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第2章 エンノア編
異能 4
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「では、心情を読むというのは、どの程度のことですか?」
「読めるのは、その時に思っていることや抱いている心情になります。たとえば、疲れたから休みたいなどといった思いや、嬉しい、悲しいなどの感情などです。もちろん、術者の腕や対象によって読むことのできる深さや内容は変わりますが」
「それでは、眠っている者に触れた場合はどうなるのですか」
「眠っている者の思考や感情は脈絡がないため、なかなか上手く読むことができません」
「分かりました。では、話を戻しますが、記憶操作の方はどうなのでしょう」
「対象者の記憶や思いを操作することが可能です」
ゼミアさんに変わって、フォルディさんが語り始める。
「ただし、こちらも術者の能力と対象によって、操作程度にかなりの幅があります。例えば、記憶を消したり書き換えたりということが可能な対象もいれば、感情を少し操作することしかできない対象もおります」
ということは、前回の時間の流れな中で俺は記憶を書き換えられたということになるのか。
「心を覗くこととは比べ物にならない程、記憶操作は非常に複雑で繊細なものです。そのため、術者の予想外の結果になることも多々あります。エンノアへの訪問の記憶を消したところ、その前後の記憶まで消えてしまったり、感情を操作したところ、感情に伴う記憶が変化してしまったり、などのように」
そうすると、前回の俺への記憶操作もどこまでするつもりだったのか分からないな。
ひょっとすると、単に消去するだけだったのかもしれない。
「ところで、消えた記憶が戻るということもあるのですか?」
「可能性はあると思いますが、通常の生活の中では難しいのではないでしょうか」
俺の記憶は戻っているんだけど。
「戻るとしたら、何か原因はありますかね?」
「そうですね、消えた記憶につながるような強い衝撃を受ければ可能性はあると思います」
「同じような経験をすれば戻りますかね」
「はい、その可能性もあると思います」
俺の記憶が戻った理由も、これで理解できるな。
同じような経験どころか、そのまま同じ経験をしたんだから。
さて、くどいようだが、もう一度確認させてもらおうか。
「それで、私の記憶は操作されましたか」
フォルディさんが、ゼミアさんの顔に目を向ける。
「先ほども申しましたが、決してそのようなことはいたしておりません。それに、コーキ殿の記憶を操作することは難しいかと。その、心を覗いた際に、操作難度が分かりますもので」
でも、前回は操作されたよな。
どういうことだ?
ああ、そうか。
今は警戒しているが、前回は無警戒だったからということか。
なるほどな。
「分かりました。その言葉を信じます」
まあ、色々と思うところもあるが、今は信じようと思う。
「感謝いたします」
さて、これで聞きたいことはほとんど聞けたかな。
これで感情的に完全に納得したとは言いきれないけれど、それでもエンノアの皆さんの俺への思いは十分に伝わった。こうして重要な能力に関する質問に答えてくれたのも俺を信用してくれているからだろう。
それに、前回の時間軸での記憶操作に関しては、今のこの人たちがしたことではない。
何とも複雑な思いはするが、この人たちに対して前回の時間軸での責任を問うのはおかしいことだからな。
なら、まあ。
この話はもう終わりにした方がいい。
「皆さん、正直に話していただき、ありがとうございました。私の聞きたいことは聞けましたし、凡そのところは理解できましたので、話はここまでにしたいと思います」
ん?
4人そろって微妙な顔をしている。
まだ、何かあるのか。
「コーキ殿……」
「はい?」
「今さらコーキ殿に隠すことでもございませんので、異能についてもう少し話をしたいと」
「はあ、話とは何でしょう?」
「実はエンノアには、もうひとつ異能がありまして。それが……フォルディ、お見せしなさい」
「はい」
頷いたフォルディさんが真剣な表情で一歩前に出た。
両手を前に出している。
そして……。
地面に落ちていた小石が浮き上がりだす。
これが、フォルディさんの能力。
「念動力です」
そう、これもあるんだった。
というか、前回はこの力を目撃してしまったので、記憶を操作されたのかもしれないな。
「実は、フォルディがコーキさんに助けられた際に発動していたのですが、気付かれませんでしたか?」
「そういえば、目にしたような気がします」
「そうでしたか。それがこちらの力となります」
「なるほど、大したものですね。それで、この力は皆さんも使えるのですか?」
「念動力者はフォルディを含めて5人だけです」
ちなみに、フォルディさんは読心もできるらしい。
2つの異能持ちはかなり珍しいとのことだ。
それでも、本人は。
「コーキさんの魔法とは比較にもならないものですが」
はにかみながら謙遜している。
いや、いや。
読心に念動力、大したものだと思うよ。
「コーキ殿、これが我らの持つ異能の全てです」
「読めるのは、その時に思っていることや抱いている心情になります。たとえば、疲れたから休みたいなどといった思いや、嬉しい、悲しいなどの感情などです。もちろん、術者の腕や対象によって読むことのできる深さや内容は変わりますが」
「それでは、眠っている者に触れた場合はどうなるのですか」
「眠っている者の思考や感情は脈絡がないため、なかなか上手く読むことができません」
「分かりました。では、話を戻しますが、記憶操作の方はどうなのでしょう」
「対象者の記憶や思いを操作することが可能です」
ゼミアさんに変わって、フォルディさんが語り始める。
「ただし、こちらも術者の能力と対象によって、操作程度にかなりの幅があります。例えば、記憶を消したり書き換えたりということが可能な対象もいれば、感情を少し操作することしかできない対象もおります」
ということは、前回の時間の流れな中で俺は記憶を書き換えられたということになるのか。
「心を覗くこととは比べ物にならない程、記憶操作は非常に複雑で繊細なものです。そのため、術者の予想外の結果になることも多々あります。エンノアへの訪問の記憶を消したところ、その前後の記憶まで消えてしまったり、感情を操作したところ、感情に伴う記憶が変化してしまったり、などのように」
そうすると、前回の俺への記憶操作もどこまでするつもりだったのか分からないな。
ひょっとすると、単に消去するだけだったのかもしれない。
「ところで、消えた記憶が戻るということもあるのですか?」
「可能性はあると思いますが、通常の生活の中では難しいのではないでしょうか」
俺の記憶は戻っているんだけど。
「戻るとしたら、何か原因はありますかね?」
「そうですね、消えた記憶につながるような強い衝撃を受ければ可能性はあると思います」
「同じような経験をすれば戻りますかね」
「はい、その可能性もあると思います」
俺の記憶が戻った理由も、これで理解できるな。
同じような経験どころか、そのまま同じ経験をしたんだから。
さて、くどいようだが、もう一度確認させてもらおうか。
「それで、私の記憶は操作されましたか」
フォルディさんが、ゼミアさんの顔に目を向ける。
「先ほども申しましたが、決してそのようなことはいたしておりません。それに、コーキ殿の記憶を操作することは難しいかと。その、心を覗いた際に、操作難度が分かりますもので」
でも、前回は操作されたよな。
どういうことだ?
ああ、そうか。
今は警戒しているが、前回は無警戒だったからということか。
なるほどな。
「分かりました。その言葉を信じます」
まあ、色々と思うところもあるが、今は信じようと思う。
「感謝いたします」
さて、これで聞きたいことはほとんど聞けたかな。
これで感情的に完全に納得したとは言いきれないけれど、それでもエンノアの皆さんの俺への思いは十分に伝わった。こうして重要な能力に関する質問に答えてくれたのも俺を信用してくれているからだろう。
それに、前回の時間軸での記憶操作に関しては、今のこの人たちがしたことではない。
何とも複雑な思いはするが、この人たちに対して前回の時間軸での責任を問うのはおかしいことだからな。
なら、まあ。
この話はもう終わりにした方がいい。
「皆さん、正直に話していただき、ありがとうございました。私の聞きたいことは聞けましたし、凡そのところは理解できましたので、話はここまでにしたいと思います」
ん?
4人そろって微妙な顔をしている。
まだ、何かあるのか。
「コーキ殿……」
「はい?」
「今さらコーキ殿に隠すことでもございませんので、異能についてもう少し話をしたいと」
「はあ、話とは何でしょう?」
「実はエンノアには、もうひとつ異能がありまして。それが……フォルディ、お見せしなさい」
「はい」
頷いたフォルディさんが真剣な表情で一歩前に出た。
両手を前に出している。
そして……。
地面に落ちていた小石が浮き上がりだす。
これが、フォルディさんの能力。
「念動力です」
そう、これもあるんだった。
というか、前回はこの力を目撃してしまったので、記憶を操作されたのかもしれないな。
「実は、フォルディがコーキさんに助けられた際に発動していたのですが、気付かれませんでしたか?」
「そういえば、目にしたような気がします」
「そうでしたか。それがこちらの力となります」
「なるほど、大したものですね。それで、この力は皆さんも使えるのですか?」
「念動力者はフォルディを含めて5人だけです」
ちなみに、フォルディさんは読心もできるらしい。
2つの異能持ちはかなり珍しいとのことだ。
それでも、本人は。
「コーキさんの魔法とは比較にもならないものですが」
はにかみながら謙遜している。
いや、いや。
読心に念動力、大したものだと思うよ。
「コーキ殿、これが我らの持つ異能の全てです」
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