僕の考えた最強ドラゴンで世界征服~復讐を誓う悲劇の王子は50年前へと遡る!行こうアヴァロン、殺戮の始まりだ~

泥水すする

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第3章 戦争の幕開け

第18話 葬い

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 同じ頃、アブゾーブと別行動をとっていたマントは、驚愕の光景を目の当たりにしていた。
 森の中から聞こえる衝撃音を追ってやってきてみれば、そこでは何と革命軍と思しき若い剣士と、異様な姿形へと形状変化したデストナが熾烈な争いを繰り広げていた。

 マントは新たなデストナの一面にも驚きつつも、またデストナと渡り合っている若者に大しても同様の感情を抱いていたのだった。

 見るからに、優勢は明らかにデストナの方である。何故ならデストナと対峙した若者はただ攻撃を避けるばかりで、攻撃に転じる様子一切を見せないのだから。

ただそれでいて、若者の異様な落ち着き振りにも眼を見張るものがあった。顔色一つ変える事なく、涼しい顔をしてはデストナの攻撃を避け続けていた。まるで、絶好のチャンスを伺っているような、そんな雰囲気を醸し出して…

 通常時の身体能力を遥かに凌駕する異様な姿をしたデストナと、底の知れないオーラを放つ謎の青年の戦闘とは、まさに圧巻の一言に尽きるーーマントは息を飲んでその戦闘を見守る。

 そして、その時はやってきた。一瞬、デストナの体が止まったのだ。その隙を突いた青年の剣先が、デイトナの喉元を捉え、そしてーーー

 勝敗は一瞬の隙の間にも決し、勝者はの崩れゆく姿を見下していた。真っ赤な血を垂れ流し、血溜まりの中にうずくまる敗者を視界に、ニヤリと不敵な笑みを浮かべていた。

「…僕の勝ちのようだな、オーズベルト」

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 どうして、と言いたげな顔色を受けべていた。心臓に一突きの剣を受けたオーズベルトは荒い呼吸を繰り返しては地面へと崩れ落ちていた。

 オーズベルトの胸元から流れ出た血は瞬く間に地面を赤く染め上げ、大きな血溜まりを生んだ。

「オーズベルト、お前の奇抜な戦闘方には驚かせれたよ。まさか竜細胞を大気中へと飛散させるなんてね…」

「何故…」

「ん?」

「何故、僕よりも先に、動くことが…できた?」

 オーズベルトは苦悶な表情では尋ねた。そして地面に手をつき、起き上がろうとはもがき、そして倒れ伏せる。

「誤解しているようだが、僕は確かにあの時一瞬だけ行動を停止した。そこまではお前の計画通りだと思う。だがね、確かお前はこう言っていたよな?オーラを分散させた後、しばらくはオーラを発することが出来ない、と。つまりだよオーズベルト、僕はその一瞬の隙をずっと狙っていたわけさ。その一瞬さえ掴めれば、それだけで良かったわけだ…後は幻術に嵌めて、お前が僕の幻影を貫いたその瞬間を、奇襲する」

「では…初めから…僕の目論見に気づいたと…そういうわけか…」

 オーズベルトは乾いた笑い声を漏らしながらには言った。

「ああ。だって、お前はそこいらの馬鹿と違うだろ?僕の二手、三手先を読むぐらい造作もないだろうと考えたわけ。だったら更にその先を読めばいい…そして、僕のそんな予想は正しかった。だからこそお前は僕に負けたんだ…でもまさかオーラを飛散させるとは思っていなかったよ。そこだけは賞賛に値する。オーズベルト、お前はあの時あの瞬間だけは、この僕より遥かに優っていた…その事実だけは認めよう…」

「…認められたところで、死んでしまうんだもんなぁ…」

 オーズベルトは胸に手を当てて、手にベットリとついた血を流し見て、悔しそうには目を細めて仰向けに転がった。

「なぁデイトナ・カースト…僕はやっぱり、死なないとダメかなぁ?」

「…ふふ、それを僕に聞くのかい?」

「……はははは、確かに…そうですよねぇ…」

 オーズベルトはそう言って、空に向けて手をかざした。それはまるで届くはずもない空に向かって助けを求めるような、そんな仕草である。

「ドラゴンスレイヤー最後の生き残りである僕が……まさか竜の意思を継ぐ者に殺されるなんてね…はは、ははは…皮肉なもんだよ…」

「…全くだ」

 デイトナはさらりと答えて、つかつかとオーズベルトの元へ歩み寄っては剣を構えた。

「中々タフな奴だ…心臓を突き刺したというのに…」

 そう言って、オーズベルトの喉元に剣先を向けた。

「苦しいだろ?今楽にしてやるよ」

 オーズベルトは無言で応えた。ただ死を受け入れたのようには目を閉じて、

「……ねぇ、皆んなのことだけは…許してくれないかなぁ?」

 それが、オーズベルトの最後の言葉だった。
 デイトナはオーズベルトの喉元に突き立てた剣先を引き抜くと、オーズベルトの死体を数秒間眺め、

「それは、無理なんだ」

 寂しそうには、呟いた。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 自分の体が自分がものじゃないように感じた。それが僕の気のせいであれば良かったのだが、どうやらそうもいかないらしい。僕はそのままオーズベルトの死体の横へと倒れ伏していた。

