを僕の婚約者から引きずり降ろそうとしていたガルシア侯爵とその協力者ももういない。レティシアに暴言を吐いていた母上も、今回の件で住み家を離宮に移し、そこでひっそりと暮らさせる予定だし。これでレティシアを傷つける者は、全ていなくなった。
後はレティシアとの時間を増やし、当初の計画通り彼女を僕に依存させれば完了だ。早速今からレティシアに全てを話しに行こう。そして何より、もう僕に逆らう奴はないだろう。今回の件で、国王の父上ですら、今後僕に意見をいう事をためらうだろう。
それくらい、今回の断罪で僕の評価が上がった。中には、ガルシア侯爵の悪事を見抜けなかった父上より、しっかり証拠を集めた僕に早く王位を譲るべきだと言った話も出てきている。
このまま行けば結婚と同時に国王の座も、僕のものになりそうだ。正直国王の座にあまり興味がないが、レティシアが王妃になる事で、彼女の地位も確たるものになる。そうなれば、もう二度と周りもとやかく言わないだろう。
そんな事を考えながらレティシアの部屋に向かう。部屋に入ると、灯りが消えていた。まだ早い時間なのに、もう眠ってしまったのだろうか?そう思い、声を掛ける。すると、今日は眠くてたまらないと言うレティシア。
眠いのに無理して起こすのも可哀そうだな。別に明日ゆっくり話せばいいか。これからは、レティシアとの時間もたっぷり取れるのだから。そう思い、いつもの様にレティシアのおでこに口付けをして部屋から出た。
そう言えばここ数ヶ月、ほとんど寝ていなかったな。今日は僕も早めに寝よう。部屋に戻り、着替えを済ますとすぐにベッドに入り、眠りに付いたのであった。
翌日
久しぶりにしっかり眠ったおかげか、朝から頭がスッキリしている。今まで一緒に食事が取れなかった分、今日からは毎食一緒に食べる事にしよう。着替えを済ませ、レティシアの部屋に向かおうとした時だった。
僕を奈落の底へと突き落とす、悪夢の様な出来事が起きたのは…
真っ青な顔をした執事から、レティシアがいなくなった事を聞かされた。ベッドに座り込み、ミミちゃんを抱きしめる。どうして…なんでレティシアが…
「殿下、とにかくレティシア様のお部屋に行きましょう」
真っ青な顔の僕に声を掛ける執事。そうだ、とにかくレティシアの部屋に向かわないと!レティシアの部屋に向かうが、部屋は特に変わった様子はない。僕が贈ったドレスやアクセサリーもそのまま置いてあった。そして窓には、ロープがぶら下がっていた。もしかして、誰かに連れ去られたのか?そう思ったが…
「殿下、レティシア様から手紙が…」
メイドから渡されたのは、1通の手紙だ。間違いなくレティシアの字だ。
“リアム様、急に姿を消す事をお許しください。どうかミランダ様と末永くお幸せに。あなた様の幸せを、遠くから祈っております。 レティシア”
手紙にはそう書かれていた。
「何て事だ…まさか、こんな事になるなんて…」
その場に座り込む僕から、手紙を奪い取った執事。
「殿下、きっとレティシア様は殿下とミランダ様が愛し合っていると誤解されたのでしょう。そして、自ら身を引かれたのかと…」
執事の言う通り、レティシアなら僕の幸せを願って自ら身を引く…十分考えられる。
「ご両親を亡くされ、トンプソン公爵家も取り潰された今、レティシア様は誰にも頼る事が出来なかったのでしょう。お可哀そうに…」
そう言って沈痛な表情を浮かべる執事。トンプソン公爵夫妻が亡くなり、家も取り潰せば、レティシアは僕に依存するしかない、そう思っていた。でも、逆を返せば公爵令嬢で無くなった彼女は、家の事を考える必要が無くなったと言う訳だ。
ある意味、公爵家がレティシアの足かせになっていたのか…そんな足かせを、僕は自ら解いてしまった。だからレティシアは…
「とにかく、レティシア様を探しましょう。昨日の夜まではいらっしゃったのです。まだそれほど遠くには行っていないはず。それにレティシア様はこの国では珍しいピンク色の髪をしていらっしゃいます。すぐに見つかりますから。それから、レティシア様以外に消えた人間がいないかもすぐに調査いたしましょう。もしかしたら、協力者がいたのかもしれませんから」
全く使い物にならない僕に代わり、指揮を取る執事。レティシアが僕を捨てて出て行くなんて…僕の愛情が不足していたのだろうか?確かに最近はレティシアとの時間が取れなかった。それでもこの9年、レティシアを愛して来たのに…どうして、何で?
