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第5章 王都編
招待 3
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剣姫が隠していた恐ろしいほどの気に、ジンクは気付いていたのか?
それとも剣姫の実力を熟知しているのか?
いずれにしても、彼自身が並の冒険者じゃないってことだ。
「……」
それも、今さらか。
「まあ、兄さんほどの実力があれば剣姫とも平然と話せるんだろうけどなぁ」
ほんと、白々しいことを言ってくれる。
「ん? どうした?」
「いえ……ジンクさんはイリサヴィア様と面識があるんですか?」
「直接話したことはないぜ。姿は何度か見かけているけどな。兄さんこそ剣姫とは親しいのかい?」
「私もそれが気にっておりまして。コーキ殿はイリサヴィア殿とはどのような御関係で?」
「昨日偶然お会いしただけですよ。それ以外は特に。もちろん、親しくなどないです」
「だとしたら、剣姫の様子、おかしくねえか?」
そんなことないだろ。
「本当に昨日少し会っただけですから。時間にしても半刻に満たない程度ですし」
「そうなのか……」
ああ、完全なる事実だ。
他には何もない。
「ところで、イリサヴィア様はこちらには、どのような御用で?」
「私も詳しくは聞いておりませんが、イリサヴィア殿は冒険者として我が国でも活躍されていますから、その関係ではないでしょうか」
「なるほど」
そういえば、剣姫はキュベリッツ以外の国でも冒険者として活動をしていると聞いたことがある。
今日エリシティア様の屋敷を訪れていたということは、近々レザンジュに足を運ぶ予定があるのかもしれないな。
「コーキ殿、ジンク殿、到着いたしました。ここで、少々お待ちください」
案内されたのは、立派な大扉の前。
サイラスさんが、ひとり扉へ。
「コーキ殿とジンク殿をお連れしました」
「ご苦労。こちらへ」
「はっ!」
大扉が開かれ、中に招かれる。
「……」
さて、ここからは気を引き締めないといけないぞ。
より慎重に行動しないと、問題を起こしそうだ。
前回は街道で賊に襲われてるという異常な状況下での遭遇だったけれど、今回は王族の屋敷でエリシティア王女に会うのだから。
ただ、俺はこの世界の王族に対する作法なんて微塵も知らない。
言葉遣いもまったく。
「……」
会う前から疲れてきたぞ。
はぁぁ。
オルドウ領主のもとにさえ伺いたくないというのに。
こっちは貴族どころか王女様だからなぁ……。
丁寧に、とにかく腰を低く。
それしかないな!
「コーキ殿、ジンク殿、お入りください」
サイラスさんに促されて入室したエリシティア様の居室。
大層な部屋ではないと聞いていたが、一般人の感覚からしたら謁見の間としか思えない造りだ。
部屋の奥の一段高くなっている場所に設置された高価そうな椅子。
そこに悠々と座るのはエリシティア様。
椅子の左右にはウォーライルさんと初見の女性。
段の下には騎士たちが控えている。
「……」
多くの騎士が、こちらに好意的な目を向けてくれている中。
エリシティア様の横に控えている女性の目だけが尋常じゃない。
彼女とは初めて会うはず。
どういうことだ?
「コーキにジンク、よく参った」
「「王女殿下におかれましては、ご機嫌うるわしく」」
事前の打ち合わせ通り、ジンクと声をそろえて挨拶の言葉を述べる。
「ふふ」
「……」
「……」
「ははは」
挨拶を間違えた!?
「今さら、そんな言葉は不要ぞ。ここは非公式の場だ。先日のように気楽にすると良い」
ああ、そういうことか。
いきなり失態かと、肝を冷やしたぞ。
ただ、気楽にというのは……。
と考えている間に。
「承知いたしました」
ジンクが言葉を返している。
ちょっと待ってくれ。
「……承知いたしました」
「まだ堅苦しいが、まっ、よしとしよう。では、ウォーライルよ」
「はっ」
エリシティア様の言葉に頷いたウォーライルさんが一歩前に出る。
「貴殿たちのこの度の活躍目覚ましく、レザンジュ王家はこれに相応の褒賞をもって報いることに相成った」
内容は知らされていないものの、褒賞授与についてはあらかじめ伝えられている。
なので、ここも打ち合わせ通り神妙に……。
「ひとつ、大金貨10枚」
えっ!?
大金貨10枚!
つまり10万メルク!
日本円に換算してほぼ1000万円だぞ!
いきなりの大金に、神妙な表情が崩れそうになる。
けど、これって妥当な金額なのか?
一国の王女様を救った報酬にしても……。
「ひとつ、レザンジュ名誉市民権」
授与はまだ続いている。
隣のジンクのように顔を作らないと。
「ひとつ、レザンジュ国内における自由通行権」
「……」
「……」
「以上」
「「謹んでお受けいたします」」
褒賞に対する疑問はさておき、ジンクと揃って頭を下げる。
これも事前の打ち合わせ通り。
何とか立て直すことができた、か。
それとも剣姫の実力を熟知しているのか?
いずれにしても、彼自身が並の冒険者じゃないってことだ。
「……」
それも、今さらか。
「まあ、兄さんほどの実力があれば剣姫とも平然と話せるんだろうけどなぁ」
ほんと、白々しいことを言ってくれる。
「ん? どうした?」
「いえ……ジンクさんはイリサヴィア様と面識があるんですか?」
「直接話したことはないぜ。姿は何度か見かけているけどな。兄さんこそ剣姫とは親しいのかい?」
「私もそれが気にっておりまして。コーキ殿はイリサヴィア殿とはどのような御関係で?」
「昨日偶然お会いしただけですよ。それ以外は特に。もちろん、親しくなどないです」
「だとしたら、剣姫の様子、おかしくねえか?」
そんなことないだろ。
「本当に昨日少し会っただけですから。時間にしても半刻に満たない程度ですし」
「そうなのか……」
ああ、完全なる事実だ。
他には何もない。
「ところで、イリサヴィア様はこちらには、どのような御用で?」
「私も詳しくは聞いておりませんが、イリサヴィア殿は冒険者として我が国でも活躍されていますから、その関係ではないでしょうか」
「なるほど」
そういえば、剣姫はキュベリッツ以外の国でも冒険者として活動をしていると聞いたことがある。
今日エリシティア様の屋敷を訪れていたということは、近々レザンジュに足を運ぶ予定があるのかもしれないな。
「コーキ殿、ジンク殿、到着いたしました。ここで、少々お待ちください」
案内されたのは、立派な大扉の前。
サイラスさんが、ひとり扉へ。
「コーキ殿とジンク殿をお連れしました」
「ご苦労。こちらへ」
「はっ!」
大扉が開かれ、中に招かれる。
「……」
さて、ここからは気を引き締めないといけないぞ。
より慎重に行動しないと、問題を起こしそうだ。
前回は街道で賊に襲われてるという異常な状況下での遭遇だったけれど、今回は王族の屋敷でエリシティア王女に会うのだから。
ただ、俺はこの世界の王族に対する作法なんて微塵も知らない。
言葉遣いもまったく。
「……」
会う前から疲れてきたぞ。
はぁぁ。
オルドウ領主のもとにさえ伺いたくないというのに。
こっちは貴族どころか王女様だからなぁ……。
丁寧に、とにかく腰を低く。
それしかないな!
「コーキ殿、ジンク殿、お入りください」
サイラスさんに促されて入室したエリシティア様の居室。
大層な部屋ではないと聞いていたが、一般人の感覚からしたら謁見の間としか思えない造りだ。
部屋の奥の一段高くなっている場所に設置された高価そうな椅子。
そこに悠々と座るのはエリシティア様。
椅子の左右にはウォーライルさんと初見の女性。
段の下には騎士たちが控えている。
「……」
多くの騎士が、こちらに好意的な目を向けてくれている中。
エリシティア様の横に控えている女性の目だけが尋常じゃない。
彼女とは初めて会うはず。
どういうことだ?
「コーキにジンク、よく参った」
「「王女殿下におかれましては、ご機嫌うるわしく」」
事前の打ち合わせ通り、ジンクと声をそろえて挨拶の言葉を述べる。
「ふふ」
「……」
「……」
「ははは」
挨拶を間違えた!?
「今さら、そんな言葉は不要ぞ。ここは非公式の場だ。先日のように気楽にすると良い」
ああ、そういうことか。
いきなり失態かと、肝を冷やしたぞ。
ただ、気楽にというのは……。
と考えている間に。
「承知いたしました」
ジンクが言葉を返している。
ちょっと待ってくれ。
「……承知いたしました」
「まだ堅苦しいが、まっ、よしとしよう。では、ウォーライルよ」
「はっ」
エリシティア様の言葉に頷いたウォーライルさんが一歩前に出る。
「貴殿たちのこの度の活躍目覚ましく、レザンジュ王家はこれに相応の褒賞をもって報いることに相成った」
内容は知らされていないものの、褒賞授与についてはあらかじめ伝えられている。
なので、ここも打ち合わせ通り神妙に……。
「ひとつ、大金貨10枚」
えっ!?
大金貨10枚!
つまり10万メルク!
日本円に換算してほぼ1000万円だぞ!
いきなりの大金に、神妙な表情が崩れそうになる。
けど、これって妥当な金額なのか?
一国の王女様を救った報酬にしても……。
「ひとつ、レザンジュ名誉市民権」
授与はまだ続いている。
隣のジンクのように顔を作らないと。
「ひとつ、レザンジュ国内における自由通行権」
「……」
「……」
「以上」
「「謹んでお受けいたします」」
褒賞に対する疑問はさておき、ジンクと揃って頭を下げる。
これも事前の打ち合わせ通り。
何とか立て直すことができた、か。
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