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第10話:絶対に無理です
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「アントアーネ、ディーストン伯爵、夫人、今回の件はさすがに僕がやりすぎていました。ですが僕は、それほどまでにアントアーネを愛しているのです。もちろん、今でも誰よりも愛しております。すぐにでもアントアーネの悪い噂は消します。消す準備も出来ているのです」
「悪い噂を消すとは、今までお金で操っていた令息たちに、全ての罪を擦り付けるという計画ですか?令息たちの悪事を見抜き、婚約者の名誉を回復した人として、またご自分の株を上げる計画だったのですよね。そこまでして、ご自分の株を上げたいですか?あなたは一体、どうしたいのですか?人気者になりたいのですか?その為なら、人の人生などどうなってもよいのですか?」
悪い噂を流した令息たちだって、家の為に泣く泣く言う事を聞いたのだ。それなのに、最後は悪者にされるだなんて…
私だって、ただ名誉が回復すればそれで全て水に流すという訳ではない。この1年、どれほど苦しみ傷ついてきたか…
「僕は別に、自分の株を上げたい訳ではないよ。アントアーネが傍にいてくれたら、それでいいんだ。アントアーネ、君を傷つけた事は謝るよ。君の名誉も回復させる。もう二度と、君を傷つけるような事はしないから。これからは、もっともっと大切にするから」
「これから?そんなものはありません。半年前、私は全てを知りました。あの日から私は、あなたのやることなす事、全てが気持ち悪くて…私の名前を呼ぶ声、触れる手、全てが嫌で仕方がなかった。早く自由になりたくて、必死に証拠を集めました。あなたから離れて、自由に生きる事だけを糧に、今まで頑張って来たのです。もうあなたと関わりたくはありません。慰謝料はいりませんので、婚約を解消してください。お願いします」
すっと立ち上がり、頭を下げた。言いたい事は全て言えたお陰か、なんだか心も晴れやかだ。
「アントアーネはこの1年、ずっと傷つき苦しんできたのです。アントアーネはこう言っておりますが、私はどうしてもラドル殿がやった事を許すことが出来ない。婚約解消はもちろん、それ相応の責任を取ってもらいますから」
「お父様、私は…」
「アントアーネは黙っていなさい。君が良くても、私は良くないのだよ!このまま婚約を解消すれば全て丸く収まるだなんて、あってはならない。ラドル殿には、自分がどれほど恐ろしい事をしたのか、しっかり理解してもらわないと、彼の為にもならないだろう」
「ディーストン伯爵の言う通りだ。まさかラドルが、こんな恐ろしい事をしていただなんて。アントアーネ嬢、本当に申し訳なかった。婚約は今この場を持って解消し、真実を皆に話し、アントアーネ嬢の名誉の回復に努めよう。もちろん、慰謝料も支払おう。アントアーネ嬢、ディーストン伯爵、夫人、この度は本当に申し訳ございませんでした」
ラドル様の両親が立ち上がり、頭を下げたのだ。夫人に至っては、泣いていた。
「待って下さい、父上。アントアーネ、婚約解消だけは勘弁してくれ。君の名誉は必ず僕が回復するから…僕は君を愛している。君を失ったら、僕はどうやって生きていけばいいのだい?こんなに君を愛しているのに」
「本当に愛しているなら、私の悪い噂なんて流さないと思いますし、何よりも私の幸せを考えて下さると思いますわ。私はあなたを愛しておりませんし、嫌悪感すら抱いております。どうかもう、私には関わらないで下さい。今のあなた様が出来る事は、もう二度と私に関わらない事だけですから」
「どうしてそんな酷い事を言うのだい?僕は絶対に、君と婚約を解消しないからな」
そう叫ぶと、そのまま部屋から出て行ってしまったラドル様。
「ラドルが本当にすまない。ラドルには必ずサインをさせるから」
何度も頭を下げるブラッディ伯爵。その後ラドル様以外全員が、婚約解消届にサインをした。
「それでは私共はこれで。ブラッディ伯爵、今後の話はまた後日行いましょう」
「ええ、承知しました。この度は息子が本当に申し訳ない事をしました。必ず償わせますので…」
改めてブラッディ伯爵と夫人が、頭を下げていた。彼らに見送られ、私たちも馬車に乗り込む。
まさかラドル様が、あのような感情を抱いていただなんて…
私が令嬢と仲良くしているのが気に入らないからという理由で、あのような噂を流すだなんて、正直信じられない。
あんな恐ろしい人とこのまま結婚していたと思うと、ぞっとする。ある意味本性が分かって、よかったのかもしれない。
何はともあれ、婚約は解消できそうだから、よかったわ。
※次回、ラドル視点です。
よろしくお願いします。
「悪い噂を消すとは、今までお金で操っていた令息たちに、全ての罪を擦り付けるという計画ですか?令息たちの悪事を見抜き、婚約者の名誉を回復した人として、またご自分の株を上げる計画だったのですよね。そこまでして、ご自分の株を上げたいですか?あなたは一体、どうしたいのですか?人気者になりたいのですか?その為なら、人の人生などどうなってもよいのですか?」
悪い噂を流した令息たちだって、家の為に泣く泣く言う事を聞いたのだ。それなのに、最後は悪者にされるだなんて…
私だって、ただ名誉が回復すればそれで全て水に流すという訳ではない。この1年、どれほど苦しみ傷ついてきたか…
「僕は別に、自分の株を上げたい訳ではないよ。アントアーネが傍にいてくれたら、それでいいんだ。アントアーネ、君を傷つけた事は謝るよ。君の名誉も回復させる。もう二度と、君を傷つけるような事はしないから。これからは、もっともっと大切にするから」
「これから?そんなものはありません。半年前、私は全てを知りました。あの日から私は、あなたのやることなす事、全てが気持ち悪くて…私の名前を呼ぶ声、触れる手、全てが嫌で仕方がなかった。早く自由になりたくて、必死に証拠を集めました。あなたから離れて、自由に生きる事だけを糧に、今まで頑張って来たのです。もうあなたと関わりたくはありません。慰謝料はいりませんので、婚約を解消してください。お願いします」
すっと立ち上がり、頭を下げた。言いたい事は全て言えたお陰か、なんだか心も晴れやかだ。
「アントアーネはこの1年、ずっと傷つき苦しんできたのです。アントアーネはこう言っておりますが、私はどうしてもラドル殿がやった事を許すことが出来ない。婚約解消はもちろん、それ相応の責任を取ってもらいますから」
「お父様、私は…」
「アントアーネは黙っていなさい。君が良くても、私は良くないのだよ!このまま婚約を解消すれば全て丸く収まるだなんて、あってはならない。ラドル殿には、自分がどれほど恐ろしい事をしたのか、しっかり理解してもらわないと、彼の為にもならないだろう」
「ディーストン伯爵の言う通りだ。まさかラドルが、こんな恐ろしい事をしていただなんて。アントアーネ嬢、本当に申し訳なかった。婚約は今この場を持って解消し、真実を皆に話し、アントアーネ嬢の名誉の回復に努めよう。もちろん、慰謝料も支払おう。アントアーネ嬢、ディーストン伯爵、夫人、この度は本当に申し訳ございませんでした」
ラドル様の両親が立ち上がり、頭を下げたのだ。夫人に至っては、泣いていた。
「待って下さい、父上。アントアーネ、婚約解消だけは勘弁してくれ。君の名誉は必ず僕が回復するから…僕は君を愛している。君を失ったら、僕はどうやって生きていけばいいのだい?こんなに君を愛しているのに」
「本当に愛しているなら、私の悪い噂なんて流さないと思いますし、何よりも私の幸せを考えて下さると思いますわ。私はあなたを愛しておりませんし、嫌悪感すら抱いております。どうかもう、私には関わらないで下さい。今のあなた様が出来る事は、もう二度と私に関わらない事だけですから」
「どうしてそんな酷い事を言うのだい?僕は絶対に、君と婚約を解消しないからな」
そう叫ぶと、そのまま部屋から出て行ってしまったラドル様。
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何度も頭を下げるブラッディ伯爵。その後ラドル様以外全員が、婚約解消届にサインをした。
「それでは私共はこれで。ブラッディ伯爵、今後の話はまた後日行いましょう」
「ええ、承知しました。この度は息子が本当に申し訳ない事をしました。必ず償わせますので…」
改めてブラッディ伯爵と夫人が、頭を下げていた。彼らに見送られ、私たちも馬車に乗り込む。
まさかラドル様が、あのような感情を抱いていただなんて…
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あんな恐ろしい人とこのまま結婚していたと思うと、ぞっとする。ある意味本性が分かって、よかったのかもしれない。
何はともあれ、婚約は解消できそうだから、よかったわ。
※次回、ラドル視点です。
よろしくお願いします。
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