6 / 34
第6話:殿下の熱烈な歓迎を受けました
しおりを挟む
「お嬢様、王宮に着きましたよ」
色々と考えているうちに、どうやら王宮に着いていた様だ。仕方がない、行くか。
馬車から降りた時だった。
「カナリア…本当にカナリアなのかい?ああ、僕のカナリア!」
訳の分からない事を呟きながら、私に抱き着いて来たのはアルト様だ。
「おはようございます、アルト様。毎日私を訪ねて来てくださっていたのに、お会いする事が出来ずに申し訳ございませんでした。今日からまた、婚約者として王宮に参りますわ」
あなた様がシャーラ様に出会い、彼女に心を奪われるまでは…
「ありがとう、カナリア。僕は君に嫌われたのではないかと、本当に心配で…でも、よかった。僕のカナリアが戻ってきてくれた。さあ、こんなところで話していて、万が一再び体調を崩したら大変だ。すぐに王宮の中に入ろう」
なぜか私を抱きかかえ、アルト様が歩き出した。
「アルト様、私は自分の足で歩けますわ」
さすがに恥ずかしい。必死に降りようとしたのだが…
「君は原因不明の高熱に襲われたばかりだろう?熱が全然引かないと聞いて、君が死んでしまうのではないかと、本当に生きた心地がしなかったんだよ。それにずっとカナリアに触れられていなかっただろう?やっぱりカナリアの体は、柔らくて温かいな…カナリア、ずっと僕の傍にいてくれるよね?」
アルト様が不安そうに私の顔を覗き込んできた。
「ええ…あなた様が望んでいる間は、傍にいますわ…」
「どうしてそんな顔をするのだい?それに僕が望んでいる間はとは、どういう意味だい?僕はずっとずっと、君の傍にいたいと思っているよ」
そんな事を言っていられるのも、後わずかですわ。だってあなた様は、もうすぐ運命の相手に出会うのですから…
それなのに、こんな風に私に気持ちをぶつけてくるだなんて、本当に罪な人…どこまで私の心を揺さぶれば、気が済むのかしら?それでも私は、公爵令嬢でアルト様の婚約者。
あなた様が私を必要としている間は、しっかり婚約者を務めますからご安心を。
そっと心の中で呟いた。
「さあ、部屋に着いたよ。寒くないかい?すぐにひざ掛けを準備するね。それから、カナリアの好きなお茶も準備しよう。他に欲しいものはないかい?」
それでしたら、分厚いサラミが欲しいですわ。後、お茶ではなくジュースを下さい。本当はお酒が飲みたいのですけれどね。
なんて、言える訳がない。
「アルト様、私の為にありがとうございます。ですが私は、特に欲しいものはありませんわ」
そう笑顔で伝えた。屋敷に戻ったら、分厚いサラミとジュースを味わおう。そう思い、準備されたお茶を飲む。
それにしても、距離が近すぎないかしら?
そう、私の隣には、ベッタリとくっ付いたアルト様の姿が。憂いそうに頬ずりをしたり、頬に口づけをしたり、やりたい放題だ。まあ、そのうち私には見向きもしなくなるのだから、今はこのままにしておこう。
「カナリア、まだ体調が悪いのかい?いつも僕が君に触れると、恥ずかしがりながらも、嬉しそうな顔をするのに。やっぱり僕の事を、嫌いになってしまったのかい?」
「いいえ、そんな事はありませんわ!ただ、まだ少し体調が…」
「確かに少し顔色が悪い気がする。これは大変だ、すぐに休むといい。僕がベッドまで運んであげるからね」
何を思ったのか、そのままアルト様に連れられ、私の為に準備されている部屋へと連れてこられた。そして
「君たち、すぐにカナリアに着替えを。ドレスでは苦しいだろうから。そうだ、このネグリジェを着せてくれ。僕がカナリアの為に選んだものだ」
ギューギュー抱きしめられながら、そのままメイドたちに指示を出している。
「アルト様、さすがにこれ以上ご迷惑をかける訳にはいきません。私は家に帰り…」
「家に帰ったらまた、公爵とカルア、アクアが君を隠してしまうではないか!絶対に公爵家には返さないよ。さあ、すぐに着替えをして、ゆっくり休んでくれ。僕はカナリアが着替えている間に、医者を呼んでくるからね」
アルト様が急いで出て行ってしまった。優しくされればされるほど、胸が苦しくなる。どうして私は、カナリアに転生してしまったのかしら?涙が溢れそうになるのを、必死に堪えた。
着替えが済んだ頃、アルト様がお部屋に戻ってきた。そして甲斐甲斐しくお世話してくれる。本来なら幸せでたまらないのに、未来のない私にとっては苦痛なだけだ。
ただ、私は公爵令嬢、どんなに苦しくても、辛くても、この状況を堪えないと…
そう自分に言い聞かせたのだった。
色々と考えているうちに、どうやら王宮に着いていた様だ。仕方がない、行くか。
馬車から降りた時だった。
「カナリア…本当にカナリアなのかい?ああ、僕のカナリア!」
訳の分からない事を呟きながら、私に抱き着いて来たのはアルト様だ。
「おはようございます、アルト様。毎日私を訪ねて来てくださっていたのに、お会いする事が出来ずに申し訳ございませんでした。今日からまた、婚約者として王宮に参りますわ」
あなた様がシャーラ様に出会い、彼女に心を奪われるまでは…
「ありがとう、カナリア。僕は君に嫌われたのではないかと、本当に心配で…でも、よかった。僕のカナリアが戻ってきてくれた。さあ、こんなところで話していて、万が一再び体調を崩したら大変だ。すぐに王宮の中に入ろう」
なぜか私を抱きかかえ、アルト様が歩き出した。
「アルト様、私は自分の足で歩けますわ」
さすがに恥ずかしい。必死に降りようとしたのだが…
「君は原因不明の高熱に襲われたばかりだろう?熱が全然引かないと聞いて、君が死んでしまうのではないかと、本当に生きた心地がしなかったんだよ。それにずっとカナリアに触れられていなかっただろう?やっぱりカナリアの体は、柔らくて温かいな…カナリア、ずっと僕の傍にいてくれるよね?」
アルト様が不安そうに私の顔を覗き込んできた。
「ええ…あなた様が望んでいる間は、傍にいますわ…」
「どうしてそんな顔をするのだい?それに僕が望んでいる間はとは、どういう意味だい?僕はずっとずっと、君の傍にいたいと思っているよ」
そんな事を言っていられるのも、後わずかですわ。だってあなた様は、もうすぐ運命の相手に出会うのですから…
それなのに、こんな風に私に気持ちをぶつけてくるだなんて、本当に罪な人…どこまで私の心を揺さぶれば、気が済むのかしら?それでも私は、公爵令嬢でアルト様の婚約者。
あなた様が私を必要としている間は、しっかり婚約者を務めますからご安心を。
そっと心の中で呟いた。
「さあ、部屋に着いたよ。寒くないかい?すぐにひざ掛けを準備するね。それから、カナリアの好きなお茶も準備しよう。他に欲しいものはないかい?」
それでしたら、分厚いサラミが欲しいですわ。後、お茶ではなくジュースを下さい。本当はお酒が飲みたいのですけれどね。
なんて、言える訳がない。
「アルト様、私の為にありがとうございます。ですが私は、特に欲しいものはありませんわ」
そう笑顔で伝えた。屋敷に戻ったら、分厚いサラミとジュースを味わおう。そう思い、準備されたお茶を飲む。
それにしても、距離が近すぎないかしら?
そう、私の隣には、ベッタリとくっ付いたアルト様の姿が。憂いそうに頬ずりをしたり、頬に口づけをしたり、やりたい放題だ。まあ、そのうち私には見向きもしなくなるのだから、今はこのままにしておこう。
「カナリア、まだ体調が悪いのかい?いつも僕が君に触れると、恥ずかしがりながらも、嬉しそうな顔をするのに。やっぱり僕の事を、嫌いになってしまったのかい?」
「いいえ、そんな事はありませんわ!ただ、まだ少し体調が…」
「確かに少し顔色が悪い気がする。これは大変だ、すぐに休むといい。僕がベッドまで運んであげるからね」
何を思ったのか、そのままアルト様に連れられ、私の為に準備されている部屋へと連れてこられた。そして
「君たち、すぐにカナリアに着替えを。ドレスでは苦しいだろうから。そうだ、このネグリジェを着せてくれ。僕がカナリアの為に選んだものだ」
ギューギュー抱きしめられながら、そのままメイドたちに指示を出している。
「アルト様、さすがにこれ以上ご迷惑をかける訳にはいきません。私は家に帰り…」
「家に帰ったらまた、公爵とカルア、アクアが君を隠してしまうではないか!絶対に公爵家には返さないよ。さあ、すぐに着替えをして、ゆっくり休んでくれ。僕はカナリアが着替えている間に、医者を呼んでくるからね」
アルト様が急いで出て行ってしまった。優しくされればされるほど、胸が苦しくなる。どうして私は、カナリアに転生してしまったのかしら?涙が溢れそうになるのを、必死に堪えた。
着替えが済んだ頃、アルト様がお部屋に戻ってきた。そして甲斐甲斐しくお世話してくれる。本来なら幸せでたまらないのに、未来のない私にとっては苦痛なだけだ。
ただ、私は公爵令嬢、どんなに苦しくても、辛くても、この状況を堪えないと…
そう自分に言い聞かせたのだった。
1,169
あなたにおすすめの小説
白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』
鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」
公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。
だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。
――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの?
何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。
しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。
それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。
そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。
温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。
そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。
「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」
「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」
離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。
そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。
折角転生したのに、婚約者が好きすぎて困ります!
たぬきち25番
恋愛
ある日私は乙女ゲームのヒロインのライバル令嬢キャメロンとして転生していた。
なんと私は最推しのディラン王子の婚約者として転生したのだ!!