レティシアを失いたくない一心で、嫉妬心の独占欲も隠して来たのに、結局失うのか…ならば最初から、我慢なんてしなければよかった。最初から自分が思うまま動いていればよかった。そうすれば、王宮から抜け出す事も出来なかったかもしれないのに…
そうだ…僕の考えが甘かったんだ。僕はレティシアがいないと何もできない…生きていく事すらままならないんだ。いわばレティシアは僕の心臓。そんな大事なものを、野放しにしていたなんて…
レティシア、僕から逃げられるなんて思わないでね…すぐに見つけ出して、もう二度と僕から離れられなくしてあげるから…
「おい、王宮騎士団長をすぐに呼び出せ。王宮騎士団にレティシアの捜索を全てを任せる。どんな手を使っても構わない。レティシアを見つけ出せ!」
騎士団の中でも特に選りすぐりの者が集められている王宮騎士団。かつてトンプソン公爵が指揮を取っていた部隊。トンプソン公爵が作り上げた、屈強の部隊だ。きっと彼らなら、レティシアを見つけ出してくれるだろう。
まさかこんな形で王宮騎士団を使う事になるとはな…でも、これも宿命かもしれない。とにかく、レティシアを早く見つけださないと!
※リアム視点が長くなりましたが、次回からレティシア視点に戻ります。
引き続きよろしくお願いいたします(*‘∀‘)
後はレティシアとの時間を増やし、当初の計画通り彼女を僕に依存させれば完了だ。早速今からレティシアに全てを話しに行こう。そして何より、もう僕に逆らう奴はないだろう。今回の件で、国王の父上ですら、今後僕に意見をいう事をためらうだろう。
それくらい、今回の断罪で僕の評価が上がった。中には、ガルシア侯爵の悪事を見抜けなかった父上より、しっかり証拠を集めた僕に早く王位を譲るべきだと言った話も出てきている。
このまま行けば結婚と同時に国王の座も、僕のものになりそうだ。正直国王の座にあまり興味がないが、レティシアが王妃になる事で、彼女の地位も確たるものになる。そうなれば、もう二度と周りもとやかく言わないだろう。
そんな事を考えながらレティシアの部屋に向かう。部屋に入ると、灯りが消えていた。まだ早い時間なのに、もう眠ってしまったのだろうか?そう思い、声を掛ける。すると、今日は眠くてたまらないと言うレティシア。
眠いのに無理して起こすのも可哀そうだな。別に明日ゆっくり話せばいいか。これからは、レティシアとの時間もたっぷり取れるのだから。そう思い、いつもの様にレティシアのおでこに口付けをして部屋から出た。
そう言えばここ数ヶ月、ほとんど寝ていなかったな。今日は僕も早めに寝よう。部屋に戻り、着替えを済ますとすぐにベッドに入り、眠りに付いたのであった。
翌日
久しぶりにしっかり眠ったおかげか、朝から頭がスッキリしている。今まで一緒に食事が取れなかった分、今日からは毎食一緒に食べる事にしよう。着替えを済ませ、レティシアの部屋に向かおうとした時だった。
僕を奈落の底へと突き落とす、悪夢の様な出来事が起きたのは…
真っ青な顔をした執事から、レティシアがいなくなった事を聞かされた。ベッドに座り込み、ミミちゃんを抱きしめる。どうして…なんでレティシアが…
「殿下、とにかくレティシア様のお部屋に行きましょう」
真っ青な顔の僕に声を掛ける執事。そうだ、とにかくレティシアの部屋に向かわないと!レティシアの部屋に向かうが、部屋は特に変わった様子はない。僕が贈ったドレスやアクセサリーもそのまま置いてあった。そして窓には、ロープがぶら下がっていた。もしかして、誰かに連れ去られたのか?そう思ったが…
