これ以上私の心をかき乱さないで下さい

Karamimi

文字の大きさ
36 / 75

第36話:アレックス様がやたらと絡んでくるのですが…

しおりを挟む
「領地で買ったお土産も持ったし。忘れ物はないわね」

 久しぶりに貴族学院の制服を着て、馬車に乗り込む。今日から新学期だ。先日アレックス様が、訳の分からない事を言っていたのが気になるが、それでも大切な友人たちに会えるのが楽しみでたまらない。

 皆、元気にしていたかしら?ディアンが準備してくれたポプリ、気に入ってくれるといいな。

 領地を出るとき、ディアンが沢山のポプリを持たせてくれたのだ。それも以前私がディアンの領地に行った時、可愛いと手に取っていた物ばかり。彼は本当によく私を見てくれている。

 ディアン、元気にしているかしら?

 ふと馬車の窓から空を見上げると、雲一つない青空が広がっていた。

「なんて綺麗な空なのかしら?ディアンも同じ空を見ているといいな」

 ポツリとそんな事を呟いてしまう。いけない、またディアンの事を考えてしまったわ。私、よほど領地が楽しかったのね。

 さあ、学院に着いたわ。それにしても、随分久しぶりに貴族学院に来た気がする。最後の貴族学院は本当に辛くて仕方がなかったけれど、今は心が穏やかだ。

 せっかく心も落ち着いてきたのですもの、学院生活も目いっぱい楽しまないと。

 馬車を降りると

「ユーリ、おはよう。よかった、学院に来るかどうか心配していたのだよ」

 私の傍に駆け寄ってきたのは、なんとアレックス様だ。

「アレックス様、おはようございます。今日からまた学院に通いますので、これからもクラスメイトとしてよろしくお願いしますね」

 ニコリとほほ笑むと、急ぎ足でその場を立ち去る。一体何だったのかしら?今まで学院内で私に話しかけて来たことなんて、ほとんどなかったのに。

「まって、ユーリ。一緒に教室まで行こう」

 なぜかアレックス様が、追いかけて来たのだ。

「あの、アレックス様。私は…」

「ユーリの気持ちは分かっているよ。今まで散々君の気持ちを否定し続けて来た僕が、今更何を考えているのだ。そう思われても仕方がない。自分でもどうしようもない人間だと思っている。失って初めてユーリがどれほど大切な存在か、分かったんだよ。今更遅いと言われるかもしれないけれど、でもこのまま諦めたくないんだ」

 真っすぐ私を見つめ、必死に訴えてくるアレックス様。本当に今更そんな事を言われても困る。でも…

「アレックス様の気持ちは分かりました。でも私は、あなた様の事を必死に諦めたのです。今更アレックス様とどうこうなりたいとは思っておりません。ただ…アレックス様は大切な幼馴染です。ですから気持ちには応えられませんが、これからも幼馴染として、良きクラスメイトとして過ごさせてください」

 本当は、もう私に関わらないで下さい!そう言わないといけないのだろう。でも、アレックス様の悲しそうな瞳を見ていると、これ以上強くは言えない自分が情けない。

「ありがとう、ユーリ。それじゃあ、一緒に教室に行こう」

 嬉しそうに歩き出したアレックス様。彼のこんな嬉しそうな顔を見たのは、いつぶりだろう。ディアンがいた頃は、アレックス様も私にこんな風に優しい笑顔を向けてくれていたな…

 あの頃の事を思い出すと、なんだか胸が温かくなった。

「ユーリ、教室に着いちゃったね。今日は午前中で貴族学院も終わりだし、午後は一緒にお茶をしないかい?僕がユーリのお家に、お邪魔させてもらってもいいかな?」

「ごめんなさい、今日はレーナたちと一緒に過ごすことになっておりますので。半期休みの話とか、色々と話したい事もありますし」

 本当はレーナたちと約束をしている訳ではないが、とっさに嘘を付いてしまった。

「そうか、友達との時間も大事だものね。分かったよ、それじゃあ、また明日にでも、ゆっくりお茶をしようね」

 そう言って、アレックス様が笑顔で去って行った。あの人、本当にどうしちゃったのかしら?

「おはよう、ユーリ。ねえ、一体どうなっているの?」

「アレックス様と一緒にやってくるだなんて。もしかして…」

「ユーリ、何がどうなっているの?わかるように説明して」

 レーナたち3人が、私の元に飛んできてくれたのだ。

「私もよくわからなくて…ねえ、今日お昼から時間ある?色々と話したい事があるし、家でお茶をしない?」

 学院ではなんだか話づらい。家でゆっくり話がしたいのだ。

「ええ、もちろんいいわよ。それじゃあ今日は、ユーリの家でお茶をしましょう」

 3人も了承してくれた。

 早く3人と話をしたい。3人には本当に心配をかけたものね。

 そして無事午前の授業も終わり、家に帰ろうとした時だった。

「ユーリ、一緒に門まで行こう」

 何を思ったのか、再びアレックス様が私の元にやって来たのだ。どうしてこんなに絡んでくるのだろう。困惑していると

「ユーリ、アレックス様、私たちもお供いたしますわ」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】好きでもない私とは婚約解消してください

里音
恋愛
騎士団にいる彼はとても一途で誠実な人物だ。初恋で恋人だった幼なじみが家のために他家へ嫁いで行ってもまだ彼女を思い新たな恋人を作ることをしないと有名だ。私も憧れていた1人だった。 そんな彼との婚約が成立した。それは彼の行動で私が傷を負ったからだ。傷は残らないのに責任感からの婚約ではあるが、彼はプロポーズをしてくれた。その瞬間憧れが好きになっていた。 婚約して6ヶ月、接点のほとんどない2人だが少しずつ距離も縮まり幸せな日々を送っていた。と思っていたのに、彼の元恋人が離婚をして帰ってくる話を聞いて彼が私との婚約を「最悪だ」と後悔しているのを聞いてしまった。

婚約破棄していただき、誠にありがとうございます!

風見ゆうみ
恋愛
「ミレニア・エンブル侯爵令嬢、貴様は自分が劣っているからといって、自分の姉であるレニスに意地悪をして彼女の心を傷付けた! そのような女はオレの婚約者としてふさわしくない!」 「……っ、ジーギス様ぁ」  キュルルンという音が聞こえてきそうなくらい、体をくねらせながら甘ったるい声を出したお姉様は。ジーギス殿下にぴったりと体を寄せた。 「貴様は姉をいじめた罰として、我が愚息のロードの婚約者とする!」  お姉様にメロメロな国王陛下はジーギス様を叱ることなく加勢した。 「ご、ごめんなさい、ミレニアぁ」 22歳になる姉はポロポロと涙を流し、口元に拳をあてて言った。 甘ったれた姉を注意してもう10年以上になり、諦めていた私は逆らうことなく、元第2王子であり現在は公爵の元へと向かう。 そこで待ってくれていたのは、婚約者と大型犬と小型犬!? ※過去作品の改稿版です。 ※史実とは関係なく、設定もゆるく、ご都合主義です。 ※独特の世界観です。 ※法律、武器、食べ物など、その他諸々は現代風です。話を進めるにあたり、都合の良い世界観や話の流れとなっていますのでご了承ください。 ※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。

人の顔色ばかり気にしていた私はもういません

風見ゆうみ
恋愛
伯爵家の次女であるリネ・ティファスには眉目秀麗な婚約者がいる。 私の婚約者である侯爵令息のデイリ・シンス様は、未亡人になって実家に帰ってきた私の姉をいつだって優先する。 彼の姉でなく、私の姉なのにだ。 両親も姉を溺愛して、姉を優先させる。 そんなある日、デイリ様は彼の友人が主催する個人的なパーティーで私に婚約破棄を申し出てきた。 寄り添うデイリ様とお姉様。 幸せそうな二人を見た私は、涙をこらえて笑顔で婚約破棄を受け入れた。 その日から、学園では馬鹿にされ悪口を言われるようになる。 そんな私を助けてくれたのは、ティファス家やシンス家の商売上の得意先でもあるニーソン公爵家の嫡男、エディ様だった。 ※マイナス思考のヒロインが周りの優しさに触れて少しずつ強くなっていくお話です。 ※相変わらず設定ゆるゆるのご都合主義です。 ※誤字脱字、気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません!

殿下、幼馴染の令嬢を大事にしたい貴方の恋愛ごっこにはもう愛想が尽きました。

和泉鷹央
恋愛
 雪国の祖国を冬の猛威から守るために、聖女カトリーナは病床にふせっていた。  女神様の結界を張り、国を温暖な気候にするためには何か犠牲がいる。  聖女の健康が、その犠牲となっていた。    そんな生活をして十年近く。  カトリーナの許嫁にして幼馴染の王太子ルディは婚約破棄をしたいと言い出した。  その理由はカトリーナを救うためだという。  だが本当はもう一人の幼馴染、フレンヌを王妃に迎えるために、彼らが仕組んだ計略だった――。  他の投稿サイトでも投稿しています。

いくら政略結婚だからって、そこまで嫌わなくてもいいんじゃないですか?いい加減、腹が立ってきたんですけど!

夢呼
恋愛
伯爵令嬢のローゼは大好きな婚約者アーサー・レイモンド侯爵令息との結婚式を今か今かと待ち望んでいた。 しかし、結婚式の僅か10日前、その大好きなアーサーから「私から愛されたいという思いがあったら捨ててくれ。それに応えることは出来ない」と告げられる。 ローゼはその言葉にショックを受け、熱を出し寝込んでしまう。数日間うなされ続け、やっと目を覚ました。前世の記憶と共に・・・。 愛されることは無いと分かっていても、覆すことが出来ないのが貴族間の政略結婚。日本で生きたアラサー女子の「私」が八割心を占めているローゼが、この政略結婚に臨むことになる。 いくら政略結婚といえども、親に孫を見せてあげて親孝行をしたいという願いを持つローゼは、何とかアーサーに振り向いてもらおうと頑張るが、鉄壁のアーサーには敵わず。それどころか益々嫌われる始末。 一体私の何が気に入らないんだか。そこまで嫌わなくてもいいんじゃないんですかね!いい加減腹立つわっ! 世界観はゆるいです! カクヨム様にも投稿しております。 ※10万文字を超えたので長編に変更しました。

【完結】身を引いたつもりが逆効果でした

風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。 一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。 平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません! というか、婚約者にされそうです!

好きだった人 〜二度目の恋は本物か〜

ぐう
恋愛
アンジェラ編 幼い頃から大好だった。彼も優しく会いに来てくれていたけれど… 彼が選んだのは噂の王女様だった。 初恋とさよならしたアンジェラ、失恋したはずがいつのまにか… ミラ編 婚約者とその恋人に陥れられて婚約破棄されたミラ。冤罪で全て捨てたはずのミラ。意外なところからいつのまにか… ミラ編の方がアンジェラ編より過去から始まります。登場人物はリンクしています。 小説家になろうに投稿していたミラ編の分岐部分を改稿したものを投稿します。

その眼差しは凍てつく刃*冷たい婚約者にウンザリしてます*

音爽(ネソウ)
恋愛
義妹に優しく、婚約者の令嬢には極寒対応。 塩対応より下があるなんて……。 この婚約は間違っている? *2021年7月完結

処理中です...