幸せすぎる~~~♡
たとえ振られる運命だとしてもディラン様の笑顔のためにライバル令嬢頑張ります!!
※主人公は婚約者が好きすぎる残念女子です。
※気分転換に笑って頂けたら嬉しく思います。
短めのお話なので毎日更新
※糖度高めなので胸やけにご注意下さい。
※少しだけ塩分も含まれる箇所がございます。
《大変イチャイチャラブラブしてます!! 激甘、溺愛です!! お気を付け下さい!!》
※他サイト様にも公開始めました!
好きでした、婚約破棄を受け入れます
たぬきち25番
恋愛
シャルロッテ子爵令嬢には、幼い頃から愛し合っている婚約者がいた。優しくて自分を大切にしてくれる婚約者のハンス。彼と結婚できる幸せな未来を、心待ちにして努力していた。ところがそんな未来に暗雲が立ち込める。永遠の愛を信じて、傷つき、涙するシャルロッテの運命はいかに……?
※十章を改稿しました。エンディングが変わりました。
その眼差しは凍てつく刃*冷たい婚約者にウンザリしてます*
音爽(ネソウ)
恋愛
義妹に優しく、婚約者の令嬢には極寒対応。
塩対応より下があるなんて……。
この婚約は間違っている?
*2021年7月完結
【完結】消えた姉の婚約者と結婚しました。愛し愛されたかったけどどうやら無理みたいです
金峯蓮華
恋愛
侯爵令嬢のベアトリーチェは消えた姉の代わりに、姉の婚約者だった公爵家の子息ランスロットと結婚した。
夫とは愛し愛されたいと夢みていたベアトリーチェだったが、夫を見ていてやっぱり無理かもと思いはじめている。
ベアトリーチェはランスロットと愛し愛される夫婦になることを諦め、楽しい次期公爵夫人生活を過ごそうと決めた。
一方夫のランスロットは……。
作者の頭の中の異世界が舞台の緩い設定のお話です。
ご都合主義です。
以前公開していた『政略結婚して次期侯爵夫人になりました。愛し愛されたかったのにどうやら無理みたいです』の改訂版です。少し内容を変更して書き直しています。前のを読んだ方にも楽しんでいただけると嬉しいです。
【完結】伯爵令嬢は婚約を終わりにしたい〜次期公爵の幸せのために婚約破棄されることを目指して悪女になったら、なぜか溺愛されてしまったようです〜
よどら文鳥
恋愛
伯爵令嬢のミリアナは、次期公爵レインハルトと婚約関係である。
二人は特に問題もなく、順調に親睦を深めていった。
だがある日。
王女のシャーリャはミリアナに対して、「二人の婚約を解消してほしい、レインハルトは本当は私を愛しているの」と促した。
ミリアナは最初こそ信じなかったが王女が帰った後、レインハルトとの会話で王女のことを愛していることが判明した。
レインハルトの幸せをなによりも優先して考えているミリアナは、自分自身が嫌われて婚約破棄を宣告してもらえばいいという決断をする。
ミリアナはレインハルトの前では悪女になりきることを決意。
もともとミリアナは破天荒で活発な性格である。
そのため、悪女になりきるとはいっても、むしろあまり変わっていないことにもミリアナは気がついていない。
だが、悪女になって様々な作戦でレインハルトから嫌われるような行動をするが、なぜか全て感謝されてしまう。
それどころか、レインハルトからの愛情がどんどんと深くなっていき……?
※前回の作品同様、投稿前日に思いついて書いてみた作品なので、先のプロットや展開は未定です。今作も、完結までは書くつもりです。
※第一話のキャラがざまぁされそうな感じはありますが、今回はざまぁがメインの作品ではありません。もしかしたら、このキャラも更生していい子になっちゃったりする可能性もあります。(このあたり、現時点ではどうするか展開考えていないです)
白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』
鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」
華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。
王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。
そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。
レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。
「お願いだ……戻ってきてくれ……」
王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。
「もう遅いわ」
愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。
裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。
これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。
突然決められた婚約者は人気者だそうです。押し付けられたに違いないので断ってもらおうと思います。
橘ハルシ
恋愛
ごくごく普通の伯爵令嬢リーディアに、突然、降って湧いた婚約話。相手は、騎士団長の叔父の部下。侍女に聞くと、どうやら社交界で超人気の男性らしい。こんな釣り合わない相手、絶対に叔父が権力を使って、無理強いしたに違いない!
リーディアは相手に遠慮なく断ってくれるよう頼みに騎士団へ乗り込むが、両親も叔父も相手のことを教えてくれなかったため、全く知らない相手を一人で探す羽目になる。
怪しい変装をして、騎士団内をうろついていたリーディアは一人の青年と出会い、そのまま一緒に婚約者候補を探すことに。
しかしその青年といるうちに、リーディアは彼に好意を抱いてしまう。
全21話(本編20話+番外編1話)です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる