22 / 39
第22話:私の心をかき乱さないで下さい
しおりを挟む
サーラがグリーズ様のエスコートを受け入れてくれたことが嬉しくて、つい鼻歌を歌ってしまう。大切な人たちが幸せになってくれることは、私にとっても嬉しい事なのだ。
私も早く、素敵な殿方を見つけないとね。そんな事を考えていると
「アメリナ」
この声は!
「ルドルフ様、ごきげんよう。私に何か御用でしょうか?」
相変わらずなぜか私に話しかけてくるルドルフ様。正直私に話し掛けないで欲しい。
「いや…その…来月の夜会なのだが、いつもの様に俺にエスコートさせてくれるかい?君の為に、ドレスも準備しているのだよ」
確かにいつもルドルフ様にエスコートしてもらっていた。でも、いつもつまらなさそうにエスコートするルドルフ様。きっと、親に言われていたのだろう。今回もきっと、おば様に私を誘う様に言われたのだわ。
「申し訳ございませんが、ご遠慮させていただきますわ。ルドルフ様、もう無理をなさる必要はございません。確かに両親は大切です。両親の期待に応えたい、悲しませたくはないと思うのも無理はないでしょう。でも…私は気が付いたのです。両親を喜ばせるために、私たちは生きているのではありません。どうかこれからは、お互い自由に生きましょう。それでは失礼いたします」
嫌いな女をエスコートするなんて、苦痛でしかないだろう。私だって、嫌われている人にエスコートされるなんて辛い。正直もう、ルドルフ様には関わりたくはないのだ。
「アメリナ、待って。俺は両親の期待に応えたいだなんて、これっぽっちも思っていない。それよりも、アメリナはもしかして、別の殿方にエスコートしてもらうつもりなのかい?やっぱり君は、グリーズ殿が好きなのかい?だから俺の事は、もうどうでもいいのかい?」
なぜかルドルフ様が、真剣な表情で問いかけて来た。その瞳はどこか泣きそうで、悲しげだ。どうしてあなたがそんな顔をするの?この人は一体、何を言っているの?
「どうしてそこで、グリーズ様が出てくるのですか?とにかく私は、もうあなた様には関わりたくはないのです。あなた様だって、私となんて関わりたくはないでしょう?」
「どうして俺が、アメリナと関わりたくないと思…」
「ルドルフ様、こんな所にいらしたのですね。探しましたわ」
美しい笑みを浮かべて私たちの元にやって来たのは、クレア様だ。
「よかったですね、あなた様の大切な人、クレア様がやってきましたよ。もう私に話し掛けないで下さい。それでは失礼します」
「待ってくれ、俺の話を聞いてくれ!」
後ろでルドルフ様の声が聞こえるが、無視してそのまま走り去った。
人気の少ないところまで来ると、一気に涙が溢れだした。どうして…どうして私を誘うのよ。最愛のクレア様がいらっしゃるのに。どうして私に関わるの?私の事、大嫌いなのでしょう?何があっても結婚したくない程嫌いなのでしょう?
それなのに、どうして私が断ったら、そんな悲しそうな顔をするの?意味が分からない。
どうしてこんなに、私の心をかき乱すの?やっと少しずつ、前を向き始めたのに。お願い、どうかもう、私の心をかき乱さないで。これ以上、傷つきたくない。
「アメリナ嬢、またこんなところで泣いているのかい?」
この声は…
私の元にやって来たのは、何とグリーズ様だ。
「グリーズ様、私は大丈夫ですわ。ちょっと色々と思う事があって…それに私と2人でいると、サーラが誤解をします。ですから、どうか私の事は気にしないで下さい」
サーラは私達が2人で会っている事を気にしていたのだ。
「確かにサーラ嬢も大事だけれど、僕は友達が泣いているのを放っておけるほど、薄情な男じゃないよ。はい、ハンカチ」
「ありがとうございます。でも、本当にもう大丈夫ですわ」
「もしかして、ルドルフ殿の事で悩んでいるのかい?アメリナ嬢、僕はどうしても、彼が君を嫌っているとは思えないのだけれど。本当にルドルフ殿が、君を嫌いと言ったのかい?」
「ええ…はっきりと聞きましたわ。私とは絶対に結婚したくはないと…」
「僕はその言葉、信じられないな…それに君自身も、まだルドルフ殿の事を吹っ切れていないのだろう?一度腹を割って話した方がいいのではないのかい?」
「今更何を話すというのですか?とにかくもう私は、彼には関わりたくはないのです。私はもう大丈夫ですので、これで失礼しますわ。グリーズ様、サーラの事を大切にしてあげて下さい」
そう伝え、グリーズ様の元を去った。
グリーズ様は私達の事を知らないから、そう言えるのよ。私はこの耳ではっきりと聞いたわ。とにかく私は、これ以上心を乱されたくはない。もうルドルフ様に関わるのは止めよう。
そう心に誓ったのだった。
※次回、ルドルフ視点です。
よろしくお願いします。
私も早く、素敵な殿方を見つけないとね。そんな事を考えていると
「アメリナ」
この声は!
「ルドルフ様、ごきげんよう。私に何か御用でしょうか?」
相変わらずなぜか私に話しかけてくるルドルフ様。正直私に話し掛けないで欲しい。
「いや…その…来月の夜会なのだが、いつもの様に俺にエスコートさせてくれるかい?君の為に、ドレスも準備しているのだよ」
確かにいつもルドルフ様にエスコートしてもらっていた。でも、いつもつまらなさそうにエスコートするルドルフ様。きっと、親に言われていたのだろう。今回もきっと、おば様に私を誘う様に言われたのだわ。
「申し訳ございませんが、ご遠慮させていただきますわ。ルドルフ様、もう無理をなさる必要はございません。確かに両親は大切です。両親の期待に応えたい、悲しませたくはないと思うのも無理はないでしょう。でも…私は気が付いたのです。両親を喜ばせるために、私たちは生きているのではありません。どうかこれからは、お互い自由に生きましょう。それでは失礼いたします」
嫌いな女をエスコートするなんて、苦痛でしかないだろう。私だって、嫌われている人にエスコートされるなんて辛い。正直もう、ルドルフ様には関わりたくはないのだ。
「アメリナ、待って。俺は両親の期待に応えたいだなんて、これっぽっちも思っていない。それよりも、アメリナはもしかして、別の殿方にエスコートしてもらうつもりなのかい?やっぱり君は、グリーズ殿が好きなのかい?だから俺の事は、もうどうでもいいのかい?」
なぜかルドルフ様が、真剣な表情で問いかけて来た。その瞳はどこか泣きそうで、悲しげだ。どうしてあなたがそんな顔をするの?この人は一体、何を言っているの?
「どうしてそこで、グリーズ様が出てくるのですか?とにかく私は、もうあなた様には関わりたくはないのです。あなた様だって、私となんて関わりたくはないでしょう?」
「どうして俺が、アメリナと関わりたくないと思…」
「ルドルフ様、こんな所にいらしたのですね。探しましたわ」
美しい笑みを浮かべて私たちの元にやって来たのは、クレア様だ。
「よかったですね、あなた様の大切な人、クレア様がやってきましたよ。もう私に話し掛けないで下さい。それでは失礼します」
「待ってくれ、俺の話を聞いてくれ!」
後ろでルドルフ様の声が聞こえるが、無視してそのまま走り去った。
人気の少ないところまで来ると、一気に涙が溢れだした。どうして…どうして私を誘うのよ。最愛のクレア様がいらっしゃるのに。どうして私に関わるの?私の事、大嫌いなのでしょう?何があっても結婚したくない程嫌いなのでしょう?
それなのに、どうして私が断ったら、そんな悲しそうな顔をするの?意味が分からない。
どうしてこんなに、私の心をかき乱すの?やっと少しずつ、前を向き始めたのに。お願い、どうかもう、私の心をかき乱さないで。これ以上、傷つきたくない。
「アメリナ嬢、またこんなところで泣いているのかい?」
この声は…
私の元にやって来たのは、何とグリーズ様だ。
「グリーズ様、私は大丈夫ですわ。ちょっと色々と思う事があって…それに私と2人でいると、サーラが誤解をします。ですから、どうか私の事は気にしないで下さい」
サーラは私達が2人で会っている事を気にしていたのだ。
「確かにサーラ嬢も大事だけれど、僕は友達が泣いているのを放っておけるほど、薄情な男じゃないよ。はい、ハンカチ」
「ありがとうございます。でも、本当にもう大丈夫ですわ」
「もしかして、ルドルフ殿の事で悩んでいるのかい?アメリナ嬢、僕はどうしても、彼が君を嫌っているとは思えないのだけれど。本当にルドルフ殿が、君を嫌いと言ったのかい?」
「ええ…はっきりと聞きましたわ。私とは絶対に結婚したくはないと…」
「僕はその言葉、信じられないな…それに君自身も、まだルドルフ殿の事を吹っ切れていないのだろう?一度腹を割って話した方がいいのではないのかい?」
「今更何を話すというのですか?とにかくもう私は、彼には関わりたくはないのです。私はもう大丈夫ですので、これで失礼しますわ。グリーズ様、サーラの事を大切にしてあげて下さい」
そう伝え、グリーズ様の元を去った。
グリーズ様は私達の事を知らないから、そう言えるのよ。私はこの耳ではっきりと聞いたわ。とにかく私は、これ以上心を乱されたくはない。もうルドルフ様に関わるのは止めよう。
そう心に誓ったのだった。
※次回、ルドルフ視点です。
よろしくお願いします。
232
あなたにおすすめの小説
婚約者が実は私を嫌っていたので、全て忘れる事にしました
Kouei
恋愛
私セイシェル・メルハーフェンは、
あこがれていたルパート・プレトリア伯爵令息と婚約できて幸せだった。
ルパート様も私に歩み寄ろうとして下さっている。
けれど私は聞いてしまった。ルパート様の本音を。
『我慢するしかない』
『彼女といると疲れる』
私はルパート様に嫌われていたの?
本当は厭わしく思っていたの?
だから私は決めました。
あなたを忘れようと…
※この作品は、他投稿サイトにも公開しています。
【完結】「お前とは結婚できない」と言われたので出奔したら、なぜか追いかけられています
22時完結
恋愛
「すまない、リディア。お前とは結婚できない」
そう告げたのは、長年婚約者だった王太子エドワード殿下。
理由は、「本当に愛する女性ができたから」――つまり、私以外に好きな人ができたということ。
(まあ、そんな気はしてました)
社交界では目立たない私は、王太子にとってただの「義務」でしかなかったのだろう。
未練もないし、王宮に居続ける理由もない。
だから、婚約破棄されたその日に領地に引きこもるため出奔した。
これからは自由に静かに暮らそう!
そう思っていたのに――
「……なぜ、殿下がここに?」
「お前がいなくなって、ようやく気づいた。リディア、お前が必要だ」
婚約破棄を言い渡した本人が、なぜか私を追いかけてきた!?
さらに、冷酷な王国宰相や腹黒な公爵まで現れて、次々に私を手に入れようとしてくる。
「お前は王妃になるべき女性だ。逃がすわけがない」
「いいや、俺の妻になるべきだろう?」
「……私、ただ田舎で静かに暮らしたいだけなんですけど!!」
短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜
美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
恋人でいる意味が分からないので幼馴染に戻ろうとしたら‥‥
矢野りと
恋愛
婚約者も恋人もいない私を憐れんで、なぜか幼馴染の騎士が恋人のふりをしてくれることになった。
でも恋人のふりをして貰ってから、私を取り巻く状況は悪くなった気がする…。
周りからは『釣り合っていない』と言われるし、彼は私を庇うこともしてくれない。
――あれっ?
私って恋人でいる意味あるかしら…。
*設定はゆるいです。
余命わずかな私は、好きな人に愛を伝えて素っ気なくあしらわれる日々を楽しんでいる
ラム猫
恋愛
王城の図書室で働くルーナは、見た目には全く分からない特殊な病により、余命わずかであった。悲観はせず、彼女はかねてより憧れていた冷徹な第一騎士団長アシェンに毎日愛を告白し、彼の困惑した反応を見ることを最後の人生の楽しみとする。アシェンは一貫してそっけない態度を取り続けるが、ルーナのひたむきな告白は、彼の無関心だった心に少しずつ波紋を広げていった。
※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも同じ作品を投稿しています
※全十七話で完結の予定でしたが、勝手ながら二話ほど追加させていただきます。公開は同時に行うので、完結予定日は変わりません。本編は十五話まで、その後は番外編になります。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
【完結】何故こうなったのでしょう? きれいな姉を押しのけブスな私が王子様の婚約者!!!
りまり
恋愛
きれいなお姉さまが最優先される実家で、ひっそりと別宅で生活していた。
食事も自分で用意しなければならないぐらい私は差別されていたのだ。
だから毎日アルバイトしてお金を稼いだ。
食べるものや着る物を買うために……パン屋さんで働かせてもらった。
パン屋さんは家の事情を知っていて、毎日余ったパンをくれたのでそれは感謝している。
そんな時お姉さまはこの国の第一王子さまに恋をしてしまった。
王子さまに自分を売り込むために、私は王子付きの侍女にされてしまったのだ。
そんなの自分でしろ!!!!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる