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第23話:ヒューゴ様の誕生日パーティーが行われます
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貴族学院に入学してから3ヶ月が過ぎた。来週は、ヒューゴ様の15歳の誕生日。王宮では大々的にパーティーが行われ、私たち貴族も参加する。
そしてこの日を境に、いよいよお妃候補者たちが決まり始めるのだ。ただ、私の様にヒューゴ様より誕生日が遅い令嬢たちは、まだ正式なお妃候補になる事が出来ないため、15歳を迎えている令嬢から審査が始まり、少しずつお妃候補が増えていくというシステムなのだ。
もちろん、今の時点でたくさんの令嬢が、お妃候補に名乗りを上げていると聞く。1度目の生の時は、この時点で3名決まり、最終的に婚約者が決まる、ヒューゴ様の17歳の誕生日までに、私を含めた5人の候補者がいた。
結局1度目の生の時は私が選ばれたが、残りの4人も側室として王宮に残り、それぞれヒューゴ様の子供を産んだ。さらにヒューゴ様は、お妃候補にはなれなかった男爵令嬢、クラシエ様も側室として迎えた。
結局ヒューゴ様は、私を含め6人の妃がいたのだ。
もちろん今回の生では、私には関係のない話。とにかく、これでヒューゴ様も私に絡んでこなくなるだろう。それにこの頃には、間違いなくクラシエ様とは恋仲のはずだし。
そうそう、誕生日パーティーの時、なんとヒューゴ様はクラシエ様と最初にダンスを踊ったのだ。それで、会場中が騒然となった。
そのせいで、嫉妬に狂った私たちお妃候補に名乗りを上げている令嬢が、クラシエ様に文句を言って、ヒューゴ様から厳重注意を受けたのだ。
何度も思うが、本当にあの時の私はバカだったわ…とにかく今回のパーティーは、遠くから見守る事にしよう。
~1週間後~
今日はいよいよ、ヒューゴ様の誕生日パーティーが行われる日だ。そのため、貴族学院はお昼までだった。
午前の授業を終え、家に帰ると、早速リラが待ち構えていた。
「今日は王太子殿下の誕生日パーティーです。早速準備に取り掛かりましょう」
リラたちメイドに連れられ、そのまま浴槽へと入れられ、髪や体を丁寧に洗ってもらった。そして髪を乾かし、保湿クリームを塗られ、着替えや化粧も行う。4人がかりで行うため、早い。
髪もハーフアップに結んでもらい、最後にエメラルドの髪飾りとネックレス、イヤリングを付けられた。あら?こんなアクセサリー持っていたかしら?
「ねえ、このアクセサリー、どうしたの?」
「ライアン様からの贈り物です。今日はぜひこのアクセサリーをとの事です」
まあ、ライアンが私の為に!後でお礼を言っておかないと。
「さあ、出来ましたよ。今日もお美しいです」
鏡に映る自分の姿を確認する。今日も瞳と同じ、赤いドレスを選んだ。ライアンから貰ったアクセサリーたちも、いい感じだ。よし、バッチリね。
早速玄関に向かうと、両親が待っていた。
「今日のマリアも一段と美しい。ただ…なんと言うか…まあいい。そろそろ行こうか」
なぜかお父様が私のドレス姿を見て、苦笑いしている。隣でお母様が、クスクス笑っているし。一体どうしたのかしら?
気を取り直して、お父様とお母様と一緒に馬車に乗り込んだ。一緒に行けない弟のヴァンが拗ねていたが、こればっかりは仕方がない。
馬車に揺られる事10分、王宮が見えてきた。1度目の生の時は、少しでもヒューゴ様の目に留まる様に、青いドレスに青い宝石を付けて参加した。あの時の私は、自分で言うのもなんだけれど、かなり積極的だったわ。
王宮に着くと、両親と一緒に大ホールに向かった。既にたくさんの貴族が来ている。さすが王太子殿下の15歳の誕生日パーティーなだけある。凄い人だ。これじゃあ、リリアたちは見つけられないかもしれないわね。
そう思っていた時だった。
「マリア!」
この声は…
「ライアン。それにおじ様とおば様も」
「マリア、俺が贈ったアクセサリー、付けてきてくれたんだな。よく似合っているぞ」
「わざわざ私の為に、アクセサリーを贈ってくれたのね。ありがとう、とても素敵だわ」
「喜んでくれてよかったよ。いいか、マリア。今日はたくさんの貴族がいるんだ。またお前を付け狙う奴もいるかもしれない。とにかく、俺の側にいろよ。どうせお前の両親も俺の両親も、どこかに行ってしまうんだから」
確かにライアンの言う通り、こんなに沢山の貴族がいるのだ。ここは誰かと一緒にいた方がいいだろう。それに、お父様もお母様もおじ様もおば様も、既にどこかに行ってしまったし…
「わかったわ、私も1人だと不安だし、ライアンと一緒にいるわ」
そう伝えると、離れない様にとライアンが手を握ってきた。ライアンの手って、大きくてゴツゴツしている。きっと毎日竹刀を振るっているからだろう。
「マリア、人の手をまじまじと見て、どうしたんだよ。俺の手に何か付いているか?」
「いいえ。ただ、ライアンの手は頑張り屋の手だなって思って…」
「毎日竹刀を握っているからな」
そう言って笑っていた。
その時だった。急に会場が静まり返った。どうやら、王族が入場してくる様だ。皆が入り口付近に注目している。私たちも、入り口をじっと見つめたのだった。
【補足】
今日のマリアは、全身ライアンカラーです。でも本人は気が付いていません。
そしてこの日を境に、いよいよお妃候補者たちが決まり始めるのだ。ただ、私の様にヒューゴ様より誕生日が遅い令嬢たちは、まだ正式なお妃候補になる事が出来ないため、15歳を迎えている令嬢から審査が始まり、少しずつお妃候補が増えていくというシステムなのだ。
もちろん、今の時点でたくさんの令嬢が、お妃候補に名乗りを上げていると聞く。1度目の生の時は、この時点で3名決まり、最終的に婚約者が決まる、ヒューゴ様の17歳の誕生日までに、私を含めた5人の候補者がいた。
結局1度目の生の時は私が選ばれたが、残りの4人も側室として王宮に残り、それぞれヒューゴ様の子供を産んだ。さらにヒューゴ様は、お妃候補にはなれなかった男爵令嬢、クラシエ様も側室として迎えた。
結局ヒューゴ様は、私を含め6人の妃がいたのだ。
もちろん今回の生では、私には関係のない話。とにかく、これでヒューゴ様も私に絡んでこなくなるだろう。それにこの頃には、間違いなくクラシエ様とは恋仲のはずだし。
そうそう、誕生日パーティーの時、なんとヒューゴ様はクラシエ様と最初にダンスを踊ったのだ。それで、会場中が騒然となった。
そのせいで、嫉妬に狂った私たちお妃候補に名乗りを上げている令嬢が、クラシエ様に文句を言って、ヒューゴ様から厳重注意を受けたのだ。
何度も思うが、本当にあの時の私はバカだったわ…とにかく今回のパーティーは、遠くから見守る事にしよう。
~1週間後~
今日はいよいよ、ヒューゴ様の誕生日パーティーが行われる日だ。そのため、貴族学院はお昼までだった。
午前の授業を終え、家に帰ると、早速リラが待ち構えていた。
「今日は王太子殿下の誕生日パーティーです。早速準備に取り掛かりましょう」
リラたちメイドに連れられ、そのまま浴槽へと入れられ、髪や体を丁寧に洗ってもらった。そして髪を乾かし、保湿クリームを塗られ、着替えや化粧も行う。4人がかりで行うため、早い。
髪もハーフアップに結んでもらい、最後にエメラルドの髪飾りとネックレス、イヤリングを付けられた。あら?こんなアクセサリー持っていたかしら?
「ねえ、このアクセサリー、どうしたの?」
「ライアン様からの贈り物です。今日はぜひこのアクセサリーをとの事です」
まあ、ライアンが私の為に!後でお礼を言っておかないと。
「さあ、出来ましたよ。今日もお美しいです」
鏡に映る自分の姿を確認する。今日も瞳と同じ、赤いドレスを選んだ。ライアンから貰ったアクセサリーたちも、いい感じだ。よし、バッチリね。
早速玄関に向かうと、両親が待っていた。
「今日のマリアも一段と美しい。ただ…なんと言うか…まあいい。そろそろ行こうか」
なぜかお父様が私のドレス姿を見て、苦笑いしている。隣でお母様が、クスクス笑っているし。一体どうしたのかしら?
気を取り直して、お父様とお母様と一緒に馬車に乗り込んだ。一緒に行けない弟のヴァンが拗ねていたが、こればっかりは仕方がない。
馬車に揺られる事10分、王宮が見えてきた。1度目の生の時は、少しでもヒューゴ様の目に留まる様に、青いドレスに青い宝石を付けて参加した。あの時の私は、自分で言うのもなんだけれど、かなり積極的だったわ。
王宮に着くと、両親と一緒に大ホールに向かった。既にたくさんの貴族が来ている。さすが王太子殿下の15歳の誕生日パーティーなだけある。凄い人だ。これじゃあ、リリアたちは見つけられないかもしれないわね。
そう思っていた時だった。
「マリア!」
この声は…
「ライアン。それにおじ様とおば様も」
「マリア、俺が贈ったアクセサリー、付けてきてくれたんだな。よく似合っているぞ」
「わざわざ私の為に、アクセサリーを贈ってくれたのね。ありがとう、とても素敵だわ」
「喜んでくれてよかったよ。いいか、マリア。今日はたくさんの貴族がいるんだ。またお前を付け狙う奴もいるかもしれない。とにかく、俺の側にいろよ。どうせお前の両親も俺の両親も、どこかに行ってしまうんだから」
確かにライアンの言う通り、こんなに沢山の貴族がいるのだ。ここは誰かと一緒にいた方がいいだろう。それに、お父様もお母様もおじ様もおば様も、既にどこかに行ってしまったし…
「わかったわ、私も1人だと不安だし、ライアンと一緒にいるわ」
そう伝えると、離れない様にとライアンが手を握ってきた。ライアンの手って、大きくてゴツゴツしている。きっと毎日竹刀を振るっているからだろう。
「マリア、人の手をまじまじと見て、どうしたんだよ。俺の手に何か付いているか?」
「いいえ。ただ、ライアンの手は頑張り屋の手だなって思って…」
「毎日竹刀を握っているからな」
そう言って笑っていた。
その時だった。急に会場が静まり返った。どうやら、王族が入場してくる様だ。皆が入り口付近に注目している。私たちも、入り口をじっと見つめたのだった。
【補足】
今日のマリアは、全身ライアンカラーです。でも本人は気が付いていません。
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