「デイトナ王子!!」

 森の茂みから這い出るようには現れたマントが駆け寄ってきた。マントは僕の体を抱きかかえると、心配そうには眉山を寄せていた。

「大丈夫ですか!?」

「…大丈夫に見えるかい?」

「い、いえ…」

「だろ?ちょっと力を使い過ぎてしまったみたいだ…」

「ぼ、僕はどうすればよろしいですか!?」

「…このままでいいよ。時期に…治るから」

 時期に、それが自分でもどれくらいかかるのかは定かではなかった。というのも、ここまで[竜化状態]に身を晒し続けていたのは初めてだったのだ。

 [竜化状態]とは、たかだか人間風情である僕には荷が重い。ただでさえ扱いが難しいのにも関わらず、僕は今回存分には[竜化状態]の力を頼ってしまった。その代償は重い。

 [ミラージュ・ロストエイジ幻影を生きる霧闇の屍竜]の意思が僕の体を乗っとろうとは暴れ出していた。
 
「マント、僕は今どんな姿をしている…まだ人間の姿を維持できているかい?」

「………はい、

 含みのある言い方のマント。つまり、僕の今の姿が相当酷いということだろう。

 僕は自身の[竜化状態]が進んだ姿をはっきりと見た事はないが、多分だが、その姿とはさぞかし悍ましいのだろう。しかも今回はいつも以上に酷い有様だとマントの眼が語っている。

 いつもは直ぐに収まるが、今回ばかりはそうもいかないみたいだ。いつも倍以上かかるか、またそれ以上か…

「……まぁいいや。それよりもマント、お願いがあるんだが」

「はい、何でしょうか?」

 僕は不思議そうにするマントにを言い渡した。その瞬間にもマントは驚いて、

「…デイトナ王子らしくありませんね…」

「そうかい?」

「ええ。いつもの貴方なら、そんな事絶対に言わないと思います…」

「……全くだ」

「何か、あったのですか?彼と」

 そう言って、マントはオーズベルトの死体を見た。

「殺しあった」

 と、僕はそれだけを告げて、そして、そのまま眠りついた。しばらくは起きれそうもないと、そう思いながら…

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「アブゾーブ様」

 森の中から出てきたマントがアブゾーブの名を呼んだ。アブゾーブが足元に散らばった無数の屍を積み重ねていた最中のことである。

「お怪我はありませんか?」

「おう、俺の方は大丈夫だ。それより…お前の方はどうだった?」

「…見ての通りです」

 マントはそう応えて、背中におぶった青年の死体をアブゾーブに向けた。オーズベルトの遺体である。

「成る程な…で、誰がそいつと殺り合ったんだ?」

「デイトナ王子です」

「…よりにもよってデイトナかよ?そいつぁ可哀想だ…さぞ一方的にはなぶり殺されたんだろうなぁ…」

 哀れそうにはオーズベルトの死体を見るアブゾーブに、マントは首を振って、

「実はそうでもないのです。彼はデイトナ王子に奥の手を使わせる程に善戦していました」

「はぁ!?そんな強いのかよ…何もんだ?」

七人の剣王セブンソード・マスターの1人、オーズベルト・ルノワール…剣王の中でも随一とは噂されていた男です」

 マントはオーズベルトの遺体を地面へ降ろすと、「まだこんなに若いのに大した男です…」と口にして、手を合わせた。

「…剣王か。でもそれにしたってよう、俺はあのデイトナか追い詰めるなんて想像できねぇよ…」

 アブゾーブもまたマントに続いて手を合わせては、祈りを捧げた。普段からこのような格式ばった真似事をしないアブゾーブではあったが、この時ばかりでは別だった。

 敗北したにしろ賞賛に値するーーー言わば同じ戦士として敬意のような感情をいたのである。

「敵ながら天晴れとしか言いようがねぇ」

「ええ…だからか分かりませんが、デイトナ王子が私にをしてきました」

?」

「そうです。デイトナ王子は彼と…その仲間である彼等をちゃんとした形で弔って欲しいと、そう仰られていました」

 マントは視線をオーズベルトから外して、地面一帯に四散した革命軍の死体累々へ。

「これで全部ですか?」

「ああ、一人も逃しちゃいねーよ」

「流石です」

「……ああ、」

 そう応えたアブゾーブとは、どこか遣る瀬無い空気を漂わせて重たい溜め息を吐いた。

「それにしても妙にしつこい奴等だったな…」

「つまり彼等もかなりの手練れだった、と?」

「いやそうじゃないけどよ、生きる意思って言うのか…それが強すぎるんだ。大した実力もないくせに一人一人血眼になっては喰いかかってきてよ。そこの女に至っては、ありゃ後の世で凄い奴になっていたんだろうがな…」

「デイトナ王子といい、アブゾーブ様といい、今日は何だか別人のようですね」

「そう、なんだよなぁ…俺もこんな気持ちは初めてだ。デイトナの気持ちも分からなくねーしな」

「……全く、不思議な事もあるもんですね」

「違いねぇ」

 二人は硬い表情を解くにようには笑った。

「では、埋めましょう」

「おう」

 その日、マントとアブゾーブの中で変わろうとしていた…



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