619 / 1,578
第7章 南部編
嵐のローンドルヌ大橋 6
しおりを挟む「「「「「「おおぉぉ!」」」」」」
「「「「「「うわぁぁ!」」」」」」
「「アイスアロー!!」」
「「ストーンボール!!」」
喊声、叫声、魔法詠唱。
嵐を突き破って聞こえてくる。
キン、キン!
ドン!
ドガン!
ワディン側の劣勢は明らか。
当然だ。
嵐の中で幻影を見せられ、多勢に挟撃されてるんだから。
ノワールも戦っているはずだが、水が苦手なノワールにとっては厳しい状況だろう。
このまま嵐が続けば、十分に力を発揮することもできないはず。
なら。
俺がやるしかない!
よし、もう到着するぞ。
現在の戦況は?
ワディン騎士たちは劣勢なりに何とか持ちこたえている。
ヴァーンとアルも戦闘中。
ノワールも……雨の中で頑張っているな。
それで、幸奈は?
橋上には確認できない。
ということは馬車の中。
その馬車は、健在だ!
よかった……。
形勢不利なのは仕方がない。
それでも、最悪の事態には至っていない現状に、思わず安堵の息が漏れてしまう。
そんな一呼吸をついた、次の瞬間。
ドッガァァーーン!!
轟音を立て、馬車が横転した!!
********************
<和見幸奈視点(姿はセレス)>
浮遊感。
馬車の横転とともに空中に飛ばされた身体がそれを感じる。
なぜか、とても長く感じてしまう。
どこに落ちるの?
わたし、どうなるんだろう?
シアさんとユーフィリアさんは?
とんでもない状況なのに、頭だけはすごい速度で動いている。
本当に不思議な感覚。
けど、それも終わりを告げ。
「うっ!」
背中に感じる衝撃。
一瞬息が止まってしまう。
これは、身体が橋の上に叩きつけられたの?
でも、柔らかい?
どうして?
ユーフィリアさん?
護ってくれた?
馬車から投げ出される直前、手を取ってくれていたユーフィリアさんがわたしを庇うように抱え、そのまま橋に?
そうよ。
だから、この程度で済んだのね。
「ユーフィリアさん、大丈夫……」
ドン!
えっ?
蹴られた?
「邪魔だぁ!」
また蹴られた?
「ううっ!」
蹴られたのはユーフィリアさん?
わたしを胸に抱えたまま転がっている、橋の上を?
「どけぇ!」
さらに、何らかの衝撃を受けたユーフィリアさん。
転げている中で、抱える腕がほどけて!
でも、手は繋がっている。
ドサッ!
何かに体が当たり、ようやく横転が止まった。
背中が欄干に当たったんだわ。
「うっ、くっ!」
ユーフィリアさん?
右手の先は?
「!?」
わたしの右手と繋がっているユーフィリアさんの左手。
その左手を繋いだまま、ユーフィリアさんの体が橋から外にはみ出している!
転がった先の欄干が崩れ、そこから外に落ちかけているんだ!
でも、落ちなくて良かった。
ぎりぎりだった。
そう思ったのに。
ドン!
「あっ!」
また蹴られて!
ユーフィリアさんの全身が橋の外へ!
「ううぅ」
重い!
右手が痛い。
「セレス様、離してください!」
「嫌です!」
「セレス様!」
「絶対離しません!」
痛いけど、離せない。
ずっとわたしを護ってくれたユーフィリアさんの手なのに。
「セレス様、無理です」
分かっている。
わたしの力では長くはもたない。
だから!
「誰か!」
助けて!
ユーフィリアさんを橋の上に戻して!
でも、誰も助けてくれない。
気づいてないの?
余裕がないの?
シアさんは?
姿が見えない。
44
あなたにおすすめの小説
のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-
すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン]
何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?…
たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。
※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける
縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は……
ゆっくりしていってね!!!
※ 現在書き直し慣行中!!!
薬師の名門ブレルスクに入学した私は、退学するまで暴れます。〜少年アレクの倫理で殴る学園ファンタジー〜
鮒捌ケコラ
ファンタジー
入学式から3週間目にして『退学」を言い渡された。
(早くない?RTAじゃないんだからさ。)
自分で言うのもアレだけど、入学してからは結構真面目に通ってた。
けど、どうやら教員の不況を買ってしまったらしい。
幸か不幸か、退学まで1週間の執行猶予が与えられた。
けど、今更どう足掻いても挽回する事は不可能だろうし、
そもそも挽回する気も起こらない。
ここまでの学園生活を振り返っても
『この学園に執着出来る程の魅力』
というものが思い当たらないからだ。
寧ろ散々な事ばかりだったな、今日まで。
それに、これ以上無理に通い続けて
貴族とのしがらみシミッシミの薬師になるより
故郷に帰って自由気ままな森番に復職した方が
ずっと実りある人生になるだろう。
私を送り出した公爵様も領主様も、
アイツだってきっとわかってくれる筈だ。
よし。決まりだな。
それじゃあ、退学するまでは休まず毎日通い続けるとして……
大人しくする理由も無くなったし、
これからは自由気ままに、我儘に、好き勝手に過ごす事にしよう。
せっかくだし、教員達からのヘイトをカンストさせるのも面白そうだ。
てな訳で………
薬師の名門ブレルスクに入学した私は、退学するまで暴れます。
…そう息巻いて迎えた執行猶予満了日、
掲示板に張り出された正式な退学勧告文を
確認しに行ったんだけど……
どういう事なの?これ。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
Gランク冒険者のレベル無双〜好き勝手に生きていたら各方面から敵認定されました〜
2nd kanta
ファンタジー
愛する可愛い奥様達の為、俺は理不尽と戦います。
人違いで刺された俺は死ぬ間際に、得体の知れない何者かに異世界に飛ばされた。
そこは、テンプレの勇者召喚の場だった。
しかし召喚された俺の腹にはドスが刺さったままだった。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる