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第33話:僕が犯した最大の過ち5~クリストファー視点~
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僕たちは王族を退いたのだが、不満を抱いた人物が…それがヴァイオレットだ。彼女は最後まで抵抗していたが、自分が不利になるとわかると、家族と一緒に逃亡を試みた。既に騎士団が壊滅状態にある事から、逃げ切れると踏んだのだろう。
でも、そうはいかなかった様だ。僕たちが退く事を知り、公爵令息のアルフレッドが騎士団に戻って来たのだ。そしてアルフレッドによって、ヴァイオレットとその家族は捕まった。
彼らは裁判にかけられ、ヴァイオレットは公開処刑、その家族も国外追放になった。僕も被告として裁判所に出廷していたが、あの時の裁判長の顔は、今でも忘れられない。
言葉には出さないが、これでやっと公爵たちの無念を晴らせた!全て終わった!といった顔をしていた。裁判を傍聴していたルージュの友人たちは、号泣していた。
「たとえこの人たちが裁かれても、ルージュは2度と帰ってこない。それが悔しくてたまらない。私達がもっと早く動いていれば…」
そう言っていた。ルージュは本当に友人たちに愛されていたのだろう…
ちなみに全ての指揮をとったのが、アルフレッド新騎士団長だ。まだ16歳という若さだが、彼しかいないとの事で彼が新騎士団長に就任したのだ。
そして僕も、権力を乱用したとして、この国の最北端の地に幽閉されることになった。過酷な環境に加え、自責の念に駆られていた僕は、みるみる衰弱していった。
そして
「ルージュ、君が言った通り、神様は全部見ていたのだね。結局僕は、後悔する日々を送っているよ。でもそんな日々も…もうこれでお終いかな?僕ももうすぐ君の元にいけそうだ。ただ…君は僕を受けいれてはくれないよね」
あれだけ酷い事をしたのだ。今更後悔しても遅い。でも、もしまたルージュに会えたら、その時は今度こそルージュを幸せにしたい。
決して叶うはずのない思いを抱きながら、僕は瞳を閉じたのだった。
だが…
次に目を覚ますと、見覚えのある天井が目に飛び込んできたのだ。なんと僕は、12歳に戻っていたのだ。それもルージュと初めて出会ったあのお茶会の当日に。
僕は嬉しくてたまらなかった。またルージュと一緒に過ごせる。今度こそルージュを幸せにする。
もう二度と、あの愚かな女に騙されたりはしない。そう心に誓ったのだが…
何とルージュは、熱を出したとの事でお茶会には来なかったのだ。代わりにやって来たのが、グレイソンだ。彼は1度目の生とは打って変わって、明るく元気になっていた。
いつの間にかアルフレッドやルージュの友人達とも仲良くなっていたのだ。一体何が起きているのだろう。
ルージュの状況も聞きたいし、あそこまで雰囲気が変わったグレイソンの事も気になる。そんな思いで彼に話しかけた。
すると
「ルージュはちょっと熱が出ていて。今日は来られずに申し訳ございませんでした」
そう頭を下げると、さっさと皆の元にいってしまったのだ。
ルージュは非常に丈夫で、僕と婚約していた3年間、一度も熱なんて出した事がなかったのに…もしかして王宮のお茶会に来るのが嫌だったのかな?
1度目の生の出来事とはいえ、僕はルージュに本当に酷い事をしてしまったのだ。謝っても許されない様な最低な事を。
いいや、今のルージュは僕の行いを知らないはず。きっと本当に熱を出したのだろう。
そうだ、ルージュの為に後日、再度お茶会を開催しよう。早速母上に手配してもらう様に依頼した。
そしてルージュが好きだった、キンシバイ畑を作る事にした。ただ、今植えても次のお茶会には間に合わない。そう思い、既に咲きそうな花を運んできて、植える事にしたのだ。
お茶会に並べるお菓子も、ルージュの好きなお菓子を沢山準備した。
ルージュ、喜んでくれるかな?ルージュが熱を出してくれたお陰で、ゆっくり準備が出来たから、ある意味よかったのかもしれない。
そして迎えた当日。あの時と同じように、ルージュの笑顔が見られると思ったのだが…
「もしかしてルージュは、1度目の生の記憶があるのか?だから今回の生では、僕を避けようとしているのか?それにグレイソンとの仲も深めている様だし…」
今回の様子を見て、明らかに1度目の生の時とは状況が変わりすぎているのだ。
それでも僕は、ルージュに会えたことが嬉しくてたまらない。僕にとってルージュは、やっぱり大切な存在なのだ。
僕たちはまだ12歳だ。それに後少しすれば、貴族学院に入学する。貴族学院にはあの女、ヴァイオレットもいるが、僕が相手にしなければ問題ないはずだ。
それにもしルージュに何かしてくる様なら、その時は容赦するつもりはない。僕はもう、1度目の生の時の僕とは違うのだから。