「殿下、レティシア様から手紙が…」
メイドから渡されたのは、1通の手紙だ。間違いなくレティシアの字だ。
“リアム様、急に姿を消す事をお許しください。どうかミランダ様と末永くお幸せに。あなた様の幸せを、遠くから祈っております。 レティシア”
手紙にはそう書かれていた。
「何て事だ…まさか、こんな事になるなんて…」
その場に座り込む僕から、手紙を奪い取った執事。
「殿下、きっとレティシア様は殿下とミランダ様が愛し合っていると誤解されたのでしょう。そして、自ら身を引かれたのかと…」
執事の言う通り、レティシアなら僕の幸せを願って自ら身を引く…十分考えられる。
「ご両親を亡くされ、トンプソン公爵家も取り潰された今、レティシア様は誰にも頼る事が出来なかったのでしょう。お可哀そうに…」
そう言って沈痛な表情を浮かべる執事。トンプソン公爵夫妻が亡くなり、家も取り潰せば、レティシアは僕に依存するしかない、そう思っていた。でも、逆を返せば公爵令嬢で無くなった彼女は、家の事を考える必要が無くなったと言う訳だ。
ある意味、公爵家がレティシアの足かせになっていたのか…そんな足かせを、僕は自ら解いてしまった。だからレティシアは…
「とにかく、レティシア様を探しましょう。昨日の夜まではいらっしゃったのです。まだそれほど遠くには行っていないはず。それにレティシア様はこの国では珍しいピンク色の髪をしていらっしゃいます。すぐに見つかりますから。それから、レティシア様以外に消えた人間がいないかもすぐに調査いたしましょう。もしかしたら、協力者がいたのかもしれませんから」
全く使い物にならない僕に代わり、指揮を取る執事。レティシアが僕を捨てて出て行くなんて…僕の愛情が不足していたのだろうか?確かに最近はレティシアとの時間が取れなかった。それでもこの9年、レティシアを愛して来たのに…どうして、何で?
レティシアを失いたくない一心で、嫉妬心の独占欲も隠して来たのに、結局失うのか…ならば最初から、我慢なんてしなければよかった。最初から自分が思うまま動いていればよかった。そうすれば、王宮から抜け出す事も出来なかったかもしれないのに…
そうだ…僕の考えが甘かったんだ。僕はレティシアがいないと何もできない…生きていく事すらままならないんだ。いわばレティシアは僕の心臓。そんな大事なものを、野放しにしていたなんて…
レティシア、僕から逃げられるなんて思わないでね…すぐに見つけ出して、もう二度と僕から離れられなくしてあげるから…
「おい、王宮騎士団長をすぐに呼び出せ。王宮騎士団にレティシアの捜索を全てを任せる。どんな手を使っても構わない。レティシアを見つけ出せ!」
騎士団の中でも特に選りすぐりの者が集められている王宮騎士団。かつてトンプソン公爵が指揮を取っていた部隊。トンプソン公爵が作り上げた、屈強の部隊だ。きっと彼らなら、レティシアを見つけ出してくれるだろう。
まさかこんな形で王宮騎士団を使う事になるとはな…でも、これも宿命かもしれない。とにかく、レティシアを早く見つけださないと!
※リアム視点が長くなりましたが、次回からレティシア視点に戻ります。
引き続きよろしくお願いいたします(*‘∀‘)
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