能ある冒険者は、その内に秘めたる魔槍”グングニル”を隠す -北欧神話伝来の魔槍グングニルを与えられた俺という最強の存在の苦難の旅路-

泥水すする

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第3章

第8話 ゴッド様のクイズ形式

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 カウンターの奥へと連れられた俺たち一行の向かった先の一室に、怪しい白装束の集団とは雁首揃えて待ち構えていた。

 その集団については先日の一件でよく知っている俺、「やっぱりか」などとは即座に察して、この件にゴッド信教が関わっていることを再確認していた。

「で、貴様ら一体何が目的だ?」

 開口一番、俺はミミカにそう尋ねていた。

「目的も何もありません。あなた方が私達に従わなかったのがいけないんですよ?我々があんなにも親切に勧誘してあげたのにも関わらず邪険にするから~」

 ほう、そういうってことはだよ、

「やはり、クエスト報酬の件についてはお前らの仕業なんだな?」

「認めたくはありませんが、はい、全くその通りです」

 悪びれた様子も見せず、ミミカはきっぱりと言い切った。

「なぁマルシャ?こいつ殴っていい?」

「な、何で私に聞くわけ?」

「いやだってこのパーティの隊長だし」

「あんたさぁ、そう言って私に責任をなすりつけようとしてない?」

「……認めたくはないが、はい、全くその通りです」

「馬鹿」

 ああ馬鹿だよ!でもだったらどうやってこのやり場のない怒りを発散したらいい!?

「ミミカ様と言いましたか?一体全体どうしてそこまでして私達をゴッド信教にいれたいのか…聞いてもいいですか?」

 と、平静さ見せて言ったのは意外や意外にもルクスだ。こんな異様な空間に於いてどうしてこうも平静でいられるか素直に驚きだった。

 その理由を知ったのは、次の瞬間にもルクスが取り出した一本の空のボトルを見たからである。

「もしかして…このゴッド様の有難い水とやらを売りつける為じゃないんですか?もしそうだったらその手には乗りませんよ?いや、仮に買うとしても毎月の定期販売にしか手を出しませんからね!?」

 ダメだ、やっぱこの子真性だ。真性のお馬鹿な子だよ!?

「おやおや、ボトルが空だと言うことは、既にゴッド様の有難い水を完飲されたということですね?」

「だったら何ですか!?あんな美味しい水を餌に私達を釣ろうって魂胆じゃないでしょうね!?」

「ルクス…もういい…お前はしばらく黙ってろ」

 話を戻そう、

「つまりゴッド信教に入れと、そういうことでいいんだな?」

「話が早くて助かります」

「何故そこまでして仲間を募る?もしや世界征服でも企んでるわけじゃなかろうな?」

「世界征服、ふっふっふ、そんな野蛮な意味合いで呼ばないで下さいよ。言って、ゴッド様の悲願とは世界の平定!世界の全土をゴッド様の有難~いお力によっては守って差し上げましょうという、慈悲深き慈愛精神によるところ、ですよ?」

 いや、それを世界征服と言うんじゃ…

「じゃあ百歩譲ってゴッド信教に入るとして、まずそのゴッド様に会わせろ。話はそれからだ」

 ゴッド様とやらどこぞの誰かは知らんがな、まずそのゴッド様という俺の力を理由して成り上がろうとするその腐った面を見なきゃ話も何もない。

 と、途端にミミカは頷いて、

「いいでしょう。確かにゴッド様の有難~い姿を見ずして、ゴッド信教に入るも何もありませんからね」

 やけにあっさりとは俺の要求を呑んでくれた。そして、

「では、ゴッド様!迷える彼等に、その有難~い姿をお見せ下さいませ!ささっ、」

 などと白装束の下っ端らしき信徒達を流し見て言った。

 いや待て、ゴッド様そん中にいたのかよ!?

 と、次の瞬間。

「私だ」

 呟いて、1人の白装束が一歩前へと歩み出た。

「いや待て、私だ」

 呟いて、違う白装束が二歩前へと歩み出た。

「待て待て、打合せではここは私がゴッド様を名乗る手筈だっただろ?勝手はよせ」

 などと、またまた違う白装束が三歩前へと歩み出た。

 うん、何これ?

「時に皆様、この三人の中に本物のゴッド様がいるんですが、どれだと思います」

 クイズ形式!?

「そうねぇ…私は一番最初に名乗り出た奴が怪しいと思うわね…」

 いわマルシャ!?何で乗る気なの!?

「因みに、私は最後に名乗り出た奴が怪しいと思います…サンちゃんも私と同意見のようです」

 ルクス、お前もか!

「じゃあ私は間をとって真ん中でいいぞい!」

 もうやめて!無理に乗らないでガイル!話がややこしくなると、そう思うの!?

「ぶっぶ~、皆様ハズレで~す!そんな簡単にゴッド様が現れるわけないじゃないですかぁ~、うけるぅ~、クスクス」

 いや確かにその通りだが…何お前?ねぇ、頭のネジ100本ぐらい足りないんじゃないの?ねぇそうなんでしょ?

「あはははは…じゃあつまらない余興はこれぐらいにして、ササッ、ゴッド様どうぞ!」

 と、やはりと言って白装束の集団に手を差し伸ばすミミカ。

 もういいよ、まだやる気かよ…なんて呆れ返っていた、次の瞬間だ。

「私だ」

 呟いて、先程の奴とは違う白装束が俺たちの目の前へと歩み出てきた。

「おい、まだそのノリ続けるわけ?」

「いや、ほんと俺がゴッド様だから」

「はいはい、分かった分かった」

「いやマジだって」

「はぁ?冗談だろ?」

「マジ」

「証拠は?」

「ないけど」

「はい嘘確定~ミミカ、もういいからこの馬鹿はよ下げろ」

 俺はミミカを眺めて言った。すると、

「い、いや、その方こそゴッド様ご本人ですが…」

 マジなテンションで、それだけを告げられた。

 うん、ということは、つまりだよ?

「えっと、じゃあお前がマジゴッド様?」

「マジゴッド様じゃない。ゴッド様だ」

 ということらしい。

 『藪をつついて蛇を出す』とは、余計な事をしたら悪い事態を招いてしまった、というどこぞの国のコトワザだが、この場合、『藪をつついたわけでもなく何かゴッド様が出てきた』という、よく意味の分からない事態へと発展していたわけだ。

「そ、そうか…何か疑って悪かったな…俺はバンキス。で、そっちのがマルシャとルクスとガイルだ。よろしくな、ゴッド様」

「いや、クイズ形式にしようって言い出したの俺だし、こっちこそ何かゴメン。よろしく」

 こうして、堅い握手を結んだ俺たちは晴れて仲間になったと、

 んなわけあるか!

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