今回の生では、僕の人生を掛けてルージュを幸せにする。せっかく神様が与えてくれた2度目の生、無駄に何てしたくない。
僕にできる事は、何でもしたい。後悔し続ける日々を送らないためにも。
※次回、ルージュ視点に戻ります。
よろしくお願いします。
でも、そうはいかなかった様だ。僕たちが退く事を知り、公爵令息のアルフレッドが騎士団に戻って来たのだ。そしてアルフレッドによって、ヴァイオレットとその家族は捕まった。
彼らは裁判にかけられ、ヴァイオレットは公開処刑、その家族も国外追放になった。僕も被告として裁判所に出廷していたが、あの時の裁判長の顔は、今でも忘れられない。
言葉には出さないが、これでやっと公爵たちの無念を晴らせた!全て終わった!といった顔をしていた。裁判を傍聴していたルージュの友人たちは、号泣していた。
「たとえこの人たちが裁かれても、ルージュは2度と帰ってこない。それが悔しくてたまらない。私達がもっと早く動いていれば…」
そう言っていた。ルージュは本当に友人たちに愛されていたのだろう…
ちなみに全ての指揮をとったのが、アルフレッド新騎士団長だ。まだ16歳という若さだが、彼しかいないとの事で彼が新騎士団長に就任したのだ。
そして僕も、権力を乱用したとして、この国の最北端の地に幽閉されることになった。過酷な環境に加え、自責の念に駆られていた僕は、みるみる衰弱していった。
そして
「ルージュ、君が言った通り、神様は全部見ていたのだね。結局僕は、後悔する日々を送っているよ。でもそんな日々も…もうこれでお終いかな?僕ももうすぐ君の元にいけそうだ。ただ…君は僕を受けいれてはくれないよね」
あれだけ酷い事をしたのだ。今更後悔しても遅い。でも、もしまたルージュに会えたら、その時は今度こそルージュを幸せにしたい。
決して叶うはずのない思いを抱きながら、僕は瞳を閉じたのだった。
だが…
次に目を覚ますと、見覚えのある天井が目に飛び込んできたのだ。なんと僕は、12歳に戻っていたのだ。それもルージュと初めて出会ったあのお茶会の当日に。
僕は嬉しくてたまらなかった。またルージュと一緒に過ごせる。今度こそルージュを幸せにする。
もう二度と、あの愚かな女に騙されたりはしない。そう心に誓ったのだが…
何とルージュは、熱を出したとの事でお茶会には来なかったのだ。代わりにやって来たのが、グレイソンだ。彼は1度目の生とは打って変わって、明るく元気になっていた。
いつの間にかアルフレッドやルージュの友人達とも仲良くなっていたのだ。一体何が起きているのだろう。
ルージュの状況も聞きたいし、あそこまで雰囲気が変わったグレイソンの事も気になる。そんな思いで彼に話しかけた。
すると
「ルージュはちょっと熱が出ていて。今日は来られずに申し訳ございませんでした」
そう頭を下げると、さっさと皆の元にいってしまったのだ。
ルージュは非常に丈夫で、僕と婚約していた3年間、一度も熱なんて出した事がなかったのに…もしかして王宮のお茶会に来るのが嫌だったのかな?
1度目の生の出来事とはいえ、僕はルージュに本当に酷い事をしてしまったのだ。謝っても許されない様な最低な事を。
いいや、今のルージュは僕の行いを知らないはず。きっと本当に熱を出したのだろう。
そうだ、ルージュの為に後日、再度お茶会を開催しよう。早速母上に手配してもらう様に依頼した。
そしてルージュが好きだった、キンシバイ畑を作る事にした。ただ、今植えても次のお茶会には間に合わない。そう思い、既に咲きそうな花を運んできて、植える事にしたのだ。
お茶会に並べるお菓子も、ルージュの好きなお菓子を沢山準備した。
ルージュ、喜んでくれるかな?ルージュが熱を出してくれたお陰で、ゆっくり準備が出来たから、ある意味よかったのかもしれない。
そして迎えた当日。あの時と同じように、ルージュの笑顔が見られると思ったのだが…
「もしかしてルージュは、1度目の生の記憶があるのか?だから今回の生では、僕を避けようとしているのか?それにグレイソンとの仲も深めている様だし…」
今回の様子を見て、明らかに1度目の生の時とは状況が変わりすぎているのだ。
それでも僕は、ルージュに会えたことが嬉しくてたまらない。僕にとってルージュは、やっぱり大切な存在なのだ。
僕たちはまだ12歳だ。それに後少しすれば、貴族学院に入学する。貴族学院にはあの女、ヴァイオレットもいるが、僕が相手にしなければ問題ないはずだ。
それにもしルージュに何かしてくる様なら、その時は容赦するつもりはない。僕はもう、1度目の生の時の僕とは違うのだから。
今回の生では、僕の人生を掛けてルージュを幸せにする。せっかく神様が与えてくれた2度目の生、無駄に何てしたくない。
僕にできる事は、何でもしたい。後悔し続ける日々を送らないためにも。
※次回、ルージュ視点に戻ります。
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