30年待たされた異世界転移

明之 想

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第7章 南部編

15分 2

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 マリスダリスの刻宝で稼いだ15分。
 この15分が最後の勝負だ。

「とりあえず、もう一度試してみます」

「私もやってみよう」

 そこからは、できる限りのことを。
 思いつくことを全て試してみたのだが……。

 剣を貫通させることはおろか、僅かに動かすことすらできなかった。
 もちろん、剣への魔力付与も。


「アリマ、時間がないぞ」

「……」

「このまま続けるのか?」

「いえ……」

 魔力が付与されていない剣を無理やり首にねじ込み続けても無駄だろう。
 この期に及んでそんな力技が通用するわけもない。

 とはいえ、他にどんな方法が?
 何をすれば?

「諦めるのか? 諦めて、次で勝負すると?」

 諦めて次回の戦闘で勝負をかける。
 もちろん、考えなければいけないことだろう。

 それでも、今は……。

「……」

「……」

 駄目だ。
 時間だけが無駄に過ぎてしまう。

 くそっ。
 最後の最後で!
 この土壇場で!


「……魔法を試してみないか?」

「魔法であいつを貫くことはできませんよ」

 何を今さら。

「違う。剣に魔法を放つんだ」

 剣に魔法?

「……」

 なるほど。
 発想の転換か。

 首元に刺さった剣に魔力を込めることはできない。
 けど、魔法なら?
 魔力を顕現させた実体を持つ魔法なら?

 剣を通して魔法をあいつの身体に送り込める?
 剣身の先端に魔法を送れれば、貫通することも?

「……」

 俺の魔力残量は心許ない。
 それでも、試す価値はあるな。

「……やってみましょう」

「うむ」

 狙いは首元から突き出た剣身。
 魔法は伝導性のある雷撃だ。

「……雷撃!」

 バリ、バリ!

 剣身に命中。
 雷撃は体内に?
 入ったのか?

「やつの目の色が変わってる! 効いてるぞ!」

 いまだ身動きできない、声も出せないエビルズマリス。
 それでも、目の色は変わると?
 その変化、俺には分からないが……。

「……」

 いや、今は剣姫の言葉を信じよう。

「アリマ、次も雷撃だ」

「分かりました」

 ただし、2発目は直接だな。
 左手で剣を握り、右手を剣身に添え。

「雷撃!」

 手から直接雷撃を剣身に伝えてやる。

 バリ、バリ、バリ!

「効いてる! 間違いない!」

「……」

 確かに、そんな気がするな。
 けど、この雷撃でエビルズマリスを倒すことができるのか?

「続けてくれ!」

「……分かりました」

 もう一度、剣身に右手を……。

「グルゥ」

 あいつの口から唸り声。
 刻宝の効果が切れ始めている?

「アリマ、急ぐんだ!」

 分かってる。

「雷撃!」

 バリ、バリ、バリ!

「グギャァ!」

 効いてる。
 確かに効いてる。

 それでも、これじゃ倒せない!

「グゥオォ!」

 まずい。
 尻尾が動き始めた。
 残り時間はわずか。

 なら!
 これでどうだ!

「雷撃!」

 と同時に剣を押し込む。
 すると。

 ズッ!

 動いた。
 少しだが動いたぞ!
 これまで微動だにしなかった剣身が!

 なのに。

「グゥオォ」

 刻宝で身動きを封じられていたエビルズマリスが。
 尻尾だけじゃなく、両の手足まで動かし始めている。


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