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第3章
第3話 クエスト達成の味は苦い
しおりを挟むかくして、俺たちのポイズンデスパリスト狩りは始まった。
暗黒沼に根城を築いているというポイズンデスパリストを見つけるまでには然程の苦労しなかった。それもそのはず、ポイズンデスパリストとはご苦労にも自ら俺たちの前へと姿を見せてくれたのだ。
勢い任せには俺たちへと向かって飛んでくる5匹のポイズンデスパリストの群れ。予想していたよりもかなりデカい、1匹辺りゆうに3メートルは越えているだろうか、そんなポイズンデスパリストが一斉に飛び交ってくるのだ。
断言する…恐怖すら生温い!と、そんな事を。
「うわぁあああああマルシャ!助けろよぉおお!」
と、情けない叫び声を上げるのは俺自身。ポイズンデスパリストの3匹に目を付けら逃げ惑う俺だった。
「てか待てよ!?なんで5匹もいてその内の3匹が俺を襲うわけ!?理不尽にも程があんだろうが!!」
俺は助けを求めるようにはマルシャへと視線を移した。そこでポイズンデスパリストの一体に苦戦を強いられるマルシャを見た。
「ちょ、ちょ何よこいつ!?飛び回りなんて卑怯でしょうが!?降りてきて正々堂々と戦いなさいよぉお!!」
と、そんな悔しみに満ちた声を聞いた。うん、なんてこった…
まさか最高戦力と期待していたマルシャとは空飛ぶポイズンデスパリストの撹乱行動の術中には嵌っているではないか。
「落ち着けマルシャ!?冷静になれ!そしたらお前なら余裕な筈だぞ!?」
「無茶言わないでよ!?私ちょこまかした奴が一番苦手なんだけど!?無理なんですけど!?」
ということでマルシャをあてにしてはならない。むしろ1匹は引きつけてくれているだけまだマシだとは考えをシフトしようじゃないか?
でだ、それでは後方支援へと回っていたルクスとガイルの両氏はどうだろうか?
「ひぃいいいいい!?こっちに来るなぁあああああ!汚れる!服が汚染されちゃうううう!!!」
それは俺と同様にはポイズンデスパリストからに逃げ惑うガイルの叫び声、そして、
「な、何ですか全く!?何で避けるんですか!?大人しく的になって下さいよぉおおお!!」
これはそんなガイルを追い回すポイズンデスパリストに向かって必死に雷をバンバン撃ちまくるルクスだ。全弾外れている。いやてか最早外れているとかいうレベルじゃない!全く的外れな方向に撃ちまくってる!?
「ま、まじかよぉ!?」
大誤算だった。いくら最高難易度のクエストと言っても俺たちなら余裕で熟せると勘違いしていた。でも実際は違った。いくら実力があるからといって、冒険者としての経験が浅いマルシャに、大精霊の加護を受けているだけで駆け出しの冒険者と然程の変わりないルクスに、そもそも冒険者でも何でもないという変わった思考の持ち主であるガイルでは荷が重かったのだ。
今更悔いたとて最早遅い。てか誰かに頼ろうとしていた俺が激しく馬鹿だった。そりゃそうだよ、全てが上手く行くなんて筈そもそもなかったんだよ。他力本願もいいとこだ、自分のケツは自分で拭けとは自分を激しく叱咤しておこう。
俺は意を決して背後のポイズンデスパリストと向き直った。そして瞬時には石ころ大程のグングニルを取り出して、それを3匹のポイズンデスパリストには投げつけようとして、
ふと、脳裏に言葉が過った。
『大いなる力には大きな責任が伴う…そこだけは見誤るなよ?』
それは先日、ペトロちゃん(改)の体に乗り移った大精霊サンダルフォンに告げられた有難い言葉だ。
よもやこんな時になってその言葉の意味をひしひしと理解するなんてな…腐っても奴には大精霊という肩書きがあるとは認めようじゃないか?
「畜生め!結局こうなるのかよ!?」
この場に於いて唯一頼りになるのは俺のグングニルでしかない。それはいつかのレッドドラゴン討伐作戦と同様に、この場を切り抜けるにはグングニルの使用を認めてしまうしかないのだ。
『どうする俺?考えろ、考えるんだ…この場で最もクール冴えた切り抜け方を…』
と、俺が頭を悩ませていた、次の瞬間。
「ガバァッアア!!」
俺と対峙するポイズンデスパリストが唐突に咆哮した。咆哮して、口から悍ましい毒液を俺へと向かって発射させる。そんな勢い充分の毒液とはきれいな放物線を描いては俺の目の前にまで迫っていた。
あ、やばいこれ、死んだ。
そう思った、刹那である。
「バンキス!右へとそれなさい!!」
と、マルシャの叫び声を聞いた。ハッと我に返った俺はすぐ様マルシャの言葉通りには右へと顔だけを逸らして、間一髪のところで毒液を回避した。そして、
「はぁああああ!!」
唐突に俺の背後から飛び出してきたマルシャがポイズンデスパリストの1匹へと斬りかかる。そうして振り抜いた剣からスパンッと心地の良い斬撃音を鳴らしてポイズンデスパリストの真っ二つに切り裂いた。
見事な一撃、ついつい見とれてしまっている俺とは一体何をしている?
「バンキス!大丈夫!?」
ポイズンデスパリストの1匹を葬ったばかりのマルシャが地面に着地した折にもそう尋ねてきた。俺はそんなマルシャを見て首をブンブンと縦に降る。
俺を助けておいて尚俺を安否するその余裕ぶり…認めよう、お前はマジで大した奴だ。と、悠長にも考えてはられないようだ。見ると仲間を葬られて怒りを露わにする2匹のポイズンデスパリストが一斉にはマルシャへと飛びついて、
「マルシャから…離れぉおおお!!」
俺は足元の石ころを掴み取りそれをポイズンデスパリストの1匹へと投げつけた。また流れる動作のままにはもう1匹にも同様の石ころ攻撃。クリーンヒット、ポイズンデスパリストの体が蹌踉いた。
「マルシャ!今だ!」
「ええ!」
俺の呼び掛けに対しマルシャの剣が瞬時には反応、ポイズンデスパリストの首をスパンッ、スパンッと2匹纏めて切り抜いていた。討伐、完了。
「マルシャ!大丈夫か!?」
「あんたこそ平気!?」
「ああ!でも助かったよ…死ぬかと思った」
「ほんとよ…私が駆けつけなかったらマジ死んでたんだからね!?」
ぐうの音もでない。確かに今回はマルシャに助けられたということで間違いはなかった。危うくグングニルを使ってしまうところをマルシャに助けられたということである。
「いやぁ、にしてもよく駆けつけてくれたよ!お前の方は大丈夫だったのか?」
「何とかね…って悠長にしてる場合じゃないわ。ルクスとガイルは!?」
「そうだった。あいつら平気か、」
と振り返って、それが過ぎたる心配だったとは安堵する。
というのも、どうやらルクスとガイルの戦闘は終了していたようなのである。ただ様子が少し変で、ガイルの嗚咽が聞こえてきていた。
「うわぁあああああああああ!!」
既に息の根を絶っているだろうポイズンデスパリストの尻尾を掴みブンブンと振り回すガイルの服が見事に引き裂かれ、デロンとは肌を露出させている。また紫色に変色した箇所をいくつか見受けられて、ガイルの心中察した。
「結局汚したみたいだな」
「みたいね」
高難易度クエスト、達成